2009.12.17UP
ニック・ウォーカーの日本滞在3日目(11月20日)は、軽い二日酔いと前日の疲れを引きずったまま、丸一日、大阪の南船場でウォール・ペインティングに没頭した。まずはこの日のお昼頃、ホテル近く東急ハンズでカッティング・マットや各種マーカー等を多数購入し、そのまま南船場のREDギャラリーに直行。近所のイタリアンでゆっくりランチを食べた後、「The Coat Of Arms」のステンシルを仕上げるためにニックはカッティング作業を開始した。

最初はほんの30分くらいと言っていたのが、細かい手作業のため結局かかった時間は約2時間。気が付けば午後4時を回っていたので、前日約束した近くのバーでの小さなペインティングを先に片付けると、続けてすぐ近くの不動産屋さん、MIOの壁へのペインティングに取り掛かった。

この頃になると噂を聞きつけたニック・ファンや近所の人達がぞくぞく現場に集まり始め、気が付けば約50名ほどの観衆が固唾を飲んで見守る中でのパフォーマンスとなった。約1時間ほどかけて2つの作品が完成した直後には、誰からともなく大きな拍手が湧き起こったのだが、ギャラリー監視の中で作業し、拍手までもらったのはニックにとって初めての経験だったようで、少し照れくさそうにしていたのが印象的だった。




ここでの作品は、階段の壁沿いに置かれたプランターを意識してのいかにもニックらしいシャレの効いた作品と、小さめのカラフルな蝶という組み合わせで、短時間でこれだけ素晴らしい作品を仕上げていく様子は、まるでマジックを見ているようでもあった。
続いては、その場所から100メートルほど離れたセレクトショップ「Three Hundred Thirty Days」の壁。

黒に近いダークグレーの壁なので何を描くのか楽しみにしていたら、敢えて黒のシルクハットを重ねたセンスには驚いたが、完成してみるとこれ以上はない鮮やかなハマリ具合に、ショップのオーナーも感心しきりだった。しかもここでの作業はわずか10分ほどの早業で、これぞストリート・ペインティングという神髄を見せてもらった。

そしてこのショップの階段脇にも同じシルクハットのミニチュア版を30秒ほどで仕上げた後、再びREDギャラリーに戻り、この日最後の作品『The Coat Of Arms』をペイントした。


この作品は地元ブリストルとノルウェー、そしてここ大阪と計3カ所に描いたそうだが、それぞれ大きさが異なる他、フリー・ハンドによる「HA HA HA HA」の文字は大阪のみのオリジナルでサイズも中間で世界唯一なのだとか。既にノルウェーは消されてしまったとのことなので、このペインティングはかなり貴重だ。
さて、午後9時頃に南船場3ヶ所+バー計4ヶ所のすべてのペインティングを終えたニックは、近くのダイニング・バーに移動し、ここで今回初めて2人のDJ、KRUSTとDJ・DIEのチーム・ブリストルが日本で合流。この夜アメリカ村のクラブ、トライアングルでのイベントを控えた2人と久々の再会を喜びあった後、一度ホテルに戻って荷物を置き、そのままクラブに向かった。
結局、朝までクラブで楽しんだ後、2人のDJと共にホテルに戻ったのが5時半頃のこと。そのまま5時間ほど爆睡した後、ニックの希望で昨日描いたウォール・ペインティングの写真を撮りに出掛けた。どうやらニックは通行人も交え、街に溶け込んだ壁画としての写真を撮りたがっていたのだが、あいにく土曜日お昼前後の南船場は通行人も少なく、なかなか気に入った写真が撮れなかったようだ。何でも今回の日本の印象ということで、マスクをして自転車に乗った人と作品とを一緒に写真に収めたかったようなのだが、いくら待ってもなかなか良い写真が撮れず、午後の新幹線で東京に向かうことになった。
そしてこの日の深夜1時、いよいよ今回の来日のメインイベント、『DRUM & BASS SESSIONS 2009』でのライヴ・ペインティングがスタートした。結局、DJ・DIEとKRUSTの2人のセットで約4時間、休憩なしで描き続けて完成したのが、縦1.6m X 横2.6mの巨大な作品。ニックの過去の代表的なステンシル・イメージを6点ほど入れ込み、フリーハンドも駆使した集大成的大作に仕上がった。
この他、東京ではもう2カ所+αのウォール・ペインティングも残していったニック。ニックから聞いた数々のエピソードや裏話は、次回(ニックの最終回)お届けしよう。
