2010.03.19UP
2月から3月にかけて、アメリカのショービジネスは、エミー賞やグラミー賞、アカデミー賞の発表があったりで前年度の総決算シーズン。
そんな中、3月15日、ニューヨークで、「ロックの殿堂入りアーティスト」の授賞式があった。これはオハイオ州クリーブランド市にある「ロックンロールの殿堂+ミュージアム」が主催するイベント。今年はニュー・ヨークに出張しての授賞式となった。
この賞は、デビューしてから25年以上経ったアーティスト(パフォーマー)および音楽業界人で、ロック音楽の発展に貢献した個人やグループ・団体(ノン・パフォーマーほか)が表彰される資格を持つ。
今回の受賞者は、アーティストではABBA、ジェネシス、ホリーズ、ジミー・クリフ、そしてイギー・ポップ率いるストゥージズ。
第一回目の授賞式は、1986年に行われ、(故)エルビス・プレスリーやチャック・ベリー、リトル・リチャードなど、ロックンロールのパイオニアたちが選出された。
今年で25回目ともなると、音楽関係者全員が納得する選出は難しい。今年はABBAに対して「どうして彼らがロックなんだ。彼らはポップだろう」という声があったという。選ばれるのには、音楽業界の政治力も必要なのだろうか、このへんはどこの国でも同じなのかもしれない。
僕はロックンロールがロックになる過程をリアル・タイムで見てきた世代。そのせいかでも「ロックでもポップでも、かたいこと言わずに、いいじゃないの」と思う。ロックンロールというのは、音楽の形式でもあるけれど、時代を創った文化の一つでもあるのだから。
好感を持てたのは、ノン・パフォーマー部門で、50年〜60年代に大活躍した作詞・作曲家たち(バリー・マン、シンシア・ウィル、ジェフ・バリー、エリー・グリニッチ、オーティス・ブラックウェル、モート・シューマン、ジェシー・ストーン)が、アーメット・アーテガン賞を受賞したこと。
華やかなアーティストばかりでなく、こうした縁の下の力持ちのような人たちが、もちろん今回顕彰された人々はそのごく一部だが、初期のロックンロールを作ってきたのだ。
エルビス・プレスリーのために数々のヒット曲を作ったオーティス・ブラックウェルはともかく、ジェシー・ストーンは、目立たない作家だ。アーメット・アーテガンが設立したアトランティック・レコードの初期、リズム&ブルースのヒット曲を何曲も書いて、会社の発展に貢献した人だ。アーテガンつながりであったとしても、こんなジミな人を表彰するなんて、アメリカのポピュラー音楽業界、まだまだ元気。デジタル時代に突入しても、自分たちの原点を忘れないのは大変に良いことだ。
あと何年かすれば、CDなどのいわゆるフィジカル・プロダクトはいまのアナログ盤のようにその姿を消し、活字も、映像も、音楽も、ほとんどの情報やコンテンツが、一つのデジタル端末から入手出来る時代が来るといわれている。
古いものは消え、新しいものが姿を出す。そしてその新しいものが古くなり、次の新しいものが出現する。こうして時代は変わって行く。
時代が大きく変わりつつあるいま、このウェブ・マガジンe-daysも初期の目的を終え、しばしお休み。次の発展のためエネルギーを蓄えるのだという。
時代がどんなに変わっても、人間の感情は、アナログのまま、けっして2進法にはならないだろう。
紙とデジタルの端境期にスタートしたこのe-days、スタート時の新鮮さはいまでも鮮明に覚えている。次回、またいつか、今度はデジタル時代のユニークな出版物として、その原点を忘れることなく、新しい姿を見せて欲しい。
ありがとう、e-days!
