Talk After AHMET ERTEGUN TRIBUTE CONCERT MY SON〜認め合う関係〜 対談 ポール・ロジャース×サム・ムーア
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PLOFILE
保科好宏
10代にブリテッィシュ・ロックに目覚め、ザ・フーファンクラブ初代会長に。以後ロック専門の音楽ライターとして長年活躍、本誌ではCD評を中心にレギュラー執筆中。共書に『ザ・フー・ファイル』(シンコー・ミュージック)ほか。またPIGなど海外アーティストのマネジメントも手がける。



 この8月末、3日間に亘って東京フォーラムで開催された“東京JAZZ2008”は、大物ジャズ・ミュージシャンだけでなく、ジャンルを超えた珍しいアーティストの出演も大きな話題となった。その筆頭が初来日となるスライ&ザ・ファミリー・ストーンだったのは間違いないが、同じ日に出演した元サム&デイヴのサム・ムーアも、スライ・ストーンに負けないくらい大きな声援を浴びていた。特に今回はホーン・セクションや女性コーラスを含む大所帯バンドを率いての来日で、「ホールド・オン」「ソウル・マン」といった往年のヒット曲を72歳とは思えないパワフルな歌声で披露してくれたのだから、会場が大いに盛り上がったのも当然だろう。

 そのサム・ムーアと、昔から彼を敬愛するブリティッシュ・ロック界を代表するヴォーカリストで、クイーンとして初めて全曲新曲のスタジオ・レコーディング・アルバムを今月リリースするポール・ロジャースの対談インタビューが実現した。この対談が実現したのは、レッド・ツェッペリンの再結成が話題となった“アーメット・アーティガン・トリビュート・コンサート”が行われたロンドンでのこと。実はあまり知られていないが、2万人収容のO2アリーナでのコンサート終了後、深夜過ぎから隣接するホールでアフター・パーティーが行なわれたのだが、そこにはパーシー・スレッジ、ベン・E・キング、ソロモン・バーク等、アトランティック・レコードの歴史を築いてきた懐かしいソウル・シンガー達が勢揃いしてお馴染みのスタンダード名曲を次々に披露したのだが、レーベル草創期の黒人アーティスト達がアメリカから駆けつけたこのソウル・レビューの方が、“アーティガン・トリビュート・コンサート”に相応しかったのではないかと個人的には思っている。

 ただそのソウル・レビューでは、さすがに寄る年波に勝てないのか、原曲の高い音程が出ず、また声量の衰えを隠せないアーティストも少なくなかったが、ただ一人、全盛期とほぼ変わらない圧倒的な声量と確かな音程で力強く歌い切ったのがサム・ムーアだった。そしてライヴ中盤、ポール・ロジャースをステージに呼び出し、「私の息子、ポール・ロジャース!」と紹介し、06年のサム・ムーアのソロ作『OVERNIGHT SANSATION』でポールとデュエット共演した「We Shall Be Free」をアルバム以上にエモーショナルに歌い聴かせてくれたのは、実に嬉しいサプライズだった。

 そんな感動的な一夜が明けた翌日、急遽ポール・ロジャースとサム・ムーアの対談インタビューが実現した。2人の会話にサムのマネージャーで奥さんのジョイスも加わり、インタビューと言うよりも楽しいトーク・セッションとなった。

取材・文/保科好宏
――昨夜のアフター・パーティーで、思い掛けず2人のデュエットが聴けて感激しました。あの「We Shall be Free」を人前で歌うのは、ひょっとして初めてだったんですか?

ポール(以下P):そうだよ。歌ったのは1年前のサムのアルバムのレコーディング・セッション以来で、ライヴで歌ったのはもちろん初めてだよ。あの歌をサムと歌うことが出来たのは、僕にとって素晴らしい経験だった。というのも僕はサムの大ファンで、小さい頃から彼の歌を聴いて育ったんだからね。彼は僕の先生なんだ。そのサムと1本のマイクをはさんで一緒にあの歌を歌う事ができたのは本当に特別な経験だった。彼がYeah〜!と歌いだした瞬間、僕は感動して13歳の頃に戻ってしまったような気分だったよ。昨夜、あの曲をオーディエンスの前で歌う機会を与えてもらって、本当に光栄に思うよ。

――レコーディングであの曲をデュエットすることになった経緯は?

サム(以下S):確かジョイスとランディ・ジャクソン(サムのアルバム・プロデューサー)が誰にどの曲を歌ってもらうか決めていて、ジョイスのアイディアだったと思うよ。ポールにあの曲を歌ってもらおうって。で、デトロイトでポールにそれを伝えたんだ。

――ところで、お二人はいつ頃からの知り合いなんですか?

P:個人的にサムと初めて会ったのはそのデトロイトで、フォー・トップスの結成50周年記念を祝うイベントの時だったんだ。サムがバック・ステージで僕に♪Feel Like Making Love♪ってバッド・カンパニーの曲を歌ってくれてね。僕にとってそれ以上最高の出会いなんてないだろう?

ジョイス(以下J):2人がアルバムでデュエットした「We Shall Be Free」は、トリシア・イヤーウッドやガース・ブルックスが出ていたあるチャリティーで、トリシアがゴスペルのクワイアーをバックに歌っていたのを聴いた時に感動して、サムのアルバムに入れるべきだって思ったの。ポールがサムと一緒に何かやりたいって言ってたのを知っていたから、この曲を二人が歌ったら素敵だなって思ったのよ。

――ポールはサム&デイヴを聴いて育ったということですが、サムさんはいつ頃ポールの存在を知ったんですか?

S:いつだったっけなぁ。ずっと前から知っているんだけどね。ある時、ポールの歌がラジオから聞こえて来て、思わずジョイスに「コイツは歌える!」って言ったのを憶えているよ(笑)。

J:「メチャクチャ凄い! ソウルフルだ」ってね(笑)。

S:で、その後ポールが私のファンだってことを聞いたんだ。それでクイーンと一緒にポールが演るって聞いたんだけど、誰かの代わりに歌を歌うということは難しいと思ったよ。歌うからにはちゃんと歌いこなさないといけないだろ? でもポールはやってのけたんだ。それからはポールの名前をあちこちで聞くようになってね。不思議なのは、ポールがレコーディング・スタジオに入ってきて一緒に歌い始めたらものすごくしっくりいって、プロデューサーのランディが何も言うことがなくなってしまったんだ。ポールは全てのパートを完璧に歌いこなしていたよ。だからジョイスとランディに言ったんだ。彼はオールド・スクールの歌い方を完全に理解している。本当に凄いヤツだってね。だからレコーディングはとても楽しかったよ。


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