

今年で生誕80周年となる手塚治虫の代表作にして、アニメ大国日本の初の本格国産アニメとして知られる「鉄腕アトム」を、新進気鋭のイマジ・スタジオが、最新のCGアニメーション映画として蘇らせた「ATOM」。本作のオリジナル声優は「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモアが担当しているが、日本国内では9割近くが吹替え版の上映となる。その吹替え版で主人公アトム役を務めた上戸彩に、アフレコの感想やアトムを演じた気持ちを聞いた。
(取材・文:eiga.com編集部/撮影:堀弥生)

----アトム役のオファーが来たときはどう思いましたか?
『やりたい!』って即答しました。世界のアイドルで、みんなのヒーローであるアトムの声をできるなんて夢のようだし、それで子ども達の人気者になれるならうれしいですし。オリジナルの『鉄腕アトム』は見たことはなかったんですが、それでもみんなに愛されているキャラクターだということは知っていましたし、歌もなぜか歌える。それだけ有名で影響も大きい作品ですから、ぜひ挑戦したいと思いました。
----男の子の声を演じるにあたって気をつけたことは?
アトムは男の子だけど、顔やシルエットには少し女の子っぽさというか、まだ幼いがゆえのかわいらしさもあると思います。だから、アフレコでは少し意識して低めの声を出していきましたが、声に少し女の子っぽさが入ったとしても、逆にそのくらいがちょうどいい、それが個性としてありえるんじゃないかなと思いました。
----男の子の声を担当するのは初めてではないですが、それも声優の仕事ならではの楽しみでしょうか?
自分の甲高い声とか、テンションが上がっている時の声って、実は聞いていてちょっと嫌なんですが、『ピアノの森』などで男の子の声をやらせてもらい、自分なのに自分じゃないような声が聞けたとき、すごく感動したことがありました。それで、『ATOM』でも同じ感じでやりたいなと思いました。アニメの声優をやると、映像は自分とは違う人物が描かれているのに、そこから自分の声が聞こえるというのが、見ていてうれしいです。『ピーターパン』の吹替えで初めてアフレコをやらせてもらったときは、不安や心配で楽しむ余裕もなく、何がなんだかわからないまま終わってしまった。それでも、その後、たくさんアフレコのお仕事をいただいて、徐々にやりやすい覚え方や自分なりのやり方をつかめるようになってきました。今までは、1回で録ってしまうものも多かったんですけど、今回は2〜3テイク録ることが多くて、全部本気でやっていたら声がつぶれてしまったりもしました(笑)。
----「鉄腕アトム」が世界でも受け入れられる要因はなんだと思いますか?
誰しもが持っているような、人の心を持ったロボットだから。逆に現代は、人間のほうが忘れてしまっている思いというものもたくさんあると思います。アトムはロボットなんだけど、人間以上にうらやましい何かをもっているキャラクターだからだと思います。
----その「何か」とは?
人と人のつながり、絆だと思います。いまの人は自分がよければすべて良しだったり、自分が楽しければいいんじゃないって考えの人も結構いると思いますけど、やっぱり人は他人があっての自分だし、他者とのつながりがないと、人の価値というのは生まれないと思います。そういうことを、この映画は教えてくれると思います。ただ、つながっても結局アトムはロボットだから......というところに、この映画のストーリーの重さが出てくると思うんですけど、それでも終わりはちゃんとハッピーエンドですから。
----日本のアトムよりも少し細面でリアルですが、その辺りはどう思いました?
原作をよく見ている人には少し違和感あるかもしれませんが、日本のアトムのままだと、欧米では3歳くらいの赤ちゃんにしか見えないんですって。それじゃあ、アトムじゃなくなってしまうから、外見は少し大人っぽくしてるそうです。だから、私も小学生低学年くらいを想定して、少し男の子っぽい声を意識しました。英語版の声優は、私も好きなフレディ・ハイモアがやっていますけど、彼の声のほうがやっぱり断然大人っぽいですね。そのあたりも、海外で思われる少年の年齢と日本で思われる少年の年齢との違いがあると思います。
----他にやってみたいキャラクターの声などはありますか?
うーん......なんだろう。もし、『あずみ』がアニメになったら、声は他の人にとられたくないなって思いますね(笑)。
『ATOM』
手塚治虫の「鉄腕アトム」を、香港やロサンゼルスを拠点とするイマジ・スタジオがフルCGアニメーション化。事故死した息子に似せて、科学者テンマ博士により生み出されたロボットのアトムは、本物の息子との違いに戸惑ったテンマ博士に拒絶されるが、アトムの動力源ブルー・コアを狙う悪の大統領と戦うため、再び父のもとに舞い戻る。フレディ・ハイモア、ニコラス・ケイジらが声優を務める。日本語吹替え版は上戸彩、役所広司ら。
原題:Astro Boy
監督:デビッド・バワーズ
製作:マリアン・ガーガー
製作総指揮:セシル・クレイマー、ケン・ツムラ、ポール・ワン、フランシス・カオ
原作:手塚治虫
脚本:デビッド・バワーズ、ティモシー・ハリス
音楽:ジョン・オットマン
出演:フレディ・ハイモア、ニコラス・ケイジ、ビル・ナイ、クリステン・ベル、ドナルド・サザーランド、ユージン・レビ、ネイサン・レイン、マット・ルーカス、サミュエル・L・ジャクソン、シャーリーズ・セロン
製作国:2009年アメリカ・香港合作映画
配給:角川映画、角川エンタテインメント
10月10日より新宿ピカデリーほかにてロードショー
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