2010.03.26UP
●ビートルズについて知ってる知識を全部つぎ込んだ(ユリナ)

住所不定無職。左から、ヨーコ、ザ・ゾンビーズ子、ユリナ
――――『ベイビー! キミのビートルズはボク!!!』というタイトルもカッコイイですけど、アートワークがいきなり『Magical Mystery Tour』ですね。
ユリナ「ビートルズのジャケットで、あれが一番好きなんです。ギラギラして、ドヒャーッて感じで。前へ出てくる3Dみたいな感じ。とにかくギラギラしたジャケットがよくて」
――"Please Please Me"のイントロから始まる収録曲"I wanna be your BEATLES"は、どういうふうに生まれた曲なんですか?
ザ・ゾンビーズ子「まずイントロからできた、というかパクっただけですけど(笑)。でも、コード進行はコニー・フランシスの曲なんですよね」
ユリナ「パクリのオン・パレード(笑)」
ザ・ゾンビーズ子「曲のタイトルが浮かんだ時は〈ヤッタ!〉って思って。それで曲とタイトルをユリナに渡して、歌詞を付けてもらったんです」
ユリナ「でも私、ビートルズってよく知らなくて。自分がビートルズについて知ってる知識を全部つぎ込んだら、ああいう歌詞になったんです」
――〈イエロー・サブマリン〉とか〈ヘルプ!〉とか、歌詞には曲名が登場しますね。
ユリナ「あと、最初に〈I don't know why you say goodby, I say hello〉って、"Hello Goodbye"のフレーズを歌っているんですけど、その3つが私の知ってるビートルズの限界(笑)」
●ベスト盤『1』しか聴いたことがなかった(ユリナ)
――ビートルズ・ネタを散りばめつつ、片想いの歌ですよね。
ユリナ「なんかこう、ドキドキする曲にしたいなと思って。まあ、ドキドキっつったら恋じゃないですか。それで、ビートルズが好きな女の子に片思いをしている男の子の歌にしようと思って。その男の子はビートルズって知らないんですけど、好きな人が聴いている音楽って聴いてみたくなるじゃないですか? 男の子は片想いの女の子からビートルズのレコードを貸してもらったりして、すごい喜んで家でずっとレコードを眺めてたりするんですよ、〈僕は君のビートルズになりたいんだ〉と思いながら。そんな切ない系の歌なんです」
――ユリナさん自身、好きな子が聴いている音楽を自分も聴いてみたいと思ったりします? 女心として。
ユリナ「聴いてみたいですよ! すごい興味ありますね。それがクラシックでもレコードを買って、超カッコイイ!と思っちゃいます。で、さりげなく買ったことをアピールしたりして(笑)」
――ちなみに歌詞の男の子みたいに、ユリナさんもビートルズはあまり知らなかったんですか?
ユリナ「はい。ゾンビーズ子に言われるまでは『1』でしたっけ? ベスト盤くらいしか聴いたことなくて。しかも、お父さんが持ってたんです。私はJ-POPが好きで JUDY AND MARYとかaikoとかを聴いてました」
――ゾンビーズ子さんは、もちろんビートルズは聴いてたんですよね?
ザ・ゾンビーズ子「そうですね。高校生の頃、ロックとかを意識して聴くようになってから聴いてました。最初に好きになったのはザ・フーだったんですけど」
――ゾンビーズ子という名前からして、60年代のフレイバーが漂ってますもんね(笑)。
ザ・ゾンビーズ子「60年代のロックがいちばん好きなんです。ゾンビーズはもちろん、キンクスとかストーンズとか。aikoも好きですけど(笑)」
ユリナ「私はそのへんの人達は全然知らなくて。この前、ゾンビーズ子が〈ブライアン・ウィルソンが言ってたんだけど......〉って言うから、〈誰? その外人〉って言ったら〈知らないの!? 信じられない〉とか言われて(笑)。それで『Pet Sounds』を聴かされたんですけど、正直、あまりピンときませんでした。ビーチ・ボーイズさんたちには申し訳ありませんけど」
――ちなみにビートルズの4人は名前言えます?
ユリナ「リンゴ・スターでしょ、ポール・マッカートニー、ジョン・レノン。あともう1人、いっつも思い出せない(笑)。えーっと、最初の一文字は何でしたっけ?」
――最初が「ジ」で、最後が「ン」です。
ユリナ「ジ? ン??」
●住所不定無職のアルバムも『Please Please Me』みたいな衝動を入れたかった(ザ・ゾンビーズ子)

『Magical Mystery Tour』にインスパイアされた
住所不定無職『ベイビー! キミのビートルズはボク!!!』
のジャケット
――では、ユリナさんにはこのまま考えてもらうとして(笑)、ゾンビーズ子さんはビートルズで好きな時期ってありますか?
ザ・ゾンビーズ子「全部好きと言えば好きなんですけど、どちらかというと初期です。まさしくロックンロールな感じで」
――じゃあ、いちばん好きなアルバムは?
ザ・ゾンビーズ子「そう訊かれたら、『With The Beatles』と答えるようにしています。ホントは日によって違うんですけど」
――ちなみにユリナさんは?
ユリナ「やっぱり『Please Please Me』です!」
――ユリナさんの場合、今回のアルバムをきっかけにビートルズをちゃんと聴いてみていかがでした?
ユリナ「初期はできたのものを全部詰め込んだって感じがして、後期にいけばいくほどなんか壮大な感じですよね。とくに初期の曲はいまも色褪せないというか、キラー・チューンばかりで」
――初期が好きなのは2人とも共通してるんですね。確かに住所不定無職のサウンドは、後期というより初期ビートルズっぽい。
ザ・ゾンビーズ子「今回のアルバムも『Please Please Me』みたいな感じになればいいな、と思っていました。ファーストなんでドカーン!といきたいなって」
ユリナ「アルバムのオビに〈ギターを買った日の衝動そのままに爆裂するポップネス〉っていうコピーを書いてもらったんですけど、ほんとに何も考えずに自分たちのキラー・チューンをアルバムにブチ込んだって感じです。14曲のベーシックは6時間で録ったんですよ(笑)。みんなで〈ラモーンズみたいだね〉っていいながら」
――今回のアルバムが『Please Please Me』だとしたら、今後ビートルズみたいに進化して、ストリングスとかテープ・コラージュとかサウンドに凝るようになるかもしれないですね。
ザ・ゾンビーズ子「いや、もうすでに次のアルバムでスゴいことをしようと思ってるんですよ。ホーンをめっちゃ入れて、アカペラ・サークルみたいなのを連れてきてコーラスも入れて......」
ユリナ「やめようよ、それ。ヘタこくって」
ザ・ゾンビーズ子「きっと『Pet Sounds』みたいなアルバムになると思います。メンバーは全然演奏してないみたいな(笑)」
ユリナ「少年ナイフみたいに女の子3人でやっていこうよ~!」
取材・文/村尾泰郎
住所不定無職(じゅうしょふていむしょく)
ミュージシャン

2007年結成。ザ・ゾンビーズ子、ユリナ、ヨーコの3人からなるガールズ・バンド。ビートルズやビーチ・ボーイズなどのロックンロール、モータウンやコニー・フランシス、ニール・セダカといった60年代のポップ・ミュージックの匂いを漂わせる作風で、都内のライヴハウスを中心に活動中。ギターを手した瞬間の〈ドキドキ!〉をそのままに、14曲のキラー・チューンをぶち込んだ初のアルバム『ベイビー! キミのビートルズはボク!!!』を3月5日にリリースした。
住所不定無職 on MySpace
http://www.myspace.com/jfmshock
