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2009.12.11UP

ニック・ウォーカー来日リポート その2

 グラフィティ/アーバン・アート・ファンの人ならご存知かと思うが、11月18日から23日までの6日間、イギリスのストリート・アート・シーンを代表するニック・ウォーカーが来日し、東京、大阪で計6ヶ所+α(シークレット)のス トリート・ウォール・ペインティングを行なった。

 今回来日したのは、代官山のクラブUNITで開催された『DRUM & BASS SESSIONS 2009』13周年記念のスペシャル・ゲストとしてライヴ・ペインティングを披露するため。今回のDJが、ブリストル出身のKRUSTとDJ・DIEだったことと、たまたま同じブリストル出身のニックが98年にKRUSTのアルバム『WAYZ OF THE DRAGON』のアートワークとコミック・ブックを手掛けた友人同士だったことから、今回の来日が実現したというわけだ。

 最初にプロモーターの友人からニック・ウォーカーの件で相談を受けた時、実現は難しいだろうと思っていたのだが、プロモーターがMy Spaceからニックにメールを送って打診したところ、すぐにOKの返事が届いたのが10月始めのこと。そこから「東京と大阪でストリート・ペインティングもしたいから壁を見つけて欲しい」と言うニックのリクエストで動いた結果、大阪の浜崎健立現代美術館の協力もあって大阪は南船場の3ヶ所が決まり、東京は僕の友人のギャラリー かわまつの壁、そしてプロモーターのK氏がリキッドルームと渋谷マンハッタンレコードのボード壁を確保して、ニックの希望に応えることが出来たわけだ。

 それにしても今回はニック・ウォーカーの知名度がそれなりにあったからまだ良かったものの、実際に街の中で自由に描かせてくれる壁を探すのは至難の業。誰でも許可無しで描けるような場所はすぐに上塗りされてしまうし、かといって 勝手に無許可で描いて警察の厄介になるわけにもいかないし、良い場所は既に広告スペースとして使われていたりと、今回の壁を見つけるまでは本当に大変だった。
なので、もし今後、東京、大阪で是非この壁に描いて欲しいというリクエストがあれば、他にも描きたがっている有名アーティストがたくさんいるので、ビルのオーナーや許諾が取れる方、ご連絡よろしくお願いします!
出来たら街の目立つ場所にある壁で、大きさが3.5メートル四方くらいのスペースがあればいつでもブッキングも可能です。


 そんなわけでニックの滞在記、まずは初日の11月18日から。
 この日は午前9時30分に成田に到着後、ミーティングのため恵比寿のリキッド ルームへ。恵比寿で待っていた僕は、そこでニックと6月のブリストルでのバンクシー展以来となる再会を果たし、今回の滞在スケジュール等の打ち合わせを。 そしてブリストルから送ったというステンシル(型紙)の到着を待つ間、ひとまずニックにはホテルにチェックインして一休みしてもらった。

 ようやく午後3時半頃になってステンシルのボックスが届いたので、すぐにリ キッドルーム正面玄関前の壁で作業を開始。イタズラ書きをされないよう少し高い位置に描いてもらうため、イントレを組んで作業を始めた頃には、少しずつ空も暗くなってずっと外にいるのが辛いほどの寒さの中、黙々とニックは作業を続けていった。

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 そして約2時間半ほどかけて完成したのが、彼の代表作"The Morning Afterシ リーズ"から"TOKYO"のリキッドルーム額縁バージョン。リキッド(液体)に引っ 掛けて、額を斜めに描き、そこから何かが流れ出ているように仕上げたのはさすが!


 続けて、この作業を見ていたTIME OUTカフェのマネージャーからのリクエストで、急遽、お店の中に15分ほどで描き上げたのがこの帽子の作品。サービス精神 旺盛で本当に良い人オーラ全開のニックさんは、日本に着いたばかりでかなり疲れているにもかかわらず、嫌な顔一つせずに描いてくれたのだった。

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 さて翌19日は11時の新幹線に乗り、前回、金閣寺での写真をお見せしたようにニックのために京都観光をセッティング。京都の僕の友達で宗教画家の林氏とY嬢、大阪の赤い人として有名なアーティスト、浜崎健氏と待ち合わせ、京都駅からタクシーで金閣寺、龍安寺を廻った後、ライトアップして紅葉が綺麗な清水寺、高台寺を巡る約6時間の半日観光で秋の京都を満喫?してもらった。

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 僕が感心したのは、とにかくニックは好奇心旺盛で、神社仏閣の外観だけでなく、仏像から木彫、街を歩けば古いマンホールの蓋まで、何でもかんでも自分にとって物珍しい物や風景を片っ端から夢中になってデジカメで撮影していたこと。特に京都には大きなインスピレーションを受けたようで、あれだけ喜んでもらえれば案内した甲斐があったというもの。


 そして夜9時半、新幹線で大阪へ。ホテルにチェックイン後、京都観光の途中で合流した吉本興業の漫才師で現代アート・コレクターのおかけんた氏の接待で、今度は夜の大阪観光に出発(笑)。ニックはかなり疲れているはずなのに、ここでも好奇心旺盛振りを発揮し、某小学校隣のボンデージ・バー「カルマ」、そして夜景の綺麗な高層階にある、このマンション住人専用の会員制バーと2軒 をハシゴ。ニックはこの超バブリーな高層階のバーをいたく気に入り、次の日も 大阪のクラブ、トライアングルのイベントで合流したKRUSTとDJ・DIEを連れて行きたがっていたのだが、残念ながら会員がいないと入れないのでこの日は諦めてもらった。

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 そしてニックが、「よければ、この壁に絵を描きますよ」と約束し、翌20日にボンデージ・バーに戻って15分ほどで描いたのがこの絵。大阪で最初に描いたス トリート作品でREDギャラリーの外壁の作品とは赤と黒が反転したバージョン で、シンプルながらこれもなかなか素晴らしい出来だった。

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 このニック・ウォーカーの日本滞在記、まだ続きますのでお楽しみに。

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保科好宏
(ロック評論家/コーディネイター)
長野県須坂市出身。著書に『ロック人名辞典』(共著/音楽之友社)『ザ・フー・ファイル』(監修/シンコー・ミュージック)などがある。趣味はロックと現代アート。
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