
トベタ・バジュン(Bajune Tobeta)。キーボーディスト、サウンドプロデューサー、リミキサー、ミュージシャンとして数多のアーティストとコラボレーションを経験。FM各局のテーマ曲を数多く手掛ける。 2008年には映画「西の魔女が死んだ」の音楽を手掛け大きな反響を呼んだ。
トベタ・バジュン『青い蝶』
1. Asian Flower Feat.坂本龍一
2. 空想絵画 Feat.堀込泰行(馬の骨/キリンジ)
3. 静かの海 Feat.大貫妙子
4. Clear Water Feat.平野啓一郎
5. Thatness And Therness Feat.高橋幸宏
6. aeroport
7. Botan Feat.甲田益也子
8. 太陽の色 Feat.サイゲンジ
9. セルロイドスター Feat.佐田真由美
10. Klavier Intergral
11. Chinsagu No Hana
12. 色彩の中へ Feat.高野寛
1. Asian Flower Feat.坂本龍一
2. 空想絵画 Feat.堀込泰行(馬の骨/キリンジ)
3. 静かの海 Feat.大貫妙子
4. Clear Water Feat.平野啓一郎
5. Thatness And Therness Feat.高橋幸宏
6. aeroport
7. Botan Feat.甲田益也子
8. 太陽の色 Feat.サイゲンジ
9. セルロイドスター Feat.佐田真由美
10. Klavier Intergral
11. Chinsagu No Hana
12. 色彩の中へ Feat.高野寛
(※1)ODE MUSIC ENTERTAINMENT
2004年、bayakaによって設立されたジャズ系の音楽レーベル。コンピレーション『Imaginary Inguiry』にて、トベタ・バジュンやイケガミ・キヨシなど所属アーティストの作品がまとめられている。
(※2)bayaka
DJ MitsuruとプログラマーTeruoからなるユニット。アルバムに『Irradiation』、『inner film』などがある。民族音楽的な要素とジャズを融合させるなど、実験性に富んだ音楽性で知られる。
(※3)chari chari
DJ 井上薫の制作における変名。2003年には瀧見憲司が主宰するCRUE-L傘下に、レーベルSEEDS AND GROUNDを設立。DSKこと小島大介と組んだAURORA名義での活動もある。
(※4)sonarsound tokyo 2006
スペイン・バルセロナで開催される、エレクトロニック・ミュージックとマルチメディア・アートの大規模フェス。〈sonarsound tokyo 2006〉は世界各国で行われた同フェスのサテライト・イベント。
(※5)PROGRESSIVE FOrM
青木孝允、半野喜弘らが所属する音楽レーベル。設立は2000年。日本においてエレクトロニカのムーヴメントを牽引したレーベルであり、細野晴臣が同音源をミックスした『Mix Form』も話題となった。
2004年、bayakaによって設立されたジャズ系の音楽レーベル。コンピレーション『Imaginary Inguiry』にて、トベタ・バジュンやイケガミ・キヨシなど所属アーティストの作品がまとめられている。
(※2)bayaka
DJ MitsuruとプログラマーTeruoからなるユニット。アルバムに『Irradiation』、『inner film』などがある。民族音楽的な要素とジャズを融合させるなど、実験性に富んだ音楽性で知られる。
(※3)chari chari
DJ 井上薫の制作における変名。2003年には瀧見憲司が主宰するCRUE-L傘下に、レーベルSEEDS AND GROUNDを設立。DSKこと小島大介と組んだAURORA名義での活動もある。
(※4)sonarsound tokyo 2006
スペイン・バルセロナで開催される、エレクトロニック・ミュージックとマルチメディア・アートの大規模フェス。〈sonarsound tokyo 2006〉は世界各国で行われた同フェスのサテライト・イベント。
(※5)PROGRESSIVE FOrM
青木孝允、半野喜弘らが所属する音楽レーベル。設立は2000年。日本においてエレクトロニカのムーヴメントを牽引したレーベルであり、細野晴臣が同音源をミックスした『Mix Form』も話題となった。
坂本龍一をはじめ、高橋幸宏、大貫妙子、または甲田益也子、佐田真由美といった著名人を多数招いたアルバム『青い蝶』でメジャー・デビューを飾るのはトベタ・バジュン。懐かしくも新しい、淡くトロけるようなサウンドがとびきり良質であることは認めるが、はて、いったい何者なのだろうか。これだけの客演を実現し、かつこれほどの成熟味を醸し出すなど、ただの新人にはできようはずもない! すでに大物感のただようトベタ・バジュンの謎に迫った。
インタビュー・テキスト=ロマンス西崎 インタビュー中写真=鈴木啓太(PLOT. lv04)
シンプルに考えれば、これがデビュー・アルバムというだけで、音楽業界においてのキャリアは長いと判断するのが順当だろう。メジャー・レーベル肝煎りのアイドルであっても、これだけの陣容を整えることは難しい。しかも、深夜の通販のコンピレーションCDならいざ知らず、これはオリジナル・アルバムである。まずはそのあたりのナゾから訊いてみた。
―― いきなりの豪華な顔ぶれとなりましたが、業界は長いんですか? 単刀直入で恐縮ですが⋯(笑)。
「以前はJ-WAVEや東京FMで番組のテーマ曲を手がけたり、CMの音楽を作ったりしてました。期間にして5〜6年くらいですかね。それに並行して自分の作品も出していましたけど、インディ・レーベルだったのでご存知ない方のほうが多いと思います。クラブ・ジャズ系の〈ODE MUSIC〉(※1)ってところなんですけど」
―― 知ってますよ。bayaka(※2)というアーティストが立ち上げた、ジャズの12インチ・レコードを中心にリリースしていたレーベルですね。
「当時はそのbayakaとか、あとchari chari(※3)あたりの音楽がすごく好きで、bayakaのところにデモ・テープを送ったことで自分のアーティスト活動が始まったんです。それまでの音楽へのかかわり方は、どちらかといえば「裏方」でしたから。もうちょっと自分をオモテに出していきたいなと思ったんです。オード・ミュージックを出てからは、〈sonarsound tokyo 2006〉(※4)に出たり、〈PROGRESSIVE FOrM〉(※5)のイベントに出演したりしていました。あのレーベルの「なにかやってやろう」みたいなレーベルカラーが好きで。」
―― ずっとアンダーグラウンドな音楽のシーンで活動をしていたわけですね。
「今回収録した“Chinsagu No Hana”はオード時代の曲で、沖縄民謡とエレクトロニックな音楽を融合させた感じ。新規にミックスは変えていますけど、昔の僕のイメージはこれでだいたい掴めるかもしれませんね」
―― そのままクラブ・シーンに居ようとは思わなかったんですか?
