アビイ・ロードの歩き方―私のビートルズとロンドン―THE WAY TO ABBEY ROAD『アビイ・ロード』のカヴァーを見ていちどはここを歩いてみたいと思った人からとくに何も思わなかった人まで、リアル・ピープルにきくそれぞれのビートルズ、そしてそれぞれのロンドン。

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#22 ビートルズならどうしただろう…と考える僕はやっぱりビートルズ・ファン (重信裕之)

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1.‘97年に訪れたアビー・ロードにて。1人で撮影しようとしていたら、3人組の外国人観光客に、「ビートルズは4人グループだ。一緒に撮ろう!」と言われて実現したもの。この年の年賀状にも使用した思い出の一枚。「僕は判官贔屓の傾向がありまして、リンゴのファンなんですよ。リンゴなくしてはビートルズの成功はあり得なかった。ほかのメンバーと違って、リンゴはプロ・ドラマーとしてビートルズに加入したんですよ。ビートルズに嫌気がさして、最初に辞めたがったのもリンゴですよね。それをジョン始めメンバーが引き止めたことで最終的にアルバム『アビー・ロード』が制作できた。他にもリンゴは…」と語り止まぬリンゴ・ファンの重信氏は当然、前から2番目。
2.世界限定2000セットのWARUS CARD(10枚組み)。花札ぐらいの大きさの厚紙にメンバーの似顔絵が描かれている。19世紀のイギリスで、紙タバコの箱の補強のために入れられたのが始まり。

 僕は1961年生まれでしてね、ビートルズをリアル・タイムで追い掛けるのはちょっと無理だったんです(笑)。ビートルズを初めて聞いたのは解散直後でした。小学校の時、同級生のお兄さんから教えてもらったんです。
 「こんな音楽、聴いたことないや。何だ、これ!」
 子供ながら衝撃でしたね。それからというもの、学校の放送室に忍び込んでは設備してあるレコードプレーヤーで聴いたものです。  僕は特に『サージェント・ペパーズ〜』以降の、当時最先端だったスタジオ・テクノロジーをふんだんに使った、作り込まれた作品が好きなんです。あんなことが出来たのは、当時十分に稼いでいて資金力があったビートルズだからだ、というのも確かですが、それより音楽に対する貪欲さと最新の音響技術を取り入れて使いこなす柔軟さがあったこと、そして何よりセルフ・プロデュース、つまり“自作自演”の能力が高かったからですよね。“自作自演”という言葉は今では珍しくも何ともないんですが、流行を取り入れた上できっちり自分たちの作品にする、ミュージシャンなら楽曲にするというのは、簡単なことじゃないですよ。最近では、宇多田ヒカルがビートルズ世代に注目されましたが、これは、そうした“自作自演”能力が高く評価されたという側面が少なくないと思うんです。
 ビートルズについての本の企画、ですか? ————うーん、難しいなあ(笑)。ビートルズについては一分野を成すぐらい出ていますよね。すでに出尽くしている気もしますが、僕も、やはり“誰も知らない、未公開エピソード”のようなものを柱に編集していくでしょうね。ポールとリンゴについては、これからもエピソードは“つくられる”わけですし…。67年来日公演のコースを彼ら——ポールとリンゴですが——と巡ってみるのも個人的には興味を抱きますね。来日公演の時、ビートルズは羽田空港と、武道館と、ヒルトン東京(後のキャピタル東急)しか見てない、ってのはよく聞く話ですからね。高度経済成長期の真っ只中だった当時と違って、今の東京は景気のピークを越え、倦怠とか頽廃といった時期をすっ飛ばして、“人間が生活する街”としては苦しい環境にある。その一方で、都市機能は発展を続け、世界中から“クールな街”として注目されている。そんな東京を案内しながら、彼らと一緒に67年を回顧する感傷的な企画も面白いかも知れません。
 そしてもしもビートルズが今も現役で活動を続けていたなら、どんな音楽をつくり出していただろうか。クールな東京をどんな形で音楽に取り入れていただろうか。そんな彼らを僕はファンとして認められただろうか、どうなのか——。と、考えるんです。そして、そんなことを考えていると、つくづく僕は、ビートルズが好きなんだなあ、って気づくんですよね(笑)。

取材・文/森澤郁夫

重信裕之
角川モバイル モバイルプラットフォーム推進本部、映像コンテンツ事業本部 統括プロデューサー


(株)リクルートを経て、(株)角川書店で『ニュータイプ』『ゲームウォーカー』『千葉ウォーカー』『東京ウォーカー』編集長を歴任後、2007年より現職。映画、音楽、映像番組など、携帯電話向けの総合エンターテインメント事業を展開する。「Animation Kobe」「日本ゲーム大賞」「東京ネットムービーフェスティバル」「AMDアワード」などの審査員も務めた。
http://www.kadokawa-mobile.co.jp/


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