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2010.01.27UP

新宿ゴールデン街「深夜+1」

 雑誌「GQ」で、新宿ゴールデン街を特集するので指南をよろしくと若い記者に頼まれ、よしきたと「深夜+1」に連れてきた。「深夜プラスワン」、通称「深プラ」はギャビン・ライアルのハードボイルド小説「深夜+1」からつけた名前だ。時間は夜の9時半。そろそろこの街も賑わってくるころだ。店は3坪、カウンターだけ、ゴールデン街はどこもほぼ同じだ。
 おいらはウイスキーソーダ割、お通しは豆。この店はウイスキーと豆しかない。たまに客が土産に持ってきたシューマイなどがまわってくる時もある。雑然とした店内だが、いつもより整頓されている。「少しかたづけた?」「ええ、古い雑誌などを正月にちょっと」「間に千円札はさまってなかったかい?」「うーん、見なかった」。笑う好漢・須永君はここで働きながら映画俳優で、最近は『沈まぬ太陽』に出演したそうだ。
 彼の腰のガンベルトのホルスターには白柄のコルト・ピースメーカー・マグナムがぶちこまれれる。映画『ダーティ・ハリー』でイーストウッドがハンバーガーをもぐもぐやりながら、腰だめにぶっ放したアレだ。このバーのオーナーは日本最高の現役コメディアンにして「日本冒険小説協会会長」の内藤陳さん(通称・会長)。冒険小説系の作家、編集者でここを知らない人は「一人も」いない。去年、新宿コマ劇場で開かれた「渚ようこ・ゲバゲバリサイタル」は今や伝説の舞台になったが、会長は久々に須永君相手の決闘コントを演じ、じつにすばらしかった。渚ようこさんもゴールデン街でバー「汀」をやっている。
 「やあ、太田さん」10時が過ぎて会長、颯爽と登場。隣りに腰をおろし「こないだジェームズ・キャメロンが来たんだ」と話し始める。昨日の新聞にキャメロンが『アバター』でゴールデン・グローブ監督賞・作品賞を取ったと出ていた。来たのはその前で、酔ってご機嫌になり、巨体を無理してカウンターに入れ「ナニシマスカ」と接客したそうだ。
同じ日の新聞にハードボイルドの巨匠ロバート・P・パーカーの訃報もあり、彼も巨体でそこで飲んでたと話が続く。
 さてこの続きは、2月25日発売「GQ」4月号で。おいらと会長のツーショット写真も出るはずだ。


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「深プラ」入口



「深夜+1」

新宿区歌舞伎町一丁目 あかるい花園一番街 
電話03-3209-7872
http://aisa.ne.jp/jafa/shinya+1.html

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太田和彦(アートディレクター/作家)
資生堂宣伝部デザイナーを経て独立。デザインと並行して日本各地の酒場を訪ね歩き、『ニッポン居酒屋放浪記』など多くの著作にあらわす。最新刊『太田和彦の居酒屋味酒覧・第2版』(新潮社)は全国の名居酒屋を網羅した集大成。出演のCSテレビ・旅チャンネル「全国居酒屋紀行」は9年目に入り「日本百名居酒屋」として放送中。
新刊『愉楽の銀座酒場』(文藝春秋/1700円)はバーを中心に銀座の 酒場73軒を取材した力作。
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