

JAVA JAZZ FESTIVAL2008 REPORT
上原ひろみ INTERVIEW Part1
上原ひろみ INTERVIEW Part2
jammin’Zeb INTERVIEW
JAVA JAZZ FESTIVAL2008
オフィシャルHP
www.jvcmusic.co.jp/jamminzeb/

Victor/VICJ-61531 ¥2,800(税込)
会場:オーチャードホール(渋谷Bunkamura)
昼の部(12:30 開場 / 13:00 開演)
(問)www.bluenote.co.jp/jp/jvc/index.html
ヴォーカリストを目指していたコージロー、そもそもは合唱団の指揮者としても活動していたスティーヴのふたりに、ブライアン・マックナイトなどR&Bのファンのシモン、ニック・ドレイク、スフィアン・スティーヴンスのファンで作曲家として、すでに中島美嘉に曲提供の経験があるレンセイが加わり、ジャミン・ゼブはスタートした。
「メンバーが揃ったとき、4人で面白いことをやっていけるんじゃないかという可能性を感じました。音楽の趣味も違うし声のキャラクターも違う。でも個性がぶつかり合うようなハーモニーが作れるんじゃないかと思いました」(ST)
冒頭でも触れたように日本ではヴォーカル、コーラス・グループのブームが続行中。その勝ち抜き戦がテレビ番組で放映されるなど、様相はヒートアップしている。そんななか彼らのように、本格的なジャズ・コーラスを得意とするグループは意外にもいなかったのではないだろうか。彼らの登場の新鮮さはそんなところにもありそうだ。
「歌う曲はみんなで選んでますね。スタンダードを良い意味で裏切るというか。みんなが知っている曲をぼくらのテイストで歌う。ジャズ・コーラスを基本に、さらにはなんでもありということが、ジャミン・ゼブらしさでもあるかな」(K)
「歌のパートは高音部からレンセイ、コージロー、スティーヴ、シモンですが、テノール、バス、バリトンのように固定されているわけではない。ハーモニーはプロデューサーが、アレンジしていますが、ぼくたちも付け加えたり、ひっくりかえしたりで構成していく。思い切り変えちゃうときもあるし」(ST)
彼らのデビュー作『Smile』には、「ホエン・アイ・フォール・イン・ラヴ」、「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」、「A列車で行こう」「虹の彼方に」などのスタンダードのほか、ダリル・ホール作の「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」、ランディ・ニューマン作で映画「トイ・ストーリー」のテーマ曲「君はともだち」など最近の曲も収録されている。
「一番難しかったのは「A列車で行こう」ですね。ハーモニー・パートも難しい。すべてが難しい。笑顔で歌うのに苦労しました」(K)
「歌いこなすのが難しかった。速いペースでコードが変わるので、みんなのテイストを感じながら歌いこなすのが難しかった」(ST)
「「ホエン・アイ〜〜」は通常はスローで演奏されていますが、ぼくたちはアップテンポでワクワクするような感じで歌っている。元気なアレンジなっているのが革新的というか。このアイデアが出てきたときには嬉しかったですね。こういう形で自分たちのオリジナルとして発表しているわけです。スタンダードではありますが、ぼくらのオリジナルとして歌っている気分です。「スマイル」もさわやかなボサノヴァ調で良い意味での軽さが出ていると思います」(K)
現在レパートリーは約30曲。そのなかにはナット・キング・コールのピアノ・トリオ時代の「ストレート・アップ・アンド・フライト・ライト」などの通好みの曲のほか、スマップのヒット曲「世界に一つだけの花」、さらには「ブラームスの子守唄」まである。
「ぼくたちのような世代がジャズを歌っていくことは大事なことだと思う。多くの世代に波及する効果があるのではないかと。今、ジャズはBGMみたいになりがちですが、いかにエキサイティングな音楽であるかをぼくたちがアピールできたらと思うし、ぼくらももっと深い部分を追求していきたいですね」(ST)
「ぼくはR&Bをよく聴いていたし、グループに誘われるまではジャズはまったく知らなかった。これまで聞いてきた音楽と違って、ジャズには面白い部分がたくさんある。スタンダードをジャミンらしく歌っていくなかで、自分のトーンを今後出せるかなとも思っています。まだ課題はたくさんありますね」(SI)
「マイルス・デイヴィスやデイヴ・ブルーベックも大好き。最近デビューしたウーター・ヘメルのように、スタンダードを思わせる作風でありながら、モダンなプロダクションでアプローチしている人もいる。このグループでスタンダードを歌っていくなかで、ジャズのテイストを取り入れたオリジナルを作曲したいですね」(R)
「ぼくらのオリジナルもありますが、まだ4ビートのオリジナルはない。そういうことをぼくらでやれたら面白い。ジャズ、大好きです!」(K)
この取材の後、彼らのライヴを見る機会があった。
オープニングは「難しかった」と言っていた「A列車で行こう」で、彼らの意気込みや自信が伝わる。4人の声の個性を生かしたハーモニーの巧みさや、リード・ヴォーカリストを次々と変えることで、曲そのものの表情も変えてゆくところに、彼らがジャズ・コーラスというアートジャンルにいかに心血を注いでいるかがわかる。
巧みなアレンジが生きたビーチボーイズの「ファンファンファン」、リードをとったシモンが低音と高音を歌い分けた「スカボロー・フェア」、さらにはスウィングル・シンガーズばりのスキャットも披露。またナット・キング・コールの「オレンジ・カラード・スカイ」では、ピタリと決まったハーモニーがもたらす高揚感も感じられ、改めてこの新人4人組の実力を知ることになった。
後半になると緊張がほぐれたようで、伸び伸びとした歌とコーラスが思い切り弾けた。瞠目したのはたコール・ポーターの「ソー・イン・ラヴ」。恋をしたときの、もどかしくも憂鬱な気分漂うこの歌を、なんと彼らはラテン・アレンジで披露。リズムにのった軽やかな歌いこなしはもちろん、ステージでの立ち回りには華やかさも加わり、エンターテイナーとしても期待の新星が登場したことを思わせるライヴだった。
最後に。インタヴューも終わり近く、今後のヴィジョンは?との問いにスティーヴが言ったこんな言葉が印象的だった。
「お互い吸収し合ってぶつけている状態なので、何が生まれてくるかわからないですね。最終的なイメージがまだないんです」
こうありたいというよりも、最終的にどうなるか見えていないという、言葉にこそ彼らの可能性を見たような気がする。懐かしい時代ならではのロマンティシズムが漂うスタンダードを、彼らのような若い世代が歌うとは、なんだか久々にウキウキする話ではないか。

