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2007年10月

北欧ジャズの歌姫、マルガリータ・ベンクトソン&リーサ 共演ライブ


マルガリータ・ベンクトソン&リーサ

 ヨーロッパは第2次世界大戦以前から、ジャズのもっともよき理解者であり、庇護者であり続けたが、そうした歴史や伝統のせいか、現在も北欧を筆頭にジャズシーンはアメリカよりも活発でミュージシャンたちの創作意欲も旺盛のようだ。ひらたくいえば、ヨーロッパではいまも“まっとうなジャズ”が生き続けている。
 今年リリースされたスウェーデン出身の女性歌手2人のそれぞれの新作は、そんなヨーロッパ・ジャズの奥深さを十分に伝えてくれる内容になっている。 
 まず1枚は、キャリア20年を越えるベテランにして初のソロ・アルバムを発表したマルガリータ・ベンクトソンの『アイム・オールド・ファッションド』。50年代のウエストコーストジャズを連想させるタイトルやアートワークのとおり、50年代的なジャジーな気分をたっぷりと味あわせてくれる。ニューヨークのレストランで紙ナプキンに好きなスタンダードを書き連ねたことから選曲が始まったとベンクトソンはライナーノートで述懐しているが、ここで取り上げられているのはまさに珠玉の名曲ばかり。精緻な技巧と卓越したソプラノ・ヴォイスを聴かせてくれるベンクトソンも素晴らしいが、ジャズの往年の輝きを見事に再現してみせたアレンジャーやバック・ミュージシャンたちのパフォーマンスも秀逸である。
 もう1枚は、41歳の手練手管を見せつけたベンクトソンとは対象的に、女優もこなす若きクール・ビューティ、リーサの『エンブレイサブル』。スウェーデン・ポップスにも通じる軽やかな表現を身にまとったリーサだが、本作での選曲はかなりオーソドックスというか地味。浮ついたところはけっしてなく、巧妙なアレンジやバックのサポートが、リーサのウィスパリング・ヴォイスをジャズとして巧く仕上げている。スウェーデンの歌姫といえば、ビル・エヴァンスとの共演で知られるモニカ・セッテルンドの名前がつねに挙がるが、それももう何十年も前の話。そろそろ彼女たちのような新しい存在に目をむけてもいいだろう。
 ところで、このマルガリータ・ベンクトソンとリーサが11月にそろって来日し、ライブ共演を行なう。彼女たちの歌声を生で聴けるのももちろん素晴らしいことだが、さらに特筆すべきことは、2人のそれぞれの新作のレコーディングメンバーがほぼそろって来日するということだ(リーサと共演したギターのヤン・オッテセンは除く)。彼女たちのこのライブにかける“本気度”がそこにうかがえる。ヨーロッパ・ジャズのレベルの高さにじかにふれることのできる最良の機会にわれわれは恵まれたのである。  

文=編集部




2007年10月

締切間近!レッドツェッペリン e-daysロンドン派遣リポーター募集 


レッド・ツェッペリン

   本誌のレッド・ツェッペリン再結成コンサート、派遣リポーター募集の締切も10月29日(月)0:00といよいよ迫ってきた。
今回のリポーター募集の件がヤフー・ジャパンの音楽ニュースで採り上げられるほど、日本のロック・ファンの関心も高い一大イベントなだけに、11月26日のコンサート当日に向けてますます熾烈を極めているのがチケット争奪戦だ。

 ご存知のようにこのチケット、全世界からのネットを通じた申し込みからの抽選制で、用意された枚数は僅か14,500枚。これに対し9月14日の受付開始から最初の2日間で1億件のアクセスがあり、2,500万人が申し込んだと伝えられたが、それでもアクセス困難な状態が続いたため、最終的に申し込み期間を2日間延長して7日間にしたことから、総申し込み数は概算で約9,000万人(件)程度 と推測される。だとすると当選者は2枚まで購入できることから、実際の当選者は7,250人となり、当選確率は計算上軽く1万分の1以上になるはずで、エンターテインメント史上、最も入手が困難なプラチナ・チケットとしてギネスブックに載ってもおかしくないほどの倍率だったことが分かる。またチケットの値段も1枚125ポンド(+チケットマスターの手数料10%)、約33,000円と安くはないものの、それでもツェッペリン・ファンにしてみれば決して高くはないだろう。

