アビイ・ロードの歩き方―私のビートルズとロンドン―THE WAY TO ABBEY ROAD『アビイ・ロード』のカヴァーを見ていちどはここを歩いてみたいと思った人からとくに何も思わなかった人まで、リアル・ピープルにきくそれぞれのビートルズ、そしてそれぞれのロンドン。

ビートルズブログ アビイ・ロードの歩き方 > 私のビートルズ > #47 ビートルズとその時代の空気に育てられました (エドワード・レビンソン)

#47 ビートルズとその時代の空気に育てられました (エドワード・レビンソン)

47.jpg

1.鴨川の自宅にあるギャラリーEdo Photosの前で、自身のピンホール写真を集めた写真集『タイムスケープス・ジャパン』を手に。
2.「フリー・アズ・ア・バード」と題された写真(写真集『タイムスケープス・ジャパン』より)と大好きな曲「フリー・アズ・ア・バード」のシングル。1997年に岩手県で撮影したピンホール写真で、曲のイメージとぴったりだったのでタイトルにした。

 ビートルズとの出会いは、1964年2月に彼らが初めてアメリカにやって来る少し前のことでした。イギリスで人気急上昇中のグループとして、テレビで紹介されていたのを見ました。10歳になったばかりの頃でしたが、なぜか心がときめきました。2歳上の姉がいたので「アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド(抱きしめたい)」や「シー・ラヴズ・ユー」のレコードもありました。祖父母がニューヨークで帽子の卸の仕事をしていた関係で、ビートルズウィグをもらって、それをかぶって遊んでいた記憶があります。

 中学、高校とビートルズはいつも身近に流れていましたから、共に成長したと言ってもいいかもしれません。高校の頃にアメリカンフットボールのクラブに入りましたが、長髪を切るように言われて、けっきょくクラブをやめました。アメリカもまだそんな時代でした。

 ビートルズでいちばん好きだった曲は「レット・イット・ビー」です。生き方や考え方でもっとも影響を受けた曲です。大学では写真や心理学を学んでいましたが、ドロップアウトして何度もアメリカ大陸を放浪するようになりました。ビートルズとその時代の自由なスピリットに突き動かされたのだと思います。僕の生き方や考え方のベースには、いまもビートルズとその時代にあった新しい空気が流れ続けています。

 放浪を続けて、’79年に日本に来ました。福岡正信の『自然農法・わら一本の革命』の英語版を読んで感銘を受けて、愛媛まで行って彼に会いました。ガーデニングにも興味があって、日本庭園の勉強をするために造園業者に弟子入りもしました。日本に来た翌年の12月にジョンが撃たれて死んでしまいました。僕自身も大きなショックを受けましたが、遠く離れた日本でもそのニュースが大きく扱われていることに驚きました。もっとびっくりしたのは、その半年ほど前に日本の首相が亡くなったときには無関心だったまわりのみんなが深い悲しみに暮れていることでした。アメリカでは、大統領が死んだらもうたいへんな騒ぎになりますからね。

 鴨川の田園地帯で暮らすようになってから、日本の中学校で英語を教えたこともあります。教科書に「イエスタデイ」が載っていて、みんなで歌ったことがいい思い出になっています。’95年に、「フリー・アズ・ア・バード」がビートルズの新曲として初めてテレビで放送されたときには、涙が出るほど感動しました。曲の誕生のエピソードも素敵だし、なつかしさもあったし、曲にも自由な感じが出ていて、いまでは大好きな曲です。

 現在は写真家として活動していますが、ビートルズからインスピレーションをもらうこともあります。たとえば、「フリー・アズ・ア・バード」というタイトルのピンホール写真は、自分の中で写真と曲のイメージとが一致したから名付けたのです。ほかにも、「アクロス・ザ・ユニバース」や「スタンド・バイ・ミー」など、ビートルズやジョンの曲をイメージして名付けた写真もあります。

 80年代にニューヨークを訪れたときには、セントラルパークにも足を運びました。まだイギリスのビートルズゆかりの地を訪ねたことはありません。でも、いつの日か、彼らの故郷リバプールに行って、若い日に情熱をぶつけたキャバーン・クラブを自分の目に焼き付けたいし、写真家としてストロベリー・フィールドを写してみたいと思っています。

取材・文/広田寛治

エドワード・レビンソン
写真家


1953年アメリカ・バージニア州生まれ。州立コモンウェルス大学などで写真と心理学を学び、1979年より日本に居住。京都府、東京都を経て、現在は千葉県鴨川を拠点に活動。ピンホール写真の第一人者として活躍しているほか、デジタルカメラ、フィルムカメラによる作品やエッセイも新聞・雑誌・単行本に寄稿している。著書に、写真集『タイムスケープス・ジャパン:針穴で撮る日本の原風景』 (’07年度パリ写真賞部門別1位受賞) 、『エドさんのピンホール写真教室:スローライフな写真術』などがある。2008年7月28日〜8月17日、北海道紋別市立博物館エントランスホールで「エドワード・レビンソン展」開催。
http://www.edophoto.com/


ニュース&トピックス

私のビートルズ


e-days「イーデイズ」は大人の感性を刺激するWEBマガジンです。