Muse-女性シンガーの現在地 二階堂和美
PROFILE
バンド活動を経て、90年代中ごろからギターの弾き語りを中心にしたソロ活動をスタート。これまでにアルバム3枚とミニ・アルバム2枚を発表している。昨年〈日産MARCH〉のCMソングに抜擢されたことも話題に。その幅広い音楽性と豊かな表現力は、リスナーからミュージシャンまで、幅広い指示を受けている。
Album
二階堂和美『ニカセトラ』12月5日発売

1. 蘇州夜曲(李香蘭/渡辺はま子)
2. 話しかけたかった(南野陽子)
3. 白いパラソル(松田聖子)
4. 夏のお嬢さん(榊原郁恵)
5. 世界でいちばん熱い夏(プリンセスプリンセス)
6. 少年時代(井上陽水)
7. せぷてんばぁ(クレイジーケンバンド)
8. 赤とんぼ(童謡)
9. 日暮れ道(都市レコード)
10. A HAPPY NEW YEAR(松任谷由実)
11. 雪の降る街を(高英男)
12. 卒業写真(荒井由実)
13. みかん(大竹しのぶ)
14. 思い出のアルバム(想い出のアルバム)
OFFICIAL SITE
Muse 女性シンガーの現在地


曲、音、歌い方。触れ幅の理由
―― 単純に、カバー曲を選ぶボーダーってあります?
「やっぱり実際に自分で歌ってみていいかどうかですね。ソラで歌ったり、ギターを弾きながら歌ったり。テレビのアーカイヴ番組を見て“いいねえー。うまいねえー”って感動して歌ってみたり、歌本をバーッとめくって手当り次第に歌ってみたり、本当にいろいろですね。歌詞にもある程度左右されます。例えば、今回のアルバムの曲を選ぶ時も、季節ごとに曲を集めていってたので、冬の曲を最初、“津軽海峡冬景色”とか“北の宿から”とか、演歌も候補に入れてたんです。歌の表現としては他にない聞かせどころみたいなのがあるので。でもどうも歌詞に共感できない(笑)。そこを何とか自分に引き寄せられないかといろいろ試してみたんですけど、どうもパロディ感が抜けなくて。今回は特に、自分に提供してもらったつもりで歌いたかったんで、選曲の判断はいかに自分に引き寄せられるか、でしたね」
―― 確かに、どの曲も原曲の歌い回しや譜割に縛られない解釈で、原曲を知らなければ、これがオリジナルだと思ってしまいそうな独創的な仕上がりですよ。
「ありがとうございます!その曲が生まれたばかりの状態を想定して歌ったところがありますね。例えば、作詞家の人が書いたばかりの原稿用紙とか、作曲家の人から直接、譜面をもらったようなつもりになって。ただ、原曲の歌い手さんの“いいな”と思えるところは敢えて変えないでそのまま取り入れたりもしています。例えば、“雪の降る街を”の最初の(低音で)“ぅゆ?”って歌い出しのところとかは、(オリジナルの)高英男さんが歌っているのを何度か聴いているうち、“ん?思ってるより、ソフトな入り方なんだな”って。で、やっぱりそれがふわっとかぶさる雪みたいでいいんですよね。そのくらいは踏まえているつもりなんです。だから、「自分ならこう歌う」とかってのとは違うんですよね。歌の骨組みの状態を自分がいかに見ることができたかというところなんですよ。だから1曲ごとというよりも、全体の流れをすごく意識もしましたし。春から始まって、夏、秋、冬、そしてまた春、と続いて行く感じを出したかったんです」
―― 基本は弾き語りのスタイルですが、音のクオリティはかなりバラついています。中にはデモテープさながらにラフなものもありますが、こうやって統一させなかったのも、そうした流れを踏まえてのことなのですか?
「そこらへんは、流れを意識してあえてデコボコさせたわけじゃなくて。ただ、曲の良さと雰囲気をそれぞれ出したかったというのもあるんで、全部同じ部屋で録ったりはせずに、いろいろ試してみました。外に出てみたり、シチュエーションを変えてみましたね。手法がほとんど弾き語りなので、その分、空気感で違いを出したいと思ってました。弾き語り中心になっているのは、実際のライヴの延長に考えていたからです。あと、楽曲の良さを誠実に受け止めたかったから、自分も素の状態に近くあろうとしたからなんですよね」
―― 歌い方、ヴォーカリゼイションも様々ですよね。同じ人が歌っているとは思えない曲もある。これは、自分の中の様々な表情を出そうとした結果でもあるのですか?
「いや、意識はしてないんですよ。ただ、原曲の歌い手じゃなくて、その曲の内容に自分を合わせていくと、自然と違った歌い方になるんです。例えば、“蘇州夜曲”なんかは難しかったですね。どうしても原曲やタイトルからくるイメージが強いから、放っておくと、中華に寄りすぎて李香蘭の歌い方のマネっぽくなっちゃう。もちろん、それを良しとするテもあるんですけど、今回はそういうところから離れることが一つ目標でもあったんで」
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