12月のはじめ、東京は九段の武道館で行われジョン・レノン音楽祭「Dream Powerジョン・レノン スーパー・ライブ」というコンサートに行きました。
まぁ、お客様、ステージの後ろ側、北側の3階席、テッペンまでいっぱい。いまは亡きジョン・レノンの遺志を継いでアジア・アフリカの子供たちのために学校を建設しようという運動をサポートするのがこの音楽祭の目的。今年で八回目、年ごとにお客様が増えて、学校もたくさん建てられています。
日本の人気アーティストたちがジョン・レノンや歌やビートルズ時代のジョンにゆかりのある歌をカバーしたり、詩の朗読をしたり、オノ・ヨーコさんも毎回出演、メッセージを送ります。
今回は、奥田民生、CHAR、吉井和哉、トータス松本、斉藤和義、ゆず、Bonnie Pink、絢香、Love Psychedelico、斎藤ノブ+夏木マリ、詩の朗読は宮崎あおい(敬称略)、などの皆さんが出演。
出演者大熱演のこのコンサート、選曲がアーティストにまかされているので、各人とジョン・レノンとの距離がわかるようで面白い。最初に登場したのが、奥田民生+斉藤和義+ゆず+トータス松本のユニットによる「エブリーボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー」、あの「ホワイト・アルバム」の中のシブいロック・ナンバー。きっと奥田民生さんの選曲ではないかしら。宮崎篤姫あおいさんの詩の朗読は「ラブ」と「イマジン」、可愛い。私の好きなデュエットLove Psychedelicoは「ダブル・ファンタジー」から「ウォッチング・ザ・ホイールス」を、そしてトータス松本さんは「ロックンロール」から「スタン・バイ・ミー」を気持ちよさそうに歌っていました。
ジョン・レノンが1975年に発表したLP「ロックンロール」は、ビートルズの大ヒット「カム・トゥギャザー」がチャック・ベリーの「ユー・キャン・キャッチ・ミー」を盗作したものだと相手出版社から訴えられたジョンが、和解のために作った作品といわれています。その制作過程で、高名なプロデューサーであるフィル・スペクターがスタジオでピストルをぶっぱなしたりマスター・テープを持って消えてしまったり、ジョンはジョンで、彼の個人史でいえば最近翻訳本も発表されたいわゆる“ロスト・ウィークエンド”時代、ヨーコさんから離れ楽しい時期だったのかもしれないが、アルコールに溺れかかったりとか、大変な時期でした。
そして、そして、ジョンは、1980年、自宅前で・・・。いつもなにかに脅えていていつも拳銃を肌身離さず持っていたといわれるスペクターは、ご承知のように、2003年、女優さんを射殺するという事件を起こす。ほんと、怖い世の中です。
そういえば、私はこの「ロックンロール」のLP、といっても正確には正規盤ではなかったのですが、このLPの宣伝をテレビ通販で見た覚えがあります。当時、仕事でニューヨークに行っていた時、ホテルの部屋でテレビのローカル・チャンネルをひねると、なんと「ジョン・レノンの新作LPをテレビ通信販売で買いませんか」というお知らせをやっていました。


「欲しいよぉ、聴きたいよぉ」と思いましたが、アメリカで使えるクレジット・カードがないと買えない時代。でもそんなカードは持っていません。今では信じられないほど不便な時代です。ところが、市内のレコード店に行ったらそのLPが置いてあったのです。すでに海賊盤には、厳しい規制があったので、ニューヨークのような大都市の街中で堂々と売られることはなかった時代です。LPの裏面には「ジョン・レノンとアップル・レコードの許可を得ている」と印刷されているけれど、極めて怪しい、粗雑なジャケット、知らないレーベル。

でも、曲目をみて、思わず買ってしまいました。ロックンロールの原点といわれる名曲ばかり、全曲ジョンのお気に入りナンバーだったのでしょう。毎年末のエイズ救済コンサートで自分の好きな曲や影響を受けた曲を歌う桑田佳祐さんもこのLPから企画のヒントを得たのではないかしらね。
しかし、この作品、やはりその発売手続きには多々問題があったようで、すぐに発売停止、商品回収となり、あっさりと市場から姿を消します。そのあとすぐに正規版のLP「ロックンロール」が発売され、現在に至るというわけです。


ジョン・レノンがアイドルだったエルビス・プレスリーは歌手生活後半、「この胸のときめきを」「好きにならずにいられない」「ブルー・ハワイ」などの大ヒットで、多くのファンからはバラッド歌手みたいに思われているけれど、ほんとはロックンローラー。ジョンも同じ。「イマジン」も「ギブ・ピース・ア・チャンス」も今の時期なら「ハッピー・クリスマス」もみな素晴らしいけれど、やはり彼の原点は絶対にロックンロール。そんな意味でもこのレコーディングは重要なものでした。
そうそう、ジョン・レノン音楽祭、大トリにヨーコさん登場。オノ・コードという小さなライトを使って観客と一緒に光のラブ・サインを作り、広いステージを動き回り踊りまくります。あのおトシで、どこにそんなエネルギーが隠れているのか!常に新しいことに挑戦するヨーコさんも、やはりロックンローラーなんですね。いやはや凄いオバサマでした。