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1960年代後半。横浜は米軍基地が本牧や根岸にある関係で、東京にはないアメリカの匂いが漂うところだった。この頃の松山猛さんは東京のミュージシャンたちとクルマで第三京浜を飛ばしては、ゴールデン・カップスのバンドメンバーらと中華街に繰り出してロックミュージックの話に興じていた。
ゴールデン・カップスはグループサウンズという枠をこえ、音楽性を評価され
たバンド。松山さんたちは、まさに「横浜ロコ」であるメンバーらとひと時期を共有していた。
「あの時代は自由だった。あの自由さはもう戻って来ない。創造力がそれぞれに沸き上がり、やり尽くしていない感を抱え、互いが刺激しあった時代でした」と松山さんは振り返る。時を経て、松山さんは台湾茶への造詣が深くなったことから、中華街がある
横浜の地へ足繁く通い、ついには横浜に暮らすようになり、もう20年経つ。
そんな松山さんおすすめの「楽園」は中華街の中でも歴史は古く、メインストリートにある。新鮮な素材を生かした、どこか繊細な奥深さも感じられる料理揃い。
お客さまも2、3代目と代替わりしても訪れる付き合いという。店とお客とで味を守っている、そんな愛される店なのだ。
長年通いつめている「楽園」は、広東風の家庭料理が看板。横浜中華街にあって、ここでしか食べられない味わいなんですね。家族経営で、代々引き継がれた味はまったく変わらず、シンプルな野菜炒めに始まり、どれもこれも新鮮な素材の味を生かした深みある美味しさ。席に着けばまずはキリンラガービールと相成り、必ず注文するのが「センマイの葱生姜のあえ物」。そのプリプリとした食感と辛味噌の絶妙な取り合わせは、ビールとの相性も上々。また、このお店はモツ料理にも定評があり、私も開眼させられた一人。冬場には中国風の牡蠣の天ぷらがあり、これがまたオツなんです。飽きることなく、すぐまた行きたくなるお店です。

1946年京都市生まれ。
作詞家、雑誌の編集者、作家、エッセイスト。
キリンラガービールのCMでも使われた「タイムマシンにおねがい」の作詞も手がける。