edays WEB MAGAZINE 一日の終わりに Closing Time

マスターの独り言 ラガー音楽酒場のマスター(実は編集者?)が語る、キリンラガータイアップ記事裏話。

 

「豚の醤油煮」はしばることにとても快感があるのだ

 今回の「味の継承」でご紹介した豚の醤油煮は、まさしく一度は作ってみたい豪快な料理だ。まず、豚肉の塊(ブロック)ドーンというのが嬉しい。普段は「豚コマ200グラムちょうだい(今夜はカレーだな)」「生姜焼き用4枚、脂身少ないとこ」などと小声で買っていたのに突然、キロに近い塊を買うのである。
 「間違いなくボーナス出たな」と、肉屋のオヤジは思うだろう。そして、タコ糸を購入し、すべての材料をキッチンに並べたとき、タコ糸の存在感のあまりの大きさに気がつく。「しばるのだ、誰にはばかることなく、私はこの糸でついに塊をギュッとしばるのだ」。料理好きにとってタコ糸というのはオオゴトである。塊をしばるのは興奮するのである。
 くるくると頑丈なタコ糸を肉の塊に巻き付けながら「一度やってみたかったんだよね」となる。塊にタコ糸がくいこむ。これがまた嬉しい。(なぜ、タコ糸をかけるかというと、かたちが歪まないため、あくまでかたちを整えるためです。さらに指一本程度が入るゆるみが必要。興奮のあまりギュウギュウに結んではいけません)
 そして厚手の鍋で煮込むのだが、なぜかこのとき頭のなかで某TVドラマのテーマソングが流れ出す。そうこれは北海道の郷土料理なのだ。本当は薪ストーブに大きな鍋を置いて、キタキツネなんか気にしながら煮詰めていくのである。
 

 出来上がりに待っているのは、醤油が染み込んで茶色になった表面である。これが食欲をそそる。まずは、出来立ての表面をそこだけカットして冷えたラガーを飲む。ささやかながら役得を感じる。ここからである。どうやって食べようか、マスタードもいいし、ブラックペッパーを少々でもいいし、そのままでもいい。何たって嬉しいのは塊ごと自由にしていいということだ。
 今夜はビールを飲みながらガブッといって、明日は味噌ラーメンにネギたくさんとコーンとバターを入れて、焼豚がわりに入れちゃう、などなどいろいろ浮かぶ。また、正月にお客が来たときにもいいな、などと。するとそろそろラガーもまとめて酒屋に頼んでおかなくちゃと急に慌ただしくなっていくのでした。ボーナスのあるうちに。

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