池袋に93年にオープンしたジャズバー「ケニーズ バー」。木の温もり溢れる店内は、ピアノとウッドベースが置かれたステージ、マスターと言葉を交わせるカウンター席、ゆったり座れるスツール席などから成る。JBLD131のスピーカーから流れるのは1000枚ほどのアナログとCDからセレクトしたジャズ。特に50~70年代、ハード・バップ以降のジャズが中心で、リクエストも受けつけてくれる。濃密な雰囲気ながら、肩肘張らず、気楽に過ごせるのがこの店の魅力である。
「ジャズバーやジャズ喫茶って敷居が高いイメージがありますよね。でもうちは違う。ジャズを知らないお客様も気軽に楽しめ、一日の疲れを癒せる。そんな場所にしたいんです」
マスター片倉健さんのそんな思いが手伝ってか、「ケニーズ バー」は単なるジャズバーにはとどまらない魅力に溢れている。その証拠に、様々なアーティストや文化人がこの店に集ってくるのだ。常連客のなかには金原亭馬遊、柳家喬太郎などの落語家も。その縁あって、年に4回は「kenny’s寄席」を開催。さらに早大教授・講師や文芸批評家による「小林秀雄論」「ヘンリー・ミラーとジョージ・オーウェル」など、文学トークライブも開かれる。
もちろん本業のジャズライブも充実。「スウィングジャーナル」誌批評家投票ボーカル部門第一位にも選ばれた丸山繁雄氏をリーダーとするジャムセッションをはじめ、ライブは定期的に開催。常連客で作ったバンドのライブなども催される。
ジャズと落語と文学。一見異なるようで、ディープでマニアックな世界は、どこか大人を魅了する共通点があるのだ。客層はひとり客が圧倒的に多いという。自分の好きな愉しみ方を見つけたい。「ケニーズ バー」はそんな大人にとって居心地のいい遊び場なのだ。
取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子
1. 落ち着いた雰囲気の店内。月に数回ライブを開催。ジャムセッションは参加自由で、ピアノ、ドラム、ベース以外は楽器を持参する。このセッションを通して仲間が増え、常連客同士でバンドを組むことも。そのほか貸切りライブもできる。また店ではCD「米田正義クインテット/オン グリーン ドルフィン ストリート」を製作・発売し、彼らのライブを毎月開催。
2. マスターの片倉健さん。背景の絵は自身の作品。
3. ランプやロゴ入りミラーなど、味わい深い調度。
4. アナログレコードとCDは約1000枚所蔵。
5. ハムとサラミ盛り合わせ」500円と「ウイスキー」600円~。メニューの内容は日替わり。
KENNY'S BAR
東京都豊島区池袋2-63-6 パレスガーデンミラノ1階
03-5391-1073
19:00~翌1:00
日曜・祝日
チャージ500円、ライブチャージ1500~3500円、チーズ盛り合わせ500円~、ハムとサラミ盛り合わせ500円、ハイネケン600円、生ビール500円


