2010.02.10UP
1月28日(木)
かつて故デレク・ジャーマンも映画化したバロックの先駆者カラヴァッジョの生涯が、アンジェロ・ロンゴーニ監督の『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』で再びスクリーンに蘇る。この映画で撮影監督を務めたのは、『地獄の黙示録』、『レッズ』、『ラストエンペラー』で3度アカデミー賞に輝き、"光の魔術師"と呼ばれる巨匠ヴィットリオ・ストラーロだ。


そのストラーロに電話でインタビューをした。最初に話がきたときには迷った。電話では、相手の表情や気分を読み取れないので、あまり駆け引きができない。これまでにも、マイケル・ウィンターボトムやガブリエル・サルヴァトレスなど何度か電話でイタビューし、そのときは運よくというか、相手がのってくれて、うまくいったが、今度もそうなるとは限らない。
インタビューはイタリアの時間にあわせて、夜の10時頃から始める予定で、持ち時間は25分。無駄になるかもしれないと思いつつ、込み入った長い質問を7つ準備した。というのも、今回の映画のことだけでなく、ストラーロが撮影監督になる以前の体験について、尋ねてみたいことがふたつあったのだ。
ストラーロの父親は映写技師で、彼は子供の頃に父親と映写室から映画を観ていた。そこでは、台詞や音楽など音は聞こえない。だから彼は、映像だけを見て想像力を培ったのではないかと思われる。
もうひとつは、彼が映画学校で撮影を学び、カメラ・オペレーターとして撮影の現場を経験したあとのことだ。彼は撮影監督になる前に、映画を離れ、文学や絵画、音楽、建築などを学んでいた時期があった。
そのふたつの体験が、撮影監督としての美学やキャリアにどのような影響を及ぼしたのかを知りたかったのだ。
ストラーロはよく話す人らしいので、1問で終わってしまっても仕方がないと覚悟をしていたが、インタビューは予想以上にうまくいった。限られた時間のなかで、情熱的に語りまくり、なんと7問すべてに答えてくれた。これはすべて通訳をしていただいた岡本太郎氏のおかげである。結局、筆者はプリントアウトしてきた質問を渡しただけで、あとはすべて岡本氏におまかせだった。
筆者が尋ねたかった質問に対する答えももちろんだが、カラヴァッジョと映画に関するコメントもみな素晴らしかった。ストラーロは、映画には登場しないカラヴァッジョの作品「エマオの晩餐」まで例にあげて、画家が描いた影の意味や天才の秘密を熱く語ってくれた。
このインタビューは「キネマ旬報」に掲載されるので、ぜひチェックしていただければと思う。これを読めば、映画をより深く楽しめるはずだ。
