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2010.02.15UP

第83回 キネマ旬報ベストテン・パーティの川上未映子さん

2月7日

 芥川賞作家の川上未映子さんに挨拶させていただいたが、名刺がわりに使ったのが、<中原昌也>だった。
 ジジイのかぶりものをしたあやしいオジサンと思われてはいけないので、とっさに<あのお、中原に悪魔と呼ばれているものです>と自己紹介してしまった。さらにあやしかったか。
 さすがに<いま、T-ARAにはまってます。少女時代ではなく>とまでは言わなかった。最近はどこまでもバカになっていく。ノープロブレム。

 ごそごそ、ポケットを探ると自分の名刺がでてきたので、差し出した。その名刺は女子美短大で教える伊藤ガビンが作ってくれたもので、オレの指紋付、ビニール袋入りという手の込んだものである。要するに、犯罪現場に落ちていた証拠物件というわけだ。名前がやたら大きいが、オレが自分の名前をたえず認識でき、間違えないようにと言う介護的な理由らしい。まだお礼の言葉もガビンに言っていないことに気づく。

 そういえば、中原には<生前形見分け>として、ドイツのパフォーマンス美術家、ヘルマン・ニッチェの150部限定の手作りアルバムを進呈することも忘れている。中原も気が気ではないだろう。これは中原が躊躇している隙に、悪魔のオレが買ってしまったレアものである。


 忘れるところであった。ナゼ、川上さんがオレの前にいたかというと、今年からキネマ旬報ベストテン外国映画部門選者として末席を汚すことになって、初めて、キネマ旬報の第83回表彰式にでかけていったわけだが、昨年はその後のパーティだけを少しのぞかせてもらったが、今年は表彰式そのものを覗いてみたいと思ったのである。赤ん坊の泣き声がどこかで延々と聞こえていた不思議な表彰式であったが、新人女優賞が川上さんで、当然のようにパーティにもいらした、というわけだ。

 ちなみに、小生のキネマ旬報ベストテンは以下である。

1. チェイサー
2. サンシャイン・クリーニング
3. 天使の眼、野獣の街
4. 戦場でワルツを
5. セブンティーン・アゲイン
6. リミッツ・オブ・コントロール
7. 母なる証明
8. チェンジリング
9. 倫敦から来た男
10. アンナと過ごした4日間

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滝本誠(評論家)
1949年京都府生まれ。東京藝術大学卒業、専攻美学。「キネマ旬報」誌3月下旬号より新連載<セルロイドの画集 シネマ・アート・ランダム>開始。『映/画、黒片 クライム・ジャンル』刊行は5月初旬予定。
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