



H:ブロック・パーティはいかがでしたか?
K:いわゆるアメリカのモータウンとかシカゴとかフィラデルフィアの音が隆盛だったのにアメリカでは下火になってディスコに変わっちゃった時に、それらの音楽はイギリスに行っちゃったような感じがするじゃない。で、イギリスでしぶとく残ってさ、そういうものがいろんな音楽と結びついてブロック・パーティみたいなものに繋がっているんじゃないかなとちょっと思ったんだけど、違うのかな?
H:そうだと思いますよ。それもベースにありつつ、ヴォーカルの彼は、アフリカ系でロンドン生まれの2世なんですが、そうした要素も入ってると思います。それとニュー・ウェイヴの要素と。
K:ブロック・パーティがソウルなのかどうかはよくわからないけど、いわゆるファンクっぽい、ソウルっぽい、ロックっぽいみたいなね、懐かしさみたいなものを感じるっていうか、面白いね。
H:非常にイギリスっぽいバンドですね。いろんな音楽要素のミクスチャーですから。
K:あとイギリスのフィーダーとブーツィ・コリンズも観たかったんだけど、時間的に無理で残念だった…。
H:僕も見たかったんですけど、マイ・ブラディ・ヴァレンタインの裏だったんですよね、ブーツィーは。マイ・ブラディは今年の目玉だったんですが、ライブはいかがでしたか?
K:このバンド観たのと、次の日のエイジアン・ダブ・ファンデーションとの2つが、僕にとってはこれまで知っている音楽とは違うタイプで興味深かったと言うか、いや、すごかったね。
H:そのあたりの感想を、亀渕さんに聞きたいと思ってまして。先入観のないフラットな状態で個性の強いバンドを観た時にどんなふうに受け止めるのかなというのが非常に興味がありまして。たとえばマイ・ブラディは15年振りの再結成で、新譜も出してないですし、あの独特な音のバンドは今でも他にいないわけですし。
K:ステージ10何年ぶりなんだから、メンバーのみなさんも大分変わったんだと思うよね、風体だとか。
H:それが意外と変わってなかったです。
K:そう? それこそスコットランド地方でイングリッシュパイを焼いてるお姉さんみたいな人がギターを持って出てきたりさ(笑)。そういう素敵な、イギリスっぽい風体をしたバンドなんだけど、やることはさっきのゴシップとちょっと似てて、ほんとにビートとリズム、メロディよりもビートとリズムとで、あとはギターの循環コードが乗っかってさぁ、その間にギターでチャカッチャカッチャカッて刻んでって音を創っていくような。昔は1960年代はキンクスのファズを聞くだけで「うぉーファズ、ファズ」なんて言ってたのがさ、もう、そんなものじゃないわけで。そういうエフェクターをほんとに巧みに使って音を出してる。エコーとかPAを全部使って音を創ってる、いわゆるプレイヤーだけじゃなくって多分コンピュータも使ってるんだと思うし、スタッフも含めたテクニシャンたちで創る音みたいな、いやぁ、すごい! あの人数であれだけの音を創るのは。もうひとつ、やっぱりロックンロールっていうか、歌ってみんなそうなのかもしれないけど、一種の宗教みたいな…まぁ宗教から音楽は始まったって言われてるからね、同じコードの繰り返しでキーを高くして低くして高くして低くしてってことをやっているとだんだんトランス状態に入っていくという…
H:おっしゃるとおりで、それを狙った音楽だと思うんですね。
K:ちょっと古すぎるけど、ステータス・クォーってバンドの「ピクチャーズ・オブ・マッチスティックマン」(1968年)という曲があるんだけど、その歌の間奏かコーダのところにやっぱりああいう似たようなコードが出てきて、当時はテンポは緩いんだけど、あのテンポを倍速にしてノイズを入れるとね。保科さんが「ウォール・オブ・ノイズギター」って言ったけどそのとおりだと思うよね。底流はつながってるんだなぁと思ったね。だから僕なんかには非常にわかりやすかったよ。
H:あれだけの大音量を野外で聞くのは気持ちいいですよね。屋内だとたぶん耳が死んじゃいます(笑)。
K:気持ち良かったね。とても面白かった。これでこの日は終ったんだよね。もう疲れちゃったよ。
H:オールナイトでまだあったんですけどね。
K:電気グルーヴとか観たかったけど、おじさんダメ(笑)。
亀渕昭信
64年(株)ニッポン放送入社、69年から「オールナイトニッポン」のDJを務め「カメ」の愛称で大人気に。99年同社代表取締役社長就任、同社相談役を経て 08年6月同社を退任。近著に『亀渕昭信のオールナイトニッポン 35年目のリクエスト』(白泉社)。本誌では連載コラム「カメカメポップス」
http://e-days.cc/style/columns/2/
を執筆中。
保科好宏
10代にブリテッィシュ・ロックに目覚め、ザ・フーファンクラブ初代会長に。以後ロック専門の音楽ライターとして長年活躍、本誌ではCD評を中心にレギュラー執筆中。共書に『ザ・フー・ファイル』(シンコー・ミュージック)ほか。またPIGなど海外アーティストのマネジメントも手がける
