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2009.08.25UP

ヘトヘトなフランス旅、八、九、十日目。

さて、お立ち会い。

へとへとなフランス旅も最終章である。

八日目。明日は飛行機に乗るだけ、というパリの最終日。朝食は、ホテルのテラスで、とカミさんは言ってたけど、結局また中庭になってしまった。

部屋でぐずぐずしていたら、パリ人、関原さんから電話。「今、リンゴジュースを市場に買いに行った帰りなんだけど、タテイシさん、チーズ買いたいと言ってたんで、開いてる店に連れて行ってあげようと思って」ホテルのロビーで待っているという。

なもんで、身支度をして、関原さんと3人、中庭で朝食。チーズ屋は、マレにある店くらいしか開いてないだろうというので、徒歩でマレまで。パリ人は、ほとんど徒歩で、どんな遠いところへも行ってしまうらしい。

関原さんの後にくっついて、セーヌを渡り、市庁舎の前を通り、マレのランブトー通りへ。
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このチーズ屋で、ロックフォールと、シェーブルと、18ヶ月熟成のコンテというチーズを買った。コンテは、クリスマス時期に出てくるチーズ、モンドールと同じ地域で作られているらしい。私、モンドール、大好き。それで、コンテもうまかろうと買ったわけ。
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日本に帰って食べたんだけど、これはうまかったな。その後、コンテと見ると、買うようになった。大きな店でないと、熟成の若いコンテしかない。長期熟成ものに比べると、いくぶん物足りない感じはある。
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日本に持って帰る、と言ったら、おじさんが真空包装にしてくれた。現物の写真を取り忘れた。もう食べちゃったので、ない。
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疲れたので、チーズ屋の近所でお茶してたら、ペダルのない自転車に乗ったガキがやってきた。地面を蹴って進む。たいへんそうだけど、倒れないところがいいのだろうね。
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日曜なので、街はほとんどが休み。関原さんと別れて、地下鉄でパリ北部にある骨董街クリニャンクールへ。バスで行こうとしたけど、バスは休みだった。

クリニャンクールの駅を出て、骨董村までの道は、フェイクのブランド品を手に持って、道行く人に売りつけようとするにいちゃんやおっさんがたくさんいる。

カミさんが日本を出る前から、ここと決めていた、ヴェルネゾン地区をまわる。この地区だけでも200くらいの店がありそうだ。
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クリニャンクールには、こうした骨董屋集合地区がいくつもある。それぞれの地区に、大物家具中心とか、雑貨が主とか、特徴がある。はっきりとした目当てを定めないと、うろうろするばかりで、時間がいくらあっても足りない。

ここでカミさんは、アンティークのカフェオレボウルを買い、銀のスプーンを6本セットで買い、ベッドカヴァーなどのリネン類をいくつか買った。私はデッドストックの鼻眼鏡だけ。

昼飯は、カミさんお勧めのカフェでラザニア。味はまずまず。
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食後、他の骨董村も2個所ほど覗いたけど、家具とかの大物が多かったり、店が閉まっていたりで、そろそろ帰ることにする。

85番のバスがルクサンブール方面へ行くので、これを待って乗ったんだけど、日曜で途中までしか行かないことがわかり、クリニャンクールからまた地下鉄に乗り換えて、ホテルへ戻ることにする。
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ホテルでマティーニを2杯飲んで、しばしお昼寝。

その間に、カミさんがパリ在住のジャーナリスト大村真理子さんと連絡をとり、晩飯はステーキになったと言う。

サンジェルマン・デ・プレからカフェ・ドゥ・フロールの横丁をはいったところにある〈ル・ルレ・ド・ラントレコート〉というステーキ専門店。7時の開店前から行列が出来る人気の店だとか。8時頃に着いたので、30人ほどの行列ができていた。
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行列の後ろにくっついたら、間もなく大村さん登場。彼女によれば、パリとジュネーブだかに4店あるチェーン店で、緑色のソースがくせになるうまさだとか。

私は成田のコンビニで買ったキッコーマンのチビを持って出たんだけど、出番はないかも。

20分ほどで席が用意され、座った途端に焼き方を聞かれる。肉のメニューは1種類。店名にもあるように、アントレコート、つまり牛のリブロースだけ。肉の大きさもノー・チョイスだ。
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いつもミディアムレアだから、そう頼んでもらおうとしたんだけど、レアとミディアムとウェルダンの3つしかないという。なもんで、私はレアのセニョン、女性ふたりはミディアムのア・モワイアンを注文。お姉さん、注文をテーブルにメモる。
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引っ込んだと思ったら、すぐにまたお姉さんが現れ、クルミのかけらがはいったレタスサラダをどすんと置き、注文したワインと水を置いていった。
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サラダを食べ終わる頃合いに、ステーキがまたどすん。これは全量の半分。隣のテーブルで残りの肉が冷めないようにろうそくの火で温められている。オートマチックなサービスの割に、心遣いは細かい。
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私の肉だけど、焼き方は、レアというよりミディアムレアな感じだった。だいたいフランス人は、日本人よりよく焼きが好きという印象がある。それで、私はレアにしたんだけど、正解だった。

緑のソースは、言われたとおり、うまかった。バジル、コショウ、塩、バターは感じたけど、他に何がはいっているのだろうか。

第一回戦が終わると、残りをサーブしてくれる。どんどこどんどこサービスされるから、客はどんどこ食べざるをえない。行列が出来ていても、客の回転は思った以上に早いようだった。
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デザートは、こんなのと、
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こんなのをシェアして食べた。
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パリに来たら、必ず1度はフロールでお茶することにしてるけど、まだフロール行ってない、というカミさんの要望をいれて、お茶は、隣のカフェ・ドゥ・フロールで飲むことになった。甘い口のまま、お隣へ移り、エスプレッソを1杯。

大村さんと別れて、ホテルに戻り、荷物をまとめて、お茶飲んで、八日目終了。長い一日だった。やれやれ。

続けて、フランス旅九日目。飛行機に乗るだけ。
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中庭で朝飯後、タクシーを呼んでもらって、シャルル・ド・ゴール空港へ。デタックスの手続きをしてから、チェック・イン。手荷物検査で手間取るといけないので、早めに検査を終え、ゲートへ行く途中で、カミさんにラコステのポロシャツを買ってもらう。いつもカミさん、パリ出張時には2枚ずつ買ってきてくれるんだけど、この日は白1枚。

定刻に飛行機は飛び立ち、シャンパンを飲み、飯喰って、爆睡。やれやれと思う間もなく九日目終了。

眼が覚めたら、着陸予定時刻まで2時間。映画も観ずに、眠りこけてしまったようだ。何の問題もなく、成田着。荷物をABCで家まで送って、成田エクスプレスに乗り、我が家へ。ヘトヘトなフランス旅は終わった。ヘトヘト、というより、ヘロヘロ。心の底から、やれやれ、である。これでやっとラクになれる。カミさんには内緒だけど私、旅って、好きじゃないかも。

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立石敏雄
1947年東京生まれ。雑文製造業者。早稲田大学卒業後、絵本の出版社、雑誌『BRUTUS』編集者などを経て、現在は雑誌『Pen』に「笑う食卓」連載中。著書に、雑誌連載をまとめた『笑う食卓』(阪急コミュニケーションズ刊)がある。

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