アビイ・ロードの歩き方―私のビートルズとロンドン―THE WAY TO ABBEY ROAD『アビイ・ロード』のカヴァーを見ていちどはここを歩いてみたいと思った人からとくに何も思わなかった人まで、リアル・ピープルにきくそれぞれのビートルズ、そしてそれぞれのロンドン。

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#44 ベジタリアンになってより強くビートルズとつながりました(鶴田 静)

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1.イギリスに行くきっかけとなったウィリアム・モリスのテキスタイルの前で、宝物のひとつ『THE BEATLES ILLUSTRATED LYRICS』を開いて。この本はアラン・オルドリッジがビートルズの曲をイメージして描いたイラスト集。「歌詞も書いてあるから、詩集としても楽しめるんです」
2.ロンドン滞在中に買ったジョンとヨーコのアルバム『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』(アイルランド紛争に関する曲を収録)とベスト盤『ジョン・レノンの軌跡』。『軌跡』の発売は'75年で、「これが出たときにはポスターが街のあちこちに貼ってありましたよ」。ポールがプロデュースしているということで買ったメリー・ホプキンの『ポスト・カード』もよく聴いたレコード。手前は『THE BEATLES ILLUSTRATED LYRICS』(表紙)と、'76年にロンドンで撮られた鶴田さんの写真。自ら焼いた陶器のりんごを添えて。

 ビートルズを知ったのは1960年代初め、「イギリスでおもしろい髪形のグループが誕生した」という小さな記事を新聞で見たときです。当時はレコード・プレーヤーも持っていなかったので、ラジオで「抱きしめたい」や「プリーズ・プリーズ・ミー」といった曲を聴いて口ずさんでいました。火がついたのは解散寸前の『レット・イット・ビー』なんです。映画は何回も見にいって、箱入りのレコードは予約して買いました。そのレコードは今、弟(俳優・鶴田 忍)のところにあると思います。

 '72年に友だちの結婚式に呼ばれて台湾と香港に行ったんですが、香港で『ジョンの魂』を買いました。この値段なら買えると思って。これも、何度も何度も聴きました。

 '75年に、ウィリアム・モリスのデザインを見てこようとイギリスに渡って、2年弱滞在することになりました。ロンドンにいたときは、クイーンやプロコル・ハルム、ジョー・ストラマーのバンド101ersなど、音楽を生で楽しむことができて、レインボウシアターやラウンドハウスにもよく行きました。アビイ・ロード・スタジオやアップルも建物の前までは行きました。イギリス中をまわるなかでリバプールにも行きましたが、あのときはビートルズのゆかりの地もそれほど知られていなかったんですよね。それからアイルランドにも行きました。イギリスに比べたら質素な国ですよね。ジョンとヨーコがアイルランド紛争に対して歌で訴えていたこともよくわかって、導かれて行ったような感じがします。

 ロンドンで共同生活していた仲間がみんなベジタリアンで、マクロビオティックの食事もイギリスで知りました。ジョンとヨーコがマクロビオティックの食餌法を実践していたことはあとで知ったんです。今ではミュージシャンでもベジタリアンが多くなりましたね。ロックというのは、矛盾や不平等を敏感に感じて、体制に対して革命を起こしたい、それを歌にして訴える、そういう気運があるでしょう? 当時は、食品公害、環境問題、飢餓飢饉をなんとかしようとしてベジタリアンになった。そこでロックとつながっているんですよね。

 その後イギリスに行ったときに、リンダ・マッカートニーのベジタリアン料理の本やリンダ・ブランドの冷凍食品を見つけました。本は日本で出せないかなと思って少しずつ訳していたんです。その日本版は、ポール・マッカートニーとも親しい深谷哲夫さんが企画したんですが、訳者を探しているということで、出版社から私に電話がかかってきたんです。いろいろなところで彼らとつながって、本当にびっくりしました。

 ビートルズは日常生活の思いを詞にして、すてきなメロディを作る、なんという才能なんだろう!!!! と、感嘆符がいっぱいついてしまうくらいですね。なかでも、私たちの描く理想を歌にしているのがジョンかな。「イマジン」や「平和を我等に」「ハッピー・クリスマス」を聴いたり歌ったりすると、このいちばん重要なことを、人類の理想として追求しないといけないなと思います。

取材・文/淡路和子

鶴田 静
エッセイスト、菜食文化研究家


東京生まれ。1975〜77年のイギリス滞在中にベジタリアンになる。ビートルズのメンバーのベジタリアニズムについても本や雑誌で言及。主な著書に『ベジタリアンの文化誌』『ベジタリアンの世界』『ベジタリアン宮沢賢治』、訳書にリンダ・マッカートニーの『地球と私のベジタリアン料理』(絶版)など。2008年8月7日に東京・自由が丘ソフィアホールでセミナー「野原のたべもの歳時記」を開催(申込締切は7月24日)。詳細は下記ウェブサイトにて。
鶴田 静 Voice from Earth Mother  http://www.t-shizuka.com/


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