かつて“白ロシア”と呼ばれていたベラルーシ共和国は、日本人にとって馴染みの薄い国。“ベラルーシ料理”と聞いてもピンと来ず、ロシア風の料理をイメージする人も多いだろう。しかし、ベラルーシの首都・ミンスク出身の店長、ヴィクトリアさんは言う。「旧ソ連には15の国があり、人々の外見はよく似ていますが、言葉や文化はまったく違うんです。もちろん、料理の味もそれぞれ異なります」。
では、ベラルーシ料理とはどんな料理だろう。ひとことで説明するなら、「じゃがいもをたっぷりと使う料理」といえるかもしれない。実はベラルーシ人は、お隣のロシア人から親しみを込めて『ジャガイモ人』と呼ばれるほどジャガイモが大好き。すりつぶしたり茹でたり、フライにしたり。前菜からデザートまで、多種多様なじゃがいも料理を楽しんでいるのだ。
じゃがいもに加えて、パプリカやハーブなど彩り豊かな野菜を使い、味付けは塩と胡椒でシンプルに。仕上げにサワークリームとディルを加え、アクセントとしている。日本人向けのアレンジはいっさいなく、本場ベラルーシの味をそのまま再現。なのにクセがなく食べやすいのは、「ベラルーシ料理の中から、日本人の口に合う料理だけをピックアップした」というヴィクトリアさんの心遣いゆえだろう。
30席ほどの小さな店だが、ライブも開催されている。毎週水曜には「NHKみんなのうた」で人気を集めたロシアの歌姫・エカテリーナさんがピアノの弾き語りを披露。また毎週金曜には、ロシア人女性のユニットがバラライカとフルートの演奏を聴かせてくれる。
ベラルーシ料理を口にした日本人客は、口々に「なつかしい味」との感想を漏らすという。初めて食べるはずなのに、なぜだろう。「スタッフが全員、女性だからかもしれません。私たちの料理は、ベラルーシのお母さんが家族のために愛情を込めて作る、家庭料理なんです」とヴィクトリアさん。“おふくろの味”を楽しみながら、美しい歌声やフルートの音色に耳を傾ける。店を出る頃には、ベラルーシという国に親しみを感じ、もっともっと知りたくなるに違いない。
取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫
1-2. ベラルーシの人形や絵画が飾られた店内。家具は木製で統一され、女性スタッフのきめ細やかなサービスとあいまって、家庭的な雰囲気を醸しだしている。
3. 飯倉片町交差点の裏にあるマンションの1階にある。近くにロシア大使館があることもあり、大使館職員の常連客も多い。
4. 日本語を学ぶため、2001年に来日したヴィクトリアさん。「故郷の味を知って欲しい」と日本初のベラルーシ料理専門店を開いた。「ベラルーシは、白樺の森と湖に囲まれた美しい国です。時々、あの空気が恋しくなります」。自家製のピクルスやトマトソース、手づくりジャムなども販売している。
5. マッシュポテトに小麦粉と卵を加え、豚肉を挟んで焼いた「ポテトホットケーキ ドラニキ」1600円。グルジア産の「グラスワイン」630円~は12種類あり、珍しいワインの数々が楽しめる。
ミンスクの台所
東京都港区麻布台1-4-2
03-3586-6600
11:30~14:00,17:00~23:00、土・日・祝17:00~23:00
無休
毎週水曜・金曜のみミュージックチャージ525円