ある情報によれば、このアーメット・アーティガン・トリビュート・コンサートは基金集めのチャリティ目的のため、VIPやセレブ向けに5,000ドル(約58万円)の特別チケット(ツェッペリンの名前の入ったオリジナル・ボトルのモルト・ウィスキー等が付いた特別チケット)も用意されているとのことだが、当然そんな話すら一般の音楽のファンの耳には入ってこないだけに、チケットを入手するには当選した人から直接譲ってもらう以外に方法がないのが実情だ。

 ちなみに今回のチケットの購入や受け渡しに関してはかなり制約が厳しいようで、当選者には6桁のパスコードがメールで届き、チケットマスターのホームページでそのパスコードとクレジットカード情報を入力しないと購入できない仕組みになっている。更に転売したらかなりの高額になることが予想されるだけに、パスコードやチケットのネット・オークションでの出品禁止はもちろん、チケットの受け渡しはコンサートの前日と当日、ロンドンの会場、O2で、当選者本人と判る写真入りのID(パスポートや免許証)と申し込み時に登録したクレジットカード、コンサートに連れて行くもう一名も一緒に連れて来て受け取るという厳格なルールが設けられている。

 とは言え、当選した人で2枚買った人は一枚は自由になるわけで、やはりebay等のオークション・サイトをチェックすると数点の出品を見つけることが出来た。中には削除されたものもあったが、そこは知恵比べ。レッド・ツェッペリンのCDにフリー・チケット1枚という抱き合わせでの出品者は、送料だけで1,750ドルをチャージしていたが、結局、希望落札価格の5千ドルで一発落札されていた。つまり6,750ドル(約79万円)で売れていたわけだが、今のところ希望落札価格の相場は5千ドル(約585,000円)が多く、これなら出品と同時にすぐに落札されるという勢いだ。この他、LAのあるファンは、逆オークションで、“ロンドン往復のビジネスクラスの飛行機代とホテル代を出すから、LA近 郊の当選者は1枚譲ってくれ”とか、涙ぐましいチケット争奪戦が繰り広げられている。ただ本当に当選者が出品しているかどうか確認するのも難しく、チケット詐欺の横行も懸念されるが、唯一言えることは現段階でパスコードを売ると表記している出品者は間違いなく詐欺と言える。何故なら当選メールの到着から72時間以内に申し込まないとパスコードは無効になるからだ。
 この他、現在イギリスではコンサート・チケットとホテル、コーチ・バスをセットにした4種類のコンサート・ツアー・パックが、269ポンドから369ポンド(63,000円?86,000円)で売りに出されているが、現時点では11月26日のイベント以外、正式なツェッペリン再結成ツアーは決定していないとコンサートのプロモーター、ハーヴィー・ゴールドスミスも注意を呼び掛けている。中には11月26 日のチケットもパック・ツアーで売り出している所もあるようだが、こうした形でチケットが売られることはあり得ないとのことで、くれぐれも詐欺には注意が必要だ。恐らくコンサートが近付けば、チケット1枚で1万ドル超えも時間の問題と言われているだけに、まだまだこのチケット騒動はコンサート当日まで続きそうだ。  

文=保科好宏
 

※編集部からのお知らせ
e-daysでは保科さんと一緒にレッド・ツェッペリン再結成コンサートをリポートしていただける読者を募集しています。詳しくは以下のページをごらんください。 
http://e-days.cc/ledzeppelin/




