Tune In トベタ・バジュン
PROFILE
トベタ・バジュン(Bajune Tobeta)。キーボーディスト、サウンドプロデューサー、リミキサー、ミュージシャンとして数多のアーティストとコラボレーションを経験。FM各局のテーマ曲を数多く手掛ける。 2008年には映画「西の魔女が死んだ」の音楽を手掛け大きな反響を呼んだ。
ALBUM
トベタ・バジュン『青い蝶』

1. Asian Flower Feat.坂本龍一
2. 空想絵画 Feat.堀込泰行(馬の骨/キリンジ)
3. 静かの海 Feat.大貫妙子
4. Clear Water Feat.平野啓一郎
5. Thatness And Therness Feat.高橋幸宏
6. aeroport
7. Botan Feat.甲田益也子
8. 太陽の色 Feat.サイゲンジ
9. セルロイドスター Feat.佐田真由美
10. Klavier Intergral
11. Chinsagu No Hana
12. 色彩の中へ Feat.高野寛
OFFICIAL SITE
トベタ・バジュン オフィシャルサイト http://www.bajune.com/

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体当たり産み出された珠玉の1枚
ところで冒頭でもふれたように、この『青い蝶』には大勢の参加アーティストがいる。坂本龍一、高橋幸宏、大貫妙子といった大御所のほか、高野寛、キリンジの堀込泰行、サイゲンジ、女優/モデルの甲田益也子、佐田真由美。また、芥川賞作家の平野啓一郎まで朗読で参加している。これをすんなりと呼んだのであれば、とんでもない人脈。トベタ・バジュン恐るべしといったところなのだが⋯
―― FM局とのつながりなどで、顔が広いんですか?
「いえいえ、ぜんぜん(笑)。当初、このアルバムにかかるスタッフは僕ひとりだけでした。協力してくれるレーベルのアテもなく、出すなら自主出版かな⋯みたいな状況でしたから。最初に声をかけたのは坂本龍一さんでした。知人のみんなに「お前はアホか!?」と言われましたね。僕のような得体の知れない人間が、なんのコネクションもなく、いきなりお願いしようとしてるんですから。断られて当たり前、でも、やるだけやってみようと思って」
―― そもそも、どうやって連絡を取ったんですか?
「坂本さんのオフィシャルHPのファンメール用リンクをクリックして⋯(笑)。「ピアノを弾いてほしいんですが⋯」と書きました。さすがに返信はこないかもなと思っていたら、そんなことはなくて。「キミがそこまで言うなら曲を聴かせて」と返ってきて。このときは希望が見えた気がしましたね。ただ、冷静になってみると、もしも坂本さんが僕のアルバムでピアノを弾いてくれたら、一体いくらお支払いすればいいのか⋯(笑)。でも、そのときはそのとき、借金でもなんでもしてやる。それくらいの覚悟でした。そうして曲を送ってみたら⋯。反応は芳しくなかったんです。「この曲では弾けない」、坂本さんにそう言われたときは本当に悔しかったですね」
―― それからどうしたんですか?
「そこでは諦めきれなくて。曲を見直して、数人のオーケストラを無理して雇って、もはやデモとは呼べないくらいのラフを作りました。これで断られたら仕方がない。そう思えるものをあらためて送ったんです。そしたら「これはいいじゃないか!」と誉めていただいて。そこがアルバムのスタートでした。人生、わからないものだなぁって思いましたね。最初から諦めてちゃダメなんですよね」
―― もしかして⋯ 全員にその方法で⋯?
「だって、誰も助けてくれる人がいなかったんですよ。次は大貫妙子さんに連絡しました。そう、坂本さんとまったく同じ方法でしたけどね⋯(笑)。忘れもしません。ある日、僕の携帯に大貫さん本人から電話がかかってきて。「曲が良かったら歌ってあげてもいいわよ」って。意外なことに、有名な人ほど事務所やマネージャーを介さずに返答をくれることが多いんですよ。電話に出た瞬間、ビックリしますよ⋯」
―― てっきり、トベタさんは音楽業界にゆかりの深い人だろうと思い込んでました。そうした実情を知ると、さらにすごみが増しますね。
「ええ、付き合いはまったくないんです。体当たりの連続でした」
―― 平野啓一郎氏など、ミュージシャンではない人まで参加していますが。
「芥川賞を受賞した『日蝕』がとても好きな作品で。平野さんにも、直談判をしてしまいました。あとで聞いたんですが、お行儀よく普通のやり方でオファーしていたら、おそらく実現していなかっただろうということでした⋯(笑)」
―― 熱意って通じるものなんですね。
「今回のアルバムを完成させてみて、実感しましたね。音楽に国境も階級もないんですよ。音がすべて。音が良ければ、人は話を聴いてくれる。⋯と信じてます。次は、ビョークやマドンナにだって飛び込んでいきますよ!」
―― ぜひ実現してください。今日のこと、おぼえておきますので。
「実現しなかったらみんな笑うんだろうなぁ⋯。じつはこの『青い蝶』には続編の構想があるんですよ。だから、さほど冗談ではないんです。頑張ります(笑)」
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