アビイ・ロードの歩き方―私のビートルズとロンドン―THE WAY TO ABBEY ROAD『アビイ・ロード』のカヴァーを見ていちどはここを歩いてみたいと思った人からとくに何も思わなかった人まで、リアル・ピープルにきくそれぞれのビートルズ、そしてそれぞれのロンドン。

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#27 やっぱりジョンのヴォーカルですね、僕にとってのビートルズは。 (稲垣潤一)

稲垣潤一

1.「お宝と言えるようなものは持ってないけど…」と言って取り出したのは、中学2年の時に初めて買ったビートルズのアルバム『HELP!(4人はアイドル)』。このオデオン盤の裏ジャケットは、US盤に使用されたものと同じカラー写真。このアルバムに収録されている曲は全部好きだとのこと。もっとも、ビートルズに嫌いな曲はほとんどないとか。マーク・ルウィソーン著『ビートルズ/レコーディング・セッション』は、何月何日に録音して、マスタリングして…というのが全て書いてあるデータブック。レコーディングの方法論などを学べるだけでなく、「デビュー当時からトライ&エラーを繰り返して、あそこまで革新的なサウンドを創り上げたというのがわかる」という。「それにしても、よくこんなに記録していたなあ」と改めて感心。

 小学5年生の時。ラジオから流れてきた「Rock & Roll Music」を聴いて、一発で打ちのめされました。ひとことで言うなら「カッコイイ!」。当時、ビルボードの上位曲だとか、ブリティッシュ系のいろんなバンドの曲を流す番組がたくさんありましたが、その中でビートルズは特別な存在に聴こえてきたんですね。いま分析すれば、楽曲の良さとか、エッジのあるサウンドとか、いろいろと理由はあるけれど、小学生の時はそんなこと考えませんから。とにかく強烈な出会いでした。
 バンドを初めて組んだのは中学3年の時で、ビートルズもたくさんコピーしました。メンバーの一人の家をスタジオ代わりに、当時は譜面もろくにないから耳コピで練習しましたね。ビートルズが来日したときは武道館には行けなかったけれど、もちろんテレビでは観ました。動いているビートルズが観られる機会なんてそうそうないから、テレビに釘付けになりましたね。
 今でもビートルズは聴くし、ミュージシャン仲間と飲んだりする時も、ビートルズの話題はしょっちゅう出ますよ。『Let It Be...Naked』が発売されたときなんか、伊豆田(洋之)クンや杉(真理)クンと、オーケストラを除いたバージョンよりオリジナルの方がいいとか、これはこれで良さがあるんだ!とか…。
 ビートルズがどうして好きになったのかって考えると、やっぱりジョン・レノンのヴォーカルだったんですね、僕は。当時の日本の60年代の歌謡界にはいないタイプの、非常にメリハリのある歌。ビートルズのコピーをする人はたくさんいるけど、最終的にはあのヴォーカルが真似できないんですよね。ジョンとポールの声が混ざりあったときにビートルズの音楽が生まれたと思うんです。
 イギリスには行ったことがないんですよ。アメリカには何度も行っているんですが、ヨーロッパ圏はなぜか縁がないみたいで…(笑)。もしイギリスに行くことがあれば、リヴァプールのストロべリーフィールズやポールの生家とか、やっぱり観てみたいですね。

取材・文/相場晴雄 写真/田頭真理子

稲垣潤一
ミュージシャン


'53年生まれ。28歳の時に「雨のリグレット」でデビュー。「ドラマティック・レイン」('82)、「クリスマスキャロルの頃には」('92) 他、数々のヒットを送り出した日本を代表するAORシンガー。日本レコード大賞ほか受賞多数。'07年にはデビュー25周年を記念した初のDVD BOX「EDGE OF TIME」を発売。今年2月6日には、ユニバーサルミュージック移籍第2弾シングル「サヨナラからのメッセージ」をリリースした。
公式サイト http://www.j-inagaki.com/


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