アビイ・ロードの歩き方―私のビートルズとロンドン―THE WAY TO ABBEY ROAD『アビイ・ロード』のカヴァーを見ていちどはここを歩いてみたいと思った人からとくに何も思わなかった人まで、リアル・ピープルにきくそれぞれのビートルズ、そしてそれぞれのロンドン。

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#49 キャバーン・クラブで歌ってみんなの愛に包まれた幸せ (藤田朋子)

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1. ポールと撮った写真を手に。(カフェボッサ三軒茶屋にて)
2.ポールが1990年に来日したときにインタビューをしていっしょに写真を撮り、93年の来日時にはその写真にサインをもらった。「93年のファン会見後、会場の入り口に立ってたポールに声をかけるチャンスがあって、『前回会いましたけど、覚えてますか?』みたいな感じでおしゃべりをはじめたんです。でも、ちょっと離れたところにいたリンダさんに『ポール!』と呼ばれると、ささーっと行っちゃったのが印象的でした。リンダさんはたぶん、ポールからは『ごめんね、もう時間がないから』とは言えないだろうと察して、自分が悪者になってポールに助け舟を出したんだろうと思います。それでもポールは優しく思いやりがあって、これだけのスーパースターなのに、どうしてこんなに低いところまで下りてきてくれるんだろうというのが、そのときの感想でした。ポールの瞳の色は、美しい銀髪のような、深い、光ったグレーでした」

 ビートルズの存在を意識したのは、中学のときに「ロング・トール・サリー」を収めた4枚組の中古のピクチャー・レコードを見つけてからでした。10代前半でしたから、アイドルとしてビジュアルから入った感じです。

 当時ちょうど、EMIがアップル・マークの入った帯に番号をつけて、ビートルズのLPレコードを再発売するキャンペーンをしていたので、第一弾の『プリーズ・プリーズ・ミー』を買って特典のキーホルダーやポスターをもらいました。アルバムを聴いて、ちょっとトーンを落としたような不思議なコーラスにすごく魅力を感じました。ライナーノーツを見ながらスピーカーに耳をくっつけて、いっしょうけんめい4人の声を聴き分けようとしてましたね。1980年でしたから、リアルタイムで聴いたのはポールのアルバム『マッカートニーII』からで、ジョンが亡くなったときには、学校でもラジオでもテレビのニュースでも大きな話題になって、私が興味を持っているバンドがどれだけすごい存在かを実感し、尊敬の気持ちとともにいよいよ本格的にビートルズに夢中になっていきました。

 2007年にテレビのお仕事でイギリスのビートルズゆかりの地に行かせていただいたときに、リバプールにあるカスバ・クラブを訪ねてピート・ベストにお会いしました。いちばん印象的だったのは、ビートルズのデビュー後、事務所に電話をしたら即座に「ビートルズのメンバーはあなたに会うつもりはない」と言われたのが辛かったという話でした。カスバの中に案内されて、ポールが塗った当時のままになっているという壁を見せてくれました。黄、赤、青のイタリア的な印象のすごく派手な色使いで、ちょっとびっくりしたんですけどね。

 キャバーン・クラブでは、夫(アコーディオン奏者の桑山哲也)とともに大好きな「アイ・ウィル」を演奏する機会をいただきました。いつかはリバプールに行けるかなと夢に描いていただけだったのに、まさかステージに立たせてもらえるなんて思ってもみなかったことです。キャバーンでは普段、ビートルズをコピーした演奏が聴けるのだと思いますが、アコーディオンのような楽器を持ち込んだのは私たちが初めてだったようで、お店の方もお客さんも歓迎してくれました。常連さんたちが感激して「また来てね!」と言ってくれたのが、ほんとうにうれしかった。はじめは非難されるんじゃないかと心配していたのが、どこかにふっとんじゃったくらい。ビートルズが「愛こそはすべて」と歌ったとおり、みんなが愛に包まれていることが証明されて幸せな気持ちでした。

取材・文/吉野由樹


藤田朋子
女優



東京生まれ。1987年『レ・ミゼラブル』でデビュー、88年NHK連続テレビ小説『ノンちゃんの夢』ヒロインでドラマ・デビュー。TBS系『渡る世間は鬼ばかり』出演中。シンガーとして、「アイ・ウィル」のカバーを収めたアルバム『THE WOMAN IN ME』(89年)、ビートルズの曲をタイトルにした『Because』(94年)などを発表。2008年9月16日南青山マンダラにて桑山哲也とともにライブを開催。お問い合わせは(株)ホリプロ・ブッキング・エージェンシーまで。
藤田朋子 公式サイト



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