#43 ビートルズの魂を受け継いで持ち続けるマジック (川口義之/栗コーダーカルテット)
1.栗コーダーカルテットの4人。
2.ロンドンではレコードを買うのも好きで、LPは重いので最近はシングル盤が主ですが、それでもCDとはモノとしての存在感が違います。イギリスのシングルのジャケットはいい味がありますよ。
3.最初のアメリカ旅行中、メンフィスでリンゴ・スターと偶然に出会ってるんです。アルバート・キングのコンサートを見たあと、ホテルでものすごく見覚えのある顔の人が通って、その瞬間に手帳を持って、走っていって。僕が「Are you…」って言ったら「Yes」って答えて。会話はそれだけでした。
4.普通だったら「アクト・ナチュラリー」ってそんなに回数聴いてる人はいないと思うんですけど、僕はこの曲をものすごい回数聴いてるんですよ。そんなこともリンゴ・スターを呼んだんでしょうね。
5.『ウクレレ栗コーダー』栗コーダーカルテット:「夢の人」を録音した時に、イントロの部分は曲の肝と思い、そこのアレンジは変えずウクレレで再現しました。他の部分は大幅に変わってますけど。そのカバーは、その後ロンドンのDJやアメリカの大御所アル・クーパーにも気に入っていただいて、音楽をやっていてよかったと思いました。
それからずっとイギリスの音楽を主に聴いてましたが、'80年代なかば、友達がアメリカに行くというので、一緒に行ったんです。イギリスのロックミュージシャンが影響を受けたアメリカ音楽の本場、ニューヨークからシカゴ、ニューオーリンズ、メンフィスのサン・スタジオなどを回りました。アメリカ好きの日本人がアメリカに行くというのとは多分違うスタンスですね。
はじめての海外はアメリカでしたが、ロンドンが好きです。はじめてイギリスに行ったのが冬で、その次に行ったときはいい季節で、あんなに印象が違うのかと思いました。でも冬の寒くて辛いイギリス、ヨーロッパを見ておくと、アメリカ人の表現とは相当違う、こういう人たちの表現の仕方があるんだろうなという気がしますね。ロンドンに行くときは、バート・ヤンシュやウィズ・ジョーンズなんかの演奏が聴ける『12 Bar Club』に行くのが好きです。もちろんアビイ・ロードやリバプールにも行きましたよ。ジョンが育ったミミおばさんの家は、日本人の感覚で言うと案外広いな、と思った記憶があります。「渋さ知らズ」の公演でハンブルクのレーパーバーンに寄ったときには、この激しい街が20や21ぐらいのビートルズを育てたのかと思いました。
栗コーダーカルテットは「たま」の知久君が僕たちの笛をバックにライヴをすることから始まっています。少数意見かも知れませんけれど、たまこそが日本のビートルズだと思っています。ビートルズの持っているエネルギーや魂が色んなところに飛び火して、日本だとたまに伝わったんだと思うんですよ。僕たちもその火を分けてもらって、マイペースながらもバンドだからできるようなマジックを持ち続けていられるんだと思ってます。音楽を仕事として続けるという気持ちだったら、多分今も続いてないと思うんですよね。自分が生きる上で大事にしている、ロック的なエネルギーとか、熱とか、ウィットとか、そういうものの何かしらにタッチしていたい。ビートルズたちがはじめたロックという音楽をすることがすべてです。職業じゃなくて、考え方の基本、基礎ですね。
取材・文/佐藤義文 写真/宮本 匡(2〜4)
川口義之
ミュージシャン
'80年代半ばに活動を始めたロック畑のサックス奏者。近年はパーカッション、ハーモニカ、リコーダー、ウクレレ等のマルチプレーヤーとして活躍。渋さ知らズ、シカラムータ、梅津和時率いるHOBOサックスカルテット他でロシア、ヨーロッパ全域、モロッコ、アジア公演を敢行。メトロファルス、THE SUZUKI(鈴木慶一&鈴木博文)等に参加。サボテン兄弟商会レーベル社主。趣味は旅と演芸。1994年、栗原正己、近藤研二、関島岳郎と栗コーダーカルテット結成。5枚のオリジナルアルバムとベスト盤他、サウンドトラック(NHK教育テレビ「ピタゴラスイッチ」映画「クイール」「≒草間彌生-わたし大好き-」など)、オムニバス参加、幅広い分野のアーティストとの共演も多い。2008年6月25日にはアニメ「アリソンとリリア」のオープニングテーマ「溜め息の橋」を湯川潮音、エンディングテーマ「サヨナラのおまじない」を松本素生(GOING UNDER GROUND)との共演でCDシングル2枚同時発売。「サヨナラのおまじない」には「夢の人」も収録。
オフィシャルサイト http://www.kuricorder.com/






