
世界遺産の絶景が目に焼きつく、壮大な自主製作映画「落下の王国」

世界遺産巡りが体験できる一作
「ザ・セル」(00)のターセム監督最新作「落下の王国」が9月6日より公開される。7年ぶりの監督第2作だが、それもそのはず。本作ために13の世界遺産を含む世界24カ国を回り、撮影だけで4年をかけた。CGはほとんど使われておらず、美しいロケ映像が目を引く。
映画の撮影中に落馬して脚に大怪我を負い、失意のどん底のスタントマン、ロイ(リー・ペイス)が、入院中の病院で、オレンジの樹から落ちて腕を骨折した少女アレクサンドラ(カティンカ・アンタルー)と出会う。ロイは少女に自殺するための薬を調剤室から盗んで来させるために一計を案じ、彼女の気を惹くため即興で作り出した6人の勇者の愛と冒険の物語を語って聞かせる。傷ついた青年と少女の心の交流を優しく綴った幻想的な物語で、作風も「ザ・セル」とはまったく異なる。
監督の言葉によると、本作の構成の原点は自身の幼少期の体験にあるという。「僕はヒマラヤの寄宿舎学校で世の中から離れて育った。そこである先生がいろいろな話をしてくれたんだけど、それはインドに伝わるロビンフッドの話や、ジェームズ・ボンドの話、ウォーターゲート事件があった頃だから、政治の話も組み合わさったりしたものだった。しかも先生の話は、話す相手によって毎回ちょっとずつ内容が変わったりする。物語というものは、そのように言葉で伝わっていくものだと思ったんだ」
ロイが物語る幻想的シーンは、監督の出身地インドのほか、フィジー、ナミビア、バリなど世界各地で撮影された。「インドのある僧院では気温が49度、湿度が100%になるところもあって、息をするのも大変だった」。そんな苦労の甲斐もあってか、見たこともない絶景の数々はどんなCGを駆使した映像よりも印象に残る。
また、本作のもうひとつの特徴は、監督自身の資金で撮影された壮大な自主製作映画であるという点。「ちょうど恋人と別れてしまい、彼女に渡すはずのお金が手元に残ったから、そのお金を僕のベイビー、つまり映画に注ぎ込んでやろうと思ってね(笑)。完成後にどうやって人々に見てもらうか、つまり配給をどうするかという問題はあったけど、撮影中は何も考えずに撮影に専念することができたよ」
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