edays WEB MAGAZINE 一日の終わりに Closing Time

マスターの独り言 ラガー音楽酒場のマスター(実は編集者?)が語る、キリンラガータイアップ記事裏話。

 

立川直樹さんにお会いすると思い出すほろ苦いエピソード

 「MUSIC MAN」にご登場いただいた立川直樹さん。マスターは、とある雑誌で立川さんの担当編集者だったことがあり、かれこれ28年も前のことになるのだが、打ち合わせをしに六本木にあった『東風』(トンフー)に通ったものだ。
「ミック(立川さんのニックネーム)、次回はフレンチ・ポップスをテーマに何かお願いしたいんですけど」「わかった、考えておくよ」「締め切りは、来週なんですけど」「いいよ、ところで今日はどこへ行こうか」いつもこんな感じだった。打ち合わせは3分で終わり、その後新しくできたBARなどに連れて行ってもらい、「次、何をやろうか?」などと、まずはビールを飲みながらいろいろな話が始まる。音楽のことはもちろん、プロレス、料理、映画、女性、海外のとある街のこと、ホテルのことなどなど、いつも雑談のなかから次の企画が生まれた(企画会議だなんて思ったこともない)。で、BARで流れている音楽に対して突然「この時間で、こんな雰囲気だったら、この音楽はないよな、変えてもらう」と、お店の人(知り合い)に、ささっと話す。サントラ人生なのである。
 そういえば、かつて立川さんがプロデュースなさっていた日本のとある女性シンガーをマスターはインタビュー取材したことがあるのだが、インタビュー時間を1時間いただいたのにもかかわらず、30分で帰ってきたことがある。
 今、思い出すだけで冷や汗たらりなのだが、そのシンガーはマスターにとって子どもの頃からの憧れのお方で、さぁインタビュースタート、お顔を拝見、目が合ったとたん、何もかも忘れてしまったのである。人はこれを真っ白状態というが、マスターは凄くアガッてしまったのである。用意した質問事項も棒読み。「ヤバいぞ、オレ、アガッている」と自覚すると、さらにどうしていいかわからなくなり、ノートの質問を、まくしたてるように早く読んでしまう。目が合うと、視線をそらしたりして、その視線は宙をさまよい続けるのであった。そうして、どんどん小さくなっていく自分。マスターこれで自滅しちゃったのである。




「ありがとうございました」シンガーも同行のマネージャーさんも「こいつアガっている、おかしい、変、ダメなヤツ、田舎帰れ」とこちらを見る。マスターの同行のカメラマンも不安げにこちらを見る(撮影は終わっていた)。逃げるように帰ってきました。編集部に戻り上司から「どうだった?」「ばっちりでした」「そうか」「はい」となんとか原稿は仕上げたのですが、出来上がった誌面を見ると、そのシンガーの写真の顔が「あなた、アガっていたでしょう」って言っているようで、つらいものがあります。
 その後、その誌面を読んでくれた立川さんが「あれ、よかったよ」って。これまた冷や汗たらり。
 今年になって立川さんとは数回お会いしておりますが、久しぶりに先日広島で飲みました。キリンラガーを数杯。なぜか、何度お会いしても立川さんの前では、そのシンガーのことを思い出してしまい、ビールもちょっとほろ苦いんでございます。

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