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2010.02.18UP

キャメロン&ビグロー、元夫婦の対決か──オスカーの行方?

第82回アカデミー賞のノミネーションが発表された。最大の話題は
ジェイムズ・キャメロン監督の「アバター」と、キャスリン・ビグロー
監督の「ハート・ロッカー」がそれぞれ作品賞と監督賞を含む9部門に
ノミネートされたことだろう。

キャメロンとビグローが、よりによってかつては夫婦だった、という
ゴシップ的興味も手伝って今年のオスカー・レースの焦点はこの二人の
一騎打ちか、という前評判で盛り上がっているようだ。

例年のことながら、ノミネーションの発表早々に受賞作、受賞者の予想を
しないではいられなくなるのが映画ファンの性──というわけで、海外の
下馬評も参考に、以下は僕の勝手なオスカー予想である。対象は主要
6部門とした。

[作品賞] 
なぜか今回からノミネートが従来の5作品から倍の10作品へと増えた。
その理由に関しては不明だが、どれほどの意味があるのだろうか?
候補作品は:


  • 「アバター」

  • 「しあわせの隠れ場所」

  • 「第9地区」

  • 「17歳の肖像」

  • 「ハート・ロッカー」

  • 「イングロリアス・バスターズ」

  • 「プレシャス」

  • "A Serious Man"(唯一の未見作)

  • 「カールじいさんの空飛ぶ家」

  • 「マイレージ、マイライフ」

すでに最有力視されているのは「アバター」で、先に発表された
ゴールデン・グローブ賞でも、監督賞と併せて受賞済みだ。
一方の「ハート・ロッカー」は、といえば全米の批評家筋では
ダントツの支持率を誇っている。全米批評家協会賞を筆頭に、
ロス・アンジェルス、ニュー・ヨークそれぞれの批評家協会賞、
さらには全米放送映画批評家協会賞などすべて監督賞と併せて受賞、
という輝かしい成果を誇っているのだ。

とはいいながら批評家ではなく、ハリウッドの業界人たちで構成
されているアカデミー委員たちが選ぶのは「アバター」だろう。
すでに映画史上最高の興行収益を樹立してしまったこの3D方式の
大ヒット作にハリウッドの新たな未来への希望を、という彼らの
期待が見えてくる。

*作品賞=「アバター」
作品賞「アバター」

『アバター』 全国超メガヒット公開中!
公式サイト:http://www.avatarmovie.jp 20世紀フォックス映画 配給
© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.

[監督賞]
作品賞を元夫に譲ったキャスリン・ビグローが監督賞受賞となれば、
「アバター」以上に「ハート・ロッカー」を評価する僕としても、
それは実にめでたく、粋な計らいといいたくなるのだが......ジェイ
ムズ・キャメロンにとっては作品自体が彼の≪アバター=化身≫の
ごとき存在なので、作品賞と監督賞のリンクは必至となるだろう。

*監督賞=ジェイムズ・キャメロン
監督賞ジェイムズ・キャメロン
*監督賞=ジェイムズ・キャメロン

『アバター』 全国超メガヒット公開中!
公式サイト:http://www.avatarmovie.jp 20世紀フォックス映画 配給
(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.

[主演女優賞]
アメリカのある映画評論家が作品賞の候補10本の中に「しあわせの
隠れ場所」が入ったことに異議申し立てをしていたが......
それはともかく、孤児同然のホームレスの黒人少年の隠れた才能を
開花させる、実在の実業家夫人を演じているサンドラ・ブロックが、
本格派女優へと見事に成熟したことは否定のしようもない。
作品賞ノミネートも彼女の受賞への布石かも?「ジュリー&ジュリア」
のメリル・ストリープのいまさらながらのノミネートは、アカデミー
委員の怠慢の証か?

*主演女優賞=サンドラ・ブロック
主演女優賞=サンドラ・ブロック

「しあわせの隠れ場所」2月27日(土)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
© 2009 ALCON FILM FUND, LLC ALL RIGHTS RESERVED 配給:ワーナー・ブラザーズ映画

[主演男優賞]
下馬評ではかなり早くから最有力視されてきたのが、「マイレージ、
マイライフ」のジョージ・クルーニーだった。ところがここへきて
情勢がいささか変化──ジェフ・ブリッジズの急速な追い上げだ!
"Crazy Heart"は残念ながら未見だが、彼が演じるのは
今や落ちぶれたC&Wのシンガーで、演奏シーンは吹き替えなしだ
という。公開と同時に彼への評価は高まる一方で、《アメリカで
もっとも過小評価されてきた俳優》というこれまでの≪栄誉≫とも
ついに決別のときが訪れようとしているようだ。

*主演男優賞=ジェフ・ブリッジズ
主演男優賞=ジェフ・ブリッジズ

「Crazy Heart」Original Soundtrack (Import)

[助演女優賞]
こちらは下馬評どおり!「プレシャス」のモニークで決まり!
「NINE」のペネロピー・クルスのノミネーションは冗談かと
思ってしまうし、「マイレージ、マイライフ」のヴェラ・ファー
ミガとアナ・ケンドリックのふたりには1作品2候補のジンクスが......
とにかく悪夢さながらの母親役に体当たりのモニークは圧巻の
一言に尽きる。

*助演女優賞=モニーク
助演女優賞=モニーク「プレシャス」

© PUSH PICTURES, LLC

[助演男優賞]
こちらも下馬評どおり!「イングロリアス・バスターズ」のクリ
ストフ・ヴァルツで決まり!悪魔もたじろぐナチ将校の強烈な
インパクトには、主役のブラッド・ピットの影も薄くなったほど
だが、「インビクタス」のマット・デイモン、「ラブリー・ボー
ンズ」のスタンリー・トゥッチらこの部門のほかの候補者の場合
も同様だ。

*助演男優賞=クリストフ・ヴァルツ
助演男優賞=クリストフ・ヴァルツ「イングロリアス・バスターズ」

絶賛公開中!
© 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

さて、授賞式は3月8日(日本時間)、結果やいかに!?

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今野雄二(映画・音楽評論家)
1943年生まれ。北海道出身。国際基督教大学(ICU) 卒業後、出版社勤務を経て評論活動へ。「11PM」など数々のTV、ラジオ番組で映画、音楽を紹介。「週刊朝日」の星とり評を連載中。

Title Photo:Tsuyoshi Harikae
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