2010.02.24UP
埼玉県立近代美術館の「小村雪岱展」はおいら念願の展覧会で、たっぷり時間をとって観賞した。図録を買い、満足して「和浦酒場」へ。浦和の「和浦酒場」。わかりやす過ぎる名前だが、JR高架鉄道下のせまい店をうまく使い、居心地がいい。ゴー、と頭の上を通過する電車の轟音が心地よいリズムだ。
「夏子の酒」の漫画家・尾瀬あきらさんは浦和に在住でよく顔を出し、店全員の似顔が飾られる。日本酒の揃えがすばらしく、表の看板「浦和で唯一、純米燗の飲める店」は伊達ではなく、埼玉蓮田の名酒「神亀」はとくによく揃う。まぁ、「神亀」専務も時々来るからナ。神亀は家で毎日飲んでいるので別のにしよう。「〈本日の純米お燗〉は、何?」「早瀬浦です」「新酒?」「えーと、あ、そうです」。届いた盃の、繊細な放射線4束が外に伸びる図柄は、今見てきた小村雪岱の感覚で、これはいい。
ツイー......。「少しまだ味が硬いね」「あ、私もそう感じました」「夏を越えるとよくなりそうだな」「そうですね、秋のひやおろし」。答える作務衣の美人は鈴木さん。鈴木さんが見せた雑誌『散歩の達人』2月号の浦和特集に載る「浦和に息づく、日本屈指の伝統工芸 88歳、剣道具職人の誇り」の鈴木謙伸さんは祖父という。鈴木家は代々の剣道一家で、剣道具つくりの名人・謙伸さんには全国の一流剣士から注文が殺到すると記事にある。「ではあなたもヤットウを?」「ええ、いちおう三段です」。なるほどさすが。酔ってからむと、ポーンと面を取られる、気をつけなくちゃ。
品書きの「節分限定イベント 恵方巻(海老・穴子・まぐろ・玉子・かんぴょう・きゅうり・トビッコ)の主人力作」は、2月3日の節分に恵方(その年の縁起の方角)に向いて太海苔巻を食べる関西の風習だ。 今年の恵方は西南西とか。今は「穴子フェア」で「穴子のやわらか煮」はふわふわしておいしい。2月15〜28日は「サワラ特集」。サワラは魚偏に春と書き、節分からサワラへと春は着実に近づいている。パレットのような銀皿に盛られた、味噌で食べる「野菜刺身」がおいしい。春よ、はやく来い。

(左)穴子やわらか煮と雪岱好みの盃(右)野菜刺身
和浦酒場
さいたま市浦和区仲町1−8−8
電話 048-824-0701
www.waura.jp/waura.html
