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2010.01.06UP

京都「小鍋屋いさきち」

 冬来りなば、鍋で一杯。しかし具沢山のでかい寄せ鍋は嫌い。具は2種類までのシンプルな小鍋立てがおいらの好みだが、それをする居酒屋はほとんどない。てなわけでこの冬も京都に遠征だ。祇園花見小路の白川沿いといえば代表的な京都のスポット、女性やカップルがうっとりと写真を撮りあっている。その辰巳稲荷の小路の奥の奥「小鍋屋いさきち」へ。
 「こんちわ」「へえ、おこしやす」。カウンターと一畳小上がりだけの小さな店。主人と小僧さんはもう顔なじみだ。カウンターには電磁ヒーターがはめこまれ、ここで一人鍋ができる。その品は「あさりと大根、しじみと大根、三つ葉ときのこ、水菜と揚げ、白才菜と鶏(または豚)、じゃがいもと鶏(または豚)」などなど。どうです、うまそうでしょう。冬の今は雲子(鱈の白子の若いの)が時季だが、おいらは「九条葱と鶏」でいこう。
 直径15センチほどの鍋に黄金の出汁がたっぷり張られ、黒皿に緑あざやかな九条葱、赤い鶏肉、白い豆腐ひと口。あとは自分でやる。まずは鶏肉を入れて......。ふつふつ煮えて柔らかくなった九条葱の、しゃきっとした歯ごたえ、青い香りのおいしいことよ。「まだほんとの味じゃないです、もっと寒くならないと」。主人が言うには、九条葱は寒くなるにつれて葉の内側のぬる身が増して甘くなるそうだ。
 一人の小鍋は、煮えばなを確実に食べられるのがいい。鍋といえども料理、遠慮し合いの煮え過ぎほど、ばからしいものはない。たっぷり振りかけた原了郭の粉山椒が鶏肉をピリリと引立てる。たちまち汁まで飲み干し、もう一鍋だ。「九条葱と牡蠣」は、ぷっくり膨らんだ牡蠣に、こちらは名代・三年坂七味家の粉一味がじつに合う。薬味もやはり京都だなー。九条葱、壬生菜、加茂茄子、堀川ごぼう、聖護院大根、伏見唐辛子、鹿ケ谷かぼちゃ、などいまブームの京野菜は冬が本番。ついつい酒もすすんでしまいました。

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九条葱と鶏の小鍋、九条葱と牡蠣の小鍋、粉一味



小鍋屋いさきち

京都市東山区祇園花見小路新橋西巽小路上ル 
電話075−531 −8803


太田和彦の新刊

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「太田和彦の居酒屋安旨の逸品」角川書店/925円+税
東京都内の居酒屋48軒の、安くて旨くてボリュームもある肴72品を、写真入りで紹介。大分名物「りゅうきゅう」とは何か(新宿/とど)、これが東京一の「いか塩辛」(荻窪/やき屋)、君知るや魅惑の「くりから焼」(錦糸町/三四郎)、日本でここだけ「塩いか胡瓜もみ」(新宿/吉本)、思い切り「くさや」で酒を飲める幸せ(八重洲/ふくべ)、武闘派「いか焼」の真の実力者(佃/江戸家)など、つい行ってみたくなる「安旨の逸品」がずらり。


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「東京・大人の居酒屋」毎日新聞社/1429円+税
東京下町/山の手。新しい気鋭店/伝統の老舗。女性に人気の割烹スタイル/熱気あふれる大衆酒場。モダンな都会派/懐かしい昭和。全国地酒の銘酒居酒屋/自慢の名物一本勝負。コドモお断り、団体お断り、ミシュランお断り。東京の居酒屋から選りすぐった大人の名居酒屋55軒 を、料理・店内写真つきで紹介する、東京居酒屋ガイドの決定版労作。「自分の一軒」が必ずみつかります。


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「ひとり旅ひとり酒」京阪神エルマガジン社/1680円+税
雑誌『西の旅』に5年連載した、ひとり旅エッセイ。帯のコピーは「居酒屋の伝道師、太田和彦がツイーと旅した西日本の名酒場!」。京都、大阪、神戸、博多、金沢、広島、長崎、倉敷、鹿児島、松山......など、西日本の居酒屋旅に最高の手引書。文章を丁寧にビジュアライズした写真もすばらしい。著者いわく「近年ではもっとも好きな本」。ぜひ手に取ってください。

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太田和彦(アートディレクター/作家)
資生堂宣伝部デザイナーを経て独立。デザインと並行して日本各地の酒場を訪ね歩き、『ニッポン居酒屋放浪記』など多くの著作にあらわす。最新刊『太田和彦の居酒屋味酒覧・第2版』(新潮社)は全国の名居酒屋を網羅した集大成。出演のCSテレビ・旅チャンネル「全国居酒屋紀行」は9年目に入り「日本百名居酒屋」として放送中。
新刊『愉楽の銀座酒場』(文藝春秋/1700円)はバーを中心に銀座の 酒場73軒を取材した力作。
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