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2009.09.01UP

タイムチンキに続いて、今度はヨモギチンキ。

さて、お立ち会い。

今回は、また虫の話である。私は蚊に弱くて、刺されるとぼっこり腫れ、痒みが止まらずに往生していたんだけど、タイムチンキを塗るようになって、蚊がそんなに怖くなくなった話はした。(→こちら

今はまだ蚊の季節が続いているので、防虫スプレーとタイムチンキで防戦抵抗の日々を暮らしている。それにしても、ほんとタイムチンキは劇的に効く。10mlのスプレー容器に入れて、蚊に刺されると、すぐにシュッ。これでなんとか、事なきを得ている。

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防虫スプレーも自作するようになった。ハッカ油と、レモンティツリー、シトロネラなどの香油に無水エタノールと水を加えて作る。ハッカの混入量が多いから、私がシューすると、みんなが振り向くくらい、ハッカの匂いは強烈だ。容器は、市販のバズオフ防虫スプレーのものを流用している。

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蚊は、これらで手当できるのだが、私にはもうひとつの敵がいる。ブユだ。ブヨともブトとも呼ばれる、ハエみたいな小さな吸血虫。これがゴルフコースにいて、特に朝の早い時間と夕方、雨の降り始めとか雨上がりに出てくる。この虫は体が小さいので、喰われた瞬間は気がつかないことが多いのだが、ブユに臆病になっている私は、喰われた瞬間にだいたいわかる。見れば、血が出ていて、むず痒く、やられたな、と思う。

夏は半ズボンの私は、よく足首に近いところをやられるんだけど、そのままにしておくと、翌日くらいからその周辺が腫れ始め、やがて足首が倍ぐらいにぱんぱんに腫れて、やたらめったら痒い。

毎年、夏に2回くらいは、足首を倍の太さにしていたんだけど、今年はこれの対策も始めた。

まず、やられたと思ったら、ポイズン・リムーバーという器具でバキュームして毒を徹底的に吸い出す。これを台所の引き出しと、ゴルフバッグの中に常備している。蚊の場合も、刺されてすぐは、バキュームだ。透明の液体が染み出してきたら、これを拭き取り、さらにバキュームする。

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バキュームしたら、ブユの場合は、タイムチンキではなく、ヨモギチンキを患部とその周辺に噴霧する。タイムチンキは、蚊の痒みにしか効かないのだ。

ヨモギチンキは、草餅に使うヨモギのエキスをアルコール溶出させたもので、これも自作しました。

ほんとうは生のヨモギを瓶にギュウギュウに詰めて、焼酎をいっぱいに入れ、数日置いて、絞ったチンキを使うらしいが、私がネットでヨモギチンキのことを知ったのは夏になってから。ヨモギの生の葉なんてない時期だから、乾燥ヨモギというのをネットで見つけて、チンキを作った。

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私は、焼酎ではなく、40度のウオッカを使用。ヨモギの粉末を瓶にいっぱいに入れ、ウオッカを注いで1週間ほどしてから濾過した。これを40mlのスプレーボトルに入れて、携行している。

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ヨモギチンキを作った後、ホントに効くのか、効果のほどを試したかったんだけど、生憎、ブユに喰われないままにひと月ほどが過ぎた。私は実験好きだけど、ブユに意味なく喰われてみようと思うほど酔狂な人間ではない。なにしろ痒さ、半端じゃないのです。あまりの痒さに、他のことが考えられなくなるほどだ。それで、いつだって、掻き壊してしまって、倍の足首からオツユを染み出させていた。

一昨日の夕方、ゴルフコースでとうとうブユにやられた。もう、ゴルフどころじゃない。プレーを中断、ポイズン・リムーバーを取り出し、このやろう、という気持ちで毒を吸い出す。でもって、ヨモギチンキをばしゃばしゃに噴霧する。どうだっ、てなもんだ。

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で、どうなったか。その日から痒みもなく、喰われたところには、赤い点はあるものの、翌日もなんの変化もなく、翌々日も何ごともなし。今までの経験では喰われた明後日がいちばん腫れた。ヨモギチンキは効いたようだ。ブユの痒みを退治することに成功。やったー、である。

喰われたのにすぐ気がついて、時間をおかずに毒を吸い出したのがよかったんだろうね。それも一度と言わず、六、七回はじゅじゅじゅっと吸い出した。ヨモギチンキも、垂れた液で靴下が緑色に染まるくらい噴霧した。

かくして、蚊とブユという、私の夏の二大エネミーとの対決物語は大団円を迎えた、と言ってしまっていいと思う。ただし、タイムチンキとポイズン・リムーバーとヨモギチンキの三種の神器を携行していないと、私の一方的な負けという事情は変わらない。ゴルフコースは前の日から準備してでかけるからいいけど、人間には不用意な瞬間がある。ちょっとそこまで、なんてケースがアブナイ。とくに私の場合、不用意では誰にも負けないくらい、スキだらけな人間だから、そこは、とても心配。

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立石敏雄
1947年東京生まれ。雑文製造業者。早稲田大学卒業後、絵本の出版社、雑誌『BRUTUS』編集者などを経て、現在は雑誌『Pen』に「笑う食卓」連載中。著書に、雑誌連載をまとめた『笑う食卓』(阪急コミュニケーションズ刊)がある。

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