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2009.12.17UP

#110 KUMI(LOVE PSYCHEDELICO)「ヨーコさんはすごく純粋な人」

●ジョンの魂の部分にも影響を受けた


KUMI_a.jpgビートルズとの出会いは中学くらいかなぁ。音楽の時間に聴いたんだと思う。「イエスタデイ」とか「ヘイ・ジュード」とか「イマジン」とか。でもそのときは授業の中でのそういう聴き方だから、よくわからなかったね。高校のときにビートルズを好きな友達がいて、あぁかっこいいんだな、と思ったけど、私はそんなに音楽を聴かなかったから、大学に入ってからかな。音楽としてちゃんと聴いてかっこいいと思ったのは。

――遅咲きだよね。

うん、私、音楽をちゃんと聴き始めたのは大学以降だから。大学に入っていろいろ聴いていくうちに、ビートルズとかボブ・ディランとかストーンズとかツェッペリンとか70年代の音楽が好きだって自分で気づいて、

――最初にいいなと思ったのは?

なんだっけなぁ? 最初は『ホワイト・アルバム』かなぁ。なんかすごい、曲の中に入っていけるんだよね。一緒にセッションしているような感じになる。バンドとかをやることに憧れてたから、『ホワイト・アルバム』を聴いてると一緒にバンドをやってるような気分になれた。

――それは他のアーティストとは違うものだった。

うん、違うよね。でも何が違うんだろう...いちばんファンタジーがあるかな、って思う。夢があるっていうか、子供の感覚に近いよね。

――理論で音楽を作っていないってこと?

あ~...そういうんじゃなくて、なんて言うんだろうな。イマジネーション。イマジネーションが豊か。それがいちばん他と違うところ。

――最初に、この人が好きだな、って思ったメンバーは?

最初は、"この人が好き"とかはなかった。やっぱりジョンの影響がいちばん強いと思うけど、もちろんポールも好きだし、ジョージもリンゴもみんな好き(笑)。ビートルズを聴き始めたのも遅いし、そんなに深く聴いてからソロ・アルバムに行ったわけじゃないから、どれがジョンの曲でどれがポールの曲かとかあまりわからないまま聴いてたし。いつからジョンのソロを聴き始めたんだろう...。

――ジョンのソロで好きなアルバムは?

『ジョンの魂』かなぁ。へビィと言えばへビィなアルバムだけど、でもそういう風には聴いてなかった。

――ジョンの考え方や、その当時ジョンがどういう状況だったかとかも勉強した?

そうだね、興味があったからね。結構知ってたとは思うけど、あんまりそういうことを調べたりはしないんだよね。音楽がよかったら、あんまりその背景とかって興味ないんだけど、ジョンのことは知ってたかもしれない。

――結構危うい人でしょう。身近にいたら、多分迷惑そうな(笑)。

そうだろうね、そうだと思う(笑)。面倒くさそうだもんね、やっぱり。一緒にいたら。ミュージシャンとしては好きだけど...でもやっぱりジョンは音楽だけじゃなくて、その面倒くさい人間性だったり魂の部分だったり音楽以外でもすごい影響を受けてる。私も暗かったし、結構屈折してたから、共感できたんだと思う。

――KUMIちゃんの屈折って、どういう類の屈折?

はははは(笑)、わかんない。でも暗かったよ。

――何かきっかけがあってそのトンネルから抜け出せたの?

音楽。音楽を始めたのが大学に入ってNAOKIと会ってからだから、それから徐々に。でもジョンは屈折をそのまま創作の源にしてたよね。そこは私と違う。ジョンは叫びとか苦しさとか感情を全部そのまま曲にするけど、私はそれはしないね。苦しいことがあって、そういう経験みたいなものは曲に入ってるにしても、そういう風に感情を入れたことはない。"苦しい!"とか"助けて!"とかを表現にはしない。でもそういうのを出せるのはすごいと思う。それこそミュージシャンらしいのかなぁ、って思ったりもする。

――ネガティヴな感情を音楽にこめないのは、自分のポリシーとして?

う~ん...それほど強く思ってるわけじゃないけど、絶対する気はないからそうなのかもね。アーティストとして自分のそういうところも出さなきゃいけないとは思わないし。出せることはうらやましいと思うけど、それは人それぞれ違うから。

――デリコはそういうことをやっちゃいけない、とか?

あぁ、そんなことは全然思ってない。デリコはこうじゃなきゃいけないとか思うことはないね。そういう風に考えた時期もあるけど、今はまったくない。やりたいと思ってできることじゃないからね、ああいうことって。シンプルに見えても、誰でもできることじゃないから。


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「NYに行ったとき、対談のネタとしてテレビ局の人が用意してくれたパネル。それにサインをもらった。"このときはこうだったのよ"とかって話をしてたら、ふとヨーコさんがこの写真を見て"あなた、若いときの私に似てるわね"って。嬉しかった(笑)」


●ラブ&ピースのスピリット


――ヨーコさんとの出会いはジョン・レノン・スーパー・ライブだよね。第一印象は?

