ttle_cinema01.jpg

webマガジン e-days(イーデイズ) >  映画 >  映画コラム >  大場正明 Into the Wild  > 4月14日(火)ブラッド・シェピクの新譜『Human Activity Suite』を聴く。

2009.04.14UP

4月14日(火)ブラッド・シェピクの新譜『Human Activity Suite』を聴く。

 ブラッド・シェピクの新譜『Human Activity Suite』を聴く。
 シェピクは、ファリード・ハークとはまた違った意味で、グローバルなヴィジョンを持ったギタリスト/コンポーザーだ。この新譜は、地球の気候変動や温暖化をテーマにした、10曲からなる組曲。彼の才能が発揮された力作だ。

oba1.jpg

Brad Shepik - Human Activity Suite

 企画の出発点は、ドリス・デューク慈善財団の資金で運営されているChamber Music Americaという団体からの依頼だが、テーマはシェピク自身が決めている。組曲は、南米、北米、南極、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアという七大陸をそれぞれテーマにした7曲と、炭素、海流、人間活動をテーマにした3曲で構成されている。

 このような作品を作るためには、テーマに対する関心がなければならないし、それを音楽的に表現する資質も必要だが、シェピクはその両方を備えているといえる。

 たとえば、彼のこれまでのアルバムの曲名やジャケット・アートは常に、環境、風土、自然、土地、地理、生命などと関わっていた。そして音楽的には、ジャズやブルースと東欧、中東、北アフリカなどの民族音楽を結びつける世界を切り開いてきた。

 ウェブで目にしたインタビューによれば、シェピクは子供の頃、ワシントン州のシアトル近郊の森や川に囲まれた地域で、ハイキングやキャンプ、フライ・フィッシングを楽しむ生活を送った。だがやがて人口が増加し、開発が進み、環境が変わってしまったという。環境問題に関心を持った彼は、ジャレド・ダイアモンド、アラン・ワイズマン、デイヴィッド・クォメン、エドワード・ホーグランドらの著作を読み、テーマを掘り下げてきた。

 そして今回、関心を表現する機会を得たシェピクは、これまで馴染みのなかった地域の音楽を聴き、ダイアモンドやワイズマンの本を参考にして、組曲を作り上げた。このテーマを音楽で表現することは容易ではないが、彼のグローバルなヴィジョンがこれまで以上に鮮明になっていることは間違いない。

<PREV  NEXT>  

img_profile_cinema01.gif

大場正明(評論家)
1957年神奈川県横浜市生まれ。中央大学法学部卒。映画、音楽、書物その他の評論。著書・編著書は『サバービアの憂鬱』『CineLesson15 アメリカ映画主義』など。趣味は登山、写真、料理。
大場正明 HOMEPAGE http://c-cross.cside2.com
ページ上部へ
新着紹介のRSS ラガー音楽酒場のRSS ラガー音楽酒場 e-days プレゼント&インフォメーションのRSS e-days プレゼント&インフォメーション