2007年10月

ニール・ヤングの今年2作目はニュー・レコーディング・アルバム


ニール・ヤング

 今年4月に発売され、絶賛を浴びた歴史的ライヴ・アルバム『ライヴ・アット・マッセイ・ホール 1971』に続く、今年2作目となるニール・ヤングの新作『クローム・ドリームス2』がこの11月にリリースされる。当初、この秋には待望のBOX SET発売が噂されていたが、ここへきて突如、ニュー・レコーディング作品の発売となった。オリジナル・ニュー・レコーディング作品としては、昨年発売の『リヴィング・ウィズ・ウォー』以来となる。
 ニール・ヤングは1977年に、『Chrome Dreams』というタイトルのアルバムをリリース予定していたが、仕上がりに不満を抱いたニールの判断でお蔵入りになっていた(一部の曲は『アメリカン・スターズン・バーズ』に収録)。そして78年、ニールのマリブの自宅が火災にあった際に、このアルバムの関連書類やアートワークが焼失し、熱狂的なファンの間では“幻のアルバム”として語り継がれていた。そんな『Chrome Dreams』が、「2」というタイトルのもと、まるでゴーストのように再び姿を現したのだ。
 本作は、以前に書かれた3曲と7曲の新曲で構成されている。トータル収録間は60分を超え、なかには18分30秒や13分という長尺物も含まれている。プロデュースは、ニール・ヤング、ニコ・ボラス。ニール以外のパーソネルは、ベン・キース、リック・ローザス、ラルフ・モリーナといった、おなじみの面々。
 海外盤はDVD1枚付きだが、国内盤はDVDなしの通常盤のみ。発売はアメリカでは10月16日から、国内では11月21日を予定。  

文=編集部
 




2007年10月

イーグルスの約28年ぶりのフル・スタジオ・アルバム


eagles

 伝説のロックライター、レスター・バングスはかつて「いまやロックンロールの“ロール”は消えて“ロック”だけになってしまった」と嘆いたが、このようなこだわりを持ち続ける世代となるとやはり40代後半以降ということになるのだろうか。イーグルスの約28年ぶりのフル・スタジオ・アルバム『ロング・ロード・アウト・オブ・エデン』がいよいよこの10月31日に発売されるが、この新作はまさにこの40〜50代――“違いのわかる世代”にピタリと照準をあてているようだ。
 ファーストシングルの「ハウ・ロング」のPVがすでにインターネット上で公開されているが、J.D.サウザーが72年に自身のファーストアルバムで発表したこの曲を、今回はグレン・フライとドン・ヘンリーがメインヴォーカルをとってリメイクしている。初期のイーグルスが得意としたロックンロール・ナンバー風の仕上がりになったこの曲は、現在のイーグルスの立ち位置を明確に表明しているようだ。
 いまやアーティストの収益がアルバムからツアーへと比重が移りつつあるといわれるなか、2枚組全21曲フル・スタジオ録音という新作を発表して旺盛な制作意欲を見せつけたイーグルス。この10月18日から19,20,21,24,26日の6日間、ロサンゼルス・ノキアシアターでディクシー・チックスとともにこけらおとしのライブも行なうという。ここにきての本格的な始動はファンにとってはうれしいかぎりだ。  

文=編集部
 




2007年10月

レッド・ツェッペリン再結成コンサートを一緒に体験しよう!


レッド・ツェッペリンを一緒に体験しよう!

