
PICK UP
SPECIAL
1970年
第1回開催。入場料は1£で、搾りたての牛乳飲み放題。観客は1500人ほど。T-REXが出演した。1980年
核廃絶運動の団体であるCNDと提携し、世界中から注目を集めるロックフェスに。1994年
OASIS出演。アルバム未発表の新人バンドながら、かつてないほどの話題を集める。1999年
マイケル・イービスさんの妻・ジーンさんが亡くなり、フェス存続の危機に直面。2004年
実質的な大トリの2日目のトリ(最終日は、翌日の仕事や混雑などを考えて早めに帰る人もいる)にポール・マッカートニー出演。世界から特に注目される年に。2006年
未開催。5年に1回、踏み荒らされた牧草地の回復のために休むことになっている。2007年
チケット販売がインターネットで事前にID登録をする方式に変更される。公式HPからID登録し、直接申し込むことも可能だが、旅行のノウハウがないと、フェスティバルを思う存分楽しむのはとても難しい。グラストンベリーは初めて、という人はツアーがおすすめ。グラスト好きが集まって楽しむのもフェスティバルの魅力のひとつだ。
グラストンベリー・フェスティバル
http://www.glastonburyfestivals.co.uk/

明治大学卒業後、旅行会社などを経て写真家に。ジャマイカのレゲエ・サンスプラッシュやグラストンベリー・フェスティバルなどで、ミュージシャンを撮影。オアシス・オフィスを立ち上げ、音楽制作やレコード販売などを行うオアシス・レコード、音楽にまつわるツアーを企画するオアシス・ツアーを運営中。また、無類のビートルズ・フリークとしても知られる。
オアシス・レコード
http://www.oasis-records.com
オアシス・ツアー
http://www.oasis-office.co.jp
イギリス南西部、アーサー王伝説ゆかりの地で開催される「グラストンベリー・フェスティバル」。
世界中が注目するヨーロッパ最大級のロックフェスで、「最もロックフェスらしいロックフェス」との呼び声も高い。
毎年日本からツアーを組んで参加し、写真家として撮影も行っている井上ジェイさんに、その魅力について伺った。
取材・文=渡辺 高(editor's CAMP)
井上さんは、20年以上グラストンベリー・フェスティバルに行っているそうですが
初めてグランストンベリー・フェスティバルに行ったのが1984年。音楽ジャーナリストの花房浩一さんから声がかかったのがきっかけです。イギリス留学から帰国して間もなかった花房さんが、「イギリスにすばらしいフェスがあるんだ、みんなで行こうよ」と音楽関係者を募ったんです。当時、僕はある旅行社でレゲエを観に行くジャマイカ・ツアーなどを企画していたんですが、音楽関係の旅行ならと、訪ねてきたのが縁ですね。それからツアーを組んで参加して毎回行くようになったんです。
すでに数多くの音楽イベントを観ていたと思いますが、初めてのグラストンベリーはどうでした?
いやーカルチャーショックでしたね。広大な農場にみんながテントを張って楽しんでいることが。でも、イギリスって実は農業国で、ロンドンみたいな大都市でも街をちょっと出ると牧場がばーっと広がっているんですよ。だからイギリス人にとって牧場は当たり前の風景だし、みんなボーイスカウトで小さな頃からテント生活を身につけているから、自然体で楽しんでいるんです。それにグラストンベリーという場所はユニークなところで、日本でいうと出雲とか伊勢とかに当たるのかな、アーサー王終焉の地だという伝説があって、ちょっと霊的な土地だというイメージがイギリス人にはあるんです。そこへ音楽を聴きにみんなで集まるっていうのも面白いし。
グラストンベリー・フェスティバルがスタートした背景は?
グラストンベリー・フェスティバルが始まったのは1970年。ビートルズが解散し、日本では大阪万博が開催された年です。前年の1969年には、ニューヨークでウッドストック・フェスティバルが開催されました。このフェスは、3日間で延べ30万人を動員したといわれています。集まったのは社会からドロップアウトした若者やヒッピーと呼ばれるような人たち。当時、ベトナム戦争が泥沼化しているなか、ウッドストックは“平和の象徴”としてとらえられたんですね。というのも'60年代後半は、それまで音楽といえばポップスがメインだったのが、ロックが台頭するようになり、音楽で体制に主張ができる、音楽で社会を変えられる、と意識されるようになってきた時代だったんです。ウッドストックは単なるショーではなく、それまでなかったような、メッセージ性が非常に強いイベントになりました。このウッドストックに影響を受けて、イギリスでもロック主体のフェスが開かれるようになっていき、グラストンベリー・フェスティバルがスタートする流れにも繋がっていきます。
一個人が始めたと聞きましたが
フェスを始めたのはマイケル・イービスさんという方で、今も彼が主宰しています。当時は若き牧場主で、イギリスの若者が誰でもそうであるように、グラストンベリーで牛を育てる彼も熱心な音楽ファンでした。アメリカではウッドストックのフェスが盛り上がったらしい、ということは知っていたそうです。それでグラストンベリーからもほど近いバースという町で開かれたフェスを観に行きます。フェスにいたく感動した彼は、よし自分もやろう、土地はあるし、と(笑)。で、その同じ年の秋には、第1回目を、当時はグラストンベリー・フェアといったのですが、本当に開いてしまうんですね。
自分もやっちゃおう、というところがすごいですね
観客は1500人ほどだったそうです。2007年には16万5000枚が2時間で売り切れたことなんかを考えると、ちょっと信じられませんよね。入場料は1£。そして牛乳が飲み放題(笑)。当然、大物ミュージシャンは呼べなかったんですが、ビートルズのあとに一番人気となるバンド、T-REXのヴォーカルになったマーク・ボランなんかが出演したんです。翌年にはデヴィッド・ボウイやピンク・フロイドが出るなど、実は初期からすごい人がステージに上がっているんです。
