edays WEB MAGAZINE 一日の終わりに Closing Time

マスターの独り言 ラガー音楽酒場のマスター(実は編集者?)が語る、キリンラガータイアップ記事裏話。

 

高橋信彦さんと食べた旨い刺身にまつわる切ない思い出

 「MUSIC MAN」にご登場いただいたロードアンドスカイの代表取締役、高橋信彦さんに行きつけのお店に連れていってもらったことがある。青山の裏手にあるこぢんまりとした料理屋であった。年配の仲の良さそうな夫婦がやっていて、メニューには活魚が並ぶ。マスターは旨い魚を置いてある所を知っている人にはもの凄く敬意を払う。それはなぜかというと、お酒を美味しく飲むには魚が肝心で、旨い魚を知っている人は美味しいお酒を知っており、こういう人と飲むと酒の席まで楽しいものとなる。
 で、常連ならではの気遣いか、キリンラガービールが運ばれ乾杯が終わると、すっと刺身盛り合わせ(大盛り)が運ばれて来たのである。その大きさは家庭のまな板1.5倍のスペースに、トロ、中トロ、白身、しめ鯖、貝類、イカなどなど各4切れ(大ぶりにカット、どれも高級そう)が綺麗に盛り付けされてあった。
 マスターは目上の方と飲む場合、切れ数に注意を払う。4切れということは、つまり2切れずつなのだとすぐに認識する。また、どこか間違ってしまった5切れはないかとも素早く見渡す。この場合、自分は間違っても3切れ食べてはならないと注意深くなる。
 それからビールを飲むのである。このひと呼吸が大事で、まずは相手が刺身にお箸をつけてからいただくことにしている(時々、わさびや大葉などの醤油関係に時間をかける人もいるが、その場合はじっと待つ)。
 また、相手がトロにお箸をつけたら自分はちょいっと格下のイカからいくことにしている。相手がイカからきたら、ツマなんかでモジモジする。モジモジの次に貝類なんかにいってみる。さらにワカメに手を出し、何も無かったようなフリをして話を続けるのである。




 大盛りにおける2人で飲むときの刺身道は大変なのである。大勢の場合はこれをやっていると食べ損なうので、ここは自然に食べたいものから手をつけます。
 さて、高橋さんがプライベートで15年続けているバンドの話を聞くのに夢中になってしまい、中トロを3切れ食べてしまったのである。なぜにそうしてしまったのかは分からない。つい食べてしまったのである。動揺。それまでのイカ、しめ鯖、貝、中トロ、トロというリズムが狂ってしまった。とっさに今自分が出来ることは、まだ一切れしか手をつけていないトロを高橋さんに譲るべきである。
 しかし、それを「高橋さん、トロどうぞ。先ほど私、中トロを1切れ多く食べてしまい、誠にすみません」と口にするのはいかがなものだろうか? ここでまた動揺するが、また話に夢中になりビールを飲む。まな板の刺身は大方なくなり、トロ一切れが残った。これ凄く気まずい。高橋さんは「これどうぞ」とすすめてくれた。「あっ、すいません」といって食べてしまったのだが、今でもそれで良かったのか、マスターは3切れ問題を深く反省しているのだ。旨い刺身、楽しいひとときにおける切ない思い出でした。

飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。
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