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福岡ユタカさんは1983年(昭和58年)ロックバンドPINKでデビュー。ボーカル兼リーダーでメンバーにホッピー神山さん、岡野ハジメさん、矢壁アツノブさんなどが参加していた。当時カラス族などと呼ばれた全身黒づくめのお客が多かった新宿のツバキハウスにこのバンドが初登場したとき、福岡さんの声に驚いたものだ。近田春夫さんが「エンジン」のようと言ったように、力があって特に高音部には圧倒された。声そのものが楽器のようであった。PINKの活動は約6年、5枚のオリジナルアルバムを発表し解散するが、このバンドに影響を受けたミュージシャンも多い。
その後、フリーのボーカルゼーションのパフォーマーとして現代アートの作家とコラボレーションし、90年代に入ると録音器材を携えて世界中を旅し、独特の音楽活動を行っていく。例えばモ
ロッコでは町の雑踏など自分が感じるままに音をサンプリングし、また現地の多数のミュージシャンと即興でセッション。初めて目にする民族楽器、身体の芯に迫ってくる太鼓の音、スパイシーな町の匂い、ミュージシャンたちの熱、そのなかに福岡さんの叫ぶような歌声が自然と溶け込んでいった。それまで自分が求めていた世界に出会ったのだ。東京の自宅に戻り、採集した音源をコラージュし作品となっていく。
我々が聴くことになるのは、「NS2000」。TV朝日「ニュースステーション」のテーマ・ソング。8年前のことだが覚えている方も多いと思う。地球のどこか熱い国の民族音楽のような、大地から発せられたような、心地よさとやるせなさを福岡さんが全身で表現していた。その後もカンボジアの宮廷舞踏家たちとドキュメンタリーパフォーマ
ンスの音楽監督としてアメリカやシンガポール、ベルリンなどのワールドツアーに参加(現在も続行中)。またソロアルバムをリリース、最近では映画「どろろ」やTVアニメ「風のスティグマ」の音楽を担当、TV&CMの仕事も数多く行っている。ポリシ−は「僕はそれまで人がやったことがないもの、僕自身がこれまで聴いたことのないものが面白いんです。そうじゃないとつまんないからやっている意味がない」と、宅録で納得いくまで音を作り続ける。最近はジャズ、民族音楽、ロック、現代音楽、民謡などを全部アカペラで歌う自身のアルバムを制作している。気分転換は好きな「鬼平犯科帳」など江戸前の世界。人形町の「太田鮨」でゆっくりとビールを飲みながらお寿司をつまむ。さぁ、次はどの国へ音楽採集に行こうか!
1955年(昭和30年)創業の「太田鮨」の最大の魅力は、“伝統的な江戸前鮨”が味わえること。ネタがズッシリとボリュームのある「にぎり」はどれも絶品ですが、なかでも手間ひまかけた「コハダ」「アナゴ」「玉子」などが特に好きですね。
ぼくは島根県出身なので江戸っ子ではないんですが、このお店にはもう25年近く通っています。ひとりでも家族で来ることも多いのですが、例えば仕事の打ち上げが終わった後などには、親しい仲間と必ずといっていいほどここに来ていますよ。
そして、このお店のもうひとつの魅力が、趣きのある佇まい。店構えや店内のつくりがとても渋くて、随所にご主人のこだわりや趣味のよさを感じます。
そんな空間で、おいしいお鮨をつまみながら江戸前を堪能し、ラガーを1杯。旅先のことを思い浮かべたりしてね。

島根県浜田市生まれ。1981年に「近田春夫とヴィブラトーンズ」、さらに83年にはロックバンド「PINK」を結成し、ボーカリストとして活躍。ソロ活動開始後はTVCMや映画など数々の楽曲を手掛け、斬新かつ声量豊かなボーカルスタイルで異色の存在感を放っている。