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2009.10.21UP

中川昭一氏、加藤和彦氏・・合掌。

10月18日 

 亡くなられた中川昭一氏は嫌いになれない。酔態で恥をかいたとはいえ、文具好き、美術館巡り好きからみえてくる中川氏の実像はすてきだからだ。政治家の息子に生まれ、後を継がざるをえなかったのが不幸であった、というしかない。

 一昨年に出たブルータス特別編集のムックEGOをぱらぱらひらいていたら、<中川昭一のカバンの中身>という見開きがあり、遺品として見入ってしまった。

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 1975年、親戚に不幸があったことにして会社をズル休み、ロンドンの<フリップ&イーノとの一夜>公演に、モスクワ経由のアエロフロート便で行った際に、空港のトイレのドアに小さく<FREE!>と落書きしたことは時の共産党独裁権力に忘れていただくとして、またロンドンでの・・・・も過去として現在のわが国の権力にはトイレに流していただくとして、出発前、ロンドンのEGレコードが招待席チケットを用意してくれるというので、人づてに東芝EMIの石坂氏を訪ねたとき、ロビーに日本人離れしたスマートな男がいた。サディスティック・ミカ・バンドという垢抜けたバンド名とこれまた垢抜けた楽曲で度肝を抜いていた加藤和彦氏である。日本人離れということで驚いたのは、現代音楽のスターであった黛敏郎以来だ。黛氏の奥様は日本映画史上もっとも<カワイイ>といっていい女優、桜木洋子であり・・・。名画座ブームの折、どこかで<黛敏郎映画音楽>特集を組むべきであろう。

 鬱による自殺でなければ、天国よいとこ、一度はおいで、と人を食った歌詞が軽やかに思い出されたはずなのだが、人は老い、さまざまな形で消える。

 とにかく、「帰ってきたヨッパライ」は、<サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド>張りの衝撃力を、まだなにもなかったポップ過疎の日本の音楽村にもたらした。テープ早回しという当時の実験音楽手法にあの歌詞をのっけるとは誠にクール! 

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滝本誠(評論家)
1949年京都府生まれ。東京藝術大学卒業、専攻美学。「キネマ旬報」誌3月下旬号より新連載<セルロイドの画集 シネマ・アート・ランダム>開始。『映/画、黒片 クライム・ジャンル』刊行は5月初旬予定。
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