 40代以上のロック・ファンにとって近年最大の事件と言えば、この11月26日、ロ ンドンでレッド・ツェッペリンが再結成コンサートを行なうというニュースだろ う。約20年ぶりとなる超大物バンドの突然の再結成だけに、世界中のファンを巻 き込んでのチケット争奪戦となったのも当然だが、なんと幸運にもこの僕に歴史 的なライヴを観に行くチャンスが訪れたのだから、未だに信じられない思いだ。 僕とツェッペリンとの出会いは、今から38年前の中学3年生の時にまで遡るが、 時代はポップ・ミュージックからニュー・ロック、シングルからアルバムの時代 へ、社会的にはアポロ11号の月面着陸、アメリカではベトナム反戦デモに100万 人が参加、ウッドストック・フェスティバルの開催など、正に時代の大きな転換 期に颯爽と登場したのがレッド・ツェッペリンだった。その時の衝撃がどれほど のものだったのか説明するのは難しいが、少なくとも僕にとっては76年のセック ス・ピストルズ登場以上の大事件であり、それまでビートルズが築き上げたポッ プ・ミュージックの歴史に、明らかに異分子的で革命的なロックが新時代の幕開 けを告げるように誕生した、と理屈抜きで納得せざるを得ない強烈なインパクト と説得力がそのサウンドに宿っていたのである。 
 それからというもの、高校生時代もずっとツェッペリンを聴き続けることにな るわけだが、僕らの世代のロック少年が幸せだったのは、71年と72年の2度、全 盛期のレッド・ツェッペリンのライヴを日本で体験する機会に恵まれたことであ る。実際、70年代前半に殆どの来日ロック・アーティストを観た僕のコンサート 体験の中でも、特別な想い出として強く印象に残っているのがレッド・ツェッペ リンの2度のライヴだった。特に71年9月23日の武道館は「移民の歌」で始ま り、まだリリース前だった傑作アルバム『レッド・ツェッペリンIV』から3曲ほ ど演奏したのだが、中でも初めて耳にした名曲中の名曲「天国への階段」のドラ マチックな演奏は忘れられない。勿論、意表を突くアコースティック・セットや 15分を超えるジョン・ボーナムの「モビー・ディック」でのドラム・ソロ、「幻 惑されて」でのイリュージョニストのようなジミー・ペイジのギター・ソロ等、 3時間近くに亘って繰り広げられたコンサートの全てが素晴らしく、ロックのラ イヴとはこういうものなんだという強烈なカルチャー・ショックを受けたことを 鮮明に覚えている。 
 そして2度目の来日公演を観てから35年、その間に85年のライヴ・エイド、88年 のアトランティック・レコード40周年記念コンサートと、80年のジョン・ボーナ ム急逝によるツェッペリン解散後、ペイジ・プラントとしてのワールド・ツアー での来日(96年2月)はあったものの、オフィシャルでは僅か2度しかツェッペ リン名義でのライヴはやったことがない彼らがステージに立つというのだから、 何があっても観たいと思うのがファンというものだろう。確かに今のロバート・ プラントにあの高い声が出るのかとか、ジミー・ペイジに往年のようなギター・ プレイを期待できるのか、ツェッペリンの名に恥じないライヴになるのかといっ た一部のファンの声があるのは分かる。ただそんなことよりも彼らがアトラン ティック・レコードの創設者、アーメット・アーティガンのためにチャリティ・ コンサートを企画し、オリジナル・メンバー3人とドラマーにジョン・ボーナム の息子、ジェイソン・ボーナムを迎えてライヴを行なうという事実だけで歴史的 価値があり、このコンサートを観ることは、ロックの歴史の1ページを目撃する のに等しい。 
 そんな歴史的コンサートを僕と一緒に体験し、ライヴ・リポートを執筆してく れる読者の方を募集します。ご存知のようにこのコンサートのチケットは、抽選 で当選した全世界で1万人足らずのファンしか購入することが出来ず、世界中の ツェッペリン・ファンが何とか入手しようと血眼になっている文字通りのプラチ ナ・チケット。しかも今回は航空券とホテル代まで付いた大盤振舞のドリーム・ チケットなだけに、張り切って応募して欲しい。尚、このコンサートにはレッ ド・ツェッペリンだけでなく、ビル・ワイマンズ・リズム・キングス、ピート・ タウンゼント、フォリナー等、アトランティック・レコードと縁の深いアーティ ストも多数出演する予定だ。  

文=保科好宏
 

  ※編集部からのお知らせ 
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2007年10月

LIVE REPORT メセニー・メルドーのNHKホールでのライブ(9月28日)をレポート!


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 最初にデュエット、続いてカルテット作品を発表したパット・メセニーとブラッド・メルドー。今回はデュオとカルテットによるライヴが実現した。ぼくが観たのは9月28日のNHKホール。まずはパットとメルドーだけで演奏が始まった。 
 オープニングはデュオ作品に入っていた「アンリクワイアード」。勢いに溢れたふたりのプレイに嫌が応でも雰囲気は盛り上がる。どちらがソロを弾いているのかわからない場面もあり、互いに一瞬も気を抜いていないスリリングな展開が新鮮に響く。  それ以上に面白く聴けたのが次の「エアジン」。まさかソニー・ロリンズのビバップ・チューンを取りあげるとは思わなかった。丁々発止としたやりとりは、どこまでいってもアイディアが枯渇しそうもない豊かな発想力に溢れている。 
 デュオのパートは40〜50分ほどだっただろうか。続いてラリー・グレナディアとジェフ・バラードが加わり、カルテットが勢ぞろいした。メルドーのトリオにパットが加わった形だ。デュオでは彼とメルドーが互角に渡り合った。それに対し、カルテットではパットが主導権を握っている感じだった。しかし、これで演奏がすっきりした。音楽的にはパットのうねうねとしたフレージングにメルドーがつき合い、メルドーがソロを弾くときでもパット風のフレーズ展開が認められたり、メルドーが彼から強く触発されたりしている姿も覗われた。こういうところがコラボレーションの面白さだ。 
 パットのわき役に回った感じのメルドーだが、長い目で見れば得をしたのがメルドーではないだろうか。これでさらなる飛躍も期待できれば、次に彼の演奏を聴くのも楽しみになった。アンコールの2曲にもたっぷりと時間をかけた充実のコンサートは3時間近く続いたのである。 

