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2009.02.26UP

昭和30年代、テレビが「外国」を連れて我が家にやって来た

Asada_child.jpgテレビがいつ頃、僕の家に来たのか確かではないが多分1957年、昭和30年代の初めだと思う。

我が家ではテレビが教育に悪いということで、テレビがなかったので、いつも街頭テレビやお風呂屋さんにわざわざテレビを見に行ったり、何か特別な番組があると友人宅へ行って、そこの家族と一緒にテレビを見たりしていた。

当時のブラウン管はだいたい14インチが標準だった。14インチのテレビなんて本当に小さな画面だったはずだが、新橋なんかにあった街頭テレビはかなり上の方に設置されていて、それこそ建物の2階くらいの高さにおいてあったと思う。

あの小さな画面でプロレスを見て、どうしてあんなに興奮できたのだろう。もしかしたら街頭テレビにはもうちょっと大きなテレビが使われていたのかもしれない。当時のテレビは小さな画面の割に大きな作りで、使わない時は織物のカバーなんかがかかっていて、テレビを見る時は家族がテレビの前に集まって、おもむろにカバーをめくり上げてるという"儀式"をしてテレビを見始めた。まさに『3丁目の夕日』の世界だ。

当時はテレビは個人のものではなく、家のものだったのである。現在の核家族で育った年代には想像できないだろうがどこの家でも家族そろって同じ番組を見ていた。

『事件記者』も、『うちのママは世界一』も、『ジェスチャー』も、『ひまな氏飛び出す』も家族全員でそろって見た。まあ番組自体が少なかったということもあるだろうし、テレビが珍しかったから当時は家族みんなが同じテレビ番組を見て、同じ話題を共有できた時代だ。

これはラジオの時代にもいえることで、家にラジオが一台しか無い時代には、家族全員そろってラジオを聞いていた。わが家では親父が落語やスポーツ番組を良く聞いていたので僕も自然と『とんち教室』や落語やボクシング中継などを一緒に聞いていた。

だから白井義男とダテ・マリノのタイトルマッチもラジオで聞いた記憶があるし、落語も大好きになった。こういった環境は凄く良かったと思っている。昼間は外で友人達と遊び、夜は夕食の後、大人と一緒にラジオを聞いたり、テレビ見て過ごし、少しだけ大人の世界に入っていた。

まあレジャーが多様化する前だから必然的にそうなったのかもしれないが、現代社会の家庭崩壊を考えると、家族という単位で物事が動いていた時代の良さが懐かしい。

また、テレビのおかげで一挙に外国が茶の間に入ってきた。それまで映画でしか見たことのない『ハイウェイ・パトロール』やアメリカの家庭生活が、テレビの番組を通して見られるようになったのだ。

そして、先にも書いたように僕ら子供の中にもアメリカへの憧れが生まれて来たのだ。横浜という土地柄、本牧や山手のアメリカ人達の生活を塀の外から垣間見ることはあったが、アメリカ人の家庭生活が僕ら日本人とは全く違うと知ったのはテレビでだった。

といっても、当時はテレビの放送時間も少なく、やはり映画とラジオがレジャーの王者だったような気がする。だから、先に書いたように僕も映画なら、邦画は裕次郎や東映の『笛吹き童子』等の時代劇、洋画は西部劇や戦争ものを良く観に行ったし、ラジオでは相変わらずFENから流れてくるポップスやカントリー、それとNHKの『20の扉』や水之江多喜子が司会をしていた裕次郎のラジオ番組なども聞いていた。テレビもアメリカのテレビ番組と同じ様にNHKの『ジェスチャー』や『事件記者』『バス通り裏』なども見ていた。

僕の人生の中では珍しく洋邦分け隔てなく見たり聞いたりした時代だ。つまり、1950年代後半はテレビ、ラジオ、映画が共存していたと時代だと思う。少なくとも僕の中ではそうだったし、それも洋邦どちらも聞いたり見たりしていた時代だった。それが大きく変わっていったのが、皇太子ご成婚と東京オリンピックからだと思う。

写真:中学入学時

[近況メモ]

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麻田浩(ミュージシャン)
1944年、横浜生まれ。63年明治学院大学入学後、マイク眞木、重見康一、渡辺かおる等とMFQモダンフォークカルテットを結成。カレッジフォークを代表する人気バンドとなる。自身の音楽活動のほか、外国人アーティストの招聘やコンサートのプロデュース、日本人アーティストの海外進出を手がけるなど幅広く活躍。プロモーション会社「トムス・キャビン」代表。
【TOM'S CABIN PROMOTIONAL WORKS】 http://www.toms-cabin.com
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