


「ラガー音楽談議」の取材で東京・世田谷にあるソウルバー「音楽酒場STREET CAFE」のオーナーであり、ベーシストの長野豪毅さんにお会いした。
「やっぱり40代、50代のソウルファンはお酒もよく飲みますし、好きなソウルナンバーが流れると立ち上がって踊りますね」という長野さんの話を聞いて、マスターは凄く嬉しくなった。だって、それが人生の喜びではありませんか。
さらに「カップルのお客さんがいらっしゃったときには甘ーい曲をかけたりもします」というのにもの凄く反応したのです。で、マスターはかつて六本木のスクエアビル近辺にあった「プラスワン」とうディスコを思い浮かべた。ここはカップルに人気だった。(確か男だけでは入れなかった気がする)
このへんをよく説明すると、ディスコというのは男だけ、女だけで、それぞれ何かを求めて行くというパターンがありますよね。この場合、男の目は血走ったりして、喜ばしい出来事を期待しているわけです。
また、男女のグループという団体パターンもあって、この場合は「なんとかこの機会にグループ交際から単独に持って行けるようにさらに親交を深めたい」というそれぞれの思惑たっぷり、恋のバトルですね。
で、こういったディスコの選曲は、基本元気な曲で、甘ーい曲少々。元気な曲で思いっきり踊ってよからぬエネルギーを発散させ、甘ーい曲のときは座って休憩するというのが普通の青少年の清い姿であった。
しかし「プラスワン」はそういった男女が集まるディスコとは違い、完全にステディな関係、もしくはステディ直前のカップルが行くところだったのである。この違いは大きいぞ。だって甘ーい曲の連続。時々元気な曲が流れるが、基本は甘ーい曲。甘ーい曲にどっぷり二人で浸る(チークだぞ)のが二人の正しい姿で、元気な曲で休憩となる。前者がガツガツならばこちらはベタベタ、前者がボロボロならばこちらはピカピカ。前者がバタバタならばこちらはフラフラなのである。

そうフラフラになるまで甘ーい曲を聴き続け、特にステディ直前のカップルは床に倒れそうなのであった。それだけ甘ーい曲っていうのは何か恐ろしい魔法とでもいうのか、見つめ合うカップルをいい感じでコロリんとしてしまうパワーがあるんだね。
マスターは「音楽酒場STREET CAFE」でこんなこと思い出してしまったのである。頭の中ではスタイリスティックスやマービン・ゲイなどが流れていた。また、あの頃の女性はわりと飲む人が多かったような気がするなぁ。
当時、どうやって女性に声をかけたのか思い出してみると、自分のハンカチをあえて手にして「お嬢さんハンカチ落としませんでした」と見せる。そして「すいません、これオレのでした」なんてトライして、嫌な顔をされたらすぐ引いて、笑ったら「どうです?ご一緒に」であった。こんなんだからいつもガツガツで、ボロボロで、バタバタであったが、モテナイ男には同じようにモテナイ男の仲良しというのが必ずいる。前回も書いたが踊りまくった後は焼き鳥屋なんかに行って、キリンラガーの大瓶からグラスについで、「スタイリスティックスってさ、裏声で歌ってダセーよ」なんて言いながら飲むのでありました。ラガーは旨し、ベタベタのピカピカのフラフラの思い出はホロ苦し。どうです、ご同輩?