すごい純粋な人だなぁと思った。ピュア。あとすごい頭がいいなぁと思った。

――天然な人っぽい気もするけど。

アーティストだよね。その後何度も会ってるけど、書けるようなエピソードはあんまりないなぁ(笑)。テレビの取材でNYに行ったときも突然(店に)入ってきたの。始まる前に挨拶なしで、収録が始まってから初めて会うっていう設定をテレビ局は用意してたのに、普通に裏口から入って来て"あ~久しぶり~!"なんて言うから、みんなで"戻って戻って!"って。洋服が大好きなの、ヨーコさん。だいたい会うといつも洋服の話をする。"そのジャケット素敵ね"とか。"これあそこで買ったのよ"とか。高いものも着てるんだけど、かと思えば、近所で安く買ったものを大事に着てたり、なんでも好きみたい。色は黒ばっかりだね。モノトーンばっかり。なんでなんだろう(笑)。あとチョコレートがすごい好きで、手土産で持っていくと"まぁ嬉しい、でもダイエットしてるからあんまり食べられないわ"とか言ってる。

――ショーンくんとは?

ショーンくんとはすれ違ってるんだけど、ちゃんと挨拶したことはない。でもすごいいいミュージシャン。ヨーコさんは"ショーンちゃん"て呼ぶんだよね。"ションちゃん"って言ったり。すっごい可愛いみたいだよ。ショーンくんの話はよくする。"彼は本当に才能があるのよ。でも父親がああでしょう? だからなかなかちゃんとミュージシャンとして認めてもらえなくてかわいそう"って。

――ああいうお母さんを持つのってどうなんだろうね。

(笑)お母さんどころじゃないからね。お父さんもジョン・レノンだからね。どうだろう...楽しいだろうと思うよ。わかんないね。どんな風に育てられたんだろう。

――ヨーコさんから直接どんなメッセージを受け取った?

なんだろう...言葉じゃないよなぁ。何か確実に会うたびに受け取ってると思うけど、言葉じゃない。感覚としてどういう感覚だろう.........言葉にすれば普通だけど、ラブ&ピースだろうね。本気でそう思ってるから。

――それを何十年も言い続けてるけど実現しない、それで徒労感に襲われたりしないのかなぁ。

全然襲われてないね。ある程度時間がかかるのはしょうがないし。私も引き継ぐってほど大げさじゃないけど、続けていきたいと思う、そのスピリットは。

――デリコの音楽を聴いて何か感想を言ってくれた?

"かっこいい。ジョンが生きてたら好きになるでしょうね"って。嬉しかったよ。

――NYはよく行く?

ううん、仕事で行くくらい。個人では行かないなぁ。ダコタの前も行ったことがあるけど、あんまりいい感じはしなかった。ジョンがいなくなったところだからね。

――ロンドンは?

ある。アビイ・ロード・スタジオの前で横断歩道を渡って写真は撮ってもらった(笑)。あれはやるよね、行ったら。ロンドンとNY、どっちもそんなに好きじゃないけど、今だったらロンドンのほうが住んでみたいかなぁ。音楽やファッションがロンドンのほうが面白い気がする。

――70年代のファッションや音楽が好きなのは何故なんだろう、って自分で考えたりする?

考えるね。何故なんだろう、って本当に思う。なんでなんだろう...でも明らかにあの時代にはエネルギーがあったよね、特別な。そんな結論しか出ないけど...まぁ時代なんじゃない? 何かあったんだろうと思う、特別なものが。でもそれはこれからも起きると思う。まったく同じものじゃないかもしれないけど、あれくらい素晴らしいことやそれ以上のことはもちろん起きるんじゃないかな。それが音楽で起こってほしいよね。



取材・文/佐々木美夏


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KUMI
ミュージシャン

1976年4月11日生まれ。東京都出身。幼少時代をサンフランシスコで過ごす。97年、青山学院大学の音楽サークルで出会ったNAOKIとともにLOVE PSYCHEDELICO結成。2000年4月シングル「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」で鮮烈にデビューし、1stアルバム『THE GREATEST HITS』は160万枚を超える大ヒットを記録。アジア・ツアー、アメリカ・デビューなど海外での話題も多い。10年1月13日には約2年半ぶりの5thオリジナル・アルバム『ABBOT KINNEY』をリリースする。

LOVE PSYCHEDELICOオフィシャルサイト  http://www.lovepsychedelico.net/index.html


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