「ダンス・ミュージックに目を向ける一方で、ポピュラリティへの憧れみたいなものがあって。FMへの曲提供などは、まさにその表れだと思います」
―― 対極にあるようなものを、同時にやりたい?
「そういうの大好きなんですよ。ポピュラリティの部分と、前衛的でアーティスティックな部分、両方持っていたい。今回ピアノを弾いてもらった坂本龍一さんは、そういう意味でも僕の理想像です。ポップなことと、アバンギャルドなこと、どちらもできるし、やっている」

―― そのギャップであるとか、バランスであるとか。
「ええ、アバンギャルドな曲も、聴き続けていたら〈普通〉と感じる瞬間があるでしょう? だからこそ、そのアバンギャルドな中にちょこんとオーソドックスな曲があったら、それはそれで浮き立つ感じがするんですよね。アルバムならアルバムを全体像として見たときに、一点の毒なり華なりが映えるようなバランス。そういう見方を大事にしたいんです」
万人に受け入れられるマニアックさ。尖ってるけど丸い、硬いけど柔らかい、みたいな。素人には一見矛盾とも思える共存に取り組んだアルバム『青い蝶』。1曲目の“Asian Flower”では、早くも坂本龍一のピアノが聴ける。バイオリン、チェロと絡み合う旋律は、とても悲しげだ。そこには特別なテーマがあるというのだが、これほど悲哀に満ちたイントロはなかなかない。
―― 先ほどの話にありましたが、曲単体で考えるというよりは、あくまでアルバム全体としての絵ということですよね?
「ええ、今回においても、自分の中でのポピュラリティと、アバンギャルドを渾然一体とさせた感はありますね。
―― 個人的な感想としては、バイオグラフィーを聞くかぎりすごくマニアックな音楽を想像してしまうけれど、いざ聴いてみると非常に聴きやすい。こういう捉え方は安直ですけども。なんというか、もちろん技巧的なすごさに感動できる人はいるだろうけど、知らない人は知らない人で身構えず楽しめる。ポピュラリティという狙いがあるぶん、いろいろな聴き方ができる。ただ、それとは
別のところでテーマもあるんでしょう?
「このアルバムを作るにあたって、アタマの中には〈映像的・絵画的〉みたいな言葉がありました。漠然としてますが、映画のサウンドトラックみたいなイメージ」
―― 資料から抜粋します。『青い蝶、それはオレンジ色の中に住む人々の恋物語。オレンジ色の中で見る不思議な夢。青い蝶が宙を舞う⋯』とあります。
「補足すると、病気とか戦争とかでいつまで生きられるかわからないような少女が、ある夜に夢を見たとしたら、どんな夢だと思う? そういう話です。もっと生きられたとしたら、大人になれたとしたら、どんな恋をするだろう?オペラ的な脚本の、章ごとに音を付けていったんです」
―― なるほど、それでこういう世界観になっているわけですか。正直な話、僕はとてもいい作品だと思いました。
「流行りのハウス・ミュージックとしてリリースしたほうが商売的には成功なのかもしれない。そういうことで言えば、このアルバムは静かで、いかにもラウンジ音楽っぽいですから。おっしゃりたいことはわかりますよ。でも、それでいいと思っているんです。さっきの「一点の毒なり華」じゃないですけど、いまの日本の音楽シーンを考えたときには、むしろこっちのほうが“攻撃的”な印象があるから。たとえば80年代にはこういったものがたくさんあったと思うんです。それが90年代には空洞化して、音楽の良さみたいなものが一旦フェードアウトした。だから21世紀は、こういうメロディであったり映像的なものが、もうちょっと増えてもいいかなって。個人的な願望もあるのかもしれません」
