「あの頃は、フォークルを解散してから一人で旅行ばかりしていた。まずは1969(昭和44)年にアメリカへ行きサンフランシスコに着いて、アシュベリーへ行くといきなりヒッピーたちがいて、それからフィルモア・ウエストなんかに毎日のようにコンサートを見に行って、ジェファーソン・エアプレイン、ジャニス・ジョプリンなんか見たんだけど、何か日本の音楽状況とは違うなって感じだった。そのときは今みたいに情報はないからね、物見遊山丸だしで、そのあとロサンゼルス、ニューヨークを一通り回って帰って来た。帰ってきたときは髪も結構長くなってヒッピーになっているから、日本人ヒッピー第1号みたいな感じでテレビCMの依頼があったのかな」

 このテレビCMは60年代から70年代への時代の変化を象徴するものであった。1969(昭和44)年、丸善石油(現・コスモ石油)が小川ローザさんを起用した「Oh! モーレツ!」は、60年代の日本の高度成長を代表するCMに。そしてゼロックスのCMには「モーレツからビューティフルへ」と、高度成長の反動、もっと人間らしく生きようといったメッセージが込められていた。そこに加藤和彦という個性が映し出された。

「アメリカから帰ってきて、ちょっと日本にいて、またすぐにロンドンへ行くとT.REXやデヴィッド・ボウイ、ロキシー・ミュージックなどグラム・ロックのムーブメントにもろ遭遇し、いろいろなミュージシャンとも知り合うことになった。最初はポートベローのホテルに滞在していたんだけど、ロンドンはアメリカよりも居心地がよかったから出来るだけ長く滞在しようと思ってすぐにフラットを借りたんだ。今回の新バンド結成は、その頃にUKで聴いた音楽へのオマージュというのもあるんだよね。僕を含め彼ら(メンバー)も同じように、その頃から何かが始まってしまった」

 新バンド名はVitamin-Q featuring ANZA。まずはメンバーに驚く。ギター・ヴォーカル/加藤和彦氏、ドラム・ヴォーカル/屋敷豪太氏<※1>、ギター・ヴォーカル/土屋昌己氏<※2>、ベース・ヴォーカル/小原礼氏<※3>、ヴォーカル/ANZAさん<※4>。バンド名になったVitamin-Qとはエレキ・ギターのトーン・コントロールに使われる、60年代のコンデンサーのこと。ギターの改造マニアなら知っているはずだが、こんな名前をもってきたのも楽器にかなりのこだわりがある人ばかりのバンドだからだろう。

※1 屋敷豪太:[1962(昭和37)年生まれ。1991年シンプリーレッドのメンバーに加入。現在はスガシカオ氏、武部聡志氏らとともにkōkuaのメンバーとしても活躍]
※2 土屋昌己:[1952(昭和27)年生まれ。一風堂のリーダー。イギリスのJAPANのワールドツアー、その後Arcadiaのアルバム『情熱の赤い薔薇』に参加]
※3 小原礼:[e-days MUSIC MAN #005参照]
※4 ANZA: [1976(昭和51)年生まれ。女優として活躍し1999年にバンドHEAD POHNES PRESIDENTを結成。海外でもライブ活動を行う]

CLOSING TIME マスターの独り言

あの街、この街、ラガーのうまいお店

味の継承 郷土料理を自分で作ってみよう!


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