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 "オリビアを聴きながら""Cat's Eye""悲しみがとまらない""Summer Candles"――80年代から90年代に渡って数多くのヒット・チューン、名曲を生み出してきた杏里。伸びやかで情感豊かな歌声とポップで美しいメロディーはいまだ新鮮な輝きを放ち、当時を知らない世代からも高い好感を得ている。


 そんな彼女が、このたび初のセルフ・カヴァー・アルバム『ANRI AGAIN~Best Of Myself~』をリリース。ただ〈焼き直す〉だけでなく、新進気鋭のトラックメイカー/アレンジャーを起用して再構築された名曲の数々は、杏里の弛まぬクリエイティヴィティーを大いに感じさせるもの。昨年、デビュー30周年という区切りの年を経て、あらためて気持ちを引き締め歩み出した杏里さんの足取りは、思いのほか軽やかなようだ。


取材・文: 久保田泰平/写真:神ノ川智早


"Cat's Eye"がヒットした時も「綱渡りをしている気分」だった


――今回、デビュー曲"オリビアを聴きながら"も含むセルフ・カヴァー盤をリリースされるということで、あらためてデビュー当時のお話からお伺いしようと思うんですが、そもそも、杏里さんはどういった経緯でデビューされたんですか?


 私、いつも家の中でピアノを弾いてたんですね。ポール・モーリア・オーケストラとかをコピーしたりして。それで、家族ぐるみでお付き合いしていたファミリーの中にTV局の制作に関わっていた方がいらっしゃったんですけど、その方がそういう私を見て、どうやら音楽が好きみたいだって思ったらしく、知らない間に歌手デビューの話を進めてたんですよ。最初に「音楽やらない? 歌わない?」って言われた時はちょっと引いちゃったんですけど、まあ、キライでもないからやってみようかなって。

 本当に興味本位というか、長くやろうなんてまったく思ってなかったんですけど、やっていくうちに、これは自分が納得できるまで極めてみよう!みたいな感じになって。そういうことを思い始めたのは"Cat's Eye"を出す前ぐらいですかね。それまではちょっとあきらめていた時期もあって。

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――"Cat's Eye"がブレイク作ということになりますけど、デビューからそれまでに5年弱かかってますよね。


 そうですねえ。長い間修行をしてました(笑)。なかでもすごく印象に残ってるのが、真冬の阿寒湖でAMラジオの公録をした時で。凍ってる湖の上に、さらに氷のステージがあって、氷の上にお客さんが座って見てる、みたいな(笑)。もちろん生演奏なんですけど、リハーサルの段階で、バンドの方たちも手がかじかんじゃって。冬の阿寒湖って行ったことあります? もの凄いですよ(笑)。いま思い出しても、よくやったなあと思います。

 でまあ、そんな感じで修行と言いますか、選り好みせずにいろんなことをやってきて、十分この世界で生きていくことの大変さだったり、人間関係の大変さだったり、いろんなことを学んで、それで"Cat's Eye"がヒットしたんです。あのとき、「どうですか? こんなにヒットして」ってよく訊かれたんですけど、「人生バラ色だと思ったんですけど、綱渡りをしている気分です」って答えてました(笑)。


――いつ阿寒湖に戻るかわからないと(笑)。


 そうなんですよ。あの時期があったから、すごく苦労はしたけれど、どんな大変さも乗り越えられてきたんですよね。いま、こうやって『ANRI AGAIN』を出せるのも、そういう積み重ねがあってのことだと思います。

 今回の『ANRI AGAIN』は、自分のプロデュースっていうかたちにはなっているんですけども、ある意味、スタッフ全員がプロデューサーでもあったりするんですよね。こここまでたどり着けたのはスタッフのおかげだし、なによりも、ひさしぶりにパートナーとして参加してくれたプロデューサーの常富さん(常富喜雄。フォーク・グループ、猫のメンバーとしても活動中の作曲家/プロデューサー)、まさに私のデビュー・アルバムを作ってくれた方なんですけど、彼がいなかったらこのようなレコーディングは成立しなかったんじゃないかなって思いますね。私はシンガー/アーティストではあるけれど、このアルバムではチームの一員として参加させてもらってる感じですね。

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杏里

1978年、“オリビアを聴きながら”でデビュー。角松敏生、小林武史などのプロデュースによるヒット曲を連発し、J-POP界を代表する女性シンガー/ソングライターとなった。時に透明感にあふれ、時に憂いを帯びた歌声と、美しいメロディーの数々が、幅広い層から愛されている。

OFFICIAL SITEhttp://www.anribox.com/

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『ANRI AGAIN~Best Of Myself~』

2009年12月1日発売
UICV-1004
¥3,000(税込)

初のセルフ・カヴァー・ベスト・アルバム。“Cat's Eye”“オリビアを聴きながら”“悲しみがとまらない”などの人気ナンバー12曲を、ボサノヴァ/ハウス/エレクトロ/レゲエ……といったテイストを盛り込んだアレンジで再解釈。杏里が最も信頼を寄せるプロデューサー・常富喜雄のもと、彼女のサウンドを長らく支えてきた小倉泰治が杏里バンドを率いて参加。さらにトラックメイカーとして、タカチャ、note nativeなど新進気鋭のクリエイターが集結した。

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