阿佐ヶ谷は、ジャズが似合う街だ。文化の匂いが濃い中央線沿線のなかでも、とりわけ落ち着いた雰囲気が漂う街。この地で、20年以上にわたって大人たちに愛されている店がある。駅を出てすぐのところにある、『jazz bar KLAVIER』だ。
扉を開くと、聞こえてくるのは心地よいモダンジャズ。アンティークな内装とあいまって、訪れる人々の心に潤いやすらぎをもたらしてくれる。店内は意外なほど広く、一面に窓を設えた開放的なつくり。窓の向こうに見えるのは、ホームにすべり込む電車や、急ぎ足で行きかう人々。街の息遣いが感じとれ、いつまで眺めていても飽きることはない。
「店が持つ空気を大切にしながら、自分の感性で選んだ曲をかけています」と穏やかな口調で話すのは、マスターの山川秀明さん。東京藝大の声楽科卒を卒業した後、ヴォーカリスト&ピアニストとして活躍した経歴を持つ。ジャズの知識は豊富だが、堅苦しさは皆無。「ジャズバーの近寄りがたいイメージを払拭したい。ジャズを知らない人たちにとって、この店が出会いの場になれば嬉しいですね」。若い人々にジャズの楽しさを伝え、裾野を広げたいと願っている。
週末を中心にライブも開いているが、チャージは1800円~と手ごろ。これも、「ひょっこりと、気軽に遊びに来て欲しい」というマスターの願いゆえだ。演奏者は、阿佐ヶ谷出身の若手から名の通ったベテランまで、実に多彩な顔ぶれ。店と演奏者、聴衆が三位一体となって繰り広げるライブは、いつもリラックスした暖かい雰囲気に包まれている。
カウンターの奥には、酒のボトルが整然と並ぶ。「質のいいシングルモルトやバーボンは、ほとん
ど全部揃えています」と胸を張るマスター。その言葉どおりバーとしての評価も高く、ジャズの名曲から名づけたオリジナルカクテルも豊富だ。いつ訪れても、クオリティの高い音楽と酒が待っている。安心して足を運べる、ジャズとの出会いにぴったりの一軒だ。
取材・文/渡辺裕希子 写真/田頭真理子
1. 内装はすべて、マスターと常連客による手づくり。カウンターテーブルは、ナイジェリアから取り
寄せた1本の丸太から作られた。
2. 店内には、マスターが自ら撮影したライブ写真や、常連客が描いたクロッキーを展示。
3. マスターの山川秀明さんは、生粋の阿佐ヶ谷っ子。友人と「阿佐ヶ谷ジャズ盛り上げ隊」を結成し、
四季折々のイベントを実施している。4/29~5/5には「ゴールデン・ジャズウィーク」を開催。
4. 阿佐ヶ谷駅南口から徒歩0分。マスターの友人がデザインしたお洒落なロゴが目印だ。
5. ウォッカをベースにブルーキュラソーとグレープフルーツジュースを加えたオリジナルカクテル「ブルー・クラヴィーア」700円。おつまみの「オリーブ&ピクルス」は600円。
jazz bar KLAVIER
東京都杉並区阿佐ヶ谷南3-37-13 3F
03-3393-0418
19:00~深夜2:00
日
ライブ開催時はチャージ1800~2500円


