アビイ・ロードの歩き方―私のビートルズとロンドン―THE WAY TO ABBEY ROAD『アビイ・ロード』のカヴァーを見ていちどはここを歩いてみたいと思った人からとくに何も思わなかった人まで、リアル・ピープルにきくそれぞれのビートルズ、そしてそれぞれのロンドン。

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#23 ジョージの家の前で感慨に浸る…。バカだよね(笑) (漆畑一己)

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1. ジョージ・ハリスンの邸宅前で感慨に浸る、漆畑氏。
2. 事務所の打ち合わせスペースには、ビートルズの関連アイテムが飾られている。知人のイラストレーターの個展で「これ気に入ったから譲ってと、商品でもないのに売ってもらった」というジョージ・ハリスンのイラストのほか、自身のバンド活動でジョージのライブ衣装を再現した写真なども。
3. 単行本『ホワイト・アルバム ネイキッド──グループ終焉の出発点』(扶桑社)では、ブックデザインも手掛ける。ジョージの曲が4曲収録された“ホワイトアルバム”は「もっとも好きなアルバム」とか。

 小学校6年生のとき、4歳年上の姉に連れられて行った映画『HELP!』は、当時の僕にはかなり刺激的でした。スクリーンにビートルズが登場するたび、女のコが「キャー!!」と嬌声をあげて手を振っている。その姉には、なぜかジョージ・ハリスンそっくりの友人がいたりして(笑)。そんなことがあってビートルズという存在を印象づけられたのかな。それ以来、彼らの曲を積極的に聴くようになりました。だから、好きになった“きっかけ”自体は音楽ではないんですよ(笑)。
 なかでも一番気になったのは、ジョージ。顔も名前も真っ先に覚えました。いま思えばビートルズのなかでは地味な印象で、曲やフレーズの引き出しも少ないような気が…。そのうえ、何だか自信もなさそう? でも、そこが何か共感できていいんです。僕の中の“日本人”が刺激されるのかな? どんどんジョージが好きになっていって、髪型なんかも真似するようになりました(笑)。
 当時一番聴いたのは、“ホワイトアルバム”ですね。新品となると2枚組のLPで4000円と高かったので、中学の頃、友だちの中古を1500円くらいで買ったんです。それでも中学生には高かったから一生懸命聴きましたよ。その頃やっと、誰がどの曲を作っているのかもわかるようになりました。
 いまも影響はありますね、精神的に。仕事を楽しんでやることができる。しかも、自分の好きなことで。そんなことを彼らから学んだのかもしれません。ありがたいことです。
 実は4年前に初めて、ジョージの自宅を訪ねて行ったんです。感慨深かったですね。ロンドンから電車で1時間半もかけて、家が近くなってくると心臓がドキドキ…。そのとき、頭の中では『Here Comes The Sun』が聞こえていたような気がします。日本人なんて誰もいないような、片田舎でね(笑)。

取材・文/高田純造

漆畑一己
アートディレクター


デザイン事務所「fab」代表。『Oggi』『Precious』『Domani』『STORY』などの女性誌から男性誌『Straight,』まで、品とこだわりのある大人向けの雑誌や単行本装丁のアートディレクション、グラフィックデザインを手掛ける。事務所名の由来は、ビートルズの当時の愛称“Fab Four”とジョージ・ハリスンの曲「When We Was Fab」から。また、自身が率いるバンドも活動中。FAB BAND代表。


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