ttle_life02.jpg

2010.02.10UP

新宿ゴールデン街「PITOU」

 ディープな店の多いゴールデン街だが、入りやすい新しい店も増えているそうで、一軒のぞいて見よう。煉瓦積みの玄関の植木鉢や大きなカエルにスポットライトが当たる、シックなワインバーのような外観の「PITOU」に入った。
 「いらっしゃい」迎えるのは胸の開いた濃いグレーのワンピースに紫の薄手カーディガン、水色の首飾りの色彩感覚がすてきな、やや貫録のお姉さん。ニットの帽子がトレードマークかな。赤にペインティングされた室内は異国的だ。後ろの棚にチンザノがある。 「チンザノ・ロッソのオンザロック」「はい」。瓶を取り上げたが「あら、足りないわ、エクストラ・ドライと半々でいかが?」「あ、いいかも」。ピンクのチンザノ・ロックができ上がる。
 まずはお決まりの質問。「PITOU、はどういう意味なの?」。ママさん言うには、「PITOU」はバリ語で「7」。ここの番地は1−1−7、愛犬の名前が「ナナ」など、身の回りに「7」が多いのでのでつけたそうだ。「店も今年で7年目なのよ」「へえ、7周年祝いに飲み物ぜんぶ700円!」「ははは、うちは1杯800円だからできるかな」。軽口たたいて気がラクに。
 ママの萌英(ともえ)さんはカメラマンでバリに行き、いろいろな価値観が変わったという。表にあったカエルもバリ島のものかもしれない。バリのサーカス東京公演のポスターもある。「二階もいいのよ」と言われて見に行くと、ゴールデン街とは思えない高い天井で、きれいに白く塗り上げた室内にソファと小テーブルをゆったりと置き、バリのホテルの小部屋のようでカップルによさそうだ。あばら家で空いていたのを徹底的に作り直したそうだ。
 カウンターで一人で飲んでいる若い彼は東京芸大の日本画出身という。「先生だれ?」「加山又造さんと平山郁夫さんです」。すごい、さすが東京芸大。おいらも東北の芸術大で教えていたが、日本に美大山ほどあれど、上野の芸大とその他大勢といえるほど別格だ。
 おいらはデザイナーと言うと、デザイナーの佐藤晃一さんを尊敬しているという。「彼は、おいらのいた資生堂で1年後輩」「あ、そうなんですか」。話に加わった萌英(ともえ)さんはコマーシャル写真を撮っていたそうで、それならおいらの専門だ。
 てなわけで赤ワイン片手に芸術談義の夜はふけました。


ota0210.jpg
(写真左) 「PITOU」玄関(右)包容力あるママ・萌英(ともえ)さん



「PITOU」 

新宿区歌舞伎町1−1−7あかるい花園5番街 
電話3208−5405

http://pitou7.blog102.fc2.com/

<PREV  NEXT>  

column_img_profile_life02.gif

太田和彦(アートディレクター/作家)
資生堂宣伝部デザイナーを経て独立。デザインと並行して日本各地の酒場を訪ね歩き、『ニッポン居酒屋放浪記』など多くの著作にあらわす。最新刊『太田和彦の居酒屋味酒覧・第2版』(新潮社)は全国の名居酒屋を網羅した集大成。出演のCSテレビ・旅チャンネル「全国居酒屋紀行」は9年目に入り「日本百名居酒屋」として放送中。
新刊『愉楽の銀座酒場』(文藝春秋/1700円)はバーを中心に銀座の 酒場73軒を取材した力作。
ページ上部へ
新着紹介のRSS ラガー音楽酒場のRSS ラガー音楽酒場 e-days プレゼント&インフォメーションのRSS e-days プレゼント&インフォメーション