ロックな東京を探せ……というよりロックな東京ココにあり! と言いたくなるのがこの人、坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)。もちろんステレオタイプな旧態然としたロックとは真逆のベクトルでロック本来のラディカルさとファニーさ、そしてファンタジーを感じさせてくれるバンドがゆらゆら帝国。そんな彼のロック観をうかがうことが「ロックな東京」を…いや「ロック」そのものを探す鍵となるであろう。
インタビュー/文=恒遠聖文

―今日は「ロックな東京を探せ!」ということでして。
坂本慎太郎(以下S):うーーん……聞く人まちがえてないですか(笑)

―そんなことないです(笑)。
S:普通のこと言ってもしょうがないですよね。ロックの人がいっぱいいるからロックな街ってわけじゃないし、高円寺とか。

―そのあたりは行ったりします?
S:あまり行かないですね。中野のブロードウェイにはたまに行きますが。

―お、ブロードウェイにはロック感じます?
S:無理やり感じようと思えば感じますけどね。うーーん、なんて答えればいいんですかね、“海”とか言えばカッコいいんですかね。

―いえ、無理に答えなくてもいいです(笑)。そもそもロックってものをどうとらえるかにもよりますしね。まず坂本さんにとっての「ロック」を聞かせください。
S:やっぱり非日常……ファンタジー的な部分は不可欠ですよね。だから、酔っ払って暴力ふるったり物を壊したりする人とか、過激で自堕落な生活をして危険なムードを漂わすみたいなのとは……。

―そういうステレオタイプではないと。
S:そういうものもあっていいんですけど、もっと笑える感じとか子供に夢を与える感じがあってもいいんじゃないですかね。ロックを突き詰めてる人って、どこかかわいい感じがあるじゃないですか。そこ重要ですね。

―—なるほど。ロッキー・エリクソンとかもどこかかわいいですもんね。
S:アラン・ヴェガ(スーサイド)とかもちょっとかわいいでしょ(笑)。ものすごい過激なことやっていてもどこかかわいいみたいな。こないだインキャパシタンツを観たんですけどすごいロックを感じました、ルックスも含めて。髪はキッチリ7:3でTシャツをズボンに入れてベルトでギュッとしめて、それでいきなり痙攣し始めて……すごいかっこよかったです。もう妖精みたいに見えました。

―まさにファンタジーですね。周りでこいつにはロックを感じるなって人はいます?
S:いや、僕の中で『ロックを感じる』ってのが褒め言葉になってなかったりしますからね。もちろん所謂ロック好きではあるんですけど、いわゆる一般的な『ロックだねぇ』みたいな人は身の回りにいないし。そういう感性はズレてますからね……。

―例えば、ゆらゆら帝国のメンバーについては……。
S:変わったおじさんだって意味合いではロックだと思いますけどね、2人とも。

―変わったおじさんって(笑)。
S:なかなかいないんじゃないですかね。ちょっともう妖精レベルで。ファンタジーに片足突っ込んでるような。そういう意味ではロックを感じますけど。なんか2人とも一個人で完結しているというか、独立して存在してる感じがありますね。

―坂本さんと仲の良いDMBQの松居(徹)さん(g)とかもそういう感じしますね。
S:そうですね。変わった生き物みたいな人っているじゃないですか。そういう人にはロックを感じるかもしれないですね。性別も人類というものすらも超越してるみたいな。松居さんとか最近会ってないですけど、久しぶりに見るとギョッとしますよ。世の中の動きと全く関係ないじゃないですか。流行ってるものにまったく興味なくて独自の道をいってて。うちのメンバーにも言えますけど。それにはシンパシーを感じますけどね。

―服装にしても流行とは無縁ですよね。
S:ロックファッションをとりいれたオシャレな世界ってあるじゃないですか、ああいうのには興味ないんで。

―モッズとかですか?
S:モッズはまだなんかちょっと変態っぽい、病的な感じがするからいいんですけど、今のストリートファッションとかね。バンドやってるんだかなんだかわからないし。髪形とかみてもみんなボサボサでしょ。バンドやってる人の方が地味だったりする。


1989年にリーダーである坂本慎太郎(vo&g)が結成し、現在は亀川千代(b)、柴田一朗(dr)の3ピース・ロックバンド。唯一無二な日本語のオリジナルロックでカリスマ的人気を博している。オフィシャルHP→www.yurayurateikoku.com




いまだに彼らのことを“アングラ”視してる人はいやしまいとは思うが、コレを聴けば彼らが建設する音の帝国は子供も踊り出しかねないほどのポップに彩られたものであり、アングラどころか、ともすれば高層ビルの上を飛ぶヘリコプターから流れ出してもおかしくないほどのものだということが丸わかりだろう。帝国への道は王道。王道が故に異端に映ってしまう悲しき現代ロック事情。ロックを隅々まで愛するものには心の寄りどころであり、ロックが日常とは遠い人には未知の刺激を大いに与えてくれるバンド。音響テクノロジーの進化により高音も重低音もエクストリームとなった今、彼らが向かう「過激なアプローチ」は過剰な歪みやノイズ化ではなく、か細い音や音数の削減であったり、奇妙なバランスと脱力感、そして涙するほどのいいメロディーを奏でることである。




ミディ在籍時に制作したビデオクリップ8本を収録したゆらゆら帝国初の映像作品。「発光体」や「ズックにロック」、そして「ゆらゆら帝国で考え中」など彼らの代表曲が詰め込まれたDVDだ。



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