

『ラブ・アクチュアリー』のヒットメイカーであり、ロマンチック・コメディを得意とするリチャード・カーティス。注目の最新作『パイレーツ・ロック』は海賊ラジオ局となる船上で、パーティにロマンス、24時間ロックが流れる自由な楽園だったはずが...次から次へとパイレーツたちに困難が立ちはだかる痛快ロックンロール・ムービー。この脚本と監督を手がけた、リチャード・カーティスにコンセプトや役者陣の話を聞いた。

――自身の海賊放送局の記憶についてお聞かせください。
僕の世代の誰もが同じ記憶を共有していると思うよ。夜ベッドに入り、枕の下に小さなトランジスタ・ラジオを忍ばせてスイッチを入れると、ほかでは聴くことのできない素晴らしい声、素晴らしい音楽を聴くことができたんだ。
そして、階段の下から両親がこう叫ぶんだよ。「ベッドに入りなさい!明かりを消して!寝る時間よ!」ってね。それこそが、僕がポップ・ミュージックを大好きになった理由の一つなんだ。
つまり、ちょっと不法なことをしている、許されないことをしているっていう感覚なのさ。
――この映画のコンセプトに魅力を感じた理由はどちらになるのでしょうか?
映画において僕がやってみたいと思うことは、うっとりするようなものであり、贅沢過ぎるようなものにすることと、必然的に求める以上のものを自分自身に与えることなんだ。この脚本に費やしたのは、たった2年間だけどね。
この映画を作るにあたって考えたのは、まず僕のお気に入りの全ての曲を入れられないかということだった。2人の恋人たちがキスする瞬間だけでなく、全編を通して音楽が流れるんだ。
それに、僕のお気に入りのキャラクターは少女に恋する少年だけではなく、13人~14人も登場する。そして、飛びきり可笑しいだけでなく、ラスト30分はアクション映画でもある。
とにかくテンコ盛りにしようと思ったんだ。「ラブ・アクチュアリー」もそうだけれど、「ラブ・アクチュアリー」とは違った形でたくさん詰め込もうと思ったのさ。
――ザ・カウント(伯爵)を演じたフィリップ・シーモア・ホフマンについてお聞かせください。
フィリップがこの映画に出演することをビル・ナイに話した時のことを覚えている。彼(ビル)はこう言ったんだ。「彼(フィリップ)は世界最高の俳優で、変幻自在の素晴らしい才能の持ち主だ」ってね。彼(フィリップ)がセットに足を踏み入れた瞬間の変身ぶりに、僕も全く同じことを思ったよ。見事なまでに自然で、本当に素晴らしかった。
この映画について僕は常に、お気に入りの2つのアメリカン・コメディ映画、「M★A★S★H マッシュ」と「アニマル・ハウス」を組み合わせたような映画だと言っていたが、フィルはその非凡な3Dぶりで、僕たちを「M★A★S★H マッシュ」の世界へと引っ張ってくれたんだ。
――海賊ラジオ局のドン、クエンティン役を演じたビル・ナイについてお聞かせください。
ビルは僕の大好きな俳優なんだ。そして素晴らしかったのは、この映画は彼にその幅広い両極端の演技を可能にしているということさ。「ラブ・アクチュアリー」の彼は非常に不真面目で、"The Girl in the Cafe"では非常に真面目な役を演じた。
この映画は面白いよ。だって彼は船を取り仕切る真面目な男だけれど、不真面目でもあるからね。この役に彼はぴったりなのさ。
――ギャヴィン役としてのリス・エヴァンスについてお聞かせください。
リスは素晴らしい俳優だ。「ノッティングヒルの恋人」で見せてくれた演技に続いて、この映画で彼がどんな演技を見せてくれるか期待していいよ。実際のリスは僕たちが彼に演じて貰いたかったロックン・ローラーそのものだと思うんだ。
彼をずっと見ながら、こう思っていたんだ。「まさにミック・ジャガーだ、リアム・ギャラガーだ、スティーブ・マリオットだ!」ってね。僕の大好きなロックン・ローラーたちをまさに融合させたみたいだったのさ。
――カール役のトム・スターリッジについてお聞かせください。
トムを見出すことができたのが、この映画全体において最高の瞬間だったと言えるかもしれない。実際の主役であるカールという若者を書くにあたり、経験豊かな俳優たちがズラリ出演する中、主役に未知の俳優を探さなければならないというのは、神様の慈悲に運命を委ねるようなものだからね。
僕たちは20~30人の俳優たちをオーディションして、みなそれぞれに素晴らしく興味深かったし、そこそこの者も40~50人いたけれど、そこにトムが現われたんだ。彼は完璧だった。背が高くハンサムなだけでなく、他の役者たちに怖気づくことなく、また、「ノー」と言われても卑屈にならず、全ての場面で3~4通りの方法で演じて見せた。彼は魅力的でハンサムで、人当たりが良くて、非常に愉快なんだ。
PHOTO GALLERY
『パイレーツ・ロック』
ビートルズやローリング・ストーンズが人気を博し、ブリティッシュ・ロックが全盛期を迎えた1966年のイギリス。領海外に停泊した船からロックを24時間流し続け、人々に熱狂的に支持された「海賊ラジオ局」を舞台に、ポップ・ミュージックに情熱と愛情を注ぐDJたちと、彼らとともに暮らす人々を描いた群像劇。監督・脚本は「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティス。フィリップ・シーモア・ホフマン、リス・エバンスらが個性的なDJに扮する。
原題:The Boat That Rocked
監督・脚本:リチャード・カーティス
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、ビル・ナイ、リス・エバンス、ケネス・ブラナー、ニック・フロスト、トム・スターリッジ、クリス・オダウド、キャサリン・パーキンソン、リス・ダービー、ウィル・アダムスデール、トム・ウィズダム、トム・ブルック、アイク・ハミルトン、ラルフ・ブラウン、タルラ・ライリー、ジェマ・アータートン、ジャニュアリー・ジョーンズ、エマ・トンプソン、ジャック・ダベンポート、シネイド・マシューズ
製作:ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、ヒラリー・ビーバン・ジョーンズ
製作総指揮:リチャード・カーティス、デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシン
撮影:ダニー・コーエン
編集:エマ・E・ヒコックス
音楽:ニック・エンジェル
製作国:2009年イギリス映画
上映時間:2時間15分
配給:東宝東和