文=小川隆夫




2007年10月

レッドツェッペリン再結成! 狂熱のチケット騒動


レッドツェッペリン

 9月13日にレッドツェッペリンの再結成コンサートが正式発表されてからおよそ1週間、世界中が狂乱の渦に叩きこまれた。昨年死去したアトランティック・レコードの創設者、アーメット・アーティガンの功績を称えるチャリティコンサートが11月26日、ロンドンのO2アリーナで開催されることになり、そのヘッドライナーとして「レッドツェッペリン」の出演が決まったのだ。レッドツェッペリンの再結成は1988年に開催されたアトランティック・レコード創立40周年記念イベント以来となる。
およそ20年ぶりという再結成がこの一夜限りということが騒ぎをさらに大きくさせた。 インターネットでのチケット抽選予約の受付は9月14日から17日までのわずか3日間。1枚£125のチケットを求めて約2000万人以上の希望者が主催者サイト(www.ahmettribute.com)に殺到し、アクセスが一時不能になるなどの事態を招いたのである。
メンバーは、ジミー・ペイジ(g)、ロバート・プラント(Vo)、ジョン=ポール・ジョーンズ(b)、そして故ジョン・ボーナムの息子ジェイソン・ボーナム(ds)。「親子とはいえ天才の代役に息子が務まるのか」「いまのロバート・プラントにかつての声を期待するはムリ」など辛らつな意見もあがっているが、目の前にこの夜のチケットをぶらさげられて、それを拒むことのできる人間がはたして世界中に何人いるだろう?
チケット騒動はさておき、ここであらためて注目しておきたいのが、このチャリティ・コンサートの陰の主役ともいっていいアーメット・アーティガン。彼が設立したアトランティック・レコードは、R&B女性シンガーの先駆けとなったルース・ブラウンをはじめ、ベン・E・キング(ドリフターズ)、ジョー・ターナー、クライド・マクファーター、レイ・チャールズ、そしてオーティス・レディング、アレサ・フランクリンなど、50年代から60年代にかけて黒人ポピュラー音楽をリードする数々のシンガー、ミュージシャンのレコードを世に出した。また、同時期にオーネット・コールマン、ジョン・コルトレーン、チャールズ・ミンガス、ローランド・カークなどのジャズメンたちの数々の代表作も発表して、ジャズの歴史にも大きく貢献している。60代後半からは、バッファロー・スプリングフィールド、CS&N、レッドツェッペリン、イエスなど、「ビートルズの次」を担った数多くのロック・アーティストを育て、80年代には「ロックの殿堂」をみずからの手で設立している。20世紀のポピュラー音楽の発展にアーティガンが及ぼした影響ははかりしれない。この20年間、周囲の熱意をよそにかたくなに再結成を拒んできたレッドツェッペリンの再結成が実現したのも、ひとえにこのアーティガンの功績と人柄にあることを忘れてはならないだろう。

ところで、この会場となるO2アリーナ、あまり聞きなれない名前と思った方も多いだろうが、実は2000年、イギリス政府がミレニアムを記念して建造した大型娯楽施設「ミレニアム・ドーム」のこと。東京ドームのおよそ2倍、単一の屋根では世界最大のドームだが、税金の無駄使いと酷評され、2005年、イギリス政府から営業権を得たAEG(アンシュッツ・エンターテインメント・グループ)が再開発し、iPhoneの英国でのキャリアとなって注目を集めたグループ企業の携帯電話会社「O2」の名前を冠したものである。 このドームの収容人数はおよそ20,000人、つまり、今回の再結成コンサートのチケット数はおよそ20,000枚。主催者側によるとこの10月1日までに当選者にはメールにて手続きの連絡がとどくとか。ということは、すでにこの超プレミアムチケットの権利を有する幸運な人が存在することになる。当選された方、ぜひぜひ編集部までご一報を。

文=編集部
2007.10.3


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