東京 大人の遊び場
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webマガジン e-days(イーデイズ)東京 大人の遊び場DINING

カンツォーネのライブも楽しめる伝統的なトスカーナ料理レストラン
文流

 国立駅から一橋大学に向かって延びる、“大学通り”。桜の名所として知られるこの大通りから一本入った場所に、静かなレストランが佇む。こぢんまりとした中庭には木蓮の木が植えられ、緑がいっぱい。細やかなサービスを受けながら、ゆったりとイタリア料理が楽しめる。そんな、国立らしさに満ちた店だ。

 『国立 文流』が誕生したのは、1996年のこと。本店は『高田馬場 文流』で、1973年の創業だ。文流には、イタリア料理がまだ珍しかった創業当時から受け継がれている、2つの人気メニューがある。ひとつはピザ生地で作られた「丸パン」で、もうひとつが「海の幸ときのこのスパゲッティ」。ホタテやイカなど海鮮たっぷりで、ソースは塩、トマト、トマトクリームの3種類から選択可。魚介の香りと旨みが十分に引き出されており、シンプルながら飽きのこない一品だ。

 伝統的なトスカーナ料理が中心だが、地元の農家から直接取り寄せた地野菜を使ったメニューも登場。ときにはメインディッシュの付け合せとして、ときにはその日だけのスペシャルメニューとして、積極的に利用されている。料理の地域性や固有性を大切にするスローフードの精神を、身近に感じることができるだろう。

 毎月第1・3金曜のディナータイムには、カンツォーネも楽しめる。ステージは設けず、ギターを抱えたカンタンテ(歌い手)が各テーブルをまわる、気さくなスタイル。ナポリ民謡やローマ民謡、イタリアンポップスはもちろん、好きな曲のリクエストも受け付けている。さらに、年に数回はシャンソンのライブも実施。コース料理を食べながら上質の音楽に耳を傾ける、特別な夜が用意されている。

 ランチタイムには、10種類から選べるパスタにサラダ、ドリンクなどが付いたコストパフォーマンスの高いセット(980円~)を求めて地元のマダムや家族連れが集う。都会から少し離れた場所にあるためか、昼も夜も肩の凝らないリラックスできる雰囲気。ふだん使いの店として、気軽に利用したい。


取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

文流

1. 白い壁に囲まれ、絵画が飾られたシンプルな内装。大きな窓からは暖かな日差しが差し込み、穏やかな時間が流れる。
2. イタリア直輸入のワインなど、赤・白それぞれ10種類ずつを用意。ソムリエの資格を持つ店長に、おすすめを聞いてみるのもいいだろう。
3. 花瓶や食器などの小物にも、イタリアの香りが漂う。店名の『文流』は、イタリアと日本の文化交流を願って名づけられた。
4. 天気のいい日には、オープンテラスの席が人気。毎年春になると、モクレンが見事な花を咲かせる。
5. 『海の幸ときのこのスパゲッティ』1300円は、ランチセット(980円~)でも選択可。素朴な『丸パン』(100円)との相性も抜群だ。ワインはグラスで600円~。

リストランテ 国立文流

住所 東京都国立市東1-6-30 パティオマグノリア1F

電話番号 042-571-5552

営業時間 11:30~15:00(LO14:30)、17:00~22:00(LO21:30)

休日 無休

金額 ピッツァ1000円~、パスタ800円~、コース4000円~、ボトルワイン2500円~

URL http://www.bunryu.co.jp/


料理とワイン、音楽、そして会話を通して2010年の主役・南アフリカを知る
tribes

 2010年、南アフリカでワールドカップが開かれることから、にわかに注目度が高まっているアフリカ。53の国と地域があり、それぞれ異なる文化を育んでいるアフリカは、日本人にとってはまだ謎が多い未知の大陸だ。そんなアフリカの知らざれるパワーを五感で感じることができる店、『神楽坂 トライブス』を訪れた。

 まずは、料理。アフリカ料理といえばモロッコの鍋料理「タジン」や「クスクス」が有名だが、ここではフランス料理のエッセンスを加えた“アフロ・フレンチ”スタイルが主流。本場の素材を使った味付けはもちろん、盛り付けの美しさも目をひく。ほかにも、南アフリカやコートジボアール、モロッコなどアフリカの広い地域の料理をカバー。ワニやダチョウを使った珍しい料理もあるが、どれも洒落たアレンジが施されているため、違和感なく楽しめるだろう。

 アフリカといえば、やはりワインも気になる。南アフリカのワインは350年以上の歴史を持ち、国際市場でも高い評価を得ている。メニューには南アフリカ産だけでも20種類以上が並ぶほか、モロッコやチュニジア産もあり、価格も手ごろ。ビール党なら、ガーナやケニア、チュニジアなど、アフリカ各国のビールを飲み比べてみるのもいい。

 音楽にも注目したい。店内のスクリーンでは、アフリカ出身アーティストのPVなどを上映。アフリカ音楽のCDも500枚以上が揃い、“アフロビートの神様”フェラ・クティや、素朴で温かみのあるセレスティン・ウクウなど、多彩なアフリカ音楽が楽しめる。毎週金曜には、ジンバブエ音楽のライブを開催。チャージは無料なので、アフリカ音楽初体験の人も気軽に足を運べるだろう。

 料理や音楽、空間を通してアフリカの空気に触れられる店だが、一番の財産は“人”。ナイジェリアで2年間暮らし、アフリカ16カ国を旅した店長をはじめ、スタッフ全員がアフリカ経験者だ。店を訪れる客も、アフリカに行ったことがある人、または興味を持っている人が多く、自然と話が弾む。つい話し込んで、5~6時間滞在する人も珍しくない、というのも納得。ここで予習をしておけば、アフリカ大陸初のワールドカップがさらに楽しく、興味深いものになるに違いない。


取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

tribes

1-3. 店内は、アフリカの大地を思わせる茶色と夕日のオレンジ色で統一。モロッコのマルシェ(市場)をイメージした内装は、店長自らモロッコの竹を持ち込んで作った手づくりだ。壁には写真や絵画などが飾られ、アフリカ気分を盛り上げてくれる。
4. 神楽坂を少し上った、毘沙門天のすぐ裏にある。アフリカ通の店長に話を聞くだけでも気分が盛り上がるはず。
5. 南アフリカ観光局の認定を受けたメニュー、『ブルボス』1250円。粗びき肉の特大ソーセージにスパイス入りトマトソースを絡めた、南アフリカの定番料理だ。南アフリカ産の赤ワイン『ガーディアンピーク』は、ボトルで4500円。売り上げの一部で絶滅危惧種のライオンを保護している。

神楽坂 トライブス

住所 東京都新宿区若宮町10-7

電話番号 03-3235-9966

営業時間 18:00~深夜0:00(LO23:00)

休日 日曜・祝日

金額 クスクス1350円、南アフリカ産ワニのソテー1250円、ホロホロ鳥のソテー950円、アフリカ輸入ビール530円~

URL http://www.tribes.jp/


ファドの生演奏を聴きながらポルトガル料理&ワインで乾杯
MANUEL

 四谷にある『マヌエル・カーザ・デ・ファド』は、ポルトガル語で“ファドの家・マヌエル”という意味。その名のとおり、ファドのライブを定期的に開催する、日本では希少なレストランだ。ボーカル、ギターともにマイクを使わず、生音で勝負。間近で聴くファドはゾクゾクするほどの迫力で、感情に訴えかけてくる。40~60代の客が多く、仕事帰りに何度も足を運ぶリピーターも多いという。

 ライブの前にも、楽しみが用意されている。ポルトガルの家庭料理だ。素材の持ち味をいかしたポルトガル料理は、ファドと同様に日本人好み。魚や肉、野菜をバランスよく食べるのも、日本人に似ている。この店では、手間を惜しまず丁寧にダシをとることで、現地の味を丹念に再現。見た目は地味だが、食べるほどにじわりと染み入るやさしい味で、確かな実力を感じさせてくれる。

 ポルトガルは、隠れたワイン王国でもある。リストにはポルトガル産ワインが100銘柄以上揃い、ワインセラーには500本以上が待機するなど、圧巻の品揃え。作家・壇一郎に愛されたダン地方、果実味豊かなアレンテージョ地方など、地域ごとの個性を備えたワインを取り揃えている。スターターには若々しい風味の「フィーニョ・ヴェルデ」が、食後には甘口のデザートワイン「ポルト酒」がおすすめだ。

 パン、カステラ、タバコなど、ポルトガル語を起源とした日本語は多い。初めて聴くファドや初めて食べるポルトガル料理に懐かしさを覚えるのも、単なる偶然ではないだろう。日本からはるか遠くにありながら、数々の共通点を持つ国、ポルトガル。その不思議な出会いを楽しみたい。


取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

MANUEL

1. 天井が高く、地下1階とは思えない開放感。テーブル同士の感覚も広く、ゆったりと食事やお酒が楽しめる。
2-3. リスボンとポルト、2つの街をテーマにしたアズレージョ(タイル画)やポートワインのポスターが飾られ、異国情緒たっぷり。テーブルに並ぶ食器も、すべてポルトガル製だ。
4. 12弦のポルトガルギター。ポルトガルでは“ギターラ”と呼ばれ、独特の形は「涙の雫を表している」ともいわれている。
5. ポルトガルの定番料理『海の幸のリゾット』2890円。エビやムール貝、アサリ、スズキなど魚介たっぷりで、スパイスのきいたトマトソースが食欲をそそる。ポルトガルワインはグラスが880円~、ボトルで4000円~。

マヌエル・カーザ・デ・ファド

住所 東京都千代田区六番町11-7-B1F

電話番号 03-5276-2432

営業時間 11:30~15:00(LO14:00)、18:00~23:00(LO22:00)

休日 無休

金額 ファド・ライブのミュージックチャージ2500円~3000円(月1~2回開催/1日2回)

URL http://www.manuely.jp/


飲んで食べて歌って踊って!底抜けに明るいブラジルを楽しめる店
サッシペレレ

 オーナーの小野敏郎さんは、ボサノバ歌手小野リサさんのお父様。1958年、パン・アメリカンのプロペラ飛行機に乗ってブラジルへ。片田舎に、サンバのリズムに日本の懐メロとブラジルの古いメロディーをのせた演奏を楽しむ店をオープンし、日系人や現地の人々に愛されたという。満を持して中心部であるサンパウロに移転。黒塗りの車が横付けするほどの成功を収めた。そして72年に日本へ帰国。四谷にオープンしたのが、ブラジル料理と音楽の店「サッシペレレ」だ。

 「70年代といえば、ブラジルの文化はまだ日本にほとんど入っていない時代でした。ブラジルの料理と音楽を楽しめる日本初の店だったという話も聞いています。最先端の店として、新しいものに興味があるクリエイターや音楽家などで夜な夜な賑わったそうです」とマネージャーの伊東康彦氏は語る。

 ブラジルからミュージシャンを呼び寄せ毎晩ライブを開催。スタッフもブラジル人で、フェイジョアーダ(黒豆と肉の煮込み)やフェイジョン(ブラジル産インゲン豆の煮込み)などのブラジル料理を提供。小野さんは店を経営する傍ら、「浅草サンバカーニバル」の立ち上げにも関わるなど、日本にブラジル文化を紹介するパイオニアとして活躍してきたのだ。

 現在「サッシペレレ」では毎晩3回(金曜日は4回)、ボサノバ、サンバ、ソウルジャズなどのライブを開催。パーカッションを持参して演奏に参加したり、フロアで踊るゲストも多いとか。本格的なブラジル料理に舌鼓を打つも良し。伊東氏曰く「大のおしゃべり好き」というブラジル人スタッフとのおしゃべりもまた楽しい。ちなみに店名のサッシペレレとは日本でいう座敷わらしのこと。大人にいたずらをする子供の妖精のことだ。底抜けに明るいブラジルの音楽と人々、料理との出会いに加え、ちょっと不思議な体験!?も待っているかもしれない。

取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子

サッシペレレ

1-2. 奥がステージ、手前がカウンターやテーブル席になっている。ブラジルの大地を思わせるオレンジ色の壁には、情熱的な太陽やブラジルの子供達、青々とした木々などが描かれている。
3. ホブソンさんをはじめ、スタッフはみな愛嬌たっぷりでおしゃべり好き。会話もこの店の楽しみだ。
4. 「サッシペレレ」のロゴマーク。
5. ブラジルのビール「ノヴァスキン」750円。サトウキビから作られたブラジルの地酒ピンガを使ったカクテル「カイピリーニャ」900円。豚の耳や鼻、牛肉、ソーセージ、黒豆などを煮込んだブラジルの伝統料理「フェイジョアーダ」1500円~など、本場の珍しい味も。

サッシペレレ

住所 東京都新宿区本塩町9 光丘四谷ビル地下1階

電話番号 03-3353-7521

営業時間 17:00~深夜0:00、金曜・土曜は18:00~深夜0:00

休日 日曜・祝日

金額 ミュージックチャージ1500円(金曜およびスペシャルライブは2000円)、ディナーセット(ミュージックチャージ、前菜盛り合わせ、メイン3500円(金曜は4000円))、シュラスコ サッシペレレ風1800円

URL http://www.saciperere.co.jp


出来立ての“シュハスコ”を食べながら、サンバの生演奏で盛り上がる
Que Bom!

 “浅草サンバカーニバル”で知られるように、浅草とブラジルは縁深い間柄。『Que Bom!』は2005年に誕生した、浅草で唯一のブラジル料理店だ。

 ブラジル料理といえば外せないのが、“シュハスコ”。牛肉や豚肉、鶏肉を大きな塊のまま鉄串に刺し、専用のロースターで焼いた南米版バーベキューだ。ここではスタッフが各テーブルを回り、焼き立ての肉をナイフで切り分けてくれる。脂が中までじわりと溶け込んだ肉は、肉本来の力強さを感じさせる野性的な味わい。塩をガツンときかせたシンプルな味付けで、ビールがすすむ。

 “シュハスコ・バイキング”を注文すると、シュハスコに加えて30種類以上の料理の食べ放題が楽しめるのも魅力のひとつ。ブラジル料理はもちろん、サラダやパスタ、ラザニア、デザートなど、バラエティ豊か。毎週水・土・日曜には、黒インゲン豆を豚肉、牛肉などと一緒に煮込んだブラジルの国民食“フェジョアーダ”も登場するので、ぜひ試してみたい。

 ブラジルの雰囲気をさらに盛り上げてくれるのが、サンバの生演奏だ。ここでは、日によって多彩なライブイベントが行われている。明るく陽気に楽しみたいなら、火曜日がおすすめ。客席の一角でライブが行われ、ノリの良い“ナビゲーター”が楽器を片手に店内を盛り上げる。音楽に合わせて自由に体を動かすもよし、持参した楽器を奏でてセッション気分を楽しむもよし。熱狂の輪は自然と大きくなり、毎回夜遅くまで盛り上がりをみせるという。

 しっとりと大人っぽく過ごしたいなら、木曜日に訪れるといいだろう。こちらは、ブラジル人と日本人のミュージシャンによるユニットが登場。落ち着いた上品なサンバは、食事のBGMにぴったりだ。

 毎月1度、日曜の昼下がりに行われている“きぼん保育園”も興味深い。子供用のスペシャルメニューが用意され、保育士も待機。小さい子供連れのファミリーでも、安心してライブが楽しめると評判だ。

 ほとんどのイベントは、ミュージックチャージ無料。思う存分飲んで食べて踊って、ブラジリアンスタイルのパーティを楽しみたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

Que Bom!

1-2. ビルの地下にあることを感じさせない、明るくすっきりとした内装。スクリーンもあり、時おり未公開の短編映画を上映している。
3. 入り口には、店を訪れた著名人のサイン入りTシャツが飾られている。サッカーや格闘技などのブラジル人アスリートに加え、ミュージシャンも来店。
4. “シュハスコ”に加えて、日替わりの多彩な料理が食べ放題。野菜がたっぷり食べられるので、女性にも好評だ。
5. 目の前で切り分けてくれる“シュハスコ”。牛の腰からお尻にかけての赤身肉“ピッカーニャ”や脂肪分が少ない“アルカトラ”、鶏の心臓“コラソン”などが楽しめる

Que Bom!

住所 東京都台東区西浅草 2-15-13 B1F

電話番号 03-5826-1538

営業時間 17:00~深夜0:00(ディナーバイキングは23:00まで)

休日 月曜(祝日の場合は営業)

金額 シュハスコバイキング男性3000円、女性2500円、小学生以下1500円

URL http://www.que-bom.com/index.html


手づくりの真空管アンプが奏でる、リアルな音に酔う老舗ジャズ喫茶
JAZZ喫茶 映画館

 店に入った瞬間、サウンドの素晴らしさに心を揺さぶられる。空気を含んだ、柔らかくも芯のある音。名プレーヤーがまるで目の前で演奏しているかのような錯覚は、この店を訪れた人だけが味わえる特権だろう。

 白山駅の目の前にある『JAZZ喫茶 映画館』。この店の特徴は、マスターのこのひと言に凝縮されている。「真剣に、レコードを聴きに来て欲しい」。

 大音量を奏でる真空管アンプも、滑らかな曲線を描くウッドホーンも、音にうるさいマスターがこだわり抜いた末に完成させた自作。かけるレコードは、フリージャズなどのハード系が中心で、BGMになるようなソフトなジャズはほとんどかけない。大声での会話や携帯電話の使用など、音楽鑑賞の妨げになる行為はご法度だ。

 とはいえ、初心者お断りの店、というわけでは決してない。「ジャズを知るには、中途半端な知識を身につけるよりも、耳で覚えることが大事」と語るマスター。知識はなくても聴く意志さえあれば、珍しいレコードを薦めたり、リクエストにも応えてくれる。実際、学生時代からここに通い、ジャズを覚えたという常連客も多い。

   毎週土曜の夜には、ジャズ愛好家がレコードを持ち寄り鑑賞会を開いている。参加者の年代は30~70代と幅広いが、皆一様にジャズへの造詣が深く、和気藹々とした雰囲気。鑑賞会中も一部の席では通常営業をしているので、興味のある人は覗いてみるといいだろう。

 実はマスターは、元ドキュメンタリー映画の監督。雑然と置かれた骨董品の中には、1920年代・フランス製の9・5ミリカメラや、フィルムケースで作られた照明など、珍しいものが多い。こうしたオブジェを眺めながらジャズを聴くのも、また一興。時おり、看板猫の“虎太郎”が足元をすり抜け、心を和ませてくれる。ジャズやオーディオのマニアはもちろん、音楽を愛するすべての人を、とことん満足させてくれる一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

JAZZ喫茶 映画館

1. 1976年に創業。店名は、創業当時に映画の上映会を行っていたことに由来する。現在、映画の上映は行っていないが、レコード鑑賞会や詩の朗読会、シンポジウム、写真展などのイベントを随時開催している。
2. マスター自ら木を削って作ったホーンを中心にとしたスピーカーシステム。ウーハーやツイーター、ケーブルなど、細部にまでこだわり、リアルなサウンドを実現した。
3. マスターの吉田昌弘さん。一見怖そうだが、慣れると気さく。もちろん知識も豊富で、真剣にジャズを聴きたい人にとって心強い存在だ。
4. 刻んだじゃがいもをたっぷり使った「オムレツ」680円は、常連のフランス人女性から教わったレシピ。コクのあるオリジナルブレンドの「コーヒー」は500円。また、「伊佐美」(700円)などのプレミア焼酎も手頃な価格で提供している。
5. 地下鉄・白山駅A3出口を出ると、白い看板が視界に飛び込んでくる。階段を下りてガラスの扉を開くと、そこは独特の空間。

JAZZ喫茶 映画館

住所 東京都文京区白山5-33-19

電話番号 03-3811-8932

営業時間 16:00~23:30

休日 日・祝日

金額 イベント開催時には、木戸銭が必要な場合あり

URL http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/


本格料理を気さくなサービスで、ジャズも楽しめる下町のイタリアン
COMUM

 江戸の風情と現代アートが共存する街、“谷中”。近年、散策スポットとしても注目を集めているこの街に、若い夫婦が営む小さなイタリア料理店がある。言問通りに面した『bar hosteria COMUM(バール オステリア コムム)』。2005年オープンとまだ新しいが、地元にすっかり溶け込み、訪れる客は後を絶たない。

北イタリアをこよなく愛する宮沢シェフが作るのは、素材の持ち味を生かしたシンプルで力強い料理。なかでも、日付の入った手書きの日替わりメニューに注目したい。南房総の保田港から直送される魚介を使い、シェフが毎朝メニューを作成。届く魚介は日によって異なり、ときにはシェフでさえ知らない珍しい魚が紛れているというから面白い。

 3人以上集まったらぜひオーダーしたいのが、看板メニューの『ズッパ・ディ・ペッシェ』。新鮮な魚介をホーロー鍋に入れ、トマトソースや白ワインで丸ごと煮込んだ、イタリアの漁師料理だ。グツグツと音を立てて運ばれてくる鍋、そして立ちのぼる潮の香りが食欲をそそる。魚介そのものの魅力をダイナミックに味わいつつ、旨みが溶け込んだスープを飲み干す。仲間と一緒に鍋を囲めばワインがすすみ、会話も弾むだろう。

毎月一度、日曜の夜には“Jazz Night”を開催。ピアノとベースのユニットによる、息の合ったライブが楽しめる。開店以来続いている名物イベントで、ミュージックチャージは無料。日程は月によって異なるので、事前に問い合わせてみて。

洒落た雰囲気に反して、サービスはざっくばらん。「もっと小さいサイズで食べたい」とか、「この料理とあの料理を組み合わせて欲しい」といったリクエストにも出来る限りこたえてくれる。下町ならではの気さくさと、本格的なイタリアンの融合を、心ゆくまで楽しみたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

COMUM

1-2. 店名の“COMUM”とは、オーナー夫妻が愛するイタリア・コモ湖の古い名前。店内のインテリアも、コモ湖をイメージしている。ステンレスが貼られた天井を見上げると、水面を下から眺めているような不思議な気分に。
3. 壁全体が大きな黒板になった、ユニークな内装。チョークで描かれたワインボトルは、近くにある東京藝術大学の学生によって描かれたものだ。
4. 気さくなオーナー夫妻。ご主人がシェフ、奥様は飲み物を担当している。気さくで親しみやすい人柄で、居心地のよい空間を作りだしてくれる。
5. 『ズッパ・ディ・ペッシェ』2800円に使う魚介は、その日の仕入れ次第。テーブルによって魚介の種類が異なることもあるという。イタリアの白ワイン『ビザンツィオ』は、ボトルで2900円とリーズナブル。

bar hosteria COMUM

住所 東京都台東区谷中1-2-18 マツダフラット1F

電話番号 03-3823-4015

営業時間 14:00~深夜0:00(LO23:00)

休日 火曜

金額 席料300円(ディナータイムのみ)、おまかせコース3500円~、グラスワイン400円、カプチーノ400円


“世界でも珍しいベラルーシ料理専門店、“ロシアの歌姫”が出演するライブも評判
ミンスクの台所

 かつて“白ロシア”と呼ばれていたベラルーシ共和国は、日本人にとって馴染みの薄い国。“ベラルーシ料理”と聞いてもピンと来ず、ロシア風の料理をイメージする人も多いだろう。しかし、ベラルーシの首都・ミンスク出身の店長、ヴィクトリアさんは言う。「旧ソ連には15の国があり、人々の外見はよく似ていますが、言葉や文化はまったく違うんです。もちろん、料理の味もそれぞれ異なります」。

 では、ベラルーシ料理とはどんな料理だろう。ひとことで説明するなら、「じゃがいもをたっぷりと使う料理」といえるかもしれない。実はベラルーシ人は、お隣のロシア人から親しみを込めて『ジャガイモ人』と呼ばれるほどジャガイモが大好き。すりつぶしたり茹でたり、フライにしたり。前菜からデザートまで、多種多様なじゃがいも料理を楽しんでいるのだ。

 じゃがいもに加えて、パプリカやハーブなど彩り豊かな野菜を使い、味付けは塩と胡椒でシンプルに。仕上げにサワークリームとディルを加え、アクセントとしている。日本人向けのアレンジはいっさいなく、本場ベラルーシの味をそのまま再現。なのにクセがなく食べやすいのは、「ベラルーシ料理の中から、日本人の口に合う料理だけをピックアップした」というヴィクトリアさんの心遣いゆえだろう。

 30席ほどの小さな店だが、ライブも開催されている。毎週水曜には「NHKみんなのうた」で人気を集めたロシアの歌姫・エカテリーナさんがピアノの弾き語りを披露。また毎週金曜には、ロシア人女性のユニットがバラライカとフルートの演奏を聴かせてくれる。

 ベラルーシ料理を口にした日本人客は、口々に「なつかしい味」との感想を漏らすという。初めて食べるはずなのに、なぜだろう。「スタッフが全員、女性だからかもしれません。私たちの料理は、ベラルーシのお母さんが家族のために愛情を込めて作る、家庭料理なんです」とヴィクトリアさん。“おふくろの味”を楽しみながら、美しい歌声やフルートの音色に耳を傾ける。店を出る頃には、ベラルーシという国に親しみを感じ、もっともっと知りたくなるに違いない。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

ミンスクの台所

1-2. ベラルーシの人形や絵画が飾られた店内。家具は木製で統一され、女性スタッフのきめ細やかなサービスとあいまって、家庭的な雰囲気を醸しだしている。
3. 飯倉片町交差点の裏にあるマンションの1階にある。近くにロシア大使館があることもあり、大使館職員の常連客も多い。
4. 日本語を学ぶため、2001年に来日したヴィクトリアさん。「故郷の味を知って欲しい」と日本初のベラルーシ料理専門店を開いた。「ベラルーシは、白樺の森と湖に囲まれた美しい国です。時々、あの空気が恋しくなります」。自家製のピクルスやトマトソース、手づくりジャムなども販売している。
5. マッシュポテトに小麦粉と卵を加え、豚肉を挟んで焼いた「ポテトホットケーキ ドラニキ」1600円。グルジア産の「グラスワイン」630円~は12種類あり、珍しいワインの数々が楽しめる。

ミンスクの台所

住所 東京都港区麻布台1-4-2

電話番号 03-3586-6600

営業時間 11:30~14:00,17:00~23:00、土・日・祝17:00~23:00

休日 無休

金額 毎週水曜・金曜のみミュージックチャージ525円


ペルシャ古典楽器の生演奏が楽しめる、本格イラン料理のレストラン
darvish

 東池袋にあるイラン料理店『ペルシャン・ダルビッシュ』。ここは、ペルシャ古典楽器の奏者・歌手と して活躍しているシャーサーバリー・ハミドさんが、2007年に開いた店だ。「ペルシャの人々は、4000年 も昔から楽器を奏でていました。実はピアノやドラム、ギターなどの現代楽器の祖先はみな、ペルシャ の古典楽器なんですよ」と流暢な日本語で教えてくれた。

   ディナータイムには毎晩、ハミドさんが数々のペルシャ古典楽器を演奏しながら美しい歌声を披露。 同時に、楽器の歴史や演奏法などを分かりやすく紹介してくれる。

 例えば“サントゥール”は、ピアノの原型といわれている打弦楽器。網の目のように張られた72本の 弦を、桑の木で作られた2本のバチで叩いて演奏する。叙情豊かな調べに耳を傾けていると、悠久の地・ペルシャに迷い込んだかのような錯覚に陥るだろう。

 また、タンバリンのような形の“ダーフ”は、ペルシャで最も歴史が古く、また最も難しい楽器のひとつ。ドラムの原型といわれており、叩く場所を変えることで、1000音もの音階を奏でることができる。

 ハミドさん自らが腕を振るうペルシャ料理も、本格的だ。現地から取り寄せた食材を使い、ケバブや シチュー、ナンなどイランの伝統料理を提供。油は控えめで、クセが少なくやさしい味わいが楽しめる。

「ペルシャの民族楽器を演奏できる人は、イランにも少なくなってきました。伝統が途絶えないよう、 その魅力を日本の皆さんに伝えていきたい」とハミドさん。かつてシルクロードで結ばれていたイラン は、日本と縁のある国。ペルシャの音色と料理を通して、その深く豊かな文化に触れてみたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明

darvish

1. ペルシャ絨毯が敷き詰められた店内。足をのばしてゆったりと過ごせる。ペルシャ古典楽器のほか、ペルシャンダンスやベリーダンスなどのイベントも随時開催している。
2. ペルシャ古典楽器がたくさん置いてある店内。入り口近くには、伝統の水たばこが楽しめるカウンター席がある(絨毯の席は禁煙)。
3. ペルシャスタイルのポテトサラダ「オリビエサラダ」500円は、焼き立てのナンと相性ぴったり。イラン産のざくろとチューハイを合わせ、バラの香りを加えた「ローズざくろハイ」600円もおすすめだ。
4-5. 「ペルシャの人々にとって、楽器とは花のようなもの。これからも、人々に喜んでもらえるよう演奏していきたい」と語るハミドさん。店内では、午前10時~16時までペルシャ古典楽器の教室も開催している(1回3000円/前日までに要予約)。

ペルシャン・ダルビッシュ

住所 東京都豊島区南池袋2-4-3 南池袋ビル1F

電話番号 03-6423-1233

営業時間 17:00~23:00

休日 不定休

URL http://www.darvish.biz/japanese.html


蓄音機の魅力に浸れるカフェ。落語や演劇、DJイベントも開催
Again

 レコードショップの地下にある「Live Cafe Again」。この店には、2つの顔がある。

 ふだんは、穏やかな時間が流れるカフェ。壁一面にCDジャケットが飾られ、イギリス製の手巻き蓄音機が鎮座している。「お客様に蓄音機の魅力を知って欲しくて、SPレコードをかけているんです。皆さん、音の素晴らしさに驚かれますよ」と話してくれたのは、マスターの石川茂樹さん。歌謡曲やジャズなど多彩なレコードが揃うが、特に興味深いのが“元祖コミック・ソング”と呼ばれるバートン・クレーンのコレクションだ。

「バートン・クレーンは、昭和初期にカタコトの日本語でジャズ・ソングを唄っていた外国人です。今でもSPマニアの間で、人気が高いんですよ。酒と女とお金の歌ばかりなんですけどね」と笑う石川さん。こうした隠れた名曲を聴きながら、手づくりのスイーツやコーヒー、カクテルと共にくつろぐのもいいだろう。

 週末や平日の夕方には、さまざまなイベントが開催されるライブスペースとなる。なかでも歌謡曲ファンにとって見逃せないのが、月に1度のDJイベント「ほのぼのSP講座」だ。昭和初期から美空ひばりまで、貴重なSPレコードを専門家の解説付きで紹介。当時を知らない世代にも、笑いを交えて分かりやすく説明してくれる。

ほかにも、月に1度は村田和人の定例ライブと高山広の一人芝居を、2カ月に1度はテーブルを高座に見立てた「アゲイン寄席」を開催するなど、独創的なイベントを次々と実施。オープンしてわずか2年だが、大瀧詠一もラジオの収録で顔を出したり、大物アーティストや落語家、芸人も数多く出演している。

「音楽も落語も芝居も、みんなで楽しめる店にしたかったんです」と石川さん。ジャンルにとらわれずさまざまなカルチャーに触れることで、新しい世界が見えてくるはず。退屈とは無縁の、とっておきの一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

Again

1. 明るい雰囲気で、女性客も多い。自家製オムライスやカレーなど、フードメニューも充実している。
2. 1930年代に製作された、イギリス製の蓄音機。まるで目の前で歌手が歌っているような、リアルな音質が楽しめる。
3. マスターの石川茂樹さんは、2005年にSP復刻音源「バートン・クレーン作品集」を自費出版した。CDは店内でも販売されているので、興味のある人は声をかけてみよう。
4. 店内には、マスターが70~80年代に足を運んだコンサートチケットの半券も展示。ジャクソン・ブラウンやジェイムス・テイラー、イーグルスなど、眺めているだけでワクワクする。
5. 手づくりの「バナナシェイク(プレーン)」500円は、甘さ控えめでやさしい味わい。あずきと豆乳のシェイク「バナナビーンズ」600円も人気だ。

Live Cafe Again

住所 東京都品川区小山3-27-3 ペットサウンズ・ビルB1F

電話番号 03-5879-2251

営業時間 12:30~23:30

休日 不定休

金額 ライブチャージはイベントによって異なる

URL http://www.cafe-again.co.jp/


音楽も料理も多国籍!五感で世界を感じられるカフェ
SUNDALAND CAFE

 コンガやウクレレ、アコースティックギターなど、多国籍の楽器で彩られた賑やかな場所。渋谷の『SUNDALAND CAFE』は、そこにいるだけで世界中の音楽が聞こえてきそうな、心浮き立つカフェだ。

 店を手がけるのは、音楽と植物を愛する仲間たちが作った音楽レーベル「plants label」。新感覚のワールドミュージックが流れる店内で、世界各国のビールや多国籍料理などが味わえる。料理にはできるかぎり、茨城の指定農家から届く自然農法の野菜を使用。音楽はもちろん、料理の匂いや味、雰囲気など五感を通して世界とのつながりを感じられる、という仕掛けだ。

 陽光が差し込む店内でまったりと過ごすのも心地いいが、時にはライブイベントで熱く盛り上がるのもいいだろう。毎週金曜の夜にDJイベントが行われているほか、所属アーティストなどが出演するライブも随時開催。なかでも、定期的に行われているスティールパンのライブは興味深い。トリニダード・ドバコ共和国で生まれたスティールパンは、ドラム缶の底をハンマーで叩いて音階を付けただけのシンプルな楽器。美しさのなかにも悲哀を包み込んだスティールパンの音色は、生で聴くと圧巻で、心を揺さぶられるはずだ。

 自分でも楽器を演奏してみたい、という向きには、各種ワークショップが用意されている。ウクレレやピアニカ、コンガなど、さまざまな楽器のクラスを開講。初心者OKの基礎編から中級編まで、レベルに応じて気軽に参加できる。

 フレンドリーなスタッフとのトークも楽しい。取材当日にコーヒーを煎れていたのは、ラテンバンド“copa salvo”のメンバーでもある店長。数年前にレコーディングで訪れたというキューバの話や、最近出演したイベントについて、気さくに話してくれた。

 音楽を聴く人も演奏する人も、ともに楽しめる場所。国境もジャンルも越えた空間で、ボーダーレスな体験を楽しみたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明

SUNDALAND CAFE

1. ナチュラルで優しい雰囲気。ランチタイムには近くで働くOLやサラリーマンも数多く訪れる。
2. 古びた真空管アンプが、今も現役で活躍中。曲のリクエストにも応じてくれる。
3. 店内では、「plants label」から発売されているCDを販売。ラテンロックやスティールパンオーケストラなど、ユニークな音楽が揃う。さまざまな楽器を見たり触れたりできて、多国籍気分に胸が弾む。
4. 店名の『SUNDALAND』とは、最終氷河期に海底に沈んだ広大な大陸のこと。現在のマレー半島やインドネシア半島にあたり、アジア系民族のルーツともいわれている。
5. フローズンカスタードと生クリームを添えた『バナナカスタードパイ』550円と『オリジナルブレンドコーヒー』530円。スイーツとドリンクをセットで注文すると、100円引きになる。

SUNDALAND CAFE

住所 東京都渋谷区渋谷3-15-2 コンパルビル5F

電話番号 03-5485-0503

営業時間 12:00~深夜0:00

休日 日曜

金額 ランチ750円~、中国茶630円~

URL http://www.sundalandcafe.com/


昭和の風情がそのまま残る喫茶店。月に一度の“リアルジャズ喫茶”も好評
プー横丁の店

 壁沿いにLPジャケットを眺めながら階段を上り、扉を開く。窓辺にはブリキの小物が雑然と並び、棚にはレコードがぎっしり。見上げた天井は、マイルス・デイビスやジミ・ヘンドリクスのポスターで埋め尽くされている。まるで時が止まったような、なんとも不思議な喫茶店。それが、『プー横丁の店』だ。

 「レコードは全部で2000枚くらい。ジャズが中心ですが、ボサノバやサンバ、ソウル、ロック、レゲエなど、なんでもかけますよ」と柔和な表情で話してくれたのは、この道30年のマスター。数年前に場所を移したが、その際に使っていた扉や窓、カーテン、家具なども運んできたという。音質のよさで知られるJBLのスピーカーも、開店当時からずっと現役。これまでに一度も故障したことがないと言うから驚きだ。

 「うちはジャズ喫茶ではないので、音量は大きすぎず小さすぎず。適度な音量を心がけています。音楽を聴きながら会話を楽しんだり、読書をしている方が多いですね」とマスター。だが、月に一度だけは“リアルジャズ喫茶”に変身する。毎月最終日曜の夜、国分寺のレコード店『珍屋』と共同でイベントを開催。マスターがテーマを決め、それにもとづいたレコードやCDを5時間ほどプレイする、というものだ。

 これまでに取り上げたアーティストは、デューク・エリントン、ディー・ディー・ブリッジウォーター、ミシェル・ベトルチアーニ、チャーリー・ヘイデンなどなど。このときばかりは音量がグンと上がり、マスターが選んだ趣味のいい音楽を最高の音質で楽しむことができる。チャージは無料で予約も不要。テーマに合っているものなら、リクエストもOKだ。

 「昔の国分寺には、うちみたいな喫茶店がたくさんあったんですよ」とマスター。当時を知る人はもちろん、知らない人にもある種の懐かしさを呼び起こしてくれるこのお店。足を踏み入れたら最後、つい長居してしまう磁力を持った一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

プー横丁の店

1. 昼間は陽光が差し込み、なごやかな雰囲気に包まれる。ジャズファンはもちろん、学生や小さな子供連れの家族にもファンが多い。
2. 1980年に開店。味のある小物やぬいぐるみが飾られ、ノスタルジックな雰囲気を醸し出している。
3. 「昔はジャズばかり聴いていたんですが、最近はブラジル音楽にはまっています」とマスター。スタッフやお客さんと一緒にサンバグループを結成し、昨年の“浅草サンバカーニバル”にも出演した。
4. 以前は一軒家風の喫茶店だったが、数年前に本多図書館の隣にあるビルに移転。国分寺駅からは、歩いて5分程度の距離だ。
5. 手づくりの「りんごのケーキ」350円と、「pooh’s フレンチ」400円。セットで頼むと100円引きになる。コーヒーのおかわりは、一杯250円で提供。

プー横丁の店

住所 東京都国分寺市本多1-6-3 2F

電話番号 042-323-9937

営業時間 12:00~深夜1:00

休日 日曜(イベント時のみ18時から営業)

金額 カクテル600円~、ワイン600円~、ランチ700円~

URL http://poohshouse.web.fc2.com/

※イベント情報は『珍屋』のブログ(http://blog.livedoor.jp/mezurashiya/)にも掲載


“タイのお母さん”が作る料理を食べながら、ライブやダンスが楽しめるカフェ&レストラン
アムリタ食堂

 アジアのリゾート地を思わせる、リラックスした南国の雰囲気。中央に設えたオープンキッチンでは、バンコクの東・バンセン地方からやって来た“お母さんコック”たちが腕を振るう。『アムリタ食堂』は、タイの熱気を肌で感じながら“おふくろの味”を楽しめる、気さくなカフェ&レストランだ。

 ここまでなら、都内によくある“ちょっとお洒落な、本格タイ料理レストラン”といったところ。だが、この店の魅力は雰囲気や料理だけにはとどまらない。音楽やダンス、パフォーマンスなどジャンルを超えた多彩なイベントを、定期的に開催しているのだ。

 例えば毎週月曜は、「ノーチャージ・ライブパフォーマンス」の日。タイ料理を食べながら、弾き語りやハワイアン、マジックなど多種多様なステージをチャージ無料で楽しめる。なにかと気分が滅入りがちな週の始まりに、明日への活力を与えてくれるだろう。

 また、満月と新月の夜には、それぞれ「満月ライブ」「新月ライブ」と題したスペシャルイベントを開催している。こちらは有料だが、奄美大島の島歌からジャマイカ音楽、アコースティック・レゲエ、ベリーダンスまで、質の高いパフォーマンスが楽しめると評判だ。

 取材に訪れた夜、店内は満員の観客で埋め尽くされていた。「満月ライブ」のステージに現れたのは、ジャワ舞踏家のリアントと民族音楽ユニット「TAIKUHJIKANG」。強くしなやかなリアントの舞いとガムランの響きがシンクロするにつれて、店内の熱気が高まっていく。

 満月が放つパワーは、人間の心と体に強い影響をもたらすといわれている。特別な夜に、音楽と踊りを通して五感を研ぎ澄ます。テーブルの上には、“お母さんコック”たちが作った家庭料理。ライブハウスとはひと味違う、音楽の楽しみ方に出会える店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明

アムリタ食堂

1. インドネシアの家具や観葉植物が飾られ、南国リゾート気分。不定期で、タイ映画の鑑賞会やタイ料理教室も開催されている。
2. 世界中で活躍している、ジャワ舞踏家のリアント。今年1月に行われたオバマ大統領の就任レセプションでも、踊りを披露した。
3. この日、リアントと共演した「TAIKUHJIKANG」。ガムラン奏者の川村亘平と濱元智行、ヴァイオリニストの新井ごう、ヴォイス担当の徳久ウィリアム幸太郎が結成したユニットだ。
4. 吉祥寺駅北口から歩いて3分程度。天気のいい日には、風通しのよいテラス席でのんびりと過ごすのがおすすめ。
5. ぶつ切りにした手羽、モモ、レバーを特製のタレに漬けた「鶏の香ばし焼き(ガイヤーン)」630円(Sサイズ)。甘味と辛味、酸味のバランスが絶妙だ。生ライムを丸ごと使ったソーダカクテル「生ライムジュルック」は780円。

アムリタ食堂

住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-17-12

電話番号 0422-23-1112

営業時間 ランチ12:00~15:00、ディナー17:00~23:00

休日 無休

金額 イベント時は別途チャージ

URL http://www.cafeamrita.jp/


ランチを楽しみながらフリーライブ。気軽に音楽と触れ合えるカフェバー
Cafe Dolce Vita

 都内には、ジャズやボサノバなどの生演奏を楽しめる場所が数多く存在する。その気になればいつで も誰でも、質の高い音楽に触れることができるだろう。とはいえ、「敷居が高い」「お金がかかりそう」 などの理由でなかなか足が向かない、という人も多いのではないだろうか。

 新宿の片隅にある『Cafe Dolce Vita』は、これまでライブに縁がなかった人にもおすすめのカフェバ ー。平日の昼12時から13時ごろにかけて、連日無料でライブを行っている。“ライブ”といっても、何 も気構える必要はない。いつもどおりにランチを食べながら自然体で楽しむのが、この店のスタイルだ からだ。

 「カフェやレストランでは、たいていBGMが流れていますよね? うちでは、CDやレコードのかわりに生演奏の音楽が流れている、という感じなんです。マニアではないごく普通の人々にもっと音楽を知って欲しいし、もっと身近に感じて欲しい。そんな思いから、お店を作りました」と話すのは、オーナーのAYAさん。彼女が作るランチメニューは、「ハヤシライス」650円、「イタリアンハンバーグ(ライス付き)」700円など、どれも懐に優しい価格設定。食後には、ティーコーディネーター&インストラクターの資格を持つオーナーが入れる紅茶やスイーツを楽しみながら、のんびりと過ごすのもいいだろう。

 夜には、日替わりのイベントを行っている。月曜はジャズ・セッション、水曜にはアコースティック・セッションを開催。ほかにも、不定期でジャズやボサノバのライブもあり、さまざまな試みで飽きさせない。こちらもチャージは500円からと、気軽に通える価格が嬉しい。

 昼休みにランチを食べながら、あるいは仕事帰りに一杯やりながら、プロのミュージシャンが演奏するジャズやボサノバに耳を傾ける。肩の力を抜いて、音楽とふれあうひととき。日常のワンシーンに、ぜひ加えたい一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明

Cafe Dolce Vita

1. レンガ色の壁に囲まれ、アットホームな雰囲気。椅子に座って、ゆったりと生演奏が楽しめる。
2. 壁にずらりと飾られたギターやベースは、無料で貸し出しOK。会社帰りの会社員も、手ぶらでセッションに参加できる。
3. ランチタイムに行われているライブの様子。毎週水曜には「sweet life」(フルーティスト・西村菜美 とピアニスト・吉田宏志)が登場する。
4. 大久保駅から歩いて3分程度。近隣で働く会社員はもちろん、家族連れの客も多い。
5. ランチメニューのなかで一番人気の『チーズクリームリゾット』650円。3種類のチーズを使った、まろやかな味わいの一品だ。『アールグレイ』は600円。

Cafe Dolce Vita

住所 東京都新宿区北新宿1-12-11 エトワールビル北新宿B1

電話番号 03-3364-1530

営業時間 11:30~14:30、19:00~深夜0:00

休日 無休

金額 夜はチャージ500円~

URL http://www1.to/dolce-vita


初心者もセミプロも一緒に楽しめる気さくなセッションが魅力
ジャコヘン

 音楽をかじったことがある人なら、一度はセッションで腕試しをしてみたい、と思うだろう。府中駅からほど近い場所にある『Jaco/Hen』では、フォービートのジャズからファンク、ブルース、ラテンまで多彩なセッションを開催。ベテランミキサーが設定した音響システムを使い、プロ気分で演奏が楽しめる。

 「いつも楽しく、みんなでお酒を飲みながらセッションしています。昔、セッションに参加して嫌な思いをしたことがある、という人でも、うちなら大丈夫。気兼ねなく参加して欲しいですね」と話すのは、マスターの保坂さん。参加者は、まったくの初心者からセミプロまでさまざま。マスターはもちろん、客同士でも声を掛け合い、場を明るく盛り上げてくれる。

 セッションのない日には、バーとして営業している。BGMは、脂の乗ったブルースやモータウン・ジャズが中心だが、客のリクエストがあれば基本的に何でもかけてくれるとか。「私自身は、ワールドミュージックが好きなんです。フラメンコや中東、アフリカの音楽なんかもよく聴いていますね」と語るマスターに、おすすめの音楽をたずねてみるのも面白いだろう。

 実はマスターの前職は、フレンチレストランのシェフだそう。牛肉のステーキや自家製生地のピザなど、満足度の高いメニューが揃っている。話題豊富なマスターと美味しい料理、そして何よりも音楽好きな仲間に会える店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明

ジャコヘン

1. 黒を基調に、シックな雰囲気。20代から60代まで幅広い年代が集い、音楽にまつわる思い出話や情報交換を楽しんでいる。
2. 音響はプロ仕様。「機材の価格は安いけど、プロが設定したからいい音が出るんですよ」とマスター。
3. 店内では、ライブ映像などのDVDを放映。好きなDVDやCDを持参してもOKだ。
4. アンプやスピーカーに加え、2~3台のギターも自由に利用OK。楽器を持っていなくても、飛び入りでセッションに参加できる。
5. オーガニックのドライトマトを使って手作りした「ドライトマトの自家製ハーブオイル漬け」300円。「キリン ハートランド」700円も人気が高い。

Jaco/Hen

住所 東京都府中市宮西町1-14-10

電話番号 042-351-3389

営業時間 18:00~深夜1:00、日・祝17:00~深夜0:00

休日 不定休

金額 席料500円

URL http://www.hpmix.com/home/jacohen/T1.htm


メキシコ音楽のライブを毎晩開催!本場の家庭料理も評判の老舗レストラン
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 浅黒い肌に形のよい口ひげ、そして陽気なトーク。ギターをかき鳴らしつつスペイン語の歌を熱唱するサム・モレーノさんは、一見するとメキシコ人に見える。が、実は生粋の日本人。民族音楽「ランチェーラ」に魅せられてメキシコで音楽修行を積み、30年以上にわたって活躍しているプロのミュージシャンなのだ。

 恵比寿にある『EL RINCON DE SAM』は、そんなサム・モレーノさんが、ランチェーラとメキシコの素晴らしさを伝えるために開いたレストラン。「ランチェーラというのは、日本でいうなら歌謡曲と演歌をミックスしたような音楽です。メキシコの庶民は、ランチェーラを聞きながらお酒を飲んだり踊ったり。毎日のように、盛り上がっているんですよ」と教えてくれた。

 店では、毎晩7時30分からと9時からの2回、サム・モレーノさんのソロ・ライブを開いている。ランチェーラはもちろん、ラ・バンバやベサメムーチョなどラテンのスタンダードナンバーも演奏。甘く艶のある歌声を間近で聴ける、ぜいたくなステージだ。

 さらに月に1度、サム・モレーノさん率いる楽団「マリアッチ・サムライ」のライブも開催。こちらは、トランペットやヴァイオリンも加えた5人編成。マリアッチの本場、メキシコ・グアダラハラで開かれた“マリアッチ・フェスティバル”にも出演した本格派だ。

 料理は、メキシコで料理を学んだ妻のルミさんが担当。メキシコから取り寄せたうちわサボテン“ノパル”を使ったサラダや手づくりのトルティーリャなど、本場の家庭料理が楽しめる。ルミさんは、ダンサーとしても出演。カラフルな衣装をまとい、サム・モレーノさんの曲に合わせてメキシコの伝統舞踊を披露する。

 「メキシコの奥深い文化を、もっと知って欲しい」とサム・モレーノさん。情感あふれる歌声と本場の家庭料理をいただきながら、メキシコを五感で感じられる店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/岡村智明

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1-2. 店名は、スペイン語で“サムの片隅=心やすらぐ所”という意味。メキシコの片田舎をイメージした、ほっとやすらげる空間だ。マリアッチのほかにも、アルゼンチン・タンゴやキューバ・ソンなど多彩なライブイベントを開催。
3. ランチェーラを熱唱するオーナーのサム・モレーノさん。CDを出しているほか、ディナーショーやコンサートにも出演している。ちなみに名前の“モレーノ”とは、“褐色の男”という意味。
4. 恵比寿駅東口から歩いて3分程度。1997年のオープン以来、メキシコの音楽や料理、文化などを、幅広く紹介している。
5. 「ノパルサラダ」1050円は、食用のうちわサボテンをアボカドやトマトと一緒に楽しめるメキシコではポピュラーな一品。ポーク、ビーフ、チキンの3種類から選べる「タコス」は840円。どちらも、「マルガリータ」945円との相性が抜群だ。

EL RINCON DE SAM

住所 東京都渋谷区恵比寿4-6-1 恵比寿MFビルB1

電話番号 03-3442-1636

営業時間 18:00~深夜0:00

休日 日曜・祝日

金額 ミュージックチャージ500円

URL http://www.sambra.jp/


築50年の古民家に流れるジャズ。心が和む昔ながらの喫茶店
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 世界有数の古書店街である神保町は、昔ながらの喫茶店が残る街でもある。白山通りから一本入った路地にある『喫茶去』も、そんなレトロな喫茶店のひとつ。昭和32年に建てられたという木造家屋には、誰にも決して真似のできない独特のたたずまいがある。

 床がきしむ音、アンティークランプの光、時代がしみこんだ梁。こんな雰囲気に似合うBGMは、やはりスタンダードなジャズだろう。JBLのスピーカーから聞こえる音は、空気がふるえるほどにクリアで上質。「会話が楽しめるように」との心遣いから音量は控えめで、ほっと心を和ませてくれる。

 1人、または2人で訪れるなら、吹き抜けの2階席をおすすめしたい。階段の隣に2人がけの小さなテーブルが1つだけあり、隠れ家のような趣き。1階のスピーカーから届く音色も耳にやさしく、つい長居したくなる。テーブル席の奥には、個室感覚で使える4畳の茶室も用意。こちらは、ちょっとした打ち合わせや会合などにぴったりだ。

 コーヒーの味も、評判を呼んでいる。ブラジル産を中心に、無農薬の豆を使用。注文ごとに豆を挽き、マスターの慣れた手つきで一杯ずつていねいに淹れていく。オリジナルの『きっさこブレンド』は深煎、中煎、浅煎と3種類あり、好みや気分に応じて選べるのも嬉しい。

 実は、現在の店は3代目。『モーツァルト』、『李白』と続いた名喫茶の伝統を受け継ぎ、2003年に開店したのが『喫茶去』である。取材時、80歳のおばあちゃんが店を訪れていた。50年前に通った『モーツァルト』を思い出して昨年探しにきたところ、店を見つけて驚いたとか。以降、毎月のように顔を出すようになったという。

時を経て店は入れ替わっても、昭和の建物やあたたかな雰囲気はそのまま。人々の記憶に残るこんな喫茶店が、これからも末永くあることを願ってやまない。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1. インテリアのひとつひとつに味があり、時が止まったかのような雰囲気。店名の『きっさこ』とは、禅の言葉で「ちょっとあがって、お茶でもどうぞ」という意味。
2. 吹き抜けの2階席。ここで聞くジャズは、1階とはまた異なる趣がある。本を読んだり会話を楽しみながら、時間を忘れて過ごしたい。
3. 2階にある茶室。俳句の会や勉強会などのイベントにも利用されている。空いていれば、少人数でも利用OKだ。
4. 一見すると普通の民家のようだが、扉を開くとジャズが流れる喫茶店。玄関前には四季折々の花が飾られ、明るい雰囲気を醸し出している。
5. 「きっさこブレンド」(深煎・中煎・浅煎)は600円。手づくりのケーキも人気で、とくに「チーズケーキ」は絶品だ。

きっさこ

住所 東京都千代田区神保町2-24

電話番号 03-3239-6969

営業時間 9:00~21:00

休日 無休

金額 コーヒー(ストレート)600円~、秋田の地ビール“あくら”650円


三線の生演奏に耳を傾けながら泡盛&家庭料理で沖縄気分
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 本土とは異なる食文化を持つ沖縄の料理。素材も味も独特だが、一度食べたらクセになってしまった、という人は多いだろう。都内を中心に6店舗を展開する沖縄料理店『ぱいかじ』の特徴は、アレンジを加えた創作料理ではなく、あくまで正統派の家庭料理にこだわっていること。沖縄出身の店長、比嘉直人さんも「うちのメニューは、沖縄のお母さんがふだん作る料理ばかり。実際、私が子供の頃によく食べていたものも多いんですよ」と話す。

 沖縄産のゴーヤを使った『ゴーヤチャンプル』や島豚をじっくり煮込んだ『ラフティー』もいいが、ここでは少しユニークな料理にもトライしてみたい。お祝いの席で食べられる珍味『ヤギ刺し』1500円や、特製のシークワーサー胡椒ドレッシングでいただく『石垣和牛のタタキ刺し』1500円は、お酒のつまみにぴったり。シメには、ご飯の上に野菜炒めの卵とじをかけた『沖縄ちゃんぽん』850円がおすすめだ。

 沖縄料理には、泡盛も欠かせない。ここでは、本島から離島まで40カ所以上の酒造所で作られている泡盛が楽しめるのだ。「泡盛の風味は、酒造所によって大きく異なります。一般的に人気があるのは、『久米島の久米仙』や『瑞泉』ですが、個人的には『咲元』がおすすめですね。泡盛独特のコクとクセがありながらほのかに甘みがあって、後味はさっぱりしているんです」と店長。迷ったときはスタッフに聞きながら、あれこれと飲み比べるのも楽しいだろう。

 BGMはもちろん、情感豊かな沖縄音楽。毎週月・水・木の夜には、三線の生演奏も行っている。時間は、午後6時30分~9時30分の間の約1時間。各テーブルを周りながら、「島唄」や「涙そうそう」「島人ぬ宝」などの名曲を演奏してくれる。

 泡盛を片手に、沖縄の家庭料理をいただく。耳に届くのは、心地よい三線の旋律。銀座の真ん中にいることを忘れて、つかの間のトリップに酔いしれたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1-2. 美しいビーチの写真に囲まれた店内。シーサーなどの民芸品も飾られ、沖縄気分を盛り上げてくれる。壁には、沖縄のサンゴから作られた石材「琉球石灰岩」を使用。
3. 泡盛のボトルがずらりと並ぶカウンター席。沖縄本島から離島まで、多くの泡盛が揃っている。
4. 三線の生演奏は、事前予約をしておけばいつでも対応可能。誕生日には、三線で“Happy Birthday To You”を演奏するサービスもある。
5. ゴーヤと島豆腐を炒めた「ゴーヤチャンプル」850円。トッピングはポーク、コーンビーフ、ツナの3種類から好きなものを選べる。泡盛はグラス500円~、600mlで2500円~。

ぱいかじ 銀座3丁目店

住所 東京都中央区銀座3-8-5

電話番号 03-3538-1353

営業時間 11:30~15:00、17:00~深夜0:00

休日 年末年始

金額 席料500円

URL http://www.paikaji.jp/


名物ママとの会話も楽しい 昭和の薫り漂う純喫茶
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 『純喫茶ロザリオ』は、今ではなかなか出会えなくなった昔ながらの喫茶店だ。造花や絵画が雑然と飾られた店内にテレビの音が鳴り響き、年季の入ったソファが並ぶ。昭和の喫茶店でおなじみのゲーム機付きテーブルも、ここではまだ現役。そこかしこに立ち込める古めかしい匂いが、古きよき時代へと誘ってくれる。

 店を切り盛りするのは、この道40年のチャーミングなママ。「昔は、年中無休の忙しいお店だったのよ。こっちの席には明治大学、あっちの席には日本大学と、いろんな大学の学生さんが朝から晩までつるんでいてね。学生さんたちが交代でアルバイトをしてくれて、いつもにぎやかだったわ」と、昔をなつかしむ。

 茶色くくすんだ壁には画用紙に書かれたメニューが貼られているが、よく見るとかなりユニーク。ハワイアンパスタや穴子スパ、しじみわかめパスタに加え、ぞうすいまで揃っているから驚きだ。「素人の思いつきで、昔はいろんなメニューを考えたのよ。今注文があっても、作れないものも多いんだけどね(笑)。でも、ミートソースで炒めてパイナップルを加えてハワイアンパスタは、結構評判がいいのよ」。うれしいのは、こうした料理がアルマイト製の皿で出てくること。その昔、給食で使われていた銀色の皿に、見覚えがある人も多いだろう。

 この店には、音楽ファンにとって興味深いエピソードもある。デビュー前のくるりが、『純喫茶くるり』と題したベントを行ったのだ。メンバー自らがキッチンに立ち、ファンに手づくりのカレーをふるまったのだとか。今もメンバーのサインが入った看板が飾られており、多くのファンが記念撮影に訪れる。

 店は今や、サラリーマンたちの憩いの場となっている。出勤前に新聞を広げたり、あるいは休憩がてら立ち寄ったり。40年前と同様、学生の姿も健在だ。迎えてくれるのは、にこにこと笑みを絶やさず話しかけてくれるママ。時代が変わっても変わらない、愛すべき場所がここにある。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1. レトロなムードが際立つ店内。昭和にタイムスリップしたような、不思議な感覚に陥る。この雰囲気を求めて通う、常連客も多い。
2. いつも元気いっぱいのママ。趣味は海外旅行で、30カ国以上を訪れたという。「南米では、お尻をフ リフリして踊ったのよ。イタリアのナポリにナポリタンがなかったことは、ショックだったわね」。
3. 店内に飾られている「純喫茶くるり」の看板。くるりのメンバーのサインが入っている。
4. すずらん通りにあり、鮮やかなブルーの壁と丸い窓が印象的。扉を開いて階段を下りると、魅惑の 純喫茶が待っている。
5. 常連に人気の「焼きスパ」600円。スパゲッティの麺を使い、キャベツやピーマンとともに焼きそ ばのソースで炒めたオリジナル料理。

純喫茶ロザリオ

住所 東京都千代田区神保町1-13 B1

電話番号 03-3293-9840

営業時間 9:00~18:00

休日 土・日・祝

金額 コーヒー350円、ナポリタン600円、カレーライス900円(デミタスコーヒー付)


本に囲まれ、バロック音楽が流れる“小腹と心を満たす”喫茶店
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 その喫茶店は、たくさんの本であふれていた。本棚に村上春樹氏の著作が揃っているかと思えば、カウンターには懐かしの「平凡パンチ表紙集」が鎮座。こちらの棚には東山魁夷氏のエッセイ集が並び、あちらの椅子には神楽坂のミニコミ誌が積まれている。ここは、本を愛する人にとっての楽園に違いない。

 昔から喫茶店めぐりが趣味で、若い頃は名曲喫茶の常連だったというマスター。50歳で仕事を辞めて、未知の世界に飛び込んだ。「周りの人たちからはずいぶんと反対されました。でも、私は人生60年だと思っています。50歳からの10年は人生の延長戦だから、自分の好きなことを頑張っていきたい。そう決めたんです」

 多彩なコレクションの中から、そのときの気分や好みに合った一冊を選び、ページをめくる。聞こえてくるのは、マスターが選んだ17世紀のバロック音楽。手づくりの料理やコーヒーを楽しみながら、時間を忘れてのんびりとくつろぐ。小腹と心を満たす店。「こんな喫茶店があったらいいな」というマスターの積年の夢が、こうして形になっているのだ。

 それだけでない。店内の本やDVDは、無料で借りることもできる。現在では手に入りづらい古本や映画作品を、自宅で楽しめるのだからありがたい。返却期限は2週間。この6年間で延べ1000人を超える会員が、“小さな図書館”のお世話になっている。

 イベントも盛んだ。毎月第3土曜には、『神楽坂おもしろ映画塾』と題した上映会を開催。1940~1950年代の古い映画など、レンタルショップでは見かけない面白い作品を発掘している。参加費は500円で、食べ物や飲み物の持ち込みも自由。性別や世代、国境を越えた映画好きが集い、夜な夜な語り合っている。

 ほかに、クラシックやボサノバ、シャンソン、フラメンコなどのライブを行う『キイトス音楽会』、専門家の話を聞きながらお茶を楽しむ『キイトス茶話会』なども行う。ただコーヒーを飲むだけでなく、大人たちの知性や感性を磨いてくれる場でもあるのだ。

「神楽坂で一番、回転率が悪い店」とは、マスターの弁。なるほど、周囲を見渡せば、誰もが自分の時間にどっぷりと浸っている。ひたすらボーっとしている人の姿もあれば、パソコンで作業をする人の姿も、『キイトス茶房』の一日は、こうしてまた過ぎていく。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1.本棚や机、椅子などは、フルオーダーで作らせた一点もの。店内では、須田帆布のシャツやバッグも販売している。ちなみに店名の「キイトス」とは、フィンランド語で「ありがとう」の意味。
2-3.珈琲以外にもハートランドの中ビンと日替わりのおつまみをセットにした「いのちの水セット」700円や、日本酒、ワイン、焼酎のセットもある。
4.店内は、ギャラリーとしても利用されている。「情熱を持っている若い人たちに利用して欲しい」とマスター。貸し出し料金も格安だ。
5.大江戸線牛込神楽坂駅から神楽坂通りを上り、わずか1分の場所にある。東西線神楽坂駅やJR飯田橋駅からも徒歩圏内。

キイトス茶房

住所 東京都新宿区箪笥町25番地 野吾ビル2階

電話番号 03-5206-6657

営業時間 11:00~21:00

休日 毎月第1・3土曜

金額 コーヒー500円、神楽坂カレー1000円、青春焼きそば丼1000円など

URL http://kiitosryo.blog46.fc2.com/


現代アートとふれあいながら面白い音楽に出会えるカフェ
現代HEIGHTS

 迷路のような路地に、個性的な店がひしめく街“シモキタ”。今や若者の街としてすっかり定着しているが、駅から10分ほど歩くと、昔ながらの住宅街が残っているのに気が付く。

 『現代HEIGHTS』は、そんな静かな住宅地で異彩を放つカフェ&ギャラリーだ。エントランス近くには蛍光灯に照らされた「Gallery Den.ST」、カフェの奥にはやや広めの「Gallery Den」と、2つのギャラリーを用意。映像や彫刻、リトグラフなどの多彩な現代アートを展開している。

 カフェとギャラリーの間を仕切るものは、何もない。カフェのイスに座って遠くから眺めるのも、ドリンクを手にしたままギャラリー内を歩き回るのも自由。ここではアートは特別なものではなく、ごく当たり前のものとして日常に溶け込んでいるのだ。

 「アートを鑑賞するためにわざわざ出かけるのではなく、たまたま来たら何か面白そうなことをやっている。そんな場所でありたいと思っています」。そう話してくれたのは、店長の藤井教子さん。まだ日本にギャラリーが少なかった時代から、独自の表現をしている作家たちに発表の場を提供してきた。展覧会の予定は、数ヶ月先まで常にいっぱい。内容は2週ごとに変わるから、何度訪れても飽きることはなく、新たな発見がある。

 「ゆっくりと過ごせるように」との心遣いから、メニューも充実。150種類のドリンクをはじめ、有機野菜を使ったカレーライス、手づくりのスイーツなどが揃い、“ちょっと一杯”から“きちんと食事”まで対応してくれる。なかでもコーヒーは、専門店顔負けの味わい。ペルーから取り寄せた豆を店長自らブレンドしたコーヒーは、その名も“ふじ・ブレンド”。毎日少しずつ自家焙煎したものを注文ごとに挽くから、いつでも香り高い一杯が楽しめる。

 エントランスの手前には、CDショップ「アクアミカンス」も併設している。テーマは、“すごく面白いのに、日本ではあまり知られていない音楽”。東ヨーロッパ系を中心に、日本のメディアではなかなかお目にかかれないものばかりだ。

 現代アートとこだわりのコーヒー、そして世界中から集めた音楽。さまざまな出会いが転がっている場所だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

現代HEIGHTS

1.コンクリート打ちっぱなしの建物を改装。スタッフの手で、シンプルであたたかみのある空間に生まれ変わらせた。
2.カフェスペース内に並ぶボックスにも、数々の作品が展示されている。雑誌「美術手帖」のバックナンバーもずらり。
3.展示内容は2週ごとに変わる。3/26~31には、NPO法人「日本ユーゴ・アートプロジェクト」活動の一環として、ユーゴの映像作家を紹介。
4.CDショップ「アクアミカンス」は、ディストリビューターのロクス・ソルスがプロデュース。一部のCDは試聴もOKだ。
5.「グリルベーコン 焼き野菜添え」735円には、店長の友人が作ったスモーキーワイルドベーコンを使用。塩気をきかせたジュージーな味わいで、「ハートランド」682円にぴったり。

現代HEIGHTS

住所 東京都世田谷区北沢1-45-36

電話番号 03-3469-1659

営業時間 13:00~深夜0:00

休日 水

金額 メニューの一例:ふじブレンド(ストロング、マイルド)525円、キャラメルミルクティ630円、カクテル650円~

URL http://www.gendaiheights.fc2.com/


惜しまれつつ幕を引いた名曲喫茶『クラシック』その志を継ぐ店『ルネッサンス』が、高円寺に誕生
高円寺 ルネッサンス

 黄色い看板を眺めながら階段を下りると、「グレゴリオ聖歌」が大音量で鳴り響いていた。擦り切れたレコードが奏でるノイズ混じりの旋律が、かえって心地よい。薄暗い店内に足を踏み入れ、年季の入った革張りのソファに腰を下ろす。埃をかぶったランプ、錆び付いた蓄音機、そしてバラバラの時刻を示している幾つもの古時計。使い込まれた調度品の数々からは、昭和の薫りが漂ってくる。

 『高円寺 ルネッサンス』は、2007年11月に誕生したばかりの名曲喫茶だ。オーナーは、かつて中野の名曲喫茶『クラシック』でスタッフとして働いていた、2人の女性。『クラシック』という店名に、ピンと来る人もいるだろう。2005年1月にひっそりと幕を引いた、伝説の名曲喫茶。戦後すぐに建てられたその店は、今にも崩れ落ちそうなほど古く、床も天井も傾いていたという。メニューはコーヒー、紅茶、ジュースの3品のみで、食べ物は持ち込み自由。風変わりな店だったがなぜか居心地がよく、多くの若者がクラシック音楽を学びながら青春を謳歌していた。

 ここには、『クラシック』で使われていた調度品が、昔のままの姿で息づいている。約3000枚に及ぶレコードコレクションも、もちろん健在。老朽化していたアンプは新調したものの、「“クラシック”の音を再現して欲しい」と職人に頼んで作らせたというこだわりようだ。メニューが3種類しかなく、食べ物の持ち込みが自由、という点も、『クラシック』の流儀を引き継いでいる。

 とはいえ、「あの『クラシック』が高円寺で復活したのか!」と、早とちりしてはいけない。2人の女性オーナーは口をそろえる。「私たちにとって、『クラシック』こそが最高の喫茶店。あの店を超える喫茶店は、後にも先にも存在しないと思っています。だから、復活させることなんて出来ないんです」。

 実は、『ルネッサンス』とは、『クラシック』の創業者である故・美作七朗氏が、戦前に初めて開いた名曲喫茶の名前。その店があった場所も、高円寺だったという。「名曲喫茶といっても、うちは会話OKだし敷居が低い。基本的にほったらかしなので、長居しやすいと思います」と2人のオーナー。伝説の名曲喫茶が刻んできた歴史を背負いつつ、これからどのような未来を開いていくのか。新たなストーリーはまだ、始まったばかりだ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

高円寺 ルネッサンス

1.店内は吹き抜けで、階段をのぼると回廊式の席が設けられている。じっくりと音楽に向き合いたいなら、スピーカー前の席がおすすめ。
2.棚には、年季の入ったレコードが並ぶ。もちろん、リクエストもOK。手書きの曲目リストを見ながら、自分で黒板に書くシステムだ。
3.『クラシック』で使われていた真空管のアンプ。老朽化してしまった現在は、店の片隅にひっそりと飾られている。
4.店内に飾られている絵は、故・美作七郎氏によるもの。本業は画家であり、『クラシック』は美作氏のギャラリーも兼ねていた。
5.「コーヒー」400円は、昔ながらアメリカン。「ジュース」400円は、子供時代の記憶を喚起してくれる懐かしい味わいだ。どちらも、『クラシック』の味を再現している。

高円寺 ルネッサンス

住所 東京都杉並区高円寺南2-48-11掘萬ビルB1F

電話番号 03-3315-3310

営業時間 12:00~23:30

休日 月(祝日の場合は営業)

金額 紅茶400円、各種おかわり200円


焼き立ての天然酵母パンが人気 スローな時間が流れるカフェ
CORB

 小石川界隈は、江戸時代には寺社や武家屋敷が置かれていた歴史あるエリア。夏目漱石や石川啄木など、文豪ゆかりの地としても知られている。高層マンションが建ち並ぶ現在でも、少し小道に入るだけでかつての名残を感じることができるだろう。

 『CORB』は、そんな古きよき時代の匂いが残る閑静な住宅街に、ひっそりと佇むカフェだ。その昔、美容院として使われていた建物をリノベーション。建具や窓枠など古い素材の魅力をそのまま生かしつつ、シンプルであたたかみのある空間へと蘇らせた。

 柔らかな光が漏れ、“静寂”という言葉がぴたりとはまる店内。そこに、ジャズやボサノバ、民族音楽などの旋律が静かに響く。スローな空気に身を委ねていると、時間の感覚を失いそうだ。

 この店で調理から接客、選曲まで一人で担っているのは、オーナーの佐竹環さん。出身地の北海道でパン作りを学び、パリのブーランジェリーで2年間修行を積んだのち、2007年11月に店をオープンさせた。「人間の体にとって悪いものを、わざわざ入れる必要はない」とのポリシーから、ベーキングパウダーなどの添加物をいっさい使わず、天然酵母のパンを作り続けている。

 人気メニューは、この天然酵母のパンにオーナーの実家から取り寄せた無農薬の野菜を合わせたサンドウィッチ。余分なものを何も加えずに焼き上げたパンは、素朴で力強い味わい。噛むほどに酸味と甘味が絡み合い、濃厚な野菜とともにやさしい余韻を残す。体に良くて、おいしいものを食べて欲しい。オーナーのそんな思いが、伝わってくるようだ。

 すべて手づくりにこだわっているため時間はかかるが、焦ることはない。幸い、夜10時まで営業している。たまには時間を忘れて、こんなカフェで過ごしてみたいものだ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

CORB

1.アンティークのイスやテーブルが並ぶ。内装は、オーナーのご主人で建築家の佐竹勝郎さんが担当。
2-3. 入り口の販売スペースでは、スコーンや焼き菓子、北海道産無農薬の豆、手づくりのジャムなどを販売。焼き立ての食パンは、毎日10斤限定で販売。人気が高いので、事前に予約しておこう。
4.店内では写真家・親泊健さんの写真集を展示・販売している。
5.天然酵母のパンを使った「温かいサンドウィッチ」870円。具はハムチーズと季節の野菜、2種類が用意されている。よく冷えた「ハートランド」650円と一緒に楽しみたい。

CORB

住所 東京都文京区小石川2-3-24

電話番号 03-5684-2870

営業時間 12:00~20:00

休日 火(臨時休業あり)

金額 コーヒー580円(深め600円)、紅茶(ポット)650円、ワイン(グラス)600円

URL http://www.h6.dion.ne.jp/~pkoneko/


靴を脱いでリラックスできるひとりひとりにとっての“部屋”
cafe apartment

 靴を脱いであがり、座布団に腰を沈める。装飾を控えたニュートラルな空間は、カフェというよりも誰かの部屋のよう。封筒に入ったメニューから好きなもの選び、足をくずしてまったりと過ごす。自分だけの時間が、ゆっくりと流れていく。

 「コンセプトや色は、あえて持たないようにしています。ここは、誰の空間にでもなりうる場所なんです」。そう話してくれたのは、接客も調理も一人でこなしている店長の杉山美奈子さん。若い人だけでなく、あるときは会社帰りのサラリーマンが新聞を広げ、またあるときは初老の女性が会話に花を咲かせる。何かを声高に主張するのではなく、たださりげなくそこにあることで、人々の心を潤してくれる存在なのだ。

   音楽にしても、考え方は同じ。例えば、1人で食事をしていたら邪魔にならないように静かな曲をかけ、カップルがお酒を楽しんでいたらムーディーなジャズをかける。店の好みを押し付けるのではなく、あくまで客にとって心地よい音楽を心がけている。

   穏やかな時間に彩りを添えてくれるのが、心を込めて作られた料理だ。「本格的なフランス料理が出せるわけじゃないんです(笑)。だからこそ、ありふれたものでも時間をかけてゆっくり作ることが、私のできるサービスだと思っています」と杉山さん。すべて1人で用意するため時間も手間もかかるが、こだわりは曲げない。

 2時間くらい滞在するのは、この店ではごくありふれたことだ。「お昼過ぎにいらっしゃってカレーを注文し、本を読みながらコーヒーを楽しんで、日が暮れると夕食を食べ、食後にカクテルを飲む、なんていうお客様もいらっしゃいました。その方は、『おじゃましました』と言って帰っていかれたんですよ」。“ごちそうさまでした”ではなく、“おじゃましました”というのが、いかにもこの店らしい。高円寺の片隅に用意された、ひとりひとりの“部屋”。それが、『cafe apartment』なのだ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

cafe apartment

1.設計を担当したのは、大学で建築を専攻していたオーナー。狭さを感じさせないよう、目線を低くするなどの工夫がなされている。
2.座布団が苦手な人には、大きな窓際に設けられたソファ・イス席がおすすめ。道行く人々を眺めながらのんびりと過ごせる。
3.古本屋で手に入れた洋書や絵本が並ぶ。今や入手困難な大友克洋の「ヘンデルとグレーテル」もあり、これを目当てに訪れるファンも多い。
4.各テーブルには、紙製のランチョンマットと鉛筆が置かれており、自由に落書きが楽しめる。「みなさんが書いてくれたコメントや絵は、私の宝物です」。
5.牛すじ肉をじっくりと煮込んだ「トマトとチーズの焼きカレー」(1080円)。トマトの酸味と濃厚なチーズが一体となり、引き締まった味わいを生み出している。「キリンラガー(生ビール)」は600円。

cafe apartment

住所 東京都杉並区高円寺北3-2-15 明和ビル201

電話番号 03-3339-8339

営業時間 15:00~23:30(LO23:00)、土日祝は13:00~

休日 水

金額 コーヒー(ホット、アイス)500円、黒ごまきなこミルク650円、ホットワイン700円、ふわふわたまごのオムライス880円、おつかれご主人様セット1480円など

URL http://cafeapartment.com/


サイケデリックな内装になつかしのサウンド60年代にトリップできる気軽な喫茶&バー
喫茶・軽食 グリーンアップル

 真っ赤なソファと緑色のランプが主張する、サイケデリックな空間。丸みを帯びたブラウン管のテレビからは、なつかしのプログラムが流れる。ステージに鎮座するドラムセットは、グループサウンズ世代にはたまらないPEARLのバレンシア。ここにいるだけで、誰もが輝かしき“あの時代”へとタイムトリップできるだろう。

  『喫茶・軽食 グリーンアップル』のオーナーは、60年代をこよなく愛する鈴木美穂さん。「内装は、60年代の日本映画に出てくる喫茶店をイメージしました。あえて、垢抜けない雰囲気を狙ったんですよ」と話す。BGMも、ほぼすべてが60年代の曲。ビートルズをはじめ、ポップスやソフトロック、サイケポップなど、多彩な名曲が鳴り響き、1日中60年代の雰囲気に浸ることができる。

 それにしても、当時をリアルタイムでは体験していない鈴木さんが、なぜ60年代に惹かれるのか。素朴な疑問をぶつけると、こんな答えが返ってきた。「日本の高度成長期だった60年代は、すべてにおいて勢いがあった時代だと思います。何にでもチャレンジし、どんどん成長していく感じが魅力ですね」

 看板イベントは、毎月第2・4水曜の夜8時から行われている“Go Go Apple!”。近田春夫&ハルヲフォンのドラマーが率いる専属バンド「恒田義見とゴーゴーアップルズ」が、洋楽ポップスからからグループサウンズ、アイドルロックまで、60~70年代のカバー曲を披露する。飛び入りで歌ったりタンバリンを叩く客もいるという、アットホームなイベントだ。客席からのリクエストもOKで、ライブチャージはたったの500円。この金額なら、あれこれ思い悩むことなく気軽に参加できるだろう。

 もうひとつ、忘れてはいけないのが人気メニューの「ナポリタン」だ。懐かしくも本格的な味わいは、打ち上げで訪れた某落語家からも絶賛されたとか。今宵は、“ゴールデン・エイジ”60年代の世界に出かけてみてはいかがだろうか。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

喫茶・軽食 グリーンアップル

1.音の跳ね返りが少ないため、スタジオのように美しい音が楽しめる。今年でオープン5年目。20代~60代まで、幅広く愛されている店だ。
2.PEARLのドラムセットをはじめ、楽器やスピーカー、アンプのほとんどはヴィンテージ品。ロックやアコースティックなど、さまざまなライブが行われている。
3.レトロなフォルムがたまらない、日本製のテレビ。1960~70年代のテレビ番組が放映され、ノスタルジーを誘う。
4.白いカウンターテーブルをはじめ、内装はすべて手づくり。ゆったりと過ごせるようにと、テーブルやイスの高さも計算されている。
5.リピーターも多い、大人気の「ナポリタン」600円。ひと皿ずつていねいに作るため時間はかかるが、待つだけの価値あり。「アンチョビ入りオリーブ」300円、「キリンクラシックラガー(中ビン)」650円。

喫茶・軽食 グリーンアップル

住所 東京都杉並区高円寺南4-9-6 第三矢島ビル2F

電話番号 03-5305-8086

営業時間 月・木・金16:30~深夜1:00、土・日・祝15:00~深夜1:00

休日 火・水(イベント・貸し切りの場合は営業)

金額 イベント開催時のみチャージあり

URL http://greenapple.gr.jp


下北沢でサンジェルマンの雰囲気に浸る絵画と映画、音楽に囲まれたギャラリーカフェ
Café PIGA

 パリにはきっと、こんなカフェがあるに違いない。オードリー・ヘップバーンの写真や古いレコードジャケット、色とりどりのオブジェが無造作に飾られた、小さな隠れ家。耳元に流れるのは、もちろんジャズ。ピカソの画集や手塚治虫の漫画などが並んだ本棚からも、オーナーのセンスを伺い知ることができる。

 「パリは、サラリーマン時代からよく訪れていた街なんです。なかでも好きなのは、サンジェルマンなどの下町界隈。こうした町にあるカフェの雰囲気を再現したいと思い、店をつくりました」。温和な笑顔でこう話してくれたのは、マスターの上賀さん。若者が多い下北沢の地で、50代にして大人もくつろげるギャラリーカフェをオープンさせた。「ジャズが好きで、14歳の頃から大人に混じってジャズ喫茶に通っていました。映画を観たり絵を描くことも、昔から大好き。以前は、個展も開いていたんですよ」。絵画と映画、そしてジャズ。自らが愛するものを集めたこの店は、マスターにとってのアトリエでもあるのだ。

 この店を訪れたら、マスター手づくりのカレーもはずせない。20種類の野菜とひき肉を4時間かけて煮込んだ、こだわりのルーが人気。ひとくち目にはほんのりと甘味を感じるが、次第に辛さが押し寄せてくる。2種類のチーズをトッピングして、パリっと焼き上げた「チーズカレードリア」をはじめ、7種類ものカレーを用意。ランチタイムにはドリンクサービスもあり、これを目当てに足繁く通うリピーターも多い。

 店内では随時、若手アーティストの展覧会を開催。また、月に2、3度の割合でアコースティックライブや演劇などのイベントも開かれている。アートと音楽、文化の融合が楽しめて、そのうえおいしいカレーも待っている。こういう店を知っていると、ちょっぴり得した気分になれる。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

Café PIGA

1.パリの下町を思わせる、気取らない雰囲気。こぢんまりとしているが、テーブル間隔が広いため窮屈さは感じない。
2.本棚に並ぶ書籍や雑誌は、自由に閲覧できる。オーナーが古本で見つけた美術書からジャズ雑誌まで、ジャンルはさまざま。ひとりで訪れても、充実した時間が過ごせるだろう。
3.天井や壁など、いたるところにアートが散りばめられている。コーヒーやビールを飲みながら、気軽に楽しめるのがうれしい。
4.下北沢駅北口から、歩いて3分程度。古着屋の地下にある。
5.「チーズカレードリア」800円。スパイシーなルーがチーズと溶け合い、やさしい味わいを醸し出す。「ハイネケンビール」は500円。

Café PIGA

住所 東京都世田谷区北沢2-24-6 北口ビルB1F

電話番号 03-3468-7071

営業時間 月~金13:00~16:00、18:30~23:00/土・日13:00~23:00

休日 火

金額 ライブチャージはイベントによって異なる

URL http://www.piga.or.tv/


フレンチ+和の創作料理を味わいながらなつかしの名曲に酔いしれる
GREEN SPOT

 代々木駅からほど近い場所に、人生の山谷を超えてきた大人たちが夜ごと集う店ある。30年以上の歴史を誇る、老舗のダイニングバー『GREEN SPOT』。店内はいつも、ワインやビールを片手に語らう人々の熱気でいっぱいだ。

 店の中央には四季折々の花が生けられ、アンティークのランプがクラシックな雰囲気を醸し出す。スピーカーから流れるのは、ジャズやボサノバなど耳にやさしい音楽。洒落た店ではあるが、一見しただけでは“どこにでもある普通のバー”と思うかもしれない。

 しかし、時が経つにつれてこの店の印象は変化していくに違いない。何より、料理が印象的だ。契約農家から取り寄せた京野菜をふんだんに使った、きめの細やかな創作料理。ある皿ではフレンチの伝統料理に和のソースを合わせ、また別の皿では和食をフレンチ風の盛り付けで仕上げている。メニューに共通しているのは、京野菜という極上素材の持ち味を、さまざまな表現方法で引き出していること。「フォアグラと豆腐の重ね焼き」980円や、「色々京野菜のバーニャカウダ」890円などいずれも個性的で、お酒との相性も抜群だ。迷ったときには、「シェフのおまかせコース」4090円を頼むのもいいだろう。

 毎月第2金曜には、約25年間前から恒例となっている「ダニー石尾とその仲間たち」のライブが開かれている。ダニー石尾といえば、“小さな日記”でブレイクしたフォー・セインツのメンバーで、現在はDJとしても活躍中。オリジナル曲はもちろん、1960~70年代のアメリカンポップスやカントリーなどのカバー曲が毎回披露される。このライブを見るために、幾度となく足を運ぶ常連客も多いそうだ。

 さらに、1月中旬には伝説のデュオ「トワ・エ・モア」のライブも開催される。白鳥英美子と芥川澄夫が奏でる美しいハーモニーが、この小さくも魅力的な店とどのように融合するのか。今から楽しみでならない。

 スタッフはみなフレンドリーで、つかず離れずのサービスは好評。いつ訪れても美味しい料理とお酒が用意され、ときにはなつかしの音楽が待っている。そのうえ、価格は良心的。仕事帰りに、気の合う仲間と出かけたくなる店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/下村 孝

GREEN SPOT

1.カウンター席を彩るフラワーアレンジメントは、毎週リニューアルされる。
2.3.ヨーロッパのアンティークや絵画が飾られ、落ち着いたムード。窓に面したカップル席やソファ席などで、のんびりとくつろげる。お昼時には、リーズナブルな洋食ランチが好評。
4.代々木駅から歩いて3分程度。大通り沿いにあるため、入りやすい雰囲気だ。レストランとしてもバーとしても、利用しやすい一軒。
5.香ばしく焼きあげた鶏肉に、旬の京野菜をたっぷりと添えた「若鶏のパリパリ焼き 柚子こしょうソース」1380円。自家製の柚子こしょうをきかせた一品だ。「キリンクラシックラガー(中ビン)」は680円。

GREEN SPOT

住所 東京都渋谷区代々木1-21-12 ガイアビル1F

電話番号 03-3379-0013

営業時間 11:30~23:00

休日 無休

金額 ライブチャージ2100円

URL http://www.green-spot.jp/


老舗のトルコ料理レストランでベリーダンスの宴を堪能
ボスボラス・ハサン 新宿店

 世界三大料理のひとつに数えられ、今や都内のいたるところで味わえるトルコ料理。野菜と豆をたっぷりと使うことから、日本人にもなじみやすいヘルシーな料理といわれている。

 新宿三丁目にある『ボスボラス・ハサン』は、トルコ料理を日本に広めた先駆者だ。オーナーシェフのハサン・ウナルさんは14歳から料理人の道を歩み、イスタンブールでレストランを経営。1987年にトルコ料理店のシェフとして来日し、1993年には念願の独立を果たした。

 「当時の日本では、トルコという国もトルコ料理もほとんど知られていませんでした。オープン当初は大変で、お客さんが2、3人しか来ない日もあったくらいです(笑)。そこで、トルコ料理の味を守りながらも、塩や油を控えめにするなどの工夫を重ねていきました。その結果、少しずつお客さんが増えていき、1年半後には連日満席が続くようになったんです」と話す。

 メニューを開くと、その多彩さに驚かされる。スパイスをきかせた肉料理やなすやトマトがたっぷりの野菜料理に加えて、イワシやサバを使った魚料理も充実。定番の「ドネルケバブ」(1470円)はもちろん、羊肉の角切りといっしょに野菜を煮込んだ鍋料理「チョバン ガウルマ」(1470円)や、木の葉形の生地にチーズや挽き肉を包んだ「トルコピザ」(1575円)も試してみたい。

 毎週水・金・土の夜8:00~9:00の間には、ベリーダンスのショーも開催される。約25分間と短めだが、ショーチャージは無料。目の前で繰り広げられるダンスは激しくも官能的で、女性の美しさを再確認させてくれるだろう。今宵はエキゾチックな夜に、どっぷりと浸りたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

BOSPHORUS HASAN

1.店内は、アットホームな雰囲気。市ヶ谷店に2号店があるほか、11月には新宿三丁目に3号店がオープンする。こちらは、トルコ風パンやサンドイッチ、のびるアイスクリームなどを提供する、カジュアルスタイルの店になる予定。
2.壁を彩るタイルや絵皿、天井から吊り下げられた銅製のライトは、トルコから輸入したもの。イスタンブールのレストランにいるような、異国情緒に浸ることができる。
3-4.1~2名のベリーダンサーが登場。目の前で腰を振り、情熱的なダンスを披露する。ショーの日は混雑するので、事前の予約がおすすめ。
5.手前から、日替わりの前菜を盛り合わせた「キュチュック メゼ」1365円、豆のサラダ「ピアズ」880円、焼きたてパンの「エキメッキ」(1個210円)。「キリン一番搾り」630円とともに。

BOSPHORUS HASAN

住所 東京都新宿区新宿3-6-11第一玉屋ビル2F

電話番号 03-3354-7947

営業時間 17:00~23:30(土・日は11:30~14:30も営業)

休日 無休

金額 コース料理3150円~、ランチ840円~(土・日・祝のみ)

URL http://www.bosphorushasan.com/


最高レベルの音響設備と香り高いコーヒー 約30年間愛され続ける気さくな名曲喫茶
PIANO FORTE

 一見した印象は、オフィス街にあるごく普通の喫茶店。通りすがりの人々は、ここが歴史ある名曲喫茶だとは気づかないだろう。

 だが、そこに鎮座する名器を目にしたとき、音楽ファンなら誰しも感嘆の声をあげるに違いない。マッキントッシュの“XRT-22”と“MC2600”という、至高の組み合わせ。店内には1000枚前後のCDやDVDが並び、かぶりつきで楽しむことができる

 「音質はクリアで、とにかくスケールが大きい。とくに室内オーケストラのCDを聴くと、演奏が目の前で再現されているような感覚が味わえます。ビバルディの『四季』などは、楽器の位置まで分かるくらいなんですよ」と教えてくれたのは、マスターの中村哲也さん。なるほど、目を閉じると、オーケストラが自分のためだけに演奏してくれているような錯覚に陥る。スピーカーに対峙して座り、集中して聴いている客が多い、というのも納得だ。

 店名に“炭火焙煎珈琲”と銘打っていることからも分かるように、コーヒーのクオリティも相当なものだ。「昔からコーヒーが好きだったから、店ではおいしいものを出そうと決めていました。大切なのは豆の品質と鮮度です」と中村さん。神戸の老舗・萩原珈琲から取り寄せた新鮮な豆を、淹れる直前に挽く。決して手を抜くことなく、慈しむように淹れる手つきからは、コーヒーに対する愛情と熱意が見てとれるだろう。苦味と甘味のバランスが絶妙な「アイリッシュ・コーヒー」や、フワフワに泡立てた生クリームがたっぷりとのった「コーヒーゼリー」も、隠れた人気メニューだ。

 『ピアノフォルテ』の歴史は1979年、杉並・西永福から始まった。その後赤坂、奥沢、新宿6丁目と移転を重ね、現在の場所に腰を下ろしたのは2007年3月のこと。靖国通り沿いにあり、堅苦しさとは無縁のゆるりとした空間だ。仕事帰りに、あるいは休日の午後に、ふらりと訪れてみてはいかがだろうか。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

PIANO FORTE

1-2.マッキントッシュの名器が置かれているのは、入口を入って右側の席。左側の席は一般の喫茶店と変わらない雰囲気で、打ち合わせをするサラリーマンなどで賑わっている。音楽ファンなら迷わず、入口を入って右側の席を確保したい。
3.32インチも大型モニターも設置。コンサート映像などをDVDで楽しめる。
4.店の中央にあるのは、ダイヤトーンとNHKが共同開発した “2S‐305”。日本製スピーカーの傑作と呼ばれており、専門家からの評価も高い。
5.「炭火焙煎珈琲」500円と「アイリッシュ・コーヒー」600円。「自家製マドレーヌ」1皿(2つ)200円は、創業当時から変わらない優しい味わいだ。

炭火焙煎珈琲 ピアノフォルテ

住所 東京都新宿区新宿1-34-10 合川ビル2F

電話番号 03-6303-7937

営業時間 9:30~20:00、土・祝11:00~19:00

休日 日

金額 珈琲・紅茶500円、カフェ・オ・レ600円

URL http://piano79.hp.infoseek.co.jp/


築100年の古民家をそのまま生かしたボサノバが流れるノスタルジックな喫茶店
喫茶 谷中ボッサ

 江戸時代より寺町として知られ、今も70数軒の寺が建ち並ぶ町・谷中。関東大震災や戦火を免れたこの町には、古い長屋や細い路地が昔のままの姿で残されている。最近は、下町情緒が味わえる散策コースとして、外国人観光客からも人気が高い。

  『谷中ボッサ』は、そんな谷中の町に佇む、小さな小さな喫茶店だ。木の扉を開けると、そこは誰にも邪魔されない穏やかな空間。築100年の民家を改装した店内は居心地がよく、音量を絞ったボサノバは耳元で囁くように優しい。周りを見渡せば、地図を広げながら考えごとをする人、一眼レフで撮影に興じる人、道行く人々をぼんやりと眺める人……。それぞれが自分だけの時間にどっぷりと浸りながら、店の空気に溶け込んでいる。

 「コーヒーを飲みつつ、長居してくださるお客様が多いですね」と話すのは、物腰柔らかなマスター。音楽はもちろん、コーヒーやアマゾンの自然、サッカーなどブラジルのすべてを愛して止まない、筋金入りのブラジル・フリークだ。「うちのコーヒーはすべて、無農薬・有機栽培の豆を使っています。有機のコーヒーはヘンな酸味や苦味がないから、体に良いだけじゃなくておいしいんですよ」と教えてくれた。料理に使う野菜も、なるべく無農薬や減農薬にこだわるなど、細やかな心配りが嬉しい。ブラジル・北東部バイーア地方の郷土料理「ムケッカ」や、手作りのケーキにもファンが多いという。

 週末の夕方を中心に、不定期でライブも開催している。ボサノバはもちろん、キューバ音楽や韓国太鼓、弦楽と詩のコラボレーションなど、ジャンルは多彩。アンプやマイクに頼らず、小さな店ならではの親密なムードを大切にしている。

 静かに流れる音楽を聴きながら、まったりと過ごすひととき。傍らには、体にも舌にも嬉しいコーヒーと料理。散策の途中に、ぜひ立ち寄りたい隠れ家だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

喫茶 谷中ボッサ

1-2.店名の“ボッサ”とは、ポルトガル語で“隆起”や“らくだのこぶ”、転じて“波”や“傾向”という意味。「谷中の町で新たな潮流を生み出したい」というマスターの願いが込められている。
3.イギリスの有名メーカー“B&W”のスピーカーを設置。クセがなくどんな音楽にも合うため、プロのミュージシャンからも評価されている。
4.革張りのソファ席も用意。ひとりで来ても仲間と訪れても、きっとお気に入りの場所が見つかるだろう。
5.上質な酸味とシトラスの香りが楽しめる「モカシダモ」500円と、自家製の「本日のケーキ」500円。

喫茶 谷中ボッサ

住所 東京都台東区谷中6-1-27

電話番号 03-3823-5952

営業時間 11:30~20:00

休日 火(水は月に1日農作業のため不定休)

金額 ライブは公演によって、チャージ無料の「投げ銭制」と「チケット制」の2種類がある。ライスカレー(ひとくちサラダ付)700円、キッシュ&サラダ700円など

URL http://www.yanakabossa.jp/


プロミュージシャンがセッションすることも! ゆるりとした島時間が流れる自由が丘の「リトルハワイ」
Islands cafe

 自由が丘のリトルハワイともいわれる「アイランズ・カフェ」。ハワイ島にあるカフェをイメージしたという店内に入ると、真っ白の壁にカラフルなリボンレイやウクレレ、ギターなどの楽器が飾られている。真空管のアンプから流れるのは、ハワイアンミュージック。ゆるりとした島時間が漂う店である。

 マスターの土肥彰さんは、70年代にサンフランシスコやハワイを放浪した元ヒッピー。ヒッピー&サイケデリック文化を代表するアーティスト、グレイトフル・デッドと共に、サンフランシスコのヘイト・アシュベリーでヒッピー生活をしたこともあるという。「当時のハワイの音楽といえば、ライ・クーダーとスラック・キー・ギターの名手ギャビー・パヒヌイが共演するなど、ロックとハワイアンがクロスオーバーしていて、非常におもしろかったんです」と語るように、70年代の音楽をリアルタイムで経験してきた。そんな希少な体験をいかし、「誰もがリラックスできる場を作りたい」とオープンしたのがこのカフェなのだ。

 昼間はロコモコやアヒポキ丼など、10種も揃うお得ランチ目当てに、午後はお茶やビールをゆったり楽しむ客で賑わう。マスター自ら教えるウクレレ教室も毎日開催し、生徒は5才から80代までと幅広い。さらに魅力的なのが夜。世界中にヒッピー(音楽好き)仲間がいるマスターの情報網をいかし、各国から届くレアな音楽映像をスクリーンで鑑賞したり、アーティストの世界ツアーのレア情報を語り合ったりするのだとか。週末の夜ともなれば、マスターの友人であるプロのミュージシャンが集り、自然とセッションが始まることも。あらゆる世代の人々が一緒に笑える希有な空間だが、その独特な雰囲気の秘密は「ハワイに向かって穴があいているからかも」とマスターは笑う。アロハスピリッツあふれるこのカフェにいるだけでなぜか元気になれる、そんな店だ。

取材・文/高橋かおり 写真/関根則夫 

Islands cafe

1.リラックス度満点の店内。BGMはハワイアン。大橋節夫やバッキー白片など、日本の古いハワイアンのアナログレコードもある。ジャスやハワイアンなどのライブも定期的に開催。
2.壁にかかるリボンレイは、奥様律子さんの手作り。毎週第1・3火曜日に、リボンレイメイキング教室を開催している。
3.マスターの土肥彰さん。ウクレレ教室は、1時間¥1050で毎日開催(予約制)。カフェをオープンする前は、某メーカーに勤務しながら、スタジオミュージシャンとしても活躍。ミュージシャンの友人が多いのはそのためだとか。
4. アンプは真空管。スピーカーは、B’Zの松本孝弘のギターを作ることでも知られる職人によるもの。音が良いため、プロのミュージシャンが、モニタールーム代わりに使うことも。
5.「グアバソーセージ」¥630と、「ハートランド・生ビール」¥630。ハワイのビール5種をはじめ、タヒチ、キューバ、トリニダード・トバゴ、ジャマイカなどの島ビールもユニークだ。

Islands cafe

住所 東京都目黒区自由が丘1-28-8 自由が丘デパート2F

電話番号 03-5731-8618

営業時間 12:00~深夜0:00

休日 月曜

金額 チャージ10%(22:00~)、ランチ¥840(+160でハートランド生ビールほかドリンク付き)、ロコモコ¥840、ハンバーグプレート¥840、スパムプレート¥840、トルティーヤ・チップス¥420、ハイネケンビール¥630、ハイネケン・ダーク¥735


ジャズやロック、ポップスの大物が出演 マイルス・デイビスが杮落としをしたライブハウス
Blues Alley Japan

 1990年9月、マイルス・デイビスの4デイズで華々しく杮落としをした「Blues Alley Japan」。その後も海外のトップミュージシャンを多数招聘してきたが、近年は国内の大物ミュージシャンが数多く出演することでも知られている。今や武道館規模となった平井堅のKen’s Barも以前はこの場所で開催していたというから、とても贅沢な話しだ。

 スケジュールに並ぶのは、最多出演を誇る近藤房之助をはじめ、葛城ユキ、小坂明子、石井一孝、未唯mie など、そうそうたる顔ぶれ。ジャズやロック、ポップスなどジャンルはさまざまだが、耳の肥えた大人を満足させてくれる実力者ばかりだ。ある時はジャズを聴きながら語らうムーディーな空気が漂い、またある時は総立ちになってこぶしを突き上げる人々の熱気に包まれる。その日の出演者や客層によって、店の雰囲気はガラリと変わるというから面白い。

 また、ミュージシャン同士の交流が盛んなのも、この店の特徴だ。観客として観にきていたミュージシャンがステージに引っ張り上げられ、一緒になって演奏を盛り上げてくれる。そんな嬉しい“ハプニング”に出会えることも珍しくない。ここで知り合ったミュージシャンたちが新ユニットを結成し、次回のステージに立つ、ということも度々あるという。

 音楽とともに味わえるのが、フレンチをベースにイタリアンや和食の要素を取り入れた創作料理。旬の素材を活かしたフルコースをオーダーするのもいいが、繊細なアラカルト料理にオリジナルカクテルを合わせる、という選択肢もある。その日の出演アーティストが提案する日替わりスペシャルメニューも登場する。ゴスペラーズの黒沢薫さんが出演した際は、得意のカレー料理を考案し、大好評だったとか。

 店内には、マイルス・デイビスのライブ写真や、彼が描いた絵画が飾られている。ジャズの巨匠に見守られながらのライブは、演奏する者にも観る者にもスペシャル感をもたらしてくれるだろう。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子 

Blues Alley Japan

1.座席数は着席時が約150席。「狭すぎず、広すぎず、ちょうどよい広さ」と、ミュージシャンからも評価が高い。
2.マイルス・デイビスの絵画はもちろん本物。エントランスやステージなど、あちらこちらに飾られている。
3. 出演者の絵画や写真などで、ライブハウスの歴史を知ることができる。
4. 軽くグリルした旬の野菜をフレッシュトマトのソースでいただく「野菜とベーコンの炙り焼き トマトケッカソース」(1785円)。「キリン一番搾り(小瓶)」、「キリン黒生(小瓶)」ともに840円。
5.「ホテルウィング・インターナショナル目黒」の地下1階にある。そのままホテルにステイして、ライブの余韻に浸るのもいい。

Blues Alley Japan

住所 東京都目黒区目黒1-3-14ホテルウィング・インターナショナル目黒B1F

電話番号 03-5496-4381、チケット予約専用03-5740-6041(受付時間 月~土12:00~20:00)

営業時間 開場~23:30(フードLO23:00)※公演によって異なる

休日 不定休

金額 チャージは公演によって異なる

URL http://www.bluesalley.co.jp/


80年代ロックで青春時代にトリップ不思議の国「ネバーランド」
ネバーランド

 「かけるのは80年代のロック。当時僕は学生だったのですが、青春時代によく聴いたロックを流す店をやりたかったので」と語るのは、「ネバーランド」のマスター、岸弘二さん。かつてはミュージシャンとして活動していたが、「いい音楽といい酒がある、自分が通いたいバーを作りたい」と、99年にこの店をオープンした。当時のロックバーといえば、70年代ロックをプレイする店が主流。そのため、バカにする声は少なくなかったという。しかし時代は変わり、80年代ロックにこだわるバーは続々と誕生。今や80年代の音楽は、TVCMに起用されたり、コンピレーションCDが発売されるなど、多くの人々を魅了し続けているのだ。

 「80年代ロックって、へヴィメタルとニューウェーブが同居していたり、ベストヒットUSAのチャートにイギリスの音楽が入っていたりと、ものすごくおもしろかったんですよ。ちょうど今の働きざかりの世代が、僕と同様に、若い頃に聞いていた音楽。だからうちにきて、懐かしんだり、涙するお客様が多いんです」とマスター。ニルヴァーナやTOTO、ヴァン・ヘイレン、パワーステーション、U2…。80年代を中心に、70年代から現代までのロックがプレイされる同店は、その時代に思いを馳せるゲスト達で連夜賑わっている。

 カウンターにはドアーズのジム・モリスンや、AC/DCのアンガス・ヤングのギターのオブジェ、KISSの灰皿などが置かれ、店内にはマスターのエレキギターが飾られている。そんなロックフリークの琴線に触れるグッズの数々も魅力のひとつ。ロック少年やロック少女に戻ったようにワクワクするような瞬間が、この店には待っている。

取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子 

EL FLAMENCO

1.ウッディ調の温かみのある店内。マスターは、自由が丘の音楽や映画イベントのプロデューサーとしても活躍するだけあり、持ち寄りの邦楽CDをかける「じゃぱにーずあーてぃすとぱ~てぃ~」やショートムーヴィー鑑賞会など、楽しい店内イベントも多数開催している。
2.ユニークな形のテーブルは、向かい合った時に目線が合いすぎず、リラックスできるようにとハンドメイドされたもの。
3.バックバーには、マスター自身が「どのぐらいあるか分からない」というほど大量のCDとDVDが収納されている。もちろんリクエストもOK。
4.カウンターに並べられたロックオブジェ。
5.フードはつまみが中心。パルメザンチーズとスパイスを加え、缶ごと温めた「オイルサーディンの缶かん焼き」840円は、男のキャンプ料理のようなメニュー。柚子胡椒とともに食べると、「ハイネケン」の生735円が進む!

Neverland

住所 東京都世田谷区奥沢5-28-15 昇栄ビル204

電話番号 03-3721-5444

営業時間 20:00~翌4:00

休日 日(月曜が祝日の場合は日曜営業、月曜休)

金額 チャージ525円、ハートランド樽生735円、ポップコーン525円、ドライいちじく+クリームチーズ630円、ひとくちサラミ525円など

URL http://www.googuu.com/neverland/


40余年の歴史を誇る老舗タブラオで本場のフラメンコショーに魅せられる
EL FLAMENCO

 光と影をまとい、ダンサーは踊る。ステップに情熱を込め、指先までエネルギーをみなぎらせながら。かき鳴らされるギターの音色、熱きかけ声と手拍子、そして魂に満ちた歌声が、見る者の心を揺り動かす。

 ここで繰り広げられているのは、いわゆる観光客向けのショーではない。妥協を許さないアーティストたちが本気でぶつかる、本物のショー。1時間の間、誰もがステージの熱に吸い寄せられ、異空間に引き込まれていく。

 「エル・フラメンコ」は1967年12月にオープンした、日本一の歴史を誇るタブラオだ。フラメンコの流行を受けて、都心にはさまざまなタブラオが生まれては消えて行った。そんな中で長く生き残っていけたのは、「質のいいフラメンコをリーズナブルに楽しめる店」というごくシンプルな信条を守り続けたからだ。

 クリスティーナ・オヨスやホセ・ミゲルなど、今や世界的に有名なアーティストも、かつてはここのステージに立っていた。スペイン旅行帰りの客が「現地で見たショーより数倍良かった」という感想を漏らすことも、珍しくはないという。

 ショーだけでなく、スペイン料理のフルコースディナーが楽しめるのもこの店の特徴。本場スペインの食材を使った料理の味には定評があるが、できればショーが始まる前にメインディッシュまで食べ終えておきたい。ショーに夢中になって、料理の味が分からなくなってしまう危険性があるからだ。

 取材当日、ステージにはメルセデス・アアマジャとカリメ・アマジャの母娘が立っていた。自信と誇りに満ちた彼女たちの踊りに、客席はざわめき、歓声が沸き起こる。店を出たとき、自分がどこか遠くの地を旅してきたかのような錯覚に襲われた。新宿駅から歩いて5分の場所で味わえる小トリップに、また出かけてみたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫 

EL FLAMENCO

1.出演者は半年ごとに交替する。ステージは1日2回。水曜を除く毎日、スペイン人アーティストが出演する(水曜は日本人アーティスト)。
2.客席とステージの距離は最大でも10メートル程度。最前列の良い席はすぐに埋まるので、早めに電話で予約したい。
3.4.カーブを多用した空間は、本場スペインのタブラオを思わせる雰囲気。鮮やかな色合いの絵皿が、白い土壁に映える。
5.イベリコ豚の生ハムやラ・マンチャのチーズ、チョリソなど、本場スペインの味が楽しめる。一番搾り(小ビン)は756円。ほかに、約10種類のスペインワインも揃う。

EL FLAMENCO

住所 東京都新宿区新宿3-15-17伊勢丹会館6F

電話番号 03-3356-3816

営業時間 11:30~14:00、18:00~22:30 ショータイムは1回目19:00~(お食事18:00~)、2回目21:00~(お食事20:30~)

休日 無休

金額 ディナーセット6500円、8000円、1万円、タパスセット4500円(2回目のショー限定)※すべてショーチャージ、サービス料、消費税込み

URL http://www.miyoshi-grp.com/cardinal/el/


懐かしのロック音楽と“おふくろの味”大人の男性に支持される人気のカフェ
七面鳥カフェ

 一時は数十軒もの骨董品店が並んでいたという南青山・骨董通り。古びた雑居ビルにある木造りの階段を上ると、わずか18坪ほどの小さなカフェラウンジが現れる。今年でオープン8年目を迎えた「七面鳥カフェ」だ。 

 多くのカフェ好きから愛され、メディアでもたびたび取り上げられてきたこのお店。人気の理由は、都会的なセンスと人肌の温もりが入り交じった、絶妙な空気感にあるのだろう。

 こぢんまりとした空間を彩るのは、革製の象の置物や年季の入ったテープデッキ、ワイングラスが詰まった宝箱など、マスターが自宅から運んできたレトロな雑貨たち。無造作に置かれているのに洒落ていて、友達の家に遊びに来たかのようにリラックスできる。

 カウンターの背後には、1960~70年代のロックを中心に、1600枚ものLPレコードがぎっしりと並んでいる。BGMはもちろん、1960~70年代のロックミュージック。ボリュームは大きめだが、会話の邪魔にはならず、隣の話し声が気になることもない。好きな音楽に聴き入ったり、革のソファに深く座って読書をしたりと、自分のスタイルで思い思いに過ごせるだろう。

 昼間は陽光が差し込む明るい雰囲気だが、夜になると雰囲気が一変する。プロジェクターに映画の作品が映し出され、照明がぐっと抑えられた大人の社交場に。「とろとろ角煮ごはん」1050円や「アボカドサラダ丼」980円など、マスターの奥様が作る“おふくろの味”を味わいながら飲むお酒は、一日の疲れを忘れさせてくれるはずだ。

 “カフェ”というと女性客のイメージが強いかもしれないが、ここでは男性客の姿も多く目につく。懐かしのロックミュージックと手づくりの食事、そして心を解きほぐしてくれるゆるい雰囲気。普段はカフェに縁遠い大人の男性にも、ぜひおすめしたい一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子 

七面鳥カフェ

1.革製のソファや木製の二人掛けなど、イスのデザインはさまざま。一人で来てもグループで来ても、心地よく過ごせるだろう。
2.何気なく置かれた雑貨のひとつひとつに、マスターのこだわりが感じられる。
3.4.オリジナルのレーベル「七面鳥レコード」から発売されたCDも購入できる。昼間なら、店内で試聴することも可能だ。
5.ジャガイモのソテーをルイジアナ風ソースで食べる「ケイジャンポテト」630円。「ハートランド生ビール」480円は、切れ味抜群。

七面鳥カフェ

住所 東京都港区南青山5-16-1青山ビル2F

電話番号 03-5467-3939

営業時間 11:30~深夜2:00

休日 無休

金額 キリンラガービール(小瓶)630円、カクテル850円~

URL http://www.try-to-fly.com/


1960年代から現在までのヒット曲のライブで 青春時代にトリップした気分を味わえる
KENNEDY HOUSE GINZA

 グループサウンズ全盛期にそのブームを牽引し、時代を超えて多くの大人達を魅了し続けている加瀬邦彦&ザ・ワイルドワンズ。そして湘南サウンドを語るのに欠かせない加山雄三&ザ・ハイパーランチャーズ。この2つのビッグバンドが、わずか100名ほどのゲストのために、月に1回ステージを催す場所があるという。それが銀座コリドー街にあるライブハウス「ケネディハウス銀座」だ。なぜこれほどの大御所が定期的に出演するのかというと、それは加瀬邦彦自身がこの店のオーナーだからである。

 加瀬と加山雄三の出会いは1957年、当時慶應高校の1年だった加瀬が茅ヶ崎に引っ越し、慶應義塾大学に通う加山雄三と出会ったことに遡る。それから二人の交遊はスタートし、サーフィン、ヨット、ギターなどの遊びに興じるようになる。そして後にデビューした加山雄三に続くように、加瀬は1966年にザ・ワイルドワンズを結成し、デビュー。コーラスと12弦ギターが彩る爽やかなサウンドで、GSブームを牽引したのだ。そんな加瀬が「原始時代から人間とともにあった音楽で、人を癒し、元気にしたい」という思いで「ケネディハウス銀座」をオープンするにあたり、50年にも及ぶ友情から、加山雄三も特別に出演を快諾。そして月に1回ずつ催される贅沢なライブが実現したのだ。

 この2バンドによるゲストライブ以外は、かつて、加瀬邦彦&ザ・ワイルドワンズのサポートメンバーも務めていた上田司率いるハウスバンド・スーパーワンダーランドのステージが繰り広げられる。ジャンルはGSに限らず、ポップス、ロック、オールディーズ、なかにはオールナイトニッポンでよくかかった曲メドレーなどというユニークなものも。ぜひ往年の名曲に酔いしれて、青春時代を思い出したい。

取材・文/高橋かおり 写真/関根則夫 

KENNEDY HOUSE GINZA

1.月曜日から木曜日は19:30~、20:30~、21:30~、22:30~、金曜日は19:30~、20:20~、21:10~、22:00~、22:45~、土曜日は19:15~、20:30~、21:45とステージが行われる。ゲストライブがない日は、20時までの入店に限り、座席の予約ができる。
2.アナログレコードを使ったメニュー。
3.生地から手作りされた自家製のイタリアントマト ピザ1050円は、アンチョビ、ケッパー、バジル風味。お酒が進む本格派の味わいだ。ドラフトマスターが注ぐKIRIN一番搾りの生840円とともに味わいたい。
4.加瀬邦彦&ザ・ワイルドワンズ、加山雄三&ザ・ハイパーランチャーズのステージは要予約。満席になり次第締め切りとなる。

ケネディハウス銀座

住所 東京都中央区銀座7-2番先コリドー通りB1F

電話番号 03-3572-8391

営業時間 18:30~23:30、土~23:00

休日 日・祝

金額 サービスチャージ15%、バドワイザー(瓶)945円、シーバス リーガル1050円、オードブル盛り合わせ1050円、ミュージックチャージ2100円ほか

URL http://www.kennedyhouse-ginza.com


赤ちゃんもお年寄りも大歓迎!すべての人に開かれたライブハウス
KICK BACK CAFE

 「KICK BACK CAFE」は、何から何まで異例づくしのライブハウスだ。場所は、薄暗いビルの地下などではなく、車の往来が多く開放的な大通り沿い。ガラス張りのエントランスからは陽光が差し込み、誰でも簡単に中の様子を知ることができる。客席の奥には、授乳やオムツ替えができる部屋まで用意。大きな窓があり、赤ちゃんの世話をしながらライブを楽しむこともできる。

 メニューにはアルコールが一切なく、店内ではタバコも禁じられている。徹底して貫かれているのは、「誰もが安心して過ごせる場所にしたい」と願う店のポリシーだ。だからこそ、赤ちゃんを連れた母親も、近所に暮らすお年寄りも、みな平等に音楽を楽しむことができる。

 こだわりは、料理にも行き届いている。着色料や香料、添加物、保存料は可能な限り使わず、厳選した原材料を使用。ロコモコ、ナシゴレン、ハンバーグ、ラーメンなどメニューは実に多彩で、ライブハウスとは思えない充実ぶりだ。

 ライブには、プロ・アマを問わずさまざまなクリエーターが出演するが、ときには、世界で活躍する大物アーティストがステージに立つことも。過去には、グラミー賞を9回受賞したゴスペル界のキング“アンドレ・クラウチ”や、女性ドラム&パーカッショニスト“シーラ・E”も出演したというから驚きだ。

 毎週日曜午後6時からは、「サンデーナイトサービス」と題したイベントを実施。何かと気分が落ち込みがちな日曜の夜に元気を出してもらおう、という粋なイベントで、チャージはなんと無料。ジャズやオペラ、フォークなどの生演奏はもちろん、ゲーム大会まで開かれ、出演者と客、スタッフがひとつになって盛り上がる。

 店名の“KICK BACK”とは、アメリカのスラングで“リラックス”という意味。肩の力を抜いて、自分らしく。ピースフルな雰囲気の中で音楽を楽しんでみるのもいいだろう。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫 

KICK BACK CAFE

1.音響はもちろん、照明と映像設備も完備。ライブやイベントのほか、貸切パーティーやウェディングにも対応。
2.通常営業のほかライブ中にも、様々なヘルシーメニューが楽しめるカフェとして親しまれている。また、オーナーの石井希尚さんは、ミュージシャン(作家)兼恋愛カウンセラーとして、夫婦二人三脚で活躍。店でカウンセリングを受けることも可能だ。
3.授乳やおしめ替えの為のマザーズルームがあるのも便利。
4.看板メニューの「豆乳ラーメン」850円。無調整有機豆乳を使ったとんこつダシに、無添加の麺が絡む。クリーミーだが、パンチのある味。

KICK BACK CAFE

住所 東京都調布市若葉町2-11-1 パークスクエア武蔵野1F

電話番号 03-5384-1577

営業時間 11:00~23:00(水は~16:00)、日18:00~23:00

休日 月

金額 チャージはイベントによって異なる

URL http://www.kickbackcafe.jp/


食と音楽のコラボレーションを目指すダイニング・レストラン。優雅なディナーとともにライブを鑑賞する贅沢。
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 “食と音楽のコラボレーション”をコンセプトに、2007年にオープンした「コォン・フォート赤坂」。平日は、ライブ映像が流れる大型モニターを眺めながら、スタイリッシュな空間で、イタリアンをベースにした創作料理を楽しめる。週末を中心にライブが開催されるのだが、実はこのライブが相当贅沢なのだ。ステージを望む1階席はわずか18席。“かぶりつき”という言葉がふさわしいほど間近で、生演奏を体感できる。赤を基調としたモダンな2階席は、ステージは直接見えないものの、モニターから演奏を鑑賞できるというスタイル。2階も合わせてわずか42席。立ち見はなく、すべてのゲストがゆったりとしたシートに座り、本格的な料理を楽しみながらライブ演奏を楽しむことができるのだ。

 演奏される音楽のジャンルはジャズ、ポップス、ブルース、ボサノバ、ゴスペルと多彩。ロックバンドPEARLのボーカリストとしてデビューし、ソロシングル『ゆずれない願い』でミリオンセラーを突破した田村直美と是方博邦のユニットtamKore、ディープ・パープルの日本語直訳CD『深紫伝説』で知られる直訳ロッカー王様ら著名なアーティストが定期的に出演する。限られたゲストのためだけに、これだけのアーティストがライブをしてくれるというのは、ファンにはたまらないだろう。

 そのほかにも、SMAPやKinki Kidsのバックも務めるコーラスグループCHORUSPICE、Charこと竹中尚人とのバンドParadise、原田真二デビューバンドなど、多数のバックバンドに参加経歴を持ち『Blues Breakers John Mayall With Eric Clapton』のプロデューサー、マイク・バーノンにもその才能が認められたKaz南沢、二胡とアルパを奏でるユニットalphaなど、様々なライブを開催。食と音楽が奏でる優雅な時間に酔いしれたい。

取材・文/高橋かおり 写真/田頭真理子 

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1. ジャズ、ボサノバ、ゴスペルなど、ジャンルを問わず多彩なライブが演奏される。基本的に1晩2ステージ(席数に限りがあるため事前予約がおすすめ)。写真は2階。
2. 1階のステージ。吹き抜けをうまく使った内装が印象的だ。
3. 4.落ち着いた雰囲気の中、食事と音楽が楽しめる。
5. オードブル3点盛り1500円。有機野菜のテリーヌや、スキャンピとホタテのマリネの香草ソースなど、手のこんだ目にも麗しい前菜はキリンブラウマイスター700円とともに。

ComFort Akasaka

住所 東京都港区赤坂3-11-7 ソシアル赤坂ビル地下1階

電話番号 03-5549-9885

営業時間 月~金11:30~14:30、17:30~23:00

休日 日・祝

金額 ミュージックチャージ1000円~、おすすめコース2000円~

URL http://www.p-comfort.co.jp/


厳選された肉や野菜を炭焼きで堪能 ジャズの生演奏が流れるダイニング
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 視界に飛び込んでくるのは、鮮やかなイエローとグリーンのブラジルカラー。ラテン音楽がリズミカルに鳴り響き、ポルトガル語の会話が楽しげに飛び交う。六本木ヒルズのすぐ近くにある「アカラジェ・トロピカーナ」は、地球の反対側から私たちを誘惑してやまない情熱の国“ブラジル”の風が吹く店だ。
 ラテン気分をさらに盛り上げてくれるのが、ブラジル版バーベキューの「シュハスコ」(1人3000円/注文は2人~)だ。ここではブラジルから取り寄せた機械を使い、岩塩をまぶした肉を回転させながら直火でじっくりと焼く。焼きたての肉は塊のままテーブルに運ばれ、ウエイターが目の前で切り分けてくれる。ビーフ、チキン、ポークなど10種類の肉に加え、サラダ、フライドポテト、チーズパン、ライス、お豆のシチューもすべて食べ放題。ブラジル人に倣って豪快にかぶりつけば、パワーが湧き上がってくるはずだ。
 ほかに、塩とニンニクでシンプルに味付けた「黒豆とお肉のシチュー」1260円や、クリーミーでコクのある土鍋料理「白身魚&パーナ貝とエビのココナッツソース煮」1890円など、ブラジルの伝統的煮込み料理も人気が高い。故郷の味を懐かしんで足を運ぶブラジル人客も多いという。
 週末の夜になると、ラテンパワーは全開になる。とくに、ミニサンバショーが開催される毎月最終土曜には、盛り上がりが最高潮に。躍動するパーカッションのリズムに合わせて煌びやかな女性ダンサーがステップを刻み、人々を興奮の渦へと巻き込んでいく。ステージは、夜10時30分からと深夜1時からの2回。夜が深くなるにつれて店内のエネルギーは高まり、明け方近くまで熱気に包まれる。
 平日は3割、日曜なら7割を外国人客が占めるというこの店。サッカー選手の来店も多く、あのロナウジーニョ選手も来日時に訪れたという。料理や音楽だけでなく、そこにいる人々もラテン系。今宵は、陽気で気さくなブラジルを肌で感じたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.店内には、ロナウジーニョ選手来日時の写真や、東京ヴェルディ選手のサイン入りユニフォームなども飾られている。
2.最新のヒットチャートからなつかしい曲まで、ブラジルのポップス&ロックをプレイ。毎月第1木曜には、ボサノバのライブも開催している。
3.深夜になるとミラーボールが回り、賑やかな雰囲気。
4.生ビールが多数そろう。「キリン黒生」は840円。
5.ブラジルの屋台で人気のおやつ「ブラジル風揚げパイ」(630円)。カリッと揚がった皮の中に、アツアツのチーズや炒めた挽き肉などが詰まっている。「キリン一番搾り生ビール」は840円。

ACARAJE Tropicana

住所 東京都港区西麻布1-1-1 エッジビルB1

電話番号 03-3479-4690

営業時間 11:30~15:00(LO14:30)、18:00~深夜0:00(金・土は~翌5:00、日は~翌2:00)

休日 月

金額 ランチ/ビュッフェ1000円、シュハスコ1500円(木のみ)、ディナー/シュハスコ食べ放題&飲み放題(2時間)5500円~、砂糖きびのお酒とフレッシュライム945円、ブラジル風チキンコロッケ630円など

URL http://www.tropicana.co.jp/


厳選された肉や野菜を炭焼きで堪能 ジャズの生演奏が流れるダイニングf
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 東京ミッドタウンからほど近い一角に、都会の大人たちを癒す場所がある。地上3階・地下1階の建物に3つのダイニングとラウンジバー、吹き抜けのガーデンなどを備えた『ハニーズガーデン東京』。コンクリート打ちっぱなしの外観からは想像もつかないが、一歩中に入るとそこは、緩やかな時間が流れる開放的な空間。上質なリゾートを訪れたような、心地よい錯角に陥るだろう。
 地下1階にある『GRIGLIA uetake』は、植竹隆政氏がグランシェフを務めるグリルダイニングだ。植竹シェフといえば、代官山『CANOVIANO』のオーナーシェフとして一躍有名になった自然派イタリアンの旗手。ニンニクや唐辛子、バター、生クリームを使わずに、素材本来の味わいを引き出す調理法でその名を轟かせたシェフが、ここではグリル料理という新境地に挑んでいる。
 メインディッシュは、山形産・三重産特選和牛肉、沖縄県産琉球アグー豚、シャラン産鴨の胸肉、北海道産大判ホタテなど、厳選素材の炭火焼き。肉には五島灘の塩やバジルなど3種類のソースが用意されているが、ひと口目はぜひ、何も付けずに食べて欲しい。肉に閉じ込められた力強い旨味に驚くだろう。
 「素材をしっかりと見極めて、本来の魅力を引き出す調理法を工夫しています。例えば山菜は、あえてえぐみを出すようにしているんですよ」とは、小久保シェフの言葉。ほかにも契約農家から届く季節の京野菜や旬の新鮮な魚貝など素材の味わいを生かしたアンティパストやパスタ、リゾットなどが揃い、ア・ラ・カルトでさまざまな組み合わせが楽しめる。
 ステージでは毎夜、ジャズを中心とした生演奏も繰り広げられている。きちんとした食事を楽しみながら、生演奏も楽しめる。食後にはシガーやリキュールを片手に、ジャズに聞き入るのもいいだろう。
 なお、この店はバーラウンジとして、お酒だけの利用も可能だ。優雅な雰囲気とジャズを楽しみたいときは、気軽に立ち寄りたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/横田敦史

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1.ステージを中心に高低差をつけテーブルがレイアウトされた、劇場型のつくり。どこの席に座っても、目で耳で、ジャズの生演奏が楽しめる。
2.キャンドルが煌き水の音が流れるアジアンリゾートをイメージした店内は、地下とは思えない雰囲気。テーブルには、アフリカ製のショープレートが並ぶ。
3.ゆったりとしたウェイティングスペースなど、細部にまでこだわった上質な空間。1階にはトスカーナ料理が楽しめるサルヴァトーレ・フェラガモ氏監修のメインダイニング「IL BORRO TOKYO」、3階には会員専用和食ダイニング「Y+」がある。
4.「三重牛ロース肉の炭火焼き」5500円/100g(写真は200g)と「ハートランド生ビール」900円。ワインも700種類以上と充実している。

GRIGLIA uetake

住所 東京都港区六本木7-12-27 ハニーズガーデン東京B1

電話番号 03-5770-8800

営業時間 17:30~22:00(LO)

休日 なし(土曜・日曜・祝日は貸切営業のみ)

金額 サービス料10%

URL http://tokyo.honeysgarden.jp/


外見はクール、中身はホット 地元人にも愛される地域密着型カフェ
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 高円寺駅南口からまっすぐに伸びる高南通り。車の往来が絶えないこの道を15分ほど歩いた先にある小さなカフェ。木とメタルを融合させた直線的なインテリアは、スタイリッシュでクール感も抜群。一見するとお洒落なカフェという印象をもたらすが、この店の魅力はファッション性だけにとどまらない。若い人に混じって、お年寄りや家族連れの姿もちらほら。年代を問わず地元の人々が通う、地域密着型のカフェなのだ。
 幅広い人々に愛される理由は、この店が持つ安心感にあるだろう。お昼どきから深夜遅くまで、いつ訪れても温かい食事とドリンクが用意されている。カウンターとテーブル席からなる店内は、狭すぎず広すぎず、ちょうどよい広さ。スタッフはいつでも気さくな笑顔で迎えてくれるから、コーヒー一杯で長居してもバツの悪い思いをすることはない。
 ディナータイムになると、グランドメニューとは別に、日替りのおすすめメニューが登場する。例えば、「本日の鮮魚のアクアパッツァ」、「季節野菜のバーニャカウダー」「マンゴーとココナッツのパルフェ」など、カフェとは思えない本格的なラインナップ。その日に仕入れた新鮮な魚や野菜、フルーツを使い、イタリア料理店での経験を持つシェフが本格的な料理に仕上げてくれる。
 音楽制作を手がける会社(MARBLETRON MUSIC)が経営しているカフェとあって、BGMにもこだわりが強い。ジャンルや年代は問わないが、少しだけ変化球。最新のアシッドジャズやジャズ調のヒップホップなど、「できるだけみんなが聴かない曲」をセレクトしているという。
 音楽が空間に溶け込み、そこにいる客や料理、お酒と交じり合うにつれて、店は活気を帯びていく。お洒落なインテリアに料理、音楽、そして居心地のよさ。すべてが揃ったカフェは、ありそうでなかなか見つからないもの。こんな店が近くにある高円寺の住民は、幸せ者に違いない。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1.デザインは、エグジットメタルワークサプライ(現ライン)の勝田隆夫氏。日本を代表するインテリアデザイナーとして知られている。
2.雑誌や本も置かれ、ひとりで来ても楽しめる。2階にDJイベントや展示会などが行われるサロンもある。
3.4.スタイリッシュなインテリアと手作り感覚がミックスされているのも魅力。。
5. 新鮮な大山鶏のレバーにポルト酒の風味をきかせた「大山鶏のレバーペースト」780円。「ハートランド生ビール」530円とともに。

HERE WE ARE marble

住所 東京都杉並区高円寺南2-14-2

電話番号 03-5934-8200

営業時間 12:00~翌0 :00、火~23:30、金・土・祝前~翌2:00

休日 水(祝日の場合は翌日休)

金額 オリジナルアイスティ530円、カプチーノ580円、骨付き鴨モモ肉のコンフィ ポテト添え1300円

URL http://www.marbleweb.net/cafe/


深夜遅くまでゆるりと過ごせる  高円寺らしい個性溢れる店
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 “カフェ”ではなく、“カフェガレージ”と名乗ることに、この店のこだわりが見て取れる。一面ブルーで塗られた壁に、天井からぶら下がったヴェール。4人は座れそうな革張りのソファもあれば、ひなびた温泉旅館を思わせる一人掛けの椅子もある。
 椅子やテーブルなどのインテリアは、スタッフが高円寺近辺のリサイクルショップなどから集めたもの。古いものに手を加えることで、世界にひとつしかない味のある家具を生み出した。ひとつひとつがバラバラで、ごちゃごちゃ。なのに居心地がよく、つい長居してしまうから不思議だ。
 足をのばしてゆったりと過ごしたい向きには、ゴザが敷かれた座敷席が用意されている。田舎の親戚の家に遊びに来たような、懐かしい空気感。傍らに置かれたゲーム類、そして本棚に並ぶ幾多の漫画本からは、「どうぞ自由に遊んで、好きなだけくつろいでください」というスタッフの声が聞こえてくるようだ。
 薄暗い明かりに包まれ、誰にも邪魔されることはない。そんな緩やかな時間のスパイスとなってくれるのは、スタッフが選んだBGMだろう。ジャンルは、スカやレゲエ、R&Bなどさまざま。一人でくつろぐ方が多く静かなとき、グループでの会話が弾み賑やかなときなど、お店の雰囲気に合わせて選曲している。もともと、音楽を愛する仲間たちが始めた店とあって、選曲眼は確かだ。
 フードメニューもバラエティ豊かだ。サラダやおかずを盛り合わせた「日替わりデリDELIプレート」ドリンク付き880円や「サラダプレート」750円などのランチメニューは、夕方5時半まで提供。深夜遅くでも、しっかりとした食事が用意されている。オーダーされてから焼くパイなどのスイーツや、「自家製ジンジャーエール」570円にもファンが多い。
 1人でふらりと出かけて遅めのランチを取るもよし。仲間と飲みながらゲームで盛り上がるもよし。いつ行ってもどんなシチュエーションでも快く迎えてくれる、懐の深い店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.席の間隔が広く、スペースを贅沢に使うことができる。コーヒー片手に読書をしたり、何もせずダラダラしたり。自分の尺度で過ごせるのが嬉しい。
2.靴を脱いでリラックスできる座敷席。ボードゲームやカードゲーム、ルービックキューブなどが置かれ、自由に遊べる。
3.お店の空気を読んでスタッフが選曲するBGMは、心地よい雰囲気を創り出している。
4.スタッフがセレクトしたCDが並ぶ。店では自主レーベル「Swingin’ Dog Records」も運営。2枚のオムニバスアルバムを発売している。
5.「日替わりデリDELIプレート」880円(ドリンク付)は、17時30分までのランチタイムに提供。「ハートランド」とのセットは1280円。

cafe garage Dogberry

住所 東京都杉並区高円寺北3-24-6 2F

電話番号 03-3337-1651

営業時間 11:30~翌5:00

休日 無休

金額 カフェラテ580円、黒ゴマきなこハチミツラテ580円

URL http://dubing.m78.com/dogberry/


築50年の民家を3年がかりで再生 旅への愛情が詰まった“手作り”のカフェ
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 敷地190坪の高台に建つカフェ&ギャラリー。店内にはセンスのよい骨董品が並び、テラスからの見晴らしも素晴らしい。だが、ここは単なる“お洒落系カフェ”ではない。世界を旅するフォトエッセイスト・白川由紀さんが、文字通り“イチから”作り上げた店なのだ。
 この場所にはかつて、2軒の民家が並んでいた。一軒は白川さん自身が育った築30年の家で、もう一軒は祖父母が暮らした築50年の家。「ボロボロになっていた家たちをなんとかしたい。そう思って、四国で素敵なカフェを経営している友人に相談したら、『じゃあ自分で作りなおしちゃえば?』と言われたんです。家の知識なんてまったくなかったのに、『家を建てるなんて、プラモデルと一緒』という友人の言葉を真に受けてしまって(笑)」。
 かくして、建築の素人が家を建てる、という途方もない計画がスタートした。近所に住む友人や旅先で知り合った世界各国の仲間に助けられながら、足かけ3年。ごく普通の民家は、どこにもない独特な空気を持つカフェ&ギャラリーに生まれ変わった。
 店内に飾られた骨董品の正体は、白川さんが世界各地で見つけてきた“ヘンなもの”。カメルーンの子宝祈願地蔵や、ナイジェリアの招き猫、シマウマの本革など、他ではなかなかお目にかかれないものばかりだ。スタッフが心を込めて作った料理を味わいながら、旅の計画を相談してみるのもいいだろう。
 毎月第3土曜にはライブを開催している。ラテン音楽やアイヌ音楽、中南米のハープ“アルパ”、モンゴルの“のど笛”など、こちらも個性的。夏になると、テラス席の芝生を舞台にファイヤーダンスのショーも行われる。「タヒチやモルディブでもファイヤーダンスを見てきましたが、ここのパフォーマンスは迫力が違います。本当におすすめですよ」と白川さんも太鼓判を押す。
 アクセスは、決して良好とはいえない。八王子市にある高尾駅から歩いて13分、車なら5分程度(駐車場4台あり)。それでも、時間と手間を費やして出かける価値はありそうだ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1.築50年の家がカフェに変身。店のデザインは、アーティストである白川さんの友人が担当した。奥には、青々とした芝生が広がるテラス席がある。
2.店内では、手作りのガラスアクセサリーや、各地から仕入れてきた雑貨なども販売。一点モノに出会えるかもしれない。
3.店名はアフリカ・チャド族の言葉で“生命の希望”という意味。「原始のパワーを持ち帰って欲しい」という白川さんの願いが込められている。
4.ネパールのスパイスをふんだんに使った「ベンガルオムカレー」1000円「ハートランドビール」650円。セットで頼むと1600円になる。
5.年間の半分を海外で過ごしているオーナーの白川由紀さん。世界の秘境を訪れるツアーのコーディネーターとしても活躍している。

The story cafe & gallery TOUMAI

住所 東京都八王子市館町657  

電話番号 042-667-1424

営業時間 11:30~21:00

休日 月

金額 イベント時のみチャージ1500~2500円

URL http://toumai.jp/


珍しいペルシア料理と妖艶なベリーダンスの共演f
レストラン&バー ボルボル

 世界中の料理が味わえる美食の都市・東京においても、ペルシア料理を食べさせてくれる店は極めて少ない。一体どんな料理なのか、想像すらつかないとう人も多いだろう。「だからこそ、せっかく食べにきてくれた方々にペルシア料理の美味しさを知って欲しい」とオーナーシェフのホセ・ボルボルさんは言う。
 イラン出身のボルボルさんが来日したのは、17年前のこと。新宿にあるイタリア料理店のシェフを経て、5年前に念願だったペルシア料理店をオープンさせた。ビールとの相性がいい“ペルシア版おふくろの味”と、日本人の奥様とともに作り出すアットホームな雰囲気が魅力だ。
 メニューは、煮込み料理やケバブが中心。羊肉とレッドビーンズをパセリとハーブで煮込んだ「ゴルメザブジィセット」1180円や、鴨肉とクルミのざくろソース煮込み「フェセンジャンセット」1180円など、リーズナブルな価格も嬉しい。いずれも、イランから取り寄せたスパイスやハーブをふんだんに使った、本場顔負けの味わい。セットに付くナンも、注文のたびに生地を伸ばして焼き上げるというこだわりようだ。
 毎週金・土曜の夜9時からは、ベリーダンスのショーを開催。チャージが無料ということもあり、ほとんど毎回満員になるほどの盛況で、店は熱気に包まれる。もうひとつ、不定期で行われるライブも好評だ。こちらはチャージ2500円~(1ドリンク付、ライブにより異なる)が必要だが、イランやトルコなどの珍しい楽器を使った演奏と歌が目の前で繰り広げられ、エキゾチックな世界へと誘ってくれる。
 食事の後には、水たばこ「ガリユン」1500円がおすすめだ。“水たばこ”といってもニコチン、タールをほとんど使用していないため、タバコ嫌いの人でも安心して楽しめるだろう。オレンジ、バニラ、コーヒー、ココナッツなど10種類以上のフレーバーから好きなものを選び、フィルター代わりの水を通して香りを楽しむのがペルシア流。時間をかけてゆっくりとふかしながら、遠きペルシアの地に思いを巡らせたい。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

レストラン&バー ボルボル

1.床にはペルシア絨毯が敷かれ、壁はイランの布や絵画で彩られている。イランの写真集などの書籍もあり、異国のムードたっぷり。
2.400年の歴史を持つイランの打弦楽器“サントゥール”は、旅情を誘う美しい音色。ライブでは、歌や太鼓とともに演奏される。
3.「ケバブクゥビデ(ビーフ&ラムのミンチ肉串焼き)セット」1300円は、ナンまたはライスとスープが付く。「キリンラガー 生ビール」は450円。
4.スパイスを効かせた「チャイ」250円は、角砂糖をたっぷり入れて味わいたい。イランから取り寄せた食器も美しい。
5.オーナーシェフのホセ・ボルボルさん。

レストラン&バー ボルボル

住所 東京都杉並区高円寺北3-2-15-2F 

電話番号 03-3223-3227

営業時間 12:00~翌1:00(LO0:30)

休日 水

金額 チェローモルゴ(カリカリニンニクとトマトソースをかけたチキングリル、ライス付き)1180円、BolBolサラダ550円、エフェス(トルコビール)700円

URL http://bolbol.jp/


もてなし上手なママに会える 下落合の“プチ・モンパルナス”
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 昼下がりの『カフェ杏奴』には、暖かな日差しが降り注いでいた。なにやら書き物をする女性、窓の外を眺めているスーツ姿の男性、楽しげに会話に興じる2人組…。すべてを包み込むように、時間がゆっくりと流れていく。
 いつまでもここにいたくなる。そんな魅力を生み出しているのは、店を一人で切り盛りするママだ。細やかな心遣いとやわらかい笑顔で、客をリラックスさせてくれる。
「うちはメニューが少ないし、ランチなどのセットメニューも一切やってないんです。お客様には申し訳なく思っています」と謙遜するが、特製カレーや焼き菓子など、手作りにこだわったメニューにはファンが多い。
 コーヒーを淹れる手つきも、かなり本格的だ。聞けば、かつて東京で一番美味しいコーヒーが飲める、といわれていた学芸大学の喫茶店『アンクルブブ』に通い詰め、マスターから直接教わったという。看板メニューの『杏奴ブレンド』に使う豆は、自家焙煎店から取り寄せたフレンチローストとソフトローストの2種類。注文後に挽き、ネルドリップで丁寧に淹れる。「おいしくなるように、とおまじないをかけながら淹れています」と、ママは微笑んだ。
 店にはいつしか、作家やミュージシャン、写真家などを志すアーティストの卵たちが集うようになった。誰が名づけたか“プチ・モンパルナス”。あちらこちらに飾られたフエルト作品やイラスト、写真の多くは常連客の手によるものだ。
 2007年11月、そんな常連客の中からある夫婦がメジャーデビューを果たした。伸びやかな歌声と優しいアコースティックギターが印象的なヴォーカルデュオ『iora』(http://web.mac.com/iora/)。彼らがママに贈った曲『カフェ杏奴』は、こんな歌詞で始まる。
 「カランコロンとドアベルが 鳴ればママさんお出迎え 好きなお席にどうぞどうぞ」
 牡丹で有名な薬王院をはじめ、林芙美子記念館や画家のアトリエなどが点在する下落合は、散策が楽しい町。休憩がてら、ぜひ訪れてみたい一軒だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.店内のBGMは、ジャズやクラシック、ボサノバなどその日の気分で。もちろん、『カフェ杏奴』もリクエストOK。
2.壁一面に写真が飾られた地下の席。半個室になっているので、ここで作業に集中する人も多い。ほかに中2階の席もある、ユニークなつくりだ。
3.『杏奴ノオト』は、ママと客のコミュニケーションツール。店の感想や日々の出来事など、会話のキャッチボールで交流を深めている。
4.ザラメの食感が楽しく甘さ控えめの「かりかりマドレーヌ」。紅茶と牛乳だけで作ったクセのない「チャイ」とのセットで700円。
5.「うちはお客様の力で成り立っている、といっても過言ではありません」とママ。その笑顔と人柄に惹かれて通う、常連客も多い。

カフェ杏奴

住所 東京都新宿区下落合4-2-6  

電話番号 03-5982-4370

営業時間 11:30~19:00

休日 火

金額 杏奴ブレンド450円、チャイ(ホット・アイス)500円、特製カレー(チキン・ポーク)700円


コーヒー1杯で音楽鑑賞とクラシック講座?著名音楽評論家がオーナーの名曲喫茶
名曲喫茶ショパン

 給料1万円の時代にLPが1枚2500円。収入の4分の1をレコードに使えない。そんなことから僕の若い時分は名曲喫茶が流行っていたんですよ。ところが今は、CDの値段は据え置きで給料が数十倍でしょう。音楽をインターネットでダウンロードすることもできる時代だからCDはまるで売れない。名曲喫茶が寂しくなるのも当然でしょうね」
 名曲喫茶ショパンは、『読むだけで通になるクラシック面白エピソード』(ヤマハミュージックメディア)、『マエストロ宮本のおもしろクラシック100』(平凡社)などの著作で知られる音楽評論家、宮本英世氏がオーナーの店だ。
 「ジャズ喫茶と違って名曲喫茶は、店主が曲をピックアップして空間を演出することはしないんですね。長い曲でも丸々流すのが基本スタイルなんです。名曲喫茶全盛の時代は聴きたい曲をリクエスト帳に記入して、順番が来る頃に店に戻ってくる、なんてことが普通でした。ところがオペラがリクエストされていると、聴きたい曲なんて回って来ないんですよ(笑)。そんな経験もあって、私の店では原則リクエストは受け付けない。ベストではないけれど、お客様間では公平ですよね」
 となると、宮本さんの好みが反映されることになるわけだが…。
「そうですね(笑)。名曲喫茶でお客様の雰囲気に合わせて曲調を変えていくという店づくりは私の知る限りありませんね。クラシック音楽を、自宅では聴けないオーディオ・システムでじっくり聴くというのが名曲喫茶です。こんな空間でもない限り、落ち着いて交響曲を全曲聴くなどということは、なかなかありませんね」
 この店では、声楽から管弦楽曲、室内楽などあらゆるジャンルのものが流れるが、店名にするだけあってショパンのピアノ曲がかかる頻度が高い。
 「ピアノの詩人と呼ばれるだけあって、ショパンの音楽は本当に美しい。ただ私は、誰々の弾いたショパンの何々がおすすめだ、なんてことを強いたりはしません。誰が弾いたかより、聴く人が何を感じるかの方が大切だと思っていますから」
 執筆、講演活動旺盛な人だけに、ちょっとしたきっかけから、音楽の話を面白おかしく聞かせる術がある。コーヒー1杯で、音楽と話が聞けるというのはいかにもお得だ。
 「私の解説で、敷居が高いと思われているクラシックを身近な音楽として聴いてもらえるなら、話甲斐があるというものです。ますは親しみ、そこから音楽や空想・想像を楽しむことにつなげて欲しいものです」

取材・文/森澤郁夫 写真/関根則夫

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1.新宿に店鋪をかまえていたが、都庁の新宿移転を機に、要町の住宅街に移った。
2.音はクラシック専用ともいえるタンノイの大型スピーカーから出てくる。「オーディオにはいろいろな考え方がありますが、私は音の出口が一番大事だと考えています」。
3.宮本さんが手掛けた書籍が並ぶ。ここで宮本さんの話を聞くのも楽しみの一つ。
4.キリン一番搾り600円、ブレンドコーヒー400円。軽食やアルコール類も揃う。
5.音楽企画・音楽評論の世界でも知られる存在の宮本英世さん。クラシックの音楽評論家と聞くと堅苦しいイメージだが、それとは裏腹に物腰の柔らかい、話好きの好紳士である。

名曲喫茶ショパン

住所 東京都豊島区高松2-3-4

電話番号 03-3974-7609

営業時間 9:00~18:00

休日 金

金額 コーヒー400円、バタートースト300円


台湾茶とアート、音楽が融合した居心地のいい場所
バードソングカフェ

 春には桜、秋には銀杏並木が道行く人々を楽しませてくれる、国立の街。豊かな自然に恵まれたこの街は、20軒近くのアートギャラリーが並ぶ芸術の街でもある。
 駅から歩くこと5分、2007年6月にオープンした「ギャラリーカフェ亀福」は、緑濃い住宅街に溶け込んだくつろぎのスペースだ。扉を入って左側にあるのが、アジアンムード漂うカフェ。中国や台湾の骨董品に囲まれながら、ゆったりとしたソファに腰を沈めていると、時が過ぎるのを忘れてしまいそうになる。
 メニューにはコーヒーもあるが、お勧めはやはり現地から取り寄せた台湾茶だろう。オーナーの彩さんは、台湾から移住してきた二世。子供の頃から、親戚から送られてくる本場の台湾茶に親しんできたという。「台湾茶の質は本当にピンキリなんです。だからここでは、私が飲んでおいしいと思うものだけを選ぶようにしています。良いお茶というのは、二煎目、三煎目でもまろやさが続くものなんですよ」と教えてくれた。
 ゆっくりとお茶を楽しんだら、右側にあるアートギャラリーを訪ねてみたい。窓越しに緑が広がり、自然光が差し込むアートギャラリーは、作品の魅力を引き立ててくれる。絵画や写真、陶芸、フラワーアレンジメントなど、多種多様な芸術を気軽に楽しめるだろう。
 月に一度の週末には、サロンコンサートも開催している。ステージに立つのは、プロのハープ演奏家として活躍しているオーナーの娘さん。日によってマリンバやフルート、ヴィオラ、ソプラノなども加わる。台湾茶を飲みながらプロの演奏を間近で聴ける贅沢なコンサートとあって、毎回満員となる盛況ぶりだ。
 おいしい中国茶とアート、そして間近で聴く美しい音楽。三者が融合した空間は、落ち着いた大人の街にぴったり。国立散策の際に、ぜひ立ち寄りたい店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

バードソングカフェ

1店のインテリアや茶器のデザインは、デザイナー・画家として活躍しているオーナーの息子さんが手がけた。
2上海で買い付けたステーショナリーや店内で使っている茶器、台湾茶などを販売。オリジナルの茶器は、引き出物としても人気だ。
3茹でた小豆、蓮の実、クコの実、緑豆、百合根にバニラアイスをトッピングした「あまぁのおやつ」。本日の台湾高山茶とセットで850円。
4木・金・土曜日の夜のみ提供されるキリンクラシックラガー(小瓶)600円。おつまみの内容は日替わり。

ギャラリーカフェ 亀福

住所 東京都国立市東1-14-21グリーンライフ国立

電話番号 042-573-3580

営業時間 10:30~19:30(木・金・土のみ23:00まで営業)

休日 水

金額 サロンコンサートは台湾茶と菓子付きで2500円

URL http://www.kamefuku.info/


北欧の空気感を伝えるカフェが吉祥寺の“北欧ストリート”に出現
カフェ モイ

 吉祥寺の中でも静かな一角にある大正通り。この通りは近年、“北欧化”が著しい。北欧の雑貨や玩具などでも人気の「サンク・プリュス」や「ニキティキ」、スウェーデン料理店の「アルゴット」。また、程近くには「マリメッコ」もオープンした。北欧ファンならすぐにでも駆けつけたくなるほど魅力的な店が並ぶこの通りに、2007年12月、新たなカフェが仲間入りした。 
 北欧カフェ「moi」はもともと、荻窪の住宅街で5年間にわたって愛されてきたお店。大正通りに移転した後も、店の雰囲気はほとんど変わっていない。白を基調にした店内で存在感を放つのは、フィンランドの建築家アルヴァー・アールトの椅子。使い込まれたその椅子に深く腰掛けつつ窓の向こうの緑を眺めていると、遠く北欧から木々のざわめきが届き、ひんやりとした空気が頬を撫でた気がした。
 「北欧の家具をごちゃごちゃと飾るのではなく、のんびりとした居心地のよい空気感を伝えたかった。だからあえてシンプルに、必要最小限のものだけで構成したんです」と話してくれたのは、店長の岩間洋介さん。北欧の中でも、とりわけフィンランドが性に合うという。「フィンランドの人々はシャイで、こちらを気遣ってくれる。フィンランドにいると落ち着けるのは、彼らが日本人と近いメンタリティを持っているからだと思います」
 同じくフィンランドを愛する徳島の自家焙煎コーヒー店「アアルトコーヒー」から取り寄せる豆は、苦みが強くて濃厚な味わい。注文後に豆を挽き、ペーパードリップで一杯ずつ丁寧に淹れる。流れる音楽はジャズやクラシック、ボサノヴァ、北欧ポップスなどさまざま。薄くやわらかな音量で店の空気に溶け込み、コーヒーを淹れる音や食器がぶつかる音、人々の話し声と混じり合っていく。
 「この店に心地よさを感じる人は、きっと北欧との相性がいいはず」と岩間さん。北欧ファンならずとも、吉祥寺の“北欧ストリート”巡りを楽しんでみてはいかがだろうか。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

カフェ モイ

1日本の建築家やデザイナーが、それぞれのフィルターを通した北欧を表現。シンプルで温かみのある空間をつくりあげた。「moi」とはフィンランド語で「やあ!」の意味。「フィンランド語教室」や「旅講座」などのイベントも開催している。
2入口にポストカードショップ「kortti」を併設。ここでカードを買い、カフェでお茶を飲みながらメッセージをしたためる人も多い。
3そばに置くだけで心の温度を上げてくれる北欧の雑貨たち。使いやすくて丈夫なところも、魅力のひとつ。
4フィンランドの家庭の味を再現したシナモンロール150円(平日限定)は、味わい深く甘さ控えめ。深煎りのブレンド550円とともに。

moi[カフェ モイ]

住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-3 グリー二イ吉祥寺1F

電話番号 0422-20-7133

営業時間 月・水・木12:00~21:00、金・土・日・祝12:00~20:00

休日 火

金額 カフェオレ600円、サーモンの北欧風タルタルサンド800円、おやつセット500円

URL http://www.moicafe.com/


陽気でおおらかなブラジルの雰囲気そのまま 家庭料理と音楽に包まれたカフェ
バードソングカフェ

 西荻窪駅から歩いて10分の、静かな住宅街に佇む「copo do dia」。この店の壁には2枚の写真が飾られている。1枚は古びたモノクロームの写真で、もう1枚は真新しいカラー写真。時代は異なるものの、まったく同じ場所で撮影された写真だ。
「この場所は、母が昔暮らしていたブラジルのサント・アンドレという町です。モノクロームの方は1965年に撮影されたもので、当時の自宅と母が映っているんですよ」と教えてくれたのは、ご主人の伊藤正弘さんとともにオーナーをつとめる知子さん。昨年、知子さんが同じ場所を訪ねた際に撮影されたのがもう1枚のカラー写真、というわけだ。
 母親からブラジルの思い出話を聞いた記憶はほとんどない、という知子さん。しかし、遺品を整理しているときに偶然見つけた一冊のノートが、ブラジルへの思いを駆り立てた。「ノートには、母が現地の料理教室で習った料理やお菓子のレシピがたくさん書いてありました。これを再現してお店で出してみよう、と思ったんです」
 ブラジル中で愛されている軽食“パステウ”や、日本人向けに甘さを抑えた“バナナケーキ”など、メニューには素朴ながらも本格的な“おふくろの味”が並ぶ。店で流れる音楽も、もちろんブラジルが中心。店内には中南米音楽のCDが並び、備え付けのウォークマンで自由に試聴することもできる。CDのラインナップは毎月変わるため、何度訪れても飽きることはない。
 ときには、ボサノバ、サンバ、ジャズなどのライブや、ポルトガル語講座も開催している。なかでも好評を集めているのが毎月1度開かれている「サンバリトミック」。飲食を楽しみながらバンディロ、タンボリン、ガンザなどのパーカッションを教わる、参加型のイベントだ。
 バリスタの資格を持つオーナー夫妻が淹れるコーヒーも、楽しみのひとつ。「コーヒーを飲みながら、1日中音楽を聴いているお客様もいらっしゃいます。自分の部屋のように楽しんでいただければ嬉しいですね」。ブラジルのイメージそのままに、おおらかで暖かい雰囲気に包まれた店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

バードソングカフェ

1.店名はポルトガル語で「コップが毎日変わる」という意味。その名のとおり、コーヒーカップや器のデザインはひとつひとつ異なっている。
2.椅子はすべてアンティークで、デザインもさまざま。「何度来ても楽しんでいただける場所にしたい」という伊藤夫妻の願いが込められている。棚に並ぶCDは、中南米のCDを扱うインターネットショップ「MPB store」が提供。試聴はもちろん、その場で購入も可。
3.小麦粉の皮で挽き肉とチーズを包んで揚げたパステウ450円と、ブラジル風ハツ焼きのコラサォン450円。ブラウマイスターは600円。
4.周囲は閑静な住宅街。ブラジル音楽ファンはもちろん、ふらりと訪れる近所の常連客も多い。

copo do dia

住所 東京都杉並区西荻北4-26-10-103

電話番号 03-3399-6821

営業時間 月~木・祝12:00~20:00、金・土・日12:00~24:00

休日 水・第3火

金額 ライブ、イベント開催時にはチャージあり

URL http://homepage2.nifty.com/copo/


マスターも出演者も超一流ミュージシャン 本物を知る大人たちの社交場
さくらんぼ

 都心から少し離れた、静かな駅。その正面にあるジャズレストランは、週末になるとジャズファンの熱気で満ち溢れる。これまでライブに出演したミュージシャンは、リッチー・コールやジョージ・ロバーツ、穐吉敏子、大野雄二など、そうそうたる顔ぶれ。人通りもまばらな街にある小さな店に、なぜ国内外の超一流ミュージシャンが集うのか。答えは簡単。マスターも超一流のミュージシャンだからだ。
 ジョージ・岡田さんは、“日本のジョージ・ロバーツ”との異名を取るトロンボーン奏者。ナタリー・コール、サミー・デイビス・Jr.の来日公演やフランク・シナトラの来日公演・香港公演でバックを務めたと聞けば、ジャズファンならずともその実力を推し量ることができるだろう。
スタジオミュージシャンとしての実績も、群を抜いている。過去にレコーディングした楽曲は、実に3万5000曲以上。井上陽水や松任谷由実、山下達郎をはじめ、日本のトップアーティストのレコードにはほぼ100%参加している、と言っても過言ではない。
 そんな岡田さんが、なぜジャズレストランを開いたのか。「日本の音楽がデジタル化しはじめた頃に、スタジオミュージシャンを辞めたんです。僕はアコースティックな人間だから、デジタルの音が大嫌い。デジタルの音は、人間の生理に合わない音だと思っています。本物の音楽を、本物の音で聴かせる場所を残したかったんです」。
 天然木で作られた天井や壁は、絶好の音響装置。スピーカーを通さず直接耳に届く音楽には、大ホールでは味わえない高揚感がある。耳の肥えた客に乗せられて、「ついつい良い演奏をしてしまう」というミュージシャンも多いとか。海外の有名ミュージシャンも「さくらんぼうで演奏したい」とやってくる。
 ライブ演奏のない平日や昼間には、JBLのスピーカーから流れるジャズに合わせて、地元の人々がリズムを取る。マスター自らサイフォンで淹れる有機豆のコーヒーや、奥様の手作り料理にもファンが多い。「音楽だけじゃなく、コーヒーも料理も内装も妥協できない。全部本物じゃなきゃ駄目なんです」。世界の本物を知る超一流のこだわりは、とどまることを知らない。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

さくらんぼ

1.マスターがシナトラと共演した際の写真やレコードジャケットが飾られている。時計はすべて、シナトラが亡くなった時刻である2時50分を指している。
2.JBLの大ホール用スピーカーは、日本に数本しかない逸品。ボックスはマスターの手作りだ。半年間かけて音のバランスを調整したという。
3.真空管が入ったドイツ製のマイク。もともとはレコーディングスタジオ用に作られたもので、自然で美しい音声が楽しめる。
4.キリン一番絞り(生)600円。人気のカレーをはじめ、オムライスや豚しょうが焼きなどの食事メニューも充実している。
5.マスターのジョージ・岡田さん。ビッグバンド「宮間利之&ニューハード」のトロンボーン奏者としても活躍している現役のミュージシャンだ。

ジャズレストラン さくらんぼ

住所 東京都調布市菊野台2-22-3-2F

電話番号 042-488-0626

営業時間 12:00~深夜0:00

休日 正月

金額 ライブ開催時ミュージックチャージ、ミニマムチャージあり※ライブにより料金は異なる

URL http://www.jck.net/sakuranbo/


イタリアンの魅力に触れるレストラン&バール 日曜の昼下がりには「Jazz Brunch」も開催!
De'Longhi's TOKYO

 デロンギ社といえば、オイルラジエターヒーターやエスプレッソメーカーで知られるイタリアの総合家電メーカー。昨年9月、国内初のコンセプトレストラン&バールが代官山にオープンした。
 店内に足を踏み入れるとまず、鉄屑でできた芸術的なシャンデリアに圧倒される。好奇心を刺激されながら右へ進むと、そこはオレンジとブルーを基調にしたイタリアらしい色使いのリストランテ。昼はパスタランチ1200円などのリーズナブルなランチメニューを、夜はイタリア・ヴェネト州出身のシェフによる料理をアラカルトやコースで楽しめる。米や肉、きのこ類をたっぷり使ったヴェネト州の郷土料理は、素朴で温かみのある味わい。ピアノの生演奏に耳を傾けながらリゾットや手打ちパスタをいただけば、イタリアの魅力を五感で味わうことができるだろう。
 また、日曜の昼下がりには、大人のための楽しみも様々に用意されている。有名アーティストによるジャズの生演奏を聴きながら、イタリア料理やワイン、ビールなどのビュッフェを楽しむ「Jazz Brunch」だ。1月27日(日)の午前11時からは、トランペッターで作曲家のマイク・プライス氏率いる「マイク・プライス・トリオ」と、平井堅・浜崎あゆみなどのレコーディングやコンサートツアーにも参加しているヴォーカリスト、アンドレア・ホプキンスが出演。イタリア料理とジャズの美味しい競演で、休日の午後を心地よく彩ってくれるはずだ。
 螺旋階段を上った2階は、セルフサービスのブルスケッタバール。自然酵母・小麦粉・水のみを使い、30時間かけてじっくりと発酵させた自家製パンのブルスケッタを、サラダやスープ、ドリンクとともに楽しめる。天気のよい日には、見晴らしの良いオープンテラスの席でのんびりと過ごすのもいいだろう。
 デロンギ社の最新商品が並ぶショールーム・ショップも併設され、全自動のエスプレッソマシンを使って実際にエスプレッソやカプチーノを淹れることも可能。歩き疲れた時にエスプレッソでひと息つくもよし、ジャズとともに本格イタリア料理を楽しむもよし。肩の力を抜いて自由に使える、大人にぴったりの店だ。

取材・文/渡辺裕希子 写真/横田敦史

De'Longhi's TOKYO

1.インテリアは、ダヴィデ ・ピッツィゴーニ氏が担当。ブルガリで鞄やテキスタイルを、ブルーノ・マリで靴をデザインする世界的デザイナーだ。
2.入り口にあるシャンデリア。デロンギ社のオイルラジエターヒーターの鉄部分を再利用し、照明アーティストの櫻井正一氏がデザインした、エコロジーにも配慮された作品。
3.2階のブルスケッタバール。3種類のブルスケッタにサラダ又はスープ、ドリンクを組み合わせたセットは1000円。デロンギの最新製品も展示されているほか、イタリア人料理研究家による料理教室も開催。
4.1階のオープンキッチン。調理の様子を外から見ることができる。
5.歯ごたえのある手打ちパスタに、アンチョビベースのソースを合わせたビーゴリ1800円。ブラウマイスター500円との相性も抜群。

De'Longhi's TOKYO

住所 東京都渋谷区猿楽町24-7 代官山プラザ1・2F

電話番号 03-5428-4631

営業時間 1F(リストランテ)ランチ11:30~14:30(LO14:00)、コーヒー&ケーキ14:30~17:00(土・日・祝のみ)、ディナー18:00~23:00(LO22:30)
2F(ブルスケッタバール)11:00~22:00
2F(ショールーム・ショップ)11:00~19:00

休日 火

金額 Jazz Brunch5000円(スタンディング)、7500円(テーブル席)、8500円( ボックスシート)

URL http://www.delonghi-s.com/


30年前から変わらない昔ながらの喫茶店  夜にはジャズ、ボサノバのライブも開催
カフェ アンサンブル

 「学芸大学」といえば、今や学生や若者が行き交う華やかな街。個性の薄いチェーン店が増えてきた駅前にある、昔ながらの雰囲気の喫茶店。それが、コーヒーと音楽を愛する夫婦が30年前に開いた「珈琲美学」だ。
 BGMは、マスターが選んだクラシック音楽。「若い頃は名曲喫茶に通いつめていた」というだけあって、音響設備も本格的だ。お店で使われている木製の椅子は、店名が彫刻されたオリジナル。壁には2人の好みで集めた絵画が飾られ、職人に作らせた銅製ランプからは暖かな光がもれる。
「インテリアも雰囲気も、30年前から何ひとつ変わっていません。私たちにとってこの店は、自分の家よりも落ち着ける空間なんですよ」とママ。初めて訪れる人でも、なぜか懐かしく思えるから不思議だ。
 コーヒーを淹れるのは、マスターの役目。「最近は、深煎りのコーヒーが流行していますよね。でもうちでは、豆の持ち味を生かすために浅煎りの豆をたっぷりと使っています。コーヒーを飲んで、『おいしい』と言っていただけるのが一番の喜びです」とマスター。豆の挽き方は、細かすぎず荒すぎず。蒸らし方にもこだわった熟練の技術で、酸味や苦味、香りを余すところなく引き出している。
 毎月第2・4木曜の夜には、ワインやビールを飲みながらジャズやボサノバの生演奏が楽しめる。こちらは、ママが企画。ときには、フレンチやイタリア料理を用意したディナーショーも開催している。マスターが「そこらへんのレストランよりも美味しい」と評するママの手料理を楽しみながら、目の前で音楽を愉しむ。ゆったりとした音楽会は、酸いも甘いも知る大人たちに好評だ。
 学生時代に通っていた客が、10数年ぶり訪ねてくることも珍しくない。「皆さん、学芸大学の街が変わったことに同時に、この店が変わっていないことに驚いているようです(笑)」。夫妻のこだわりと優しい空気に包まれて、昔と変わらない和やかな時間が流れていく。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

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1.学芸大学駅からは歩いて1分程度。ビルの階段を下りると、まるで時間が止まったようなクラシックな空間が広がる。
2.昼間のBGMは、モーツァルトやバロック音楽など。音楽に耳を傾けながら、おしゃべりも楽しめる雰囲気だ。
3.銅で作られたランプにも、店名が彫られている。手作りの家具のひとつひとつに、夫妻のこだわりが見える。
4.コーヒーフロート780円は、アイスをバラの花びらに見立てた芸術品。「手早く作らないとアイスが溶けてしまう。一杯一杯が勝負です」とマスター。

珈琲美学

住所 東京都目黒区鷹番2-19-20-B1

電話番号 03-3710-1695

営業時間 10:30~22:45、日曜11:00~21:00

休日 月(祝日の場合は翌日休)

金額 ライブ開催時ミュージックチャージ2500円~

URL http://www11.ocn.ne.jp/~bigaku25/


美味しい珈琲と美しいクラシックの調べ  音楽を愛する家族が営む喫茶店f
カフェ アンサンブル

 大通り沿いにあるビルの扉を開き階段を下りると、グランドピアノが出迎えてくれる。壁に埋め込まれたタンノイのスピーカーから流れるのは、バッハやモーツァルト。美しい音楽と向き合いながら、ドリップで落としたコーヒーを味わい、静かに会話を楽しむひととき…。1985年に開業した「カフェ アンサンブル」は時を経た今も、クラシック音楽を愛する人たちの憩いの場だ。
 オーナーの望月正修さんは独学でピアノを学び、釧路管弦楽団の指揮を務めた音楽家。「当時はこのあたりには銭湯がいっぱいあってね。東大の学生さんがいっぱい来て、何時間も音楽を聞きながら勉強していたものですよ」とオーナーの奥様は当時を懐かしむ。1枚のレコードが初任給よりも高く、名曲喫茶が重宝されていた時代。誰もがスピーカーに正対し、真剣に音楽を聴いていたという。
 今や、パソコンや携帯電話を通して曲を買える時代。音楽は手頃な娯楽となり、レコードを聴くためにわざわざ店に足を運ぶ人も少なくなった。それでも、“静かに集中して音楽を聴く”という店のスタイルは昔から変わらない。「ここには余分な雑音がないから、自分の中に音楽を取り込みやすい。よりよい環境で音楽を聴けるように、雰囲気づくりを心がけています」と話してくれたのは、両親とともに店に立ちながら選曲も担当している次男の文哉さん。BGMとして聞き流すのではなく、あくまでも音楽が主役の喫茶店。音楽を愛する一家とルールの分かる客によって、昔のままの雰囲気が守られている。
 店ではときおり、クラシックのコンサートを開催。プロの演奏家たちが、息遣いが聞こえるほど間近で演奏してくれる。ときには、トップオーケストラの主席や、サントリーホールで演奏するほどの実力家も登場するというから見逃せない。
 同じビルの2階では、10名の専門家が教える音楽教室も行われている。チェロ奏者である三男の直哉さんは、この教室の先生。聴くだけでなく演奏してみたい、と思ったら、扉を叩いてみるのもいいだろう。

取材・文/渡辺裕希子 写真/関根則夫

カフェ アンサンブル

1.日常から離れた独特の世界が広がる。店内には写真や版画、絵画などを展示。ギャラリーとしても活用されている。
2スピーカーはタンノイの「EDINBURGH」。開店当時から使っているが、一度も故障したことはないという。
3. 常連客からプレゼントされたビクターの蓄音機。これで聴くSPレコードは、不思議とリアル感があり、間近で演奏しているような錯覚に陥る。
4.レギュラー、ライト、ストロングの3種類から濃さが選べるブレンドコーヒー480円と、しっとりとなめらかな食感の手作りパウンドケーキ370円。

カフェ アンサンブル

住所 東京都目黒区駒場2-17-8 ローズハイムまつながB1F

電話番号 03-3467-6296

営業時間 月・火・木・金11:00~21:00、木8:00~14:00、土・日・祝12:00~19:00

休日 月・火・木・金11:00~21:00、木8:00~14:00、土・日・祝12:00~19:00

金額 毎月最終月曜。コンサート開催時はお休み。

URL http://cafe-ensemble.com/


目の前でマジックが楽しめる純喫茶 美空ひばりのコレクションも秀逸f
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 下北沢の駅から歩くこと10数分。「こんな場所に本当にあるのだろうか…」と不安になった頃、住宅街に佇む小さな店を見つけた。扉を開けると、天井からは無数のアンティークランプが吊るされ、壁には年季の入った柱時計が。ここは、おいしいコーヒーが飲めるだけでなく、目の前でマジックが楽しめる、ちょっぴり不思議な喫茶店なのだ。
 ベレー帽が似合うマスターの作道明さんは、もとは百貨店で働くごく普通のサラリーマンだった。彼の人生を変えたのは、2つの出会い。ひとつめは、初代引田天功さんとの出会いだ。「デパートで実演販売をしていた天功さんに手品を教わって、友人たちの前で披露したんですよ。当時は手品が出来る人なんてほとんどいなかったから、みんなに『すごい、すごい』って褒められてね。それで調子に乗って、天功さんが売っていた手品道具をほとんど全部買っちゃったんです(笑)。それから天功さんのところに入り浸るようになり、弟子入りさせてもらいました」
 もうひとつは、国立にある「邪宗門国立店」との出会いだ。創業者からコーヒーの淹れ方を教わり、マジックの腕をさらに磨いた作道さんは、昭和40年に自宅を改装して小さな喫茶店を開く。当初は反対していた奥さんをなんとか説得し、二人三脚での船出。それから43年、お客さんの前で毎日のようにマジックを披露しつつ、自慢のコーヒーを淹れるマスターは、実にいきいきと楽しそうだ。
 店内奥にある茶室には、ママが大好きな美空ひばりのブロマイドやレコードが展示されている。ゼンマイ式の蓄音機やジュークボックスもあり、好きな曲をリクエストすることも可能。蓄音機で聞く「リンゴ追分」には、CDにはない深い味わいがある。「CDを持っているのに、『蓄音機の音で聴きたいから』と言ってわざわざ来店してくださるお客様が多いんです。音楽を聴いたり、昔話に花を咲かせたり、ファン同士の交流の場となっています」と、ママ。
 コーヒーやマジックだけでなく、美空ひばりまで楽しめる。この不思議な喫茶店を支えているのは、互いの趣味を認め合い、助け合う夫婦愛なのかもしれない。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

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1.土地柄、昔から多くの文化人や作家が来店していた。初代引田天功も遊びに来ていたとか。
2.作家の森茉莉がいつも座っていた席。お気に入りのバターを持ち込み、「ボトルキープ」ならぬ「バターキープ」をしていたという。
3.ママの美空ひばりコレクション。「芸能生活30周年」のレコードは、全15枚揃っている。
4.約50年前から働き続けるジュークボックス。ドーナツ盤のレコードを、当時の懐かしい音で聴くことができる。
5.黒蜜のかわりにコーヒーをかける、あんみつコーヒー700円。コーヒーの苦味とコクが、たっぷりのあんと好相性。

邪宗門世田谷店

住所 東京都世田谷区代田1-31-1

電話番号 03-3410-7858

営業時間 9:00~18:00(閉店時間が早まることもあり)

休日 木

金額 ブレンド(モカベース)500円、ストレート650円、ウインナーコーヒー700円、ロイヤルミルクティー650円

URL http://homepage3.nifty.com/jashumon-setagaya/


有名ミュージシャンの演奏と本場メキシコ料理が楽しめる 週末だけオープンする贅沢な隠れ
Tepito

 「トリオ・デルフィネス」という名前を聞けば、ラテン音楽ファンならピンと来るだろう。アメリカのホワイトハウスで何度も演奏し、ハリー・ベラフォンテやナット・キングコールなど名だたるミュージシャンと共演した有名メキシコ人グループ。そのリーダーとして世界各地で活躍したチューチョ・デ・メヒコ氏の演奏を、間近で、しかもリーズナブルに楽しめる店がある。東北沢駅から至近距離にある週末限定のミュージックカフェ「テピート」だ。
 店を切り盛りするのは、奥様の久美さんと、娘の恵さん。チューチョ氏の音楽活動55周年を記念して、2006年にオープンした。「基本的には毎週末、チューチョが演奏していますが、ときどきゲストをお招きして特別ライブも開いているんですよ。マリアッチやペルー音楽などジャンルは様々ですが、共通点はみんな演奏が上手だということ。とにかく実力派のミュージシャンに演奏していただきたいので」と力を込めて話してくれた。生の音を届けるためにマイクはなるべく使わないなど、音楽に対するこだわりは徹底している。
 もちろん、料理も本格的だ。メキシコから運んできたチョコレートソースで鶏肉を煮た「モレ(1200円)」や、コラーゲンがたっぷり入った鶏肉のスープ「ソパ・デ・ポジョ(800円)」、米とミルクを混ぜた甘いジュース「オルチャッタ(650円)」など、本場さながらのメニューが揃う。「料理はメキシコ各地で勉強したほか、有名メキシコ人シェフから直接教わりました。チューチョからOKが出るまで、何度も作り直したんですよ」と久美さん。本場の味をそのまま再現したメキシコ料理は、メキシコ人はもちろん、初めてメキシコ料理を食べる日本人をも唸らせている。
 ラテン音楽の頂点に立つ巨匠の生演奏を、少人数で独占する。テーブルに並ぶのは、奥様手作りの本格メキシコ料理と美味しいビール。これだけの贅沢が、チャージも含めて1人4000~5000円程度で楽しめるのだから、ラテン音楽ファンならずとも行かない手はないだろう。

取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子

Tepito

1.サラペがかけられた扉を開いて2階へと上ると、もうひとつの扉が! 開くと、そこはメキシコ。
2.店に飾られている小物や食器、グラスなどは、久美さんがメキシコで直接買い付けている。センスの良さに脱帽。
3.チューチョ氏が演奏するアルパとギター。これを奏でながら、美声で歌い上げる。
4.ブリトー900円。チーズや玉ねぎのほか、お米も入ったオリジナルレシピ。いくつも数種類入ったスパイスが香ばしい。
5キリンの一番搾り600円は、メキシコ料理との相性が抜群。テカテやコロナなど、メキシコの代表的なビールも揃う。

Tepito 

住所 東京都世田谷区北沢3-2-17

電話番号 03-3460-1077

営業時間 金・土・日18:00~22:30(ライブは19:30~、20:15~)

休日 月~木

金額 チャージ1000円(特別ライブの場合は料金が異なる

URL http://chucho.milkcafe.to/tepito/


吉祥寺の音楽文化を牽引してきた立役者 往時の流儀「私語厳禁」を守り続ける名曲喫茶の老舗
クラシック音楽鑑賞店 バロック

 今や“ジャズの街”というイメージが強い吉祥寺。しかしその昔は名曲喫茶が数多く立ち並び、また文化的な街としても知られていた。かつては大岡昇平の小説にちなみ「武蔵野夫人的街」とも称され、金子光晴などの文豪らも、この街で育った。
 クラシック音楽鑑賞店「バロック」は、そんな吉祥寺に、昭和49年に創業。以来、隣に店を構えるジャズ喫茶の雄「MEG」とともに親しまれてきた。しかし時代の流れに伴い、次第に街の様相は変化。吉祥寺は若者の街へと変わり、周辺のエリアも歓楽街へと変貌していった。名曲喫茶が次々と店を閉める中、「バロック」は「吉祥寺を守りたい」という強い信念のもと、往時と変わらぬスタイルで、この街の文化を守り続けているのだ。
 店の流儀は創業当初と変わらず。座席は、まるで教室のように、スピーカーに向かって同じ方向に並べられている。もちろん私語は厳禁。読書や書き物をしてもいいが、自分のリクエストがかかっている間は、それもご法度。ほかの街の名曲喫茶が、次々と私語解禁するなかにあって、あくまでも往時のスタイルを踏襲し続けている。偏屈な店と思う人もいるかもしれない。しかし“あの頃”となんら変わらない店の存在に、心癒される大人達は多いのだ。
 真空管のアンプは、先代のマスター中村数一氏が手作りしたもので、やわらかな音色が特徴だ。店内にはイギリス製のスピーカーが2組あり、かける曲によって使い分けている。たとえばエルマン愛奏曲集のような、繊細でやさしい調べには、タンノイを使用。一方、オーケストラのレコードをかける際には、ヴァイダボックスを使い、迫力の重層的な音を楽しむ、という具合だ。アナログレコード特有の温かみのある音色は、自宅の小さなステレオで聴くのとは比べものにならない。まるで空気が震えるような臨場感溢れる音で、演奏家の息遣いまで聞こえてくるかのよう。ここに来れば、至福の音楽に包まれ、ひとりになることができる。大人の秘密基地のような一軒。

取材・文/高橋かおり 写真/須藤夕子

クラシック音楽鑑賞店 バロック

1.それぞれの曲の特徴に合わせ、「タンノイ」と「ヴァイダボックス」を使い分けている。
2.劇場などで使われていた真空管を用い、先代マスター中村数一さんが手作りした真空管アンプ。
3.レコードは6000枚ほど所蔵。その時かけているレコードは、ホワイトボードで確認できる。持参したレコードをかけてくれることもあるが、レコード針を守るため、スプレーなどの薬剤を使用せず、ガーゼで手入れしたレコードのみの対応。
4.ブレンド800円。追加注文は半額で。創業以来変わらぬ豆を使っている。水はNASAでも使用しているという浄水器を通しており、やわらかくまろやかな味わいが魅力。
5.現在店を守るのは、先代マスターの奥様、中村幸子さん。彼女を慕って通うお客さんも多い。

クラシック音楽鑑賞店 バロック

住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-31-3 みそのビル2F

電話番号 0422-21-3001

営業時間 12:00~22:00

休日 火・水

金額 ブレンドコーヒー800円、紅茶800円、ココア900円、ミルク800円、オレンジジュース900円、 追加は半額

URL なし


街とともに歩んできた、国分寺の名物喫茶f
でんえん

 大正13年に建てられた米蔵を増改築した「でんえん」は、昭和32年の創業。今年の4月に50周年を迎えた名曲喫茶の老舗だ。
「何だか変わったお店でしょう? 店の前を通っても5人中4人は入って来ないわよ」
 一人で切り盛りする新井冨美子さんが笑いながら話すものだから、こちらもつられて笑ってしまった。  30席ほどの広さの店内は、一時、漫画家の溜り場になっていたこともあったようで、『ゴルゴ13』の作者、さいとう・たかをや、『漫画家残酷物語』の永島慎二らが顔を出していたという。取材中も近所の常連さんとおぼしき人が、次から次へと入って来て、その一人一人に新井さんが丁寧に話かける。人が集まるわけだ。
 それにしても中央線沿線には、なぜ独特の雰囲気が漂う喫茶店が多いのだろうか。
「現在のことは知りませんよ。だけど昔は、下町は商売の街、山手は高級住宅地でした。そして中央線沿線は生活の街だったんですよね。普通の生活をしている人が、暮らしの中でゆとりをもって音楽を聴いていた。そんなスペースが日常にあったということでしょうね」
 その店に行けば必ず出迎えてくれるマダムと、店に集う街の人々とが、どこか懐かしい店の雰囲気を創りだしているのだろう。

取材・文/森澤郁夫 写真/岡村智明

dでんえん

1.さまざまなオーナメントや絵画が飾られ、独特の雰囲気を醸し出している店内。
2.手づくりのスピーカー。店内にはカウンターの上にも劇場用の大型スピーカーが備えられている。ジャズやヒーリング音楽が流れることも。
3.CDのほかレコードは約1000枚収蔵。手書きのリストを見ながらリクエストも可。音源の持ち込みも可能で、レコードプレーヤーのカートリッジはオルトフォンSPUクラシックG。
4.お店の名物、コーヒーと自家製レアチーズケーキのセット800円。

でんえん

住所 東京都国分寺市本町2—8—7

電話番号 042—321—2431

営業時間 12:00~20:00

休日 木曜

金額 コーヒー450円、紅茶450円、ココア500円、自家製レアチーズケーキ450円、ワイン(ボトル187ml)800円、ウイスキー(シングル)500円

URL なし


名曲喫茶の文化を守り続ける老舗サロンやギャラリーとしても人気
名曲喫茶ミニヨン

 「名曲喫茶ミニヨン」が荻窪駅北口に誕生したのは、名曲喫茶が流行し始めた1961年のこと。現在の場所である南口のビルに移転したのは、1971年である。創業者の深澤千代子ママによると、店の名前はトマ作曲のオペラの主人公「ミニヨン」と、お店が小さいことを掛け合わせて名づけられたという。
 長く愛されてきた深澤ママが94歳で亡くなった後は、3人の女性スタッフと常連のお客さんたちが力を合わせて店を支えている。「2代続いている名曲喫茶って、珍しいでしょ?」と話すのは、深澤ママと30年以上にわたって苦楽をともにしてきた小林真理子ママ。名曲喫茶ブームが過ぎ去った現在も、昔ながらの文化を残すべく日々奮闘している。「親子2代で通ってくださる常連の方もいらっしゃいます。店の中には、誰がどこから持ってきたか分からないものがあちこちにあるんですよ(笑)。歴史がある店というのは、本当に面白いですよね」
 レコードのコレクションは、5000枚以上。リクエストをする際は、カウンターに置かれた手書きのリストブックの中から聴きたい曲を選び、曲名と作曲者名をノートに書き込む仕組みだ。好きなレコードに熱中する往年の音楽ファンもいれば、ゆっくりと本を読みながら2人の時間を楽しむ若いカップルもいる。誰にも邪魔されずに過ごせる自由さが、さまざまな客層を惹き付けている。
 サロンでは、コンサートも開催。30年間にわたって毎月続いているカルテットのコンサートをはじめ、毎月1回、日曜日にはコーヒーを飲みながらクラシックを楽しめるイベントも開かれる。昔はマニアが静かに音楽を聴く場所だった喫茶室奥のスペースは、ギャラリーに変身。写真や絵画などを発表できる場として、広く提供されている。
 2001年には、開店40周年を記念してリニューアルオープンした。シンプルなインテリアでまとめられた店内には観葉植物が置かれ、昼間は明るい光が差し込む。「ただ古びていくのと、古い雰囲気を残すことは違う。歴史ある店の雰囲気を残しつつも、女性らしい清潔感は大事にしたい」と小林ママ。開店から46年が過ぎた今も、店は進化し続けている。

取材・文/渡辺裕希子 撮影/岡村智明

名曲喫茶ミニヨン

1.カウンター越しに、5000枚ものLPレコードがずらりと並ぶ。スピーカーは「タンノイGRF」。
2.リストブックは深澤千代子ママによる手書き。「古くなったから書き直そうとしたんですが、みんな途中で挫折しちゃうんです」と小林ママ。
3.サロンの奥にあるギャラリースペースは、絵画展や写真展のスペースとして貸し出している。
4.カプチーノ550円とパウンドケーキ250円。ケーキはしっとりとした食感で甘さは控えめ。
5.キリンラガービール(中)700円とミックスナッツ400円。2つセットで頼むと1000円になる。

名曲喫茶ミニヨン

住所 東京都杉並区荻窪4-31-3 マルイチビル2F

電話番号 03-3398-1758

営業時間 11:00~22:00、日曜日のみ11:00~19:00

休日 水

金額 ブレンド・コーヒー450円、カフェ・モカ550円、ホット・レモネード480円、本日のケーキ350円、ハイボール(シングル)600円

URL http://members.jcom.home.ne.jp/stmera/mignon/


VIOLON、世界最大級の蓄音機が奏でるクラシック本物の音を伝え続ける数少ない名店
VIOLON、ヴィオロン

 2005年1月、多くのファンに惜しまれつつ幕を下ろした伝説の名曲喫茶「中野クラシック」。この店に、学校そっちのけで通いつめていた一人の少年がいた。現在、阿佐ヶ谷で名曲喫茶「ヴィオロン」を営んでいる寺元健治さんだ。
「当時はお金なんて全然なかったけど、ラジオ少年だったからオーディオの知識だけは少しあったんですよ。あるとき、『中野クラシック』のアンプを全部作りなおしたことをきっかけに、マスターの美作七郎さんがごはんを毎食食べさせてくれて、いろんなことを教えてもらいました。いい出会いに恵まれた、いい時代でした」
 店の正面にあるのは世界最大級の蓄音機「クレデンザ」。寺元さんの手で針が落とされると、まさに今、目の前で演奏されているかのような迫力で音が迫ってくる。「蓄音機による空気の振動状態は、管楽器とほとんど同じ。だから、生演奏に似た音が出せるし、音質もすごくクリアなんです。でも日本では、SPレコードはノイズが多いもの、と誤解されていたのが悔しかった。せめて私が生きている間は、本物の音を残さなければ」
そんな思いを込めて、毎月第3日曜に「21世紀にこれだけは残したいSPの名演奏」と題した演奏会を開いている。海外のオークションを通して取り寄せたSPレコードを、寺元さんが選んだ針で演奏する。「針は2年に1度、フランスやドイツに出かけて直接買い付けています。演奏会の前日には、深夜遅くまでレコードと針のチューニングを行います。どんな世界でも、こちらが究極までやらないと相手には伝わらないから」
 毎夜、夕方6時頃になるとライブが始まる。琵琶やシャンソン、ピアノ、サックスなど、ジャンルはさまざま。店の使用料が無料ということもあり、ライブの予定は一年先までいっぱいだ。プロ・アマチュアを問わず1ドリンク付きで1000円のみ。「あまり音楽を知らない人でも、ふらりと店に入ってきて欲しい」という寺元さんの願いからだ。
 ドリンクはすべて350円。食べ物の持ち込みは自由で、同じ日なら店の出入りも自由だ。コーヒー1杯で何時間でも好きなように過ごせる、という贅沢。曲をリクエストして音楽に浸る人もいれば、一日中思案にふける人もいる。名曲喫茶が流行した昭和の時代そのままの空気が、今も息づいている。

取材・文/渡辺裕希子 撮影/関根則夫

VIOLON、ヴィオロン

1.デザインから内装、音響まで寺元さんが8カ月かけて作りあげた。「中野クラシック」の美作さんが描いたデッサンも飾られている。
2.これが世界最大級の蓄音機。家庭では決して聴けない音は、衝撃的だ。
3.店の奥には、「中野クラシック」から移築した壁やテーブル、ソファなどが昔と同じ配置で並ぶ。その懐かしさに涙する人も。脚本家の野島伸司さんをはじめ、ここから巣立った著名人は数多い。
4.ブランデーかミルクを添えて出されるコーヒー350円。ブランデーを入れると香りが立ち、まろやかな味わいになる。店の隣にはタイ人の奥様による本場のタイ料理店があり、こちらも人気。

ヴィオロン

住所 東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-9-5

電話番号 03-3336-6414

営業時間 12:00~23:00

休日 火

金額 紅茶350円、ミルク350円、ココア350円、オレンジシュース350円

URL なし


重厚な空間でクラシックに浸る昭和元年から続く名曲喫茶の殿堂

1.2階まで吹き抜けになっているホールのような造り。地下1階、地上3階から成るが消防法の改正にともない、現在は1~2階で営業。スピーカーの上部や壁の飾りなど、店内のいたる所にあるライオンのモチーフが出迎えてくれる。

 高さ3mはある巨大なスピーカーから奏でられるクラシックの調べ。ただ音楽を聞くという目的のためだけに通い、その音色にじっと耳を傾ける人々――ここには、かつて60年代に全盛した名曲喫茶としての正しい姿が今もある。
 「立体的な音がしないとダメだとこだわって、レコードプレーヤーも特注。スピーカーは音の周波数までパイオニアの技師と相談して設計したものなんですよ。おかげで音のひずみも無く、コンサートホールみたいな音がするんです」とは、石原圭子さん。昨年、2代目店長を勤めていたご主人が亡くなってからは、代わりに店を守り続けている。
 店名の「ライオン」は、ロンドンにあるライオンベーカリー直伝のネルドリップコーヒーに由来。濃厚な味わいと香りがくせになる客が多いというのも頷ける。
   荘厳な雰囲気が漂う店のデザインはすべて、初代店長の山寺弥之助氏がヨーロッパをイメージして手掛けたもの。黒光りする柱や椅子の一つに至るまで店が刻んできた歴史と昭和のエレガンスを感じる。
 創業は昭和元年。戦時中も「黒獅子」という名前で営業を続けたという。昭和20年の東京大空襲により全焼したものの、5年後にまったく同じデザインで再建されたのが現在の店舗である。
 「全盛期の昭和35、36年ごろは連日満員でね。ヨーロッパの最先端の音楽が聴けると、若者たちがたくさん集まってきました。東大生はここで出席をとったほうが早いと言われたぐらい(笑)。芸術論を戦わせる学生たちや、舞台俳優、画家、裏手に3軒あった映画館から流れてくるカップルなど、さまざまな人がいてね。今の天皇陛下も高校生の頃にいらしたこともありましたよ。メンデルスゾーンのバイオリンコンチェルトを1曲だけリクエストしてさっと帰られたけど、きっとお友達から店のことを聞いて来てみたかったんでしょうね」

壁を埋め尽くすレコードは5000枚以上。15時と19時からは「定時コンサート」と称して、店で選んだ曲をかけるが、それ以外はリクエストも可能。「指揮者が○○のもので」「○○の第3楽章から」というマニアックな指定や、自分で持参したレコードをかけてほしいというリクエストも少なくない。
パイプオルガンのような巨大なスピーカーから音が降り注いでくるような荘厳さは、さながら教会にいるようだ。祈りを捧げる、そんな気分で音楽を聞くと心も洗われるはずである。

取材・文/宮原香菜子 撮影/田頭真理子



1.2階まで吹き抜けになっているホールのような造り。地下1階、地上3階から成るが消防法の改正にともない、現在は1~2階で営業。スピーカーの上部や壁の飾りなど、店内のいたる所にあるライオンのモチーフが出迎えてくれる。
2.3.ほぼ全て正面のスピーカーを向いた一方向のクロスシート。常連さんは、いつも同じ席に座るとか。
4.「3Dサウンドシステム」と彫られた木製の特注スピーカー。一般家庭では不可能な伸びやかな音は、何時間聞いていても飽きず、そして疲れない。
5.レコード会社から寄せられる新譜もあり、コレクションは現在も増殖中。昔は「定時コンサート」ではレコード会社の人が解説をしていた。
6.LP版にこだわるのは、デジタル録音にはない伸びやかな音がするからとか。「秘」と書かれた貴重なレコードもある。今は使われなくなった地下と3階には擦り切れたレコードが眠っている。
7.正面の佇まいも趣があるが、「ムルギー」の角を曲がった裏通りから入るアプローチも捨てがたい。
8.本物のネルドリップ方式で、独特の濃さが味わえるコーヒー500円。ミルクピッチャーはソーサー内に置くのがライオン式。
9.特製のアイスクリーム570円も人気メニューのひとつ。昔は軽食やアルコールもあったそうだ。

2.3.ほぼ全て正面のスピーカーを向いた一方向のクロスシート。常連さんは、いつも同じ席に座るとか。
4.「3Dサウンドシステム」と彫られた木製の特注スピーカー。一般家庭では不可能な伸びやかな音は、何時間聞いていても飽きず、そして疲れない。
5.レコード会社から寄せられる新譜もあり、コレクションは現在も増殖中。LP版にこだわるのは、デジタル録音にはない伸びやかな音がするからとか。「秘」と書かれた貴重なレコードもある。
6.店内の至るところに当時の面影が残っている。
7.本物のネルドリップ方式で、独特の濃さが味わえるコーヒー500円。ミルクピッチャーはソーサー内に置くのがライオン式。
8.特製のアイスクリーム570円も人気メニューのひとつ。昔は軽食やアルコールもあったそうだ。

名曲喫茶ライオン

住所 渋谷区道玄坂2-19-13

電話番号 03-3461-6858

営業時間 11:00~22:30

休日 正月・お盆

金額 コーヒー500円、ココア570円、レモンティー520円、レモネード670円

URL http://lion.main.jp/


最新渋谷カルチャーを発信する“東京カフェ”のパイオニア

1.店内は木目と白壁を基調にモダンとアンティークをミックスしたインテリア。リラックス感が漂う。

 2000年頃から花開いた東京のカフェブーム。そのシーンを牽引する先駆者といえば、1999年にオープンした「カフェ・アプレミディ」だろう。オーナーは、渋谷カルチャーをリードしたといわれる伝説的なフリーペーパー「サバービア・スイート」の発行や、コンピレーションCDのプロデュースなどで知られる橋本 徹氏。「友人や趣味の似た人と和める空間を作りたい」とこのカフェを始めたという。そして店長を務めるのは、DJとしてMUSICAÄNOSSAを主宰し、USENの音楽放送チャンネルの選曲や音楽誌の執筆などでも知られる中村智昭氏。JBLのスピーカーからは、「usen for Café Après -midi」のゆるやかな音楽が流れ、一角にあるDJブースを使って、アニバーサリーパーティーなどのイベントも催される。一般的にはまだあまり知られていないアーティストの音楽をジャンルにとらわれず流すこの店は、新たな渋谷カルチャーの発信基地でもあるのだ。
 木の温もりにあふれた店内にはアンティーク家具や

ソファがゆったりと配置されており、雑居ビルの5階にあるとは思えない隠れ家的雰囲気が漂う。このカフェの魅力は、どんなふうに過ごしてもいいという自由さだろう。昼間からビールを飲んでもいいし、グラスシャンパンだけオーダーしてもOK。おいしいパテや生ハムなどの酒のアテもあれば、生地から丁寧に作られるピザもある。センスのいい音楽とゆる~い空気、そして居心地のよさ。こんなカフェに若い女性を誘えたら、“粋”かもしれない。

取材・文/高橋かおり 写真/関根則夫



1.店内は木目と白壁を基調にモダンとアンティークをミックスしたインテリア。リラックス感が漂う。
2.JB Lのスピーカーから、ジャズやクラシック、ブラジル音楽など、センスの良いBGMが流れる。
3.店内で読むために本の貸し出しも。また、オーナーが選曲したコンピレーションCDも販売。
4.「ハートランド」950円と、パルマ産の生ハム「プロシュート」950円。つまみ類からお腹にたまるカフェご飯まで多彩なメニューがそろう。
5.「マルゲリータ」1050円。カリッと焼いたピザの生地とトマトソースはお店で手作りというのも感動。
6.「クロックムッシュ」950円。モッツァレラチーズとハム、ホワイトソースが入ったホットサンド。
7.「鶏と木の子の特製まろやかカレー」1150円。サワークリームでまろやかに仕上げ、スパイスを効かせている。料理はすべてひと工夫ある本格派。

2.JB Lのスピーカーから、ジャズやクラシック、ブラジル音楽など、センスの良いBGMが流れる。
3.店内で読むために本の貸し出しも。また、オーナーが選曲したコンピレーションCDも販売。
4.「ハートランド」950円と、パルマ産の生ハム「プロシュート」950円。つまみ類からお腹にたまるカフェご飯まで多彩なメニューがそろう。
5.「マルゲリータ」1050円。カリッと焼いたピザの生地とトマトソースはお店で手作りというのも感動。
6.「クロックムッシュ」950円。モッツァレラチーズとハム、ホワイトソースが入ったホットサンド。
7.「鶏と木の子の特製まろやかカレー」1150円。サワークリームでまろやかに仕上げ、スパイスを効かせている。料理はすべてひと工夫ある本格派。

カフェ・アプレミディ

住所 東京都渋谷区神南1-15-7 公園ビル5F

電話番号 03-5428-0510

営業時間 12:00~翌1:00(LO)、金・土・祝前日~翌4:00(LO)

休日 なし

金額 ハートランド950円、グラスワイン+ディップとパテのセット950円、シーフードとグリーンアスパラのクリーミードリア1260円

URL http://www.apres-midi.biz


椅子に身を沈めると、ジャズが時代の音とともに蘇る35年目を迎えるジャズ喫茶の老舗

1.大音量のジャズが流れる独特の空間は、時間も場所も曖昧になってしまう。

 騒乱期の新宿でジャズを体験し、そのまま今日に至っているというジャズマンは少なくない。プレーヤー然り、ジャズ喫茶然りだ。とはいえ後者の方は減少すること著しい。今はそこいらのラーメン屋でさえ、ジャズがかかっている時代である。
 「創業者の福島哲雄が店を始めた1972年当時はジャズという音楽自体もジャズ喫茶も全盛時で、店それぞれが流すレコードで個性を競い合っていたと思います。メアリー・ジェーンはそんな中、ハードバップにこだわらず、当時まだ勢いがあったいわゆる前衛派をけっこうかけていましたから、フリー・ジャズの店というレッテルを貼られたりしていました。実際は極端な話、ジャズを感じれば何でもありだったんですけど。ジミヘンとかね。」
 インタビューの間も笑みを絶やさない現在のマスターである松尾史朗氏。お店が開店した数年後から客として通いつめ、ある時期「雇われ店長」に。その後しばらくお店を離れていたが、3年前から、福島氏から店を引き継いでいるという。松尾氏の温和な人柄から取材を進めていくうちに、敷居の高い店、という先入観が溶かされていった。何を隠そう、かつて私は、北陸の有名なジャズ喫茶に立ち寄った時、客がいないことをいいことに、ハーブ・エリスのオブリガートが聴きたくて『エラ&ルイ』の3曲目「Moonlight In Vermont」、次にブロサッム・デアリー…、と、どんどんトラックでリクエストしたことがある。するとそんなオーダーは良くない、アルバム全体を聴くものだ、とカウンター越しにマスターからこんこんと説教を食らってしまった。

それ以来、ジャズ喫茶を敬遠しがちなのである。
 「i-podやら何やらの影響もあるでしょうが、最近はそういったリクエストの仕方、珍しくないですよ。でも、なんか気が短くなっているというかね…」
 CD、レコード合わせて5000枚はあるという店内からは、ビルの間に山手線が見える。
 「昔はもっと視界が広くて。ジャズ喫茶=密室のイメージが通っていた時代では異端でしたね。それもこれも先代オーナーのセンスで、僕はそれを維持してるだけなんですが。まあ、窓の外の景色を眺めたり、ボーッとしたりしながらふと気付くとちょっと心に残る音が鳴っていた。それで充分だと思ってるんです、今は。」
 夜、椅子に身を沈めながらここでジャズを聴くと、騒乱期にタイムスリップできるんじゃないか…。ふと、そんな気がしたものである。

取材・文/森澤郁夫 写真/関根則夫



1.大音量のジャズが流れる独特の空間は、時間も場所も曖昧になってしまう。
2.「キリンラガー」750円「田舎風お肉のテリーヌ」800円。手の込んだ美しいテリーヌと、お店自家製のピクルスがビールによく合う。
3.「アンチョビのスパゲティー」1000円。ランチタイムには、同じ値段でコーヒー・サラダ・デザートがサービス。
4.5000枚ほど揃うレコードやCDの中から、好きな曲をリクエストすることもできる。
5.スピーカーは先代オーナーの手作り。
6.雑居ビルの2Fに位置する。階段の両脇に貼られたポスターが店の歴史を感じさせる。

2.「キリンラガー」750円「田舎風お肉のテリーヌ」800円。手の込んだ美しいテリーヌと、お店自家製のピクルスがビールによく合う。
3.「アンチョビのスパゲティー」1000円。ランチタイムには、同じ値段でコーヒー・サラダ・デザートがサービス。
4.5000枚ほど揃うレコードやCDの中から、好きな曲をリクエストすることもできる。
5.スピーカーは先代オーナーの手作り。
6.雑居ビルの2Fに位置する。階段の両脇に貼られたポスターが店の歴史を感じさせる。

メアリー・ジェーン

住所 渋谷区桜ヶ丘2-3 富士商事ビル2F

電話番号 03-3461-3381

営業時間 日・火~木12:00~23:00、金12:00~24:00、土12:00~23:30 ※ランチタイムは12:00~15:00

休日 月

金額 コーヒー600円、ハーパー700円、ワインや日本酒もそろう。18:00以降、アルコール注文に付き、ナッツ(食べ放題)3種でチャージ500円

URL http://maryjane.cocolog-nifty.com


ピアニストにしてワインエキスパート横山幸雄がプロデュースするリストランテ

1.白、オレンジを基調とした温かみのある店内は、竹山氏と横山氏のコラボから生まれた空間。調度品やカトラリーなども横山氏が全面的に選んだという。

 1990年、当時の日本人としては最年少にあたる19歳の時、「ショパン国際コンクール」で3位入賞を果たした横山幸雄氏。世界的に著名なピアニストである。しかし、実は本業以外のあらゆるジャンルに壮大なるエネルギーを投じている趣味人でもある。たとえば、ワインエキスパートの資格を有するほどのワイン好きで、コレクションは数千本にも及ぶ。さらに建築、内装、カトラリーなどにも造詣が深く、もちろんグルメ、自身も料理好き。そんな横山氏の趣味が高じて…とまではいわないが、美意識を結集した稀有なリストランテが、3月に誕生した。立地は、渋谷駅から徒歩15分ほどの静かな住宅街。建築は、あの「強羅花壇」で知られる竹山 聖氏が手掛けた。店内には横山氏が選んだクラシックやオペラが流れ、横山氏自らセレクトした500種ものワインに酔える。9月より新しくシェフとなった「IL BORRO Tokyo」出身のマルチェッロ・メレウシェフの料理も楽しみ…とくれば、スペシャル感は相当のもの。
 待ち合わせとして、また食後酒を楽しむ空間としても使える1階のカウンター席から、階段を降りて洒落た

ダイニングスペースへ。そこでゲストはまず驚く。フランス・プレイエル社の1930年製のピアノが、厳かに鎮座しているのだ。プレイエル社といえば、「銀の鈴を鳴らしたようなやわらかな音色だ」と、ピアノの詩人ショパンにいわしめ、彼が生涯愛用したというメーカー。月1回、横山氏がこの名器を奏でるという、なんとも贅沢なコンサート&ディナーのイベントも催されるとか。世界的ピアニストによる音楽と銘醸ワイン、美食に酔う一夜…これは大人だけに許された幸せのサンクチュアリかもしれない。

取材・文/高橋かおり 写真/関根則夫



1.白、オレンジを基調とした温かみのある店内は、竹山氏と横山氏のコラボから生まれた空間。調度品やカトラリーなども横山氏が全面的に選んだという。
2.ショパンやドビッシーも愛用した名器プレイエル社のピアノ。ピアニストなど、音楽好きなゲストも多く、食後に演奏会に発展することもあるという。
3. オーナーの横山幸雄氏と9月より新しくシェフを務めるマルチェッロ・メレウ氏。イタリア・サルディーニャの生まれで、「BICE Tokyo」などで活躍。
4.写真左より、市場ではあまりお目にかかれない「ミュジニィ 1976 フェヴレイ」5万2000円。赤で知られるイタリアのモダンな造り手による白「パレオ・ビアンコ 2001 レ・マッキオーレ」1万1000円。ブルゴーニュで経験を積んだ造り手による「バローロ 1995 エリオ・アルターレ」2万円。
5.料理はすべて7800円~のコースから。この日は7品が登場。「海老、ズッキーニー、トマトのラグーのニョッキ」。彩りも鮮やか。
6.「まぐろ、米茄子のサラダとポロネギのフリット」。1コースの中でリゾットとニョッキの両方楽しめる。
7.「平目のソテー、白いんげん豆とハマグリ」。ハマグリの旨味が溶けたジュースで白いんげん豆を煮込んだ。白ワインによく合う。
8.「アーモンドのクロッカンテ、イチゴのソース、バニラクリームとミックスベリー添え」。

2.ショパンやドビッシーも愛用した名器プレイエル社のピアノ。ピアニストなど、音楽好きなゲストも多く、食後に演奏会に発展することもあるという。
3. オーナーの横山幸雄氏と9月より新しくシェフを務めるマルチェッロ・メレウ氏。イタリア・サルディーニャの生まれで、「BICE Tokyo」などで活躍。
4.写真左より、市場ではあまりお目にかかれない「ミュジニィ 1976 フェヴレイ」5万2000円。赤で知られるイタリアのモダンな造り手による白「パレオ・ビアンコ 2001 レ・マッキオーレ」1万1000円。ブルゴーニュで経験を積んだ造り手による「バローロ 1995 エリオ・アルターレ」2万円。
5.料理はすべて7800円~のコースから。この日は7品が登場。「海老、ズッキーニー、トマトのラグーのニョッキ」。彩りも鮮やか。
6.「まぐろ、米茄子のサラダとポロネギのフリット」。1コースの中でリゾットとニョッキの両方楽しめる。
7.「平目のソテー、白いんげん豆とハマグリ」。ハマグリの旨味が溶けたジュースで白いんげん豆を煮込んだ。白ワインによく合う。
8.「アーモンドのクロッカンテ、イチゴのソース、バニラクリームとミックスベリー添え」。

リストランテG

住所 東京都渋谷区東2-22-3

電話番号 03-6419-8391

営業時間 18:00~翌0:30(L.O.)

休日 日

金額 通常7800円、1万2000円の2コース。コンサートなどのイベントが行われる際は、営業時間やコース内容は異なる

URL http://www.RistoranteG